STO解説

リヒテンシュタインのセキュリティトークン市場動向|ユニオンバンクやedeXa

リヒテンシュタインにある「ユニオンバンク(Union Bank)」が銀行としては世界で初めてセキュリティトークンを発行することが明らかになりました。

 

「ユニオンバンク(Union Bank)」は2018年8月にスイス・フランを担保にしたステーブルコイン「ユニオン・バンク・ペイメント・コイン(UBPC)」を発行しており、当時から世界で最初のブロックチェーン投資銀行になることを目標にしていました。

 

今回のセキュリティトークンはこのUBPCに裏付けがなされているのが特徴です。

 

リヒテンシュタインはブロックチェーン市場の発展において主導的な役割を果たしており、政府が公開草案「National Blockchain Act」を2018年10月に発表するなど国をあげて取り組みが進んでいます。今回の「ユニオンバンク(Union Bank)」によるセキュリティトークン発行は今後のブロックチェーン業界にどのような影響を与えるのでしょうか?

 

STOnline
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https://stonline.io/stoeurope/

 

ユニオンバンク(Union Bank)について

 

 

「Union Bank」はStandard & Poor´sの格付けでも「AAA-」となっており、ITセキュリティ技術とプライベートバンキングサービスは世界的にも高い評価を得ている投資銀行です。そんな「Union Bank」のセキュリティトークンはUBPCに裏付けされています。

 

UBPC自体がスイス・フランといった法定通貨に裏付けされているプライベートチェーンであり、既存の銀行取引とブロックチェーン技術を組み合わせることを「Union Bank」は目指しています。

 

今回の「Union Bank」の取り組みは証券取引所がセキュリティトークン発行を目指すなど先進的な動きをしているスイスやマルタにも好影響を与えることが予想され、ブロックチェーンと法定通貨の結びつきがさらに強まることでしょう。

 

リヒテンシュタインのブロックチェーンへの取り組み

 

 

リヒテンシュタインはタックスヘイブン(租税回避地)として知られており、ブロックチェーンに対しても積極的な取り組みを行っています。東京23区の4分の1ほどの面積で3万8000人の人口の小国ですが、分散型台帳技術(DLT)企業がおよそ40社設立されているなど企業間交流も積極的に行われています。

 

2018年には「ブロックチェーンの家」と呼ばれる共同オフィスが首都ファドゥーツに建てられるなど政府が産業育成に熱心に取り組んでいるのが特徴です。リヒテンシュタインは「National Blockchain Act」によってブロックチェーンビジネスの活性化にむけての体系的な規制を定めることに成功しています。

 

これもまた世界初の取り組みとして知られており、企業側はブロックチェーンビジネスに取り組む不安感が解消され、より透明性の高い環境を手にすることができます。

 

リヒテンシュタインのSTO事例 edeXa

 

 

edeXa(リヒテンシュタイン・サプライチェーン・配当)

 

リヒテンシュタインにあるio-market AGは2018年にedeXaを子会社として設立しました。io-market AGは20年以上にわたってEDI(電子データ交換サービス)を展開している会社です。EDIとはサプライチェーンにおける企業間での受発注や支払いといった取引を電子データに変換し、パソコン上で自動処理するシステムのことです。

 

io-market AGは長年にわたって培われた経験を生かして、ブロックチェーン技術をサプライチェーンに導入することを目指しています。edeXaはio-market AGから財務的支援とノウハウの提供を受けており、ブロックチェーン企業として2019年3月1日にはSTOを実施しています。

 

そして、edeXaはヨーロッパでははじめてとなる株式型のSTOを2019年3月に実施しています。

 

edaXa STO(特徴・仕組み)について

 

 

edeXaはio-marketのサプライチェーンとブロックチェーン技術の融合を目指しています。今回、実施されたSTOは株式をトークンとして発行し、資金調達を目的に行われました。

 

EDEを所有する投資家は配当を受けることができますが、具体的な日程や%については明らかにされていません。このSTOによって調達した資金は、主に研究開発やマーケティング、運営費に充てられます。

 

サプライチェーンをブロックチェーン上で管理・共有するにはデータセキュリティに多くの投資が必要となります。2019年にはベータ版のローンチ、2020年にはヨーロッパのサプライチェーン市場への参入を計画しています。

トークン名 edeXa Security Token(EDE)
種類 株式 配当・議決権はなし
ブロックチェーン Ethereum(ERC-20)
発行プラットフォーム In-house(私募)
最小投資額 500ユーロ
1トークンあたりの価格 1EDE =0.36CHF
購入可能通貨 EUR、BTC、ETH
STO発行上限 500万CHF
規制 リヒテンシュタイン金融市場局(FMA)
開始日 2019年3月1日
終了日 2019年4月30日
会社概要(発行元)  edaXaAG(リヒテンシュタイン)

 

edaXaの将来性

 

 

edaXaはio-market AGから財務的支援とノウハウの提供を受けており、STOの実施によって、財政面基盤を築いています。また、edaXaブロックチェーンは3種類のブロックチェーンによって構成されています。

 

Consortium Blockchain

 

edaXaやio-market AGなどのグループ企業専用ブロックチェーン。監査や認定を受けたグループ企業のみが使用できる。

 

Company-Private Blockchain

 

Company-Private Blockchainはセキュリティ対策のためにサンドボックスの役割を果たします。未確認のファイルの隔離など、外部から攻撃を受けても悪影響のない仮想環境で、取引データのトランザクションや合意プロセス形成を監査・制御する組織のみがアクセスできるブロックチェーンです。

 

Company-PartnerNet Blockchains

 

Company-PartnerNet Blockchainsは顧客にユーザーインターフェースの提供を行います。物流会社や顧客はこのCompany-PartnerNet Blockchainsによって取引データの管理や共有を行います。このようにedeXaではブロックチェーンの開発が進められており、顧客が安全に取引データを共有できるセキュリティ対策にも取り組んでいます。

 

しかし、物流業界ではすでにコンソーシアムごとにブロックチェーンプラットフォームの運用が開始されており、統合運用といった課題が存在しています。edeXaの将来的な運用に向けては、TradeLensやBiTAといった国際的なコンソーシアムとの協働が必要不可欠と予想されます。

 

サプライチェーンの現状と課題

 

 

サプライチェーンはここ数年で大きな変化を迫られています。消費の多様化によって商品の発注は複雑化し、インフルエンサーによる拡散は予想ができない需要を生んでいます。

 

また、通販サイトの発展によって運転ドライバーへの負担が大きくなり、人材不足といった問題も出てきています。日本でもサプライチェーン・マネジメント(SCM)という言葉が、2000年代前半から注目を集め始めました。

 

しかし、大手メーカーが過剰在庫や欠品に厳格になるあまり、納期の短縮を取引先に求めるようになるなど労働環境を悪化させるといった事態を招いていました。最近では物流大手のヤマト運輸が配送費の値上げや宅配ボックスの設置を行うなど、サプライチェーン業界では様々な取り組みが行われています。

 

業務の効率化にむけて、サプライチェーン業界ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。

 

サプライチェーン ブロックチェーン技術の導入

 

 

AIによる食品の安全管理やリアルタイムでの配送状況の確認など、サプライチェーンは進行技術によって大きな発展を遂げています。ブロックチェーンによる取引の自動化や透明性の向上もその一つであり、国際物流においては多くの企業が導入への取り組みを進めています。

 

海運業者は貨物輸送に多くの仲介業者を経由しなければならず、紙ベースでのやり取りがほとんどです。そのため不正やデータ改ざんが行われやすいのが特徴です。

 

ブロックチェーン上で取引データを管理・共有する場合には不正やデータ改ざんは実質的に不可能になります。そのため国際送料の低価格化や配送時間の短縮につながると期待されているのです。

 

データベースによる取引データの管理はコストがかかり、データの書き換えも簡単に行われてしまうため、多くの企業が導入には消極的でした。導入した企業ではそれぞれでシステムがことなるため、一元的にデータを管理・共有することは不可能だったのです。

 

ブロックチェーンはスマートコントラクトによる契約の自動化や分散台帳といった五術があるために、取引の効率化や統合的なサービスの提供が可能となります。生産者の顔や情報をブロックチェーン上で共有し、店舗での販売数を生産者はリアルタイムで確認できるようになります。

 

在庫の管理や流通経路の確認といった面でも業務の効率化が図られるため、多くのサプライチェーン企業が国際的なコンソーシアムに参加しています。

 

まとめ

 

 

リヒテンシュタインは世界初のセキュリティトークン発行銀行となった「Union Bank」、そして「National Blockchain Act」といった法整備においても世界のブロックチェーン業界をリードしており、今後もその取り組みに注目が集まります。

 

世界を見てみるとフィリピンではカガヤン経済特区庁(CEZA)という経済特区が作られるなど、企業誘致に積極的に取り組んでいる国が少なくありません。その中で日本は法整備を急いでおり、2019年春の金商法改正に先駆けた取り組みも進んでいるなど今後の日本の規制動向について着目されます。

 

参考文献

edeXa — an exciting journey is about to start
STO check
STO Analytics
EDEXA LAUNCHED STO IN LIECHTENSTEIN
edeXa
EdeXa STO Review

Liechtenstein-based Union Bank to become first blockchain investment bank

リヒテンシュタインのユニオンバンク、独自のステーブルコイン発行へ

ユニオンバンク公式サイト

公益社団法人日本経済研究センター「【第4回】リヒテンシュタイン、DLT関連法でリード エストニア、リベルランドも政府主導で取り組み強化」

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