スイスIPO・スタートアップ市場2021|株式のトークン化やブロックチェーンIPOの可能性

スイスの株式市場には、チューリッヒ保険グループ、クレディスイス、スウォッチグループなど世界的な企業が上場しています。

 

スイス証券取引所は1995年に3つの証券取引所が統合し、2008年にはSIX(Swiss Infrastructure and Exchange)Swiss Exchangeに名称を変更し、現在に至ります。

 

近年では、ブロックチェーン技術を活用してデジタル証券取引所SDXの開発にも取り組んでいるなど世界でも最先端の金融インフラの構築を目指すスイス。

 

本稿では2020年のスイスIPO・スタートアップ市場の動向を踏まえ、Sygnum Bankによる株式のトークン化など最新事例について解説していきます。

 

スイスIPO・スタートアップ市場2020

 

2018年には12社、2019年には7社がスイス証券取引所へ上場しており、スタートアップ企業投資は過去最大の22億9,400万スイス・フラン(2019年)に到達。

 

連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)・ローザンヌ校(EPFL)がスイスには存在しており、スタートアップ市場は優秀な人材が数多く存在していることが1つの特徴です。

 

フィンテックをはじめとしてデジタルヘルスケアや情報通信技術(ICT)の分野への投資が盛んであり、チューリッヒ・ボー州を中心にエコシステムが構築されています。

 

2019年に発表された「スイスのベストスタートアップ100」においてはドローン開発企業「フライアビリティ」、がん組織分析システム開発企業「ルナフォール」女性向けヘルスケア企業「アバ」などが上位に選出。

 

また、2019年にはトラベルテック企業「ゲットユアガイド」、保険サービス開発企業「ファイナンスアップ」が1億スイス・フラン以上の資金調達に成功しており、海外のベンチャーキャピタル(VC)からの投資も近年では盛んに行われています。

 

また、今年の3月にはスイス証券取引所がスペイン証券取引所を運営するBMEを買収。

 

このことでEU内の金融機関がスイスの取引所での直接取引が可能になり、スイスとEU株式市場のアクセスが再開することになります。

 

2020年には、V-ZUG、Ina Investの2社がスイス証券取引所に上場しており、ユーロDAXX(欧州デジタル資産取引所)においてはOverfutureがイーサリアムブロックチェーン上でIPOを行うことを規制当局が許可するといった事例も確認されました。

 

スイス証券取引所の積極的なイノベーションの推進とともに金融市場を改革しており、ローンチが予定されるデジタル証券取引所SIX DigitalExchangeや活性化するスタートアップ企業投資によって2020年代のヨーロッパ市場においても大きな存在感を発揮することが期待されます。

 

Sygnum Bank 銀行として世界ではじめて株式をトークン化

 

スイスの「Sygnum Bank」は、銀行としては世界ではじめて自社株式をトークン化したことを発表。

 

SBIデジタルアセットHDとのシンガポールにおける合弁会社設立を「Sygnum Bank」は予定しており、今後はSIX Digital Exchange(SDX)とシンガポールにおける二重上場の可能性も示唆しています。

 

今回、株式のトークン化が可能となったことで、未公開株式会社は増資や株式譲渡の際にも自動的に株主名簿が更新され、完全にデジタル化された方法で一次/二次市場取引を管理することができます。

 

将来的なブロックチェーンIPOの実現などスイスは金融市場の変革に向けて市場に先んじた取り組みを推進しており、株式のトークン化は未公開株式市場における二次取引も将来的には可能となるかと考えられます。

 

現金決済プロセスが不要となり、カウンターパーティのリスクが最小限に抑えられるなど株式のトークン化はさまざまな利点をもたらすとされ、小Gんはビットコインスイスが2021年初頭にSTOによる資金調達を予定しているなど、スイスにおいてはデジタルな資金調達方法が普及の兆しを見せています。

 

まとめ

 

スイスではブロックチェーン法の制定や積極的なインフラストラクチャーの構築、株式のデジタル化への取り組みが行われてきました。

 

「Sygnum Bank」は、デジタル資産発行プラットフォーム「Desygnate」/取引プラットフォーム「SygnEx」の開発/提供を手掛けており、あらゆる資産のトークン化を実現することを目指しています。

 

証券取引所のみならずデジタル資産を取引できるプラットフォームが構築されることで、2020年代はこれまで以上に多様な投資が可能となると考えられます。

 

スイスのIPO・スタートアップ市場で進むデジタルインフラの整備は世界的にも大きな意味を持つことでしょう。

 

・参考文献

 

Swiss Market Ends Slightly Weak

SWITZERLAND APPROVES THE FIRST ARTICLES OF INCORPORATION NATIVELY ON THE BLOCKCHAIN

Swiss Crypto Bank Sygnum Mulls IPO

スイス証取によるスペイン証取買収、スペイン政府が承認

ベストスタートアップ100を発表、首位は検査用ドローンのフライアビリティ

スタートアップ投資額、過去最高を記録(スイス)

https://jp.investing.com/equities/switzerland

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