ブロックチェーンを活用した電子投票について|Voatzやつくば市の取り組み

アメリカではブロックチェーンを活用して不正防止や投票率向上を目指す取り組みをデジタル投票アプリ開発企業「Voatz」が行なっており、ユタ州では地方選挙でブロックチェーン技術を活用した投票アプリの試験運用を実施するなど、各国でユースケースの創出が進んでいます。

 

日本では候補者の名前を間違えて投票数に誤差が生じるといった問題が発生した事例もあり、投票自体も紙と鉛筆を使用して、投票所まで足を運ばなくてはならないといった時間と手間がかかるのも課題として挙げられ、スマホアプリでの電子投票が可能となれば投票率の向上も期待できます。

 

現在では、日本をはじめとして世界各国でブロックチェーン投票への取り組みは行われており、今回は各国で行われている事例を紹介していきます。

 

選挙×ブロックチェーンについて

 

日本では参議院選挙が7月21日に投開票を迎えますが、タイでは今年3月に総選挙が行われ、タクシン元首相率いる「タイ貢献党」が第1党となりました。

 

5年前に起こったクーデターによって軍主導の政治になったタイでしたが、「軍政から民政への移管」が大きな争点となり、この選挙は行われました。

 

しかし、一部の地域では投票者数よりも票数が少ないといった不正が行われており、今でも事実上は軍政が続いている状況となっています。

 

このように選挙における不正が横行しているタイでは、ブロックチェーン技術による直接投票のプラットフォーム開発をタイ政府機関(NECTEC)が行なっています。

 

ブロックチェーン技術を活用することで、スマートフォンで投票が可能となり、投票率の向上や開票プロセスの簡略化が期待されています。

 

ブロックチェーンにはスマートコントラクトが実装されているため情報の改ざんが難しく、投票数の水増しなど不正の防止につながることがメリットの一つです。

 

しかし、ブロックチェーン技術による投票を行う際にはKYC(本人確認)やセキュリティなどに不備があった場合には正当性が保証されないことから、どのようにしてKYCチェックを行うのかなど仕組み作りが当面の課題とされています。

 

Voatz ブロックチェーン技術による投票を実現

 

ブロックチェーン技術はトレーサビリティを中心に広がりを見せており、情報の書き換えといった不正を防止できるとして、多くの企業がその導入に向けた取り組みを進めています。

 

国際物流における書類手続きの効率化や自動運転の情報共有にブロックチェーン技術を活用するなど、すでに実用化されている事例も少なくありません。

 

選挙においては投票率の低下や候補者名の間違いといった課題が存在しますが、その課題を克服するためにブロックチェーン技術が注目を集めています。

 

アメリカではブロックチェーン企業「Voatz」が海外で活動をする軍人にむけてモバイルアプリの提供を行っており、人々の政治参加への意識の高まりといった部分でも高い評価を得ています。

 

日本でもつくば市がブロックチェーン技術による投票の実証実験を行なっていますが、「Voatz」は今年の6月にも700万ドルの資金調達を行うなど、その取り組みには非常に大きな期待が集まっていると言えます。

 

すでに「Voatz」はアメリカ国内で40回以上の実証実験を行なっており、セキュリティについても軍事用に使用されるレベルのシステム構築を施しています。

 

つくば市 VOTE FORとの電子投票の実証実験を実施予定8月下旬

 

日本では若者層の投票率が低く、投票率が高い層へを優遇する政策が行われやすいといった課題が存在していますが、より多くの人々が投票に参加できる仕組みの一つとして投票へのブロックチェーン技術の活用がつくば市では行われています。

 

VOTE FORとともに2019年8月には実証実験を予定しているなど、日本における投票のあり方を変える取り組みを行っているのです。

 

つくば市では2018年5月にも「Society 5.0社会実装トライアル支援事業」の企業選考の際にブロックチェーンに結果を保存するなど、匿名性を保証したネット投票を実現しました。

 

2019年8月の実証実験では、マイナンバーカードと顔認証によってKYC(本人確認)を行う計画を立てており、これにはNECの技術が使われます。

 

また、Hyperledgerブロックチェーンを使ったシステムによって、データの書き込み時間を短縮するなど迅速な投票の実現も目指しています。

 

日本ではアステリア株式会社が株主総会の議決権投票にブロックチェーンを活用する取り組みを実施するなど、より公正な投票の実現を目指しています。

 

ウェストバージニア州 モバイル投票システムにブロックチェーンを活用

 

アメリカ・ウェストバージニア州では2018年11月に行われた中間選挙において海外にいる人でも投票できるモバイル投票システムにブロックチェーンを導入しました。

 

これは2020年の大統領選挙でも活用が予定されるなど「モバイルブロックチェーン投票」がアメリカではすでに行われてます。

 

アメリカでは多くの軍人が国外での活動を行っているため紙ベースでの投票ができないといった課題が存在しました。

 

そのためこの「モバイルブロックチェーン投票」の重要性は高く、社会にとって必要なインフラとして整備が行われていくことが予想されます。

 

データサーバーよりもブロックチェーンの暗号化技術による情報管理の方が「匿名性」が高く保たれるといったことも「モバイルブロックチェーン投票」が導入される理由の一つです。

 

ウェストバージニア州での取り組みは、およそ1000人の在外投票の中で144人が投票を行い、200人以上がアプリをDLといった結果となりましたが、国外で活動中の場合にはアプリにネットワーク上でアクセスできないといった課題が明らかになりました。

 

また、技術提供を行ったVoatz社には「投票のセラノス」といった批判も起こりましたが、情報漏洩についてはセキュリティパッチやアップロードを頻繁に行い対策を施しています。

 

最近では2019年5月にコロラド州デンバーの市議会選挙で、Voatz社の「モバイルブロックチェーン投票」アプリの活用が行われています。

 

アメリカでは海外駐留の軍人の投票率を上げることを目的に「モバイルブロックチェーン投票」への注目が今後も集まると予想されます。

 

スイス・ツーク市 ブロックチェーン技術を活用した電子投票の実証実験

 

スイス・ツーク市はイーサリアムをはじめとした750社以上のブロックチェーン企業が集まり、税率の低さや暗号資産に友好的な都市として知られています。

 

行政・民間のサービスの支払いや市民IDの構築、そして電子投票といった分野でブロックチェーン技術の活用や導入が行われています。

 

2018年6月に行われた実証実験ではアプリ「uPort」を使用し、スマートフォンからブロックチェーン技術を活用した電子投票を行いました。

 

すでにブロックチェーン技術による国民投票についても議論が交わされており、市民には「eID」と呼ばれるデジタルIDシステムが導入されていることからツーク市では生活の一部としてブロックチェーン技術の活用が進められています。

 

選挙とブロックチェーン投票の将来性

 

日本で実際にブロックチェーンによる投票が行われるのはまだ先のことかと思われますが、海外では導入が進められています。

 

Voatz社の投票アプリでは「顔認証ソフト」によってアプリ内で顔のセルフィー撮影による認証が行われます。

 

政府発行のIDと紐づけが行われ、承認された場合には個人情報は暗号化され、ブロックチェーン上で管理されます。

 

ブロックチェーンによる投票が普及したとしても、紙ベースでの投票がなくなるわけではなく、投票をめぐる課題解決にブロックチェーンを活用する取り組みは今後も行われていくことでしょう。

 

今後は、KYC(本人確認)などセキュリティの仕組みづくりによって、どこまで行政がデジタルIDを活用し、選挙の投票を管理していくのか各国のユースケースを参考とした取り組みが重要であると言えます。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA