米国株・新規上場(IPO)予定のユニコーン企業|類似の日本企業について

中国ではアリババの金融サービスが国有銀行の資産規模を上回ったことをきっかけに大手テック企業への規制が強化され、欧州でも「デジタル市場法」「デジタルサービス法」によって市場の公平な競争を監視する体制を構築しようとしています。

 

株式市場には量的緩和の影響で膨大な資金が流れ込んでおり、2020年の株式発行による資金調達は世界全体で1兆㌦(約103兆円)を越えました。新規上場(IPO)市場ではSnowflak、Airbnbなどテック系スタートアップ企業が大型上場を果たし、巣ごもり消費の拡大からゲーム、IT分野の上場企業は業績拡大とともに財務健全性を向上させています。

 

衰退を余儀なくされた産業がある一方で、2021年以降はさらなる成長が見込まれる企業が積極的に新規上場(IPO)を行える市場環境が構築されており、本稿では米国の新規上場(IPO)を予定する企業と類似した事業を展開する日本企業を紹介していきます。

 

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女性向けマッチングアプリ Bumble:株式会社イグニス(with)

気軽に始められることからさまざまなレイヤーの人々が入り混じるマッチングアプリは、時として望まない出会いを創出してしまうこともあります。目的や属性が異なる人々が巡り会うことを事前に防止する仕組みの構築が必要とされる中、マッチングアプリ「Bumble(バンブル)」は女性が主導権握りやすい設計であることから米国や欧州を中心に人気を集めています。

 

「Bumble(バンブル)」は評価額60億ドルから80億ドルと推定され、全世界で1億人のユーザー数を誇るマッチングアプリを運営するユニコーン企業の新規上場(IPO)には大きな注目が集まることでしょう。2019年には2億4,000万ドルの収益を上げている「Bumble(バンブル)」には「Tinder」など複数のマッチングアプリを運営する「Match Group(マッチグループ)」から買収申出が過去にはありました。

 

しかし、「Bumble(バンブル)」は独自の路線で市場を開拓し、最近では「Badoo」「Bumble BFF」「BumbleBizz」など複数の事業を展開しています。「Match Group(マッチグループ)」は410億ドルの時価総額とされ、両社は分野こそ同じであるものの異なる客層を対象にした事業領域を開拓していくことでしょう。

 

日本では、株式会社イグニスが開発/提供するマッチングアプリ「with」が人気を集めており、「Tinder」「タップル」など手軽さを売りにしたマッチングアプリを利用しない層を取り込み、業績を拡大しています。婚活目的寄りの「ペアーズ」が、日本のマッチングアプリ市場では有名ですが、規模の拡大とともに目的や属性が異なる人々の利用が増加している傾向にあり、現在は良質な客層を取り込めるポジションに「with」は位置しています。

 

 

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買い物代行サービス Instacart:CBcloud株式会社

米国で買い物代行サービスを展開する「Instacart(インスタカート)」は2012年に設立され、現在は5,500都市で150の小売業者と提携しています。最近では、Sephora、7-Eleven、CVSHealthなどの小売店とも提携し、8,000店舗の配送、1,500店舗の集荷を担当。

 

2020年は人々が外に出歩くことが制限されていたためにオンラインでの食料品の購入機会が増加し、「Instacart(インスタカート)」の利用は拡大を続けました。10月には2億ドルの資金調達に成功している「Instacart(インスタカート)」は、顧客体験を向上させるためのプロダクト開発、Instacart Enterpriseへの継続的な投資などに資金を投じるとしており、評価額は177億ドルと推定されています。

 

2021年初頭の新規上場(IPO)に向けてGoldman Sachsとの協議を行なったとの報道もあり、フードデリバリーサービスを展開する「DoorDash」の新規上場(IPO)の成功事例があることから可能性は高まっていると考えられます。日本では物流スタートアップ企業「CBcloud株式会社」が「味の素株式会社」と提携し、「献立ミールセットお届けサービス」の提供を開始するなど、買い物代行サービスにさらなる付加価値をもたらす取り組みを展開。

 

また、主力事業である荷主と配送パートナーのマッチングPF「PickGo(ピックゴー)」を活用して空港で預かった手荷物を滞在先まで当日配送する実証実験を日本航空(JAL)、三菱地所とともに行なっています。日米で買い物代行市場の規模は異なりますが、「Instacart(インスタカート)」は24億ドル以上の資金調達に成功していることからシェアリングエコノミーを活用した食料品市場全体のデジタル化に大きな期待が寄せられています。

 

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地域密着SNS Nextdoor:株式会社マチマチ

Facebookがオープンなコミュニティによって人々を繋ぐソーシャルネットワークを構築した2010年代初頭から現在にかけてはよりクローズドなコミュニティの形成が進んでいます。2008年に設立された「Nextdoor」は、各地域ごとのソーシャルネットワークビジネスによって評価額21億ドルで1億7,000万ドルの資金調達に成功。

 

総額約4億7,000万ドルを調達し、新規上場(IPO)時には40億ドルから50億ドルの評価額を目指しているNextdoorは、スポンサー収入(企業/個人の広告)、企業から地域住民への提案から主に収益を獲得しています。IPO、直接上場、SPACの中から最適な上場方法を模索しているとされるNextdoorですが、複数のSPACからの合併申込を拒否したとブルームバーグは報じており、社会レイヤーごとに分断が進む時代に地域密着SNSがどのように評価されるのか大きな期待が寄せられています。

 

日本では株式会社マチマチが地域課題の解決に向けて近隣住民のコミュニケーションを活性化させることを目的に「ご近所SNSマチマチ」を開発/提供。2017年のシリーズAでは1.7億円、2019年には1.6億円を調達しており、三和物流サービス株式会社、株式会社カシワバラ・コーポレーションなどが出資しています。

 

最近では「マチマチ for 自治体」に関する協定を山口県宇部市、長与町などを結んでおり、防災時の情報共有などさまざまな領域で利活用が進むことが期待されます。各地域の情報共有やコミュニケーションの活性化をデジタルに補完することで、新たなエコシステムの形成が進行し、今後はその有用性が高まることでしょう。

 

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まとめ

米・日のマッチングアプリ、買い物代行、地域SNS市場は2021年も大きな成長が見込まれる分野です。これまでデジタル化によって気薄になった人と人とのフィジカルな出会いを創出し、新たな付加価値を提供することで各企業が業績を伸ばしている傾向にあります。さらに既存のサービスとの差別化に向けてより細分化された事業領域を開拓しているのも特徴であると言えます。米国では大規模な事業展開によってユニコーン企業となる事例が確認されていますが、日本でも市場のニーズを汲み取ったサービスを各企業が展開しており、さらなる成長が期待されます。

 

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・参考文献

 

Bumble 

株式会社イグニス

Instacart

CBcloud株式会社

Nextdoor

株式会社マチマチ