TetherやBitfinexを巡っては、「クリプト・キャピタル関連の資金損失ではなく凍結」といった主張をBitfinexはしていますが、8億5100万ドル(約950億円)にも及ぶ、巨額損失をTetherで補填したとしてニューヨーク州検事長事務局(NYAG)から訴追される事態に発展しています。
しかし、最高裁判所のJoel M. Cohen判事は、NYAG側の要求を慎重に判断するために90日間の裁判延長との判断をくだしました。
ドルと連動したステーブルコインとして注目を集めているTetherですが、最近では中国人がOTC取引を経由してビットコインを購入するのに利用されていると考えられ、取引高が増加しています。
Bitfinexは顧客資金であったTetherを巨額損失の補填として悪用したとして疑惑の目が向けられていますが、決済サービス企業「クリプト・キャピタル」の凍結は何が原因で引き起こされたのでしょうか?
今回はTether×Bitfinex問題をめぐる資金凍結やクリプト・キャピタルについて解説していきます。
Tether×Bitfinex問題 資金凍結について
Tether×Bitfinex問題については「クリプト・キャピタル」がKYC(顧客確認)やAML(アンチマネーロンダリング)への対策を怠っていたことで、各国から資金の差し押さえがあったとの見方が浮上しています。
これはBitfinexの株主でもあるドン・チャオ氏が述べたもので、BitfinexのCFO・Giancarlo Devasini氏も「安全な場所に保管されている」としています。
しかしながら、クリプト・キャピタルの保有するBitfinexの資産がいつ戻ってくるかもわからず、実際にクリプト・キャピタルが保有しているのかについても証拠が明らかにされていない状況です。
資金の損失・凍結を巡ってはどちらも証拠が不十分であると言えます。
クリプト・キャピタル(Crypto Capital)について
Tether社が7億ドル(約750億円)相当のTetherによる融資をBitfinex社に行なったことから様々な憶測を呼んでいる今回の騒動ですが、クリプト・キャピタル(Crypto Capital)とはいったいどのような組織なのでしょうか?
クリプト・キャピタルは暗号資産取引所のシャドーバンクのような存在であり、2013年にパナマに設立され、現在はスイスのツークに本社を構えています。
最近では「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与」への疑いも持たれており、ポルトガル・ポーランド・アメリカの規制当局から資産が差し押さえられているとの疑惑が生じています。
この疑惑が生じたのはCrypto Capitalの子会社である「Crypto sp z o.o(ポーランド)」とBitfinexを経由して、コロンビアの麻薬組織がマネーロンダリングを行なったとの疑惑が浮上していることに起因しており、Bitfinexの口座から4億ユーロの資金を押収されたと報じられています。
Bitfinexはマネーロンダリングへの関与については否定をしています。
クリプト・キャピタルは暗号資産の黎明期から銀行口座の開設ができない事業者への口座提供を行い、Bitfinexだけではなく、BitMex、Binanceといった暗号資産取引所もクリプト・キャピタルに銀行口座を開設しているとされています。
QuadrigaCX、Coinapult、Cex.ioにもサービスを提供していましたが、クリプト・キャピタルを介した顧客への支払い処理に関しては度々問題が生じていたことが明らかにされています。
Tether×Bitfinex問題の今後
クリプト・キャピタルの国際的なマネーロンダリングへの関与疑惑が解消されない限り、凍結されたとされるBitfinexの資金は戻ってこないと考えられます。
しかし、現在のところ明確な証拠が見つかっておらず、実際にクリプト・キャピタルとBitfinexがマネーロンダリングに関与したかどうかは明らかにされていません。
憶測が憶測を呼んでいる状況が続いていますが、90日間の裁判延長が明らかにされており、今後も注目を集めることとなりそうです。
参考文献
Kolumbijskie kartele prały setki milionów przez spółki z Pruszkowa i okolic
未確定情報:ビットフィネックスに詐欺関与の疑いが浮上、ポーランド検察が関連口座から4億ユーロ押収
暗号通貨業界の闇銀行とも呼ばれるクリプト・キャピタル(Crypto Capital)とは?
「陰謀だ」仮想通貨取引所ビットフィネックス株主、ニューヨーク州との争いで見解|「10日で10億ドル」資金調達の舞台裏も明かす【単独】
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