将来的にはステーブルコインをはじめとした暗号資産の普及とともに法定通貨の価値が低くなる可能性は否定できません。
米ドルもその影響を受ける可能性があり、パウエル議長の「ビットコインは金のような価値貯蔵手段」といった発言は大きな話題を集めました。
ビットコインを価値貯蔵手段とFRB議長が認めたことの意味は大きく、政府が発行量などを調整できない暗号資産の潜在的な危険性についてはより慎重に考えなくてはなりません。
そのような経緯があり、7月12日にはトランプ大統領がTwitterで暗号資産やFacebook・Libraに対して批判を行ったとされています。
I am not a fan of Bitcoin and other Cryptocurrencies, which are not money, and whose value is highly volatile and based on thin air. Unregulated Crypto Assets can facilitate unlawful behavior, including drug trade and other illegal activity….
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2019年7月12日
トランプ大統領とFRB・パウエル議長は利下げを巡っても対立を深めており、今後も両者の発言に注目が集まります。
アメリカにおける暗号資産の今後
トランプ大統領による突然のビットコイン批判が話題を呼んでいますが、世界的にも暗号資産の存在が無視できないまでに普及していると言えます。
今回の批判の背景にはFRBとの対立があることが明らかにされていますが、ICOやSTOによる資金調達など暗号資産を活用した取り組みはアメリカで盛んに行われています。
ブロックチェーンはイノベーションの促進や産業の活性化につながるとして大きな注目を集めており、決済手段や価値貯蔵手段だけにとどまらず暗号資産はより幅広い領域で活用が期待されています。
決済手段としては法定通貨とのペッグによって価格が安定しているステーブルコインが注目を集めており、世界の中央銀行では独自のデジタル通貨「CBDC」の発行も計画されています。
中央銀行の暗号資産通貨発行について|金融市場の健全化にむけて
ビットコインのように価格変動が激しい暗号資産が決済手段や価値貯蔵手段に用いられるとは考えられにくいですが、今後はステーブルコインの台頭などによる新たな活用事例も生まれてくることは予想されます。
法規制に準拠した暗号資産の活用が今後は重要と考えられ、投機目的以外の分野で発展が期待されます。
アメリカにおいては下記のような事例があり、投機とは別の活用方法によって経済の活性化を目指す取り組みにも今後は注目が集まることでしょう。
SEC アメリカで初のICO承認|有価証券への該当基準について
Aspencoinホワイトペーパー解説|アメリカ・不動産STO
パウエル議長「ビットコインは金のような価値貯蔵手段」発言
FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は「ビットコインは金のような価値貯蔵手段」と米上院銀行委員会での議会証言で発言しました。
決済手段としての価値は否定したものの、投機目的での価値貯蔵手段としてFRB議長がビットコインを認識していることがこの発言で明らかになりました。
もはやFRB議長であっても無視できない存在となったビットコインですが、ハイパーインフレに陥っているベネズエラではOTC取引によってビットコインが避難資産として活用されています。
物価上昇率が約268万%(年率)にも及ぶベネズエラではビットコインの取引量が増加しており、政府が石油を価値の裏付けにしたデジタル通貨「ペトロ」を発行するといった取り組みも進んでいます。
パウエル議長の発言は金本位制の否定?
パウエル議長は米上院銀行委員会での議会証言の前日に行われた下院金融サービス委員会での議会証言において、金本位制の復活を否定していました。
金本位制は各国の中央銀行による為替操作を防止する新たな通貨制度として考えられており、金を裏付けにした米国債の発行などについて議論が交わされています。
パウエル議長の「ビットコインは金のような価値貯蔵手段」発言は金本位制の否定といった意味でも受け取ることができます。
金本位制を支持する欧州復興開発銀行(EBRD)米国理事のジュディ・シェルトンが次期FRB理事に指名されたこともあり、金本位制を巡ってもトランプ大統領とパウエル議長は対立を深めています。
参考文献
FRB議長、金本位制復活を否定 理事候補の批判でないとも強調
クドロー氏:シェルトン、ウォラ-両氏は当局のインフレ認識変える
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