セキュリティトークンとDeFi(分散型金融)の統合|RealT不動産トークンを担保にAaveでステーブルコインを借り入れる仕組みとは?

今回は、暗号資産レンディングプラットフォーム「Aave」と不動産トークン企業「RealT」との協業による「RealTの不動産トークンを担保にしたAaveでのステーブルコイン借入」がもたらす「セキュリティトークンとDeFi(分散型金融)の統合」の可能性について考察していきます。

 

「Aave」は、RealTの市場データをChainlinkが提供する価格フィードオラクルを活用して正確に把握するシステムを構築しており、今後はデータに基づいたリスク分析とLTV(顧客生涯価値)の推奨事項を検証した上で取り組みを進めるとしており、その実験的な事例を前に新たなデジタルアセット市場の形成を予測していきましょう。

 

RealTがもたらした不動産STO市場の発展

RealTの不動産トークンは、RegS、Dに準拠し、不動産ごとにLLC(有限責任会社)を設立するスキームによって高い利回りの米国・デトロイトの一軒家の所有権を担保としています。

 

従来のセキュリティトークン取引所(ATS)であるtZEROやOpenfinanceNetworkでの取引は行われていませんが、分散型取引所「Uniswap」を通じて海外の投資家から多くの資金が投じられるなど、販売開始から1日も立たずにすべてのトークンが完売してしまうことも少なくありません。

 

KYCの確認が取れた投資家のみが「Uniswap」でRealTの不動産トークンを取引することができるため、不動産市場の流動性向上の新たな形として注目を集めています。

 

実物資産を担保としたトークンの発行は各国で展開されていますが、セカンダリーマーケットでの取引は、従来の証券(株式や社債)とは異なる法的枠組みであることから目立った事例は確認できていません。

 

そのためRealTが手掛けているプロジェクトは不動産セキュリティトークンの発展においても非常に大きな役割を果たしており、投資家の興味関心を引きつけることによって各国における市場形成を促進しています。

 

セキュリティトークンとDeFiの統合とその課題

RealTは、新たに「Aave」と取り組む「不動産トークン担保型のステーブルコイン借入」の概念とその実践においても、「DeFi市場における実物資産に担保されたトークンの利活用のあり方」を世に提示し、中長期的な市場形成に貢献すると考えられます。

 

当サイトでも暗号資産やセキュリティトークンといったデジタルアセットについて日々、調査を行ってはいますが、今回の「Aave」と「RealT」の取り組みは非常にテクニカルで理解され難い事例であると考えられ、

 

「実際にRealTの不動産はデフォルトしないの?」
「SushiSwapなど奇妙なプロジェクトが横行しているDeFi市場の安全性は?」

 

といった今後、正確にプロジェクトの概要を認知してもらうには、より幅広い観点から詳細なリスク分析や投資家保護の検証が必要であると言えます。

 

実際に、米国・デトロイトにおける一軒家の需要の低迷や入居者が家賃を支払えなくなることによるデフォルトの可能性については、RealTの不動産チームの物件の選定によるところが大きいと考えられ、Chainlinkの価格フィードオラクル参照の仕組みも含めて全体のエコシステムは理解の及ばない設計にはなっていません。

 

しかし、急速に発展を遂げるDeFi市場においては未監査のスマートコントラクトを使用するプロジェクトも存在しており、SushiSwapに関してもブロックチェーンセキュリティ企業「Quantstamp」「PeckShield」「CertiK」などが監査を実施した結果、複数のセキュリティの脆弱性が発見され、致命的ではないもののスマートコントラクトの所有者を制限するためコミュニティの監督とガバナンスの構築が必要であるとされています。

 

また、そのネーミングからして幅広い層の投資家から支持を集めることは非常に難しいと言え、DeFi市場全体の信用を損ねるような事例ではないもののKimchi・Hotdogswapといったプロジェクトが乱立していることで、各DeFiプロジェクトの概要を多くの投資家に正しく認知してもらうことは難しいといった課題も存在します。

 

RealT不動産トークンを担保にAaveでステーブルコインを借り入れる仕組みとは?

【AaveとRealTが提供を予定している「不動産トークン担保型ステーブルコインレンディング」の仕組み】

 

・RealTでのKYCプロセスを完了し、不動産トークンに投資

・RealT不動産トークンをAaveプロトコルに預け入れる

・RealT不動産トークンを担保としてステーブルコインを借り入れ

 

Aaveが運営するMediumでの公式サイトでは、下記のように解説がなされています。

 

The ability to use RealT assets as collateral makes “mortgage” loans on Ethereum available to a wider audience for the first time, allowing users to use their Real Estate exposition to finance their liquidity needs, spending or diversified investment strategies.

(日本語訳)RealTトークンを担保として使用する機能により、Ethereumの「住宅ローン」が初めてより広い聴衆に利用可能になります。ユーザーは不動産(トークン)を利用して流動化需要、投資、または分散投資戦略に資金を提供できるようになります。

参照:RealT Market Coming to the Aave Protocol

 

ステーブルコインをレンディングプラットフォームで借り入れすること自体、一般的な投資家にとっては非常に珍しい事例ではあり、RealT不動産トークンに投資し、それをAaveに預け入れることが可能となった場合、どのまでこのサービスを利用する投資家が増えるのか、デジタルアセット市場の今後を占う上でも非常にユニークな取り組みであると言えるでしょう。

 

まとめ

「セキュリティトークンとDeFi(分散型金融)の統合」といったテーマで考察を行いましたが、実際にこのサービスを活用するのはRealT不動産トークンの所有者のみであるとも考えられ、その取り組みが安定して運用された場合にはその他のアセットを担保にしてAaveでステーブルコインを借り入れることができるようになるかもしれません。

 

これによりセキュリティトークン市場の流動性が向上するかと問われると、「法規制に準拠し、資産を担保として発行されるトークン」を活用した借り入れスキームの認知が、DeFi(分散型金融)市場で多少広まる程度であるとも考えられますが、その取り組みの新規性は特筆すべきであり、実際のサービス開始が非常に待ち遠しいと感じます。

 

それより前にSushi・Kimchi・Hotdogといったネーミングのプロジェクト乱立で市場の信用性が失われないことが重要であるとも言え、やや難解ではあるものの今後も市場の形成を中長期的に調査してまいります。

 

・参考文献

 

DeFi Meets Real Estate as Aave Readies Crypto Mortgages

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