世界のユニコーン企業2021|IPOが期待されるスタートアップ企業の有望銘柄

2021年にIPOが期待される企業としては、中国のデジタルヘルスケアを牽引する「微医(WeDoctor)」が香港での上場計画を発表。

 

トラック配送のマッチング事業を展開する「満幇集団(Full Truck Alliance)」は、100億ドル以上の評価を得て、デカコーンとしてIPOを想定しているなど、2021年は中国企業による大型上場が多く見られる可能性があります。

 

米国ではマッチングアプリ「Bumbleが上場申請書を提出しており、暗号資産取引所「CoinbaseRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)サービスを提供する「UiPath2021年のIPOを予定。

 

上場後に初値の2倍をつける銘柄が続出した2020年は、従来の市場構造が変化し、実体経済と金融経済の乖離がより大きくなった印象が強く残る1年でしたが、本稿では、世界のユニコーン企業に着目し、スタートアップ投資の有望銘柄について解説していきます。

 

>>スタートアップ企業の大型調達一覧【20211月】競合企業や市場規模

BigID(アメリカ/評価額10億ドル以上)

BigID」は、個人情報がどのプラットフォームに存在しているのかを検出し、マッピングすることで、より高度な顧客データ管理をサポートしています。企業が顧客データを適切に保護し、プライバシーを遵守することを目的とした規制が整備される中、「BigID」は機械学習を活用し、システム内に存在する個人情報を検出/追跡するソフトウェアを開発。

 

「IDインテリジェンス」と呼ばれるこのソフトウェアは、アクティブなメタデータと分類を組み込むことで個人情報を自動カタログ/マッピング化し、オンプレミス/クラウド環境にも対応しています。「BigID」はAmazon Web Services Inc./S3、MongoDB、SAPなどのプラットフォームもサポートしており、EU一般データ保護規則やカリフォルニア消費者プライバシー法への対応に迫られている企業から多くの支持を集めています。

 

シリーズDラウンドにおいては10億ドル以上の評価額で、7,000万ドルを調達しており、2016年に設立されてから合計で2億1,600万ドルの資金を調達。

 

・時価総額

10億ドル以上(2020年12月)

・沿革

2016年2月設立

・資金調達状況

資金調達ラウンドの数 7

総資金額 2億1,600万ドル

主要投資家数 7

投資家数 15

・最近の資金調達ラウンド

2020年12月16日 シリーズD 7,000万ドル

SalesforceVentures

TigerGlobal

Glynn Capital

Bessemer Venture Partners

Scale Venture Partners

BoldstartVentures

2020年1月6日 シリーズC 5,000万ドル

2019年9月5日 シリーズC 5,000万ドル

plug and play

Bessemer Venture Partners

Salesforce Ventures

Comcast Ventures

Scale Venture Partners

他7社が参加

2018年6月25日 シリーズB 3,000万ドル

2018年1月29日 シリーズA 1,400万ドル

2016年3月2日 シードラウンド 210万ドル

 

>>アメリカIPOスケジュール【20211月第3週】AffirmPoshmarkが上場

Cazoo (イギリス/評価額25億ドル以上)

中古車市場においてはこれまで直接店舗に出向き、顧客は多くの時間をコストをかけて車を購入するのが一般的でした。「Cazoo」は、顧客が中古車を購入できるECサイトを展開し、オンラインでの自動車購入を普及させたことで、イギリスでは「自動車市場のアマゾン」として高い評価を得ています。

 

設立からわずか18ヶ月でユニコーン企業になった「Cazoo」は、数千台の中古自動車の在庫を保有し、メンテナンスを施した上で、注文から72時間以内に顧客に配送/納車するビジネスモデルを構築し、初年度は約1億400万ドルの収益を獲得。イギリスのオンライン中古車市場は年間500億ポンド以上の市場であるとアレックスチェスターマンCEOはしており、食料品や衣料品をオンラインで購入するのと同様に中古車販売もデジタル化が進むことでしょう。

 

大手自動車サブスクリプションプラットフォームDroverを「Cazoo」は買収しており、Cars-as-a-Service(CaaS)企業としてさらなる発展が期待されます。アレックスチェスターマンCEOは、連続企業家としても知られ、不動産ウェブサイトZoopla、映画レンタルサービスLoveFilmをこれまで手がけてきた経験を生かして、「Cazoo」をイギリス市場最速のユニコーン企業に成長させています。

 

時価総額 

25億ドル以上(2020年12月) 

沿革 

2018年設立

資金調達状況 

資金調達ラウンドの数 7

総資金額 5億8,200万ドル 

主要投資家数 8

投資家数 19

最近の資金調達ラウンド

2020年10月5日 シリーズD 

Sapphire Ventures

2020年10月1日 ベンチャーラウンド 2億4000万ポンド

BlackRock、D1 Capital Partners、Fidelity Management and Research Company、General Catalyst 

2020年6月23日 ベンチャーラウンド 3100万ドル

2020年3月23日 ベンチャーラウンド 1億ポンド

DMGベンチャー、ゼネラルカタリスト、CNP、ムバダラキャピタル、オクトパスベンチャー、エイトロード、ストライド.VC

2019年12月2日 ベンチャーラウンド 2,500万ポンド

2019年9月2日 ベンチャーラウンド2,500万ポンド

2018年12月2日 シードラウンド 3,000万ポンド

Stride.VC

・買収

Drover

Imperial Car Supermarkets

 

>>ブロックチェーン/暗号資産企業とIPO2021年における国家超越と非中央集権の現在

Nubank (ブラジル/評価額100億ドル以上)

これまで銀行などが担ってきた金融機能をフィンテック企業を最新技術を活用して代替する「金融のアンバンドリング」の事例が2010年代は各国で誕生しました。ネオバンクは従来の金融機関にデジタルプラットフォームを提供し、各金融サービスのデジタル化を促進しており、すでに3,000万人を超える顧客を抱える世界最大のネオバンク「Nubank」は評価額100億ドル以上の「デカコーン(Decacorn)」として南米フィンテック市場の拡大を支えています。

 

口座開設まで多くの時間を要し、手数料や金利などサービス面でも費用対効果が悪かったブラジルの金融サービスを変革した「Nubank」ですが2018年以降は安定した収益を上げており、IPOに関してはマーケティングの機会であるとしつつも「私たちはそれに突入していません。」とデビッド・ベレスCEOは述べています。2013年のシードラウンドからSequoiaCapital、KaszekVenturesから200万ドルの資金調達に成功し、オンライン貸付をはじめとして当座預金口座、資産管理サービスを提供してきた「Nubank」は100億ドル以上の評価額を得ていますが、今後はメキシコ、コロンビア、アルゼンチンへの事業拡大も予定しており、その価値はさらに高まることが予想されます。

時価総額 

100億ドル以上(2020年12月)

沿革

2005年設立(ブカレスト) 2020年12月上場申請

資金調達状況

資金調達ラウンドの数 11

総資金額 14億ドル

主要投資家数 9

投資家数 15

最近の資金調達ラウンド参加投資家

・ベンチャーラウンド

Kaszek Ventures

Ribbit Capital

Sequoia Capital

シリーズF

Ribbit Capital

Sequoia Capital

TVC

Thrive Capital

Tencent Holdings

DST Global

Dragoneer Investment Group

・買収

Easynvest

Cognitect, Inc.

Plataformatec

ブラジルでは融資サービスを提供するCreditas17.5億ドルの評価額を得ており、ラテンアメリカではフィンテックスタートアップ投資が2014年の5,000万ドルから2020年には1億ドルに到達するなど、金融市場のデジタル化が急速に進んでいます。

 

>>ヘルスケア市場のIPO予想2021|アメリカ・スタートアップ企業の有望銘柄

まとめ

米国においてはデータプライバシーの領域でBigID」がより大きな存在感を発揮することが期待され、ブラジルやイギリスにおいても各産業のデジタル化が進行しています。

 

2021年は世界の成長産業の移り変わりがより明確になる年になるとも考えられ、従来の人手によって成立してきたビジネスモデルがデジタルに置き換わるだけでなく、そのデジタルなプラットフォームを規制するためのテクノロジーにも大きな注目が集まることでしょう。

 

>デカコーン企業GojekTokopediaと合併交渉|米国でのSPAC-IPOの可能性や株主間の利害関係について

 

 

・参照

Nubank: A LatAm Fintech Valued at $10 Billion and Growing Fast