STOのメリット・デメリット|セキュリティトークンとは?

STO
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セキュリティトークンとは「ブロックチェーン上で有価証券をトークン化したもの」です。

 

(有価証券:株式や社債、不動産といった資産を持っていることを証明するもの)

 

資産の所有や債券を証明する有価証券は、その国ごとの規制に準拠しています。そのため「新たな資金調達方法と」しても大きな注目を集めており、暗号資産市場の拡大にも大きな役割を果たすとされています。

 

また、セキュリティトークンの発展によって、ICOによる詐欺まがいのプロジェクトは淘汰され、暗号資産業界全体の健全性が図れると期待されています。

 

手軽に始められる新しい資金調達方法として大きな注目を集めていたICOですが、実際にはプロジェクトは行われないといった事例が相次ぎました。

 

資金調達後に忽然とプロジェクトのHPが削除され、価格の吊り上げが簡単に行われるなど投機目的のプロジェクトが乱立し、ハッキングの被害もあいついだことから多くの投資家が資産を失うといった事態にも発展したのです。

 

世界各国の規制当局がICOへの規制強化など市場の健全性向上への取り組みが進む中で、国が定める規制に則って発行されるセキュリテイトークンに注目が集まっています。

 

STOのメリット

 

 

①詐欺まがいのプロダクトは淘汰される

 

各国の証券法に基づいた金融商品であり、「投資家保護」によって市場の健全化を図ることができます。

 

②IPOよりも資金調達がスピーディーにできる

 

ICOと比較すると限られた投資家からしか投資を募れないといったデメリットはあります。

 

しかし、監査機関からの審査に2年ほど時間がかかるIPOと比較すると資金調達がよりスピーディーに行えます。

 

また、機関投資家からの投資が募れるので、より大口の金額を集めることができます。

 

ICOによる投機や取引所からの資産流出などのニュースが重なり、暗号資産は「新しいけど怪しい」といったイメージがまだまだ根強く残っています。  

 

詐欺のようなプロジェクトが乱立し、誰でも簡単に投機の対象にできたICOがまだ記憶に新しいかと思います。

 

法規制の整備やボラティリティ(価格変動)の激しさといった課題は山積していますが、ブロックチェーンの将来性については世界中が注目しています。  

 

そのような中でSTOはICOの投機的価値にスポットを当て、既存金融の規制に準じてトークンを発行する新たな金融商品として脚光を浴びています。  

 

STOは各国の法規制に準じてトークンが発行されることを前提としているため、機関投資家による巨額な資金調達が行えると予想されます。  

 

法規制に準じたプロジェクトしか認められないため、取引市場の健全な秩序を守れるといったメリットもあります。  

 

また、投資対象として適正価格の判断がしやすい点もICOにはないメリットです。  

 

資産の裏付けがないものの誰でも参加できたICOと比較すると投資の判断の難易度は高いですが、法規制に則った金融資産です。  

 

株や債券といった資産をトークン化することで、配当・支払いといった手続きが簡略化され、「透明性」を担保するといった側面にも注目が集まっています。

 

さらには株式市場が「24時間取引可能」になることで市場の「流動性」の向上も期待できます。

 

STOのデメリット

   

各国の証券法に基づいているため投資家にも資格が必要です。(アメリカではSECによって年収や資産が特定以上でないと投資できない)  

 

そのためICOのように少額投資家が多額の利益を上げることはないと考えられます。

 

そのため、STOが普及していくことで仕組みが変わってくる可能性もありますが、現状ではICOバブルのようなことは起こらないでしょう。  

 

また、企業が「IPO」を行うためには監査機関からの審査や資料の作成といった手続きが必要不可欠で、おおよそ数年の準備期間がかかります。

 

この準備期間が起業家にとっての障害となっています。 

 

そのため手軽に資金調達を行えるICOが普及しましたが、監査もなく資産の裏付けもない金融商品は高いリスクが伴い、事実詐欺的な事例が頻発したため合法的で資金調達のコストを軽減できるSTOに注目が集まってます。  

 

しかし、STOにも問題はあります。 

 

例えば、ハッキングの問題について、絶対的な安全性は既存の金融システムでも保証されているとは言い難いですが、トークンの発行や管理側は負担が大きいと言えます。  

 

また、セキュリティトークン取引所でも売買があまり活発に行われていないといったtZEROのような事例も現状では存在します。

 

なぜSTOが必要なのか?

 

STOは、これからの企業の資金調達手段として注目されています。

 

しかし、なぜ今までの企業の資金調達手段であった銀行融資やIPOではなく、STOが注目されているのでしょうか?  

 

伝統的には、企業の資金調達手段は銀行融資と株式発行です。

 

ベンチャー企業の場合はベンチャーキャピタルや個人投資家から出資を受ける場合もあります。  

 

これらの資金調達はいくつかの点でSTOに劣るところがあり、そのためにSTOが注目を集めています。

 

以下では、各資金調達手段についての解説と、その欠点を説明します。  

 

銀行融資

 

銀行融資は大企業、もしくは既に設立された中小企業の資金調達手段としてよく使われています。   利点として、銀行に事業計画書を提出し、審査に受かれば融資が得られる上、いくら得られるのかがわかるため、安定しているという利点もあります。また、銀行から融資を得られたということは、それ自体がすでに一定の信用になります。  

 

一方で、無視できない欠点があるのも銀行融資の特徴です。   銀行から融資を受けるには銀行を満足させる事業計画書を提出する必要がある上、銀行が収益性が低いと判断した事業では融資を得られないため、自社事業のコントロールを維持しにくいです。また、ブロックチェーンのような最新のテクノロジー分野では、担当者に十分な知識がない場合もあります。その上、銀行の融資は信用のある大企業なら簡単ですが、設立したばかりのベンチャー企業の場合は実績や信用に乏しく、銀行から融資を受けるのが難しいと言った欠点があります。  

株式発行

 

株式発行は証券取引所に上場できる大企業の資金調達に使われます。   上場企業の資金調達手段です。企業によっては、IPOをすることでUberやNetflixのように巨額の資金調達に成功する場合があります。一方で、証券取引所の審査に通らなかったり、手数料を支払えないような中小企業やベンチャー企業には難しい資金調達手段です。UberやNetflixと言った企業でもわかるように、証券取引所に上場する段階ですでに巨額の資金を集めるかなり大きな企業であることが多いため、ベンチャー企業の資金調達としてはあまり現実的ではありません。

投資家による出資

 

投資家による出資は、ベンチャー企業の資金調達手段として頻繁に利用されています。   自社事業を理解し、資金面や人脈、その他多くの面でサポートしてくれる投資家がいた場合、起業家は本来の自社事業に専念できます。   一方で、資本政策によっては投資家に経営上の主導権を握られる恐れや、出資先がある程度の資金を持っている投資家に限定されるため、そのようなネットワークを持たない起業家には難しい資金調達手段となっています。

これからの資金調達: STO

 

銀行融資や投資家からの資金調達に目新しさがなくなってきた状況の中、ベンチャー企業から注目を集めたのがビットコインの隆盛とともに話題となったICO(Initial Coin Offering=イニシャルコインオファリング)です。   ICOは、広く投資家から出資を募ることができ、また銀行融資や株式上場よりも大規模な資金調達のハードルがはるかに低いという利点がありました。   しかし、なんの審査も資産の裏付けもなく行えるICOでは詐欺が頻発し、投資家が敬遠するようになってしまいました。  

 

STOはこれらの欠点を克服した新しい資金調達手段になることが期待されています。   STOは審査を通して専門の取引所に上場されるため、ICOのような詐欺を防げる上、広く投資家から資金調達をすることを可能にします。   投資家としても今まで一部の資金豊富な投資家のみであったベンチャー出資とは異なり、株式や社債の購入と同様に行うことができ、さらに証券取引所と異なり、24時間いつでも取引が可能となります。   このような市場に対する潜在的な需要は巨額であり、これからの時代の金融のメインストリームになることが期待されています。

 

セキュリティトークンの現状について

 

SBIホールディングスの北尾吉孝社長はセキュリティトークンによる資金調達、「STO(セキュリティ・トークン・オファリング)」の普及にむけて暗号資産の新団体設立を目指すことを明らかにしました。STOによるセキュリティトークンは各国の法規制に準拠して発行されるため市場の健全性を損なうことなく資金調達が可能であるとして注目を集めています。

 

暗号資産業界は法整備がなされていなかったことでICOによるスキャムプロダクトが乱立し、多くの投資家が詐欺まがいのプロダクトによって資金を失ってしまったという歴史があります。現在では世界的にICOへの規制強化が行われ、市場の健全化に向けた取り組みが進んでいる中で、日本では改正資産決済法が2020年6月までに施行が予定されるなど世界に先駆けて法整備を行なっています。

 

より健全な市場の発展を目指し、法規制に準拠した新しい資金調達方法としてSTOは期待されており、世界では不動産業界などで活用が進められています。今回はセキュリティトークンの種類(株式・債権)や仕組みを解説を紹介していきます。

 

セキュリティトークンの種類

 

セキュリティトークンは以下の3種類に大きく分類されています。

 

①株式トークン(DX.Exchange・エストニア)

 

24時間取引可能となるため海外の投資家が、他国にある企業の株式をトークンとして購入できることが期待されています。

 

②配当トークン(Bitbond・ドイツ)

 

トークンの購入者は配当を受け取れるようになります。Bitbondは年に4回にわけて1%の配当が手に入ります。(年利4%)

 

③債権トークン(Bitbond・ドイツ、ソシエテ・ジェネラル・フランス)

 

債権担保付き社債(カバードボンド)は安全性の高さと利回りの良さから評価が高い投資商品。


ソシエテ・ジェネラルでは効率的な発行手続きのために実験的に自社向けに債権担保付き社債をトークン化して発行しています。

 

セキュリティトークンの仕組み

 

セキュリティトークンは以下の技術が実装されています。

 

スマートコントラクト

 

 

スマートコントラクトが私たちの身近で使われ始めたのは「自動販売機」が最初と言われています。

 

①飲料水を買うのに必要な金額を投入
②指定した飲料水のボタンを押す

 

この2つが契約条件となり、自動的に飲料水が提供されるようになっています。このスマートコントラクト技術によって、ブロックチェーン上に書き込んだプログラムが自動で契約を実行してくれます。例えば、「ujo MUSIC」という音楽配信サービスではEthereumによって決済が自動で行われます。

 

消費者は楽曲を選び、その料金をブロックチェーン上で支払います。著作権料を分配する契約プログラムをスマートコントラクトに設定しているため、自動的に音楽家に収益が入る仕組みとなっています。支払いはEtherで行われ、これまで仲介業者と行われていた手続きを必要としません。

 

セキュリティトークンにもこのようにスマートコントラクト技術が実装されており、自動で契約が実行されます。このことで以下のようなメリットが私たちにもたらされます。

 

①仲介手数料がかからなくなる。取引のコスト削減。
②仲介業者が不要になる。支払いがスピーディーに。

 

また、スマートコントラクトを活用するにあたり、ブロックチェーン上で土地の所有権や契約内容が公開されます。分散化台帳技術によって情報の改ざんも難しくなるため、契約の透明性が向上し、安全性も確保できるようになります。

 

コンプライアンスが関係する事案についてもスマートコントラクトによって自動で執行されるように設定でき、取引の正当性が保証されます。

 

しかし、私たちが契約を紙ベースで取り交わす際には事業者同士の曖昧な解釈が存在します。

 

そういった人と人との間で交わされる約束事などについては、スマートコントラクトでも定義づけが難しいといった問題も存在します。

 

マルチシグ(マルチシグネチャ)

 

マルチシグ(マルチシグネチャ) はブロックチェーン上でデータの処理を行う際に複数の秘密鍵による署名を必要とすることです。

 

オンライン銀行で振り込みを行う際に暗証番号と設定した合言葉を入れるのをイメージしていただければわかりやすいです。

 

このマルチシグ(マルチシグネチャ)の仕組みがセキュリティトークンには実装されています。また、セキュリティトークンは世界各国の証券法などの規制に基づいた金融商品をトークン化します。KYC(身元確認)、AML(マネーロンダリング対策) に事前に対応しているためにスキャムの排除にも繋がります。このような仕組みがセキュリティートークンには実装されており、以下のようなメリットがあります。

 

セキュリティートークン ユーティリティトークンとの違い

 

 

ユーティリティトークンの代表格であるビットコインは所有者がビットコインブロックチェーンを利用する際の手数料を払うために使われます。このようにサービスを利用できるようになるユーティリティトークンは「ユーセージトークン」と言います。

 

また、オーガーではREPトークンによって未来予想市場を作る「働きかけ」ができます。そのため「ワークトークン」と呼ばれ、「働きかけ」をすることで対価を受け取ることができます。

 

イーサリアムの場合は「ハイブリッドトークン」と呼ばれ、Etherトークンを使用してスマートコントラクトの実行を行えます。そして、このスマートコントラクトによってプラットフォームの拡張を目指しています。

 

このようにユーティリティトークンは3種類あります。ユーティリティトークンは「サービスを利用する上で使えるトークン」と言えます。セキュリティトークンのように証券法に準拠している必要はありませんし、あくまでユーティリティトークンはサービスの利用を目的に作られています。

 

セキュリティートークン ステーブルコインとの違い

 

 

日本でも「GMO Japanese Yen」のように法定通貨と連動したステーブルコインの発行が行われています。価格変動(ボラティリティ)が少ないために、価格の乱高下を理由に投資を敬遠していた投資家からも投資を募ることができます。

 

価格が安定しているために実用性が高く、将来的にはハイパーインフラに悩む国々の金融インフラとしても期待されています。セキュリティトークンは規制に準拠した証券をトークンを発行しますが、ステーブルコインはドル、円といった法定通貨をトークン化している点で違いがあります。また、金や原油を担保にして発行されるのもステーブルコインの特徴です。

 

世界のセキュリティトークン取引所や発行プラットフォームについて

   

イギリス海外領土ジブラルタルにある「ジブラルタル証券取引所(GSX)」は、EUが認可した取引所として初めて2019年4月にセキュリテートークンの上場を認可しました。 

 

CEOであるNick Cowanはブロックチェーンによって資本市場の流動性の向上や民主化の基盤を強化を目指していると述べており、ほとんどの国々でジブラルタル証券取引所のマーケットに参加できます。  

 

また、マルタ証券取引所ではBinanceと提携したプラットフォームを計画しているなど、ヨーロッパではSTOに友好的な国が多いのが特徴です。  

 

Neon Exchange(NASH)

 

2018年9月3日にリヒテンシュタインの金融市場局(FMA)の承認を得て、ヨーロッパ市場で初めて証券がトークン化された事例となりました。  

 

Desico

 

2018年11月、リトアニアのクラウドファンディング法の下でSTOを立ち上げ。  

 

Neufund

 

ドイツにあるSTO発行プラットフォーム「Neufund」は、ドイツの金融監督当局であるBafinと連携のもと2018年12月に40万ユーロの調達に成功。  

 

世界の個人投資家が利用できるため、ドイツ国内で初めてSTOが成功した事例として知られています。  

 

個人投資家もKYC手続きに合格すると「Neufund」のSTO発行プラットフォームを利用できるため、世界規模の投資家に対応することを目指しています。

 

SIX Swiss Exchange(スイス)

 

スイス金融規制当局FINMA、スイス国立銀行の認可を目指したデジタル取引所を開発中。  

 

ソシエテジェネラル(フランス)

 

PACTE法案によってブロックチェーンによる経済活性化を目指すマクロン政権ですが、黄色いベスト運動によって国内では政治的混乱が続いています。

 

そのような中でフランスでは投資銀行の「ソシエテジェネラル」が子会社を通じて125億円のセキュリティトークン(債権担保付き社債)を発行しています。

 

経済刺激策としてフランスではブロックチェーン技術の導入が進んでおり、先進国の中でも積極的な取り組みを行なっています。経済大国であるドイツではBitbondがドイツ国内初となるセキュリティトークン発行を行いました。

 

配当型のセキュリティトークンを発行し、年4%ベースで運用が可能です。また、2019年夏には国としての戦略を打ち出すことを明らかにしています。

 

国内のブロックチェーン企業との公聴会を行うなど取り組みが進められています。

 

そして、日本では2019年3月に「資金決済法・金融証券取引法の改正案」が発表され、投資家保護を目指した法整備が進められています。

 

スイスやリヒテンシュタインにまたがる「クリプトバレー」にブロックチェーン企業が集まっていますが、世界各国では法整備によって企業誘致を目指しています。

 

その中で日本は世界に先駆けて「投資家保護」を打ち出した法案の成立を目指しています。

 

世界のセキュリティトークンへの規制について

 

アメリカの暗号通貨規制

 

アメリカにおける暗号通貨の規制には証券取引委員会(SEC)が深く関わっており規制は厳格です。ICOはほとんど認可がおりず、アメリカ国民によるICOの参加が禁止されている州も多くあります。

 

SECは新しい暗号通貨に対し基本的に慎重な姿勢です。
暗号通貨取引所に対する規制は州ごとに異なるため、規制の緩い州に取引所が集中する傾向にあります。

 

SECは、現状の規制では流動性や市場操作などの特定リスク対して投資家の保護が十分にされていないため、国として規制の枠組みを作成するべきと考えています。

 

SEC委員長ジェイ・クレイトンは暗号通貨規制をSECの管理下に置くべきだと考えており、SECはStrategic Hub for Innovation and Financial Technology (FinHub)というブロックチェーンや暗号通貨、AIの企業専用の相談窓口を開設し、相談の受付を行っています。

 


FinHubはSECの様々なサービスへのアクセスを一本化することでユーザーがSECの担当者と連絡が取りやすくすることを目的としています。

 

カナダの暗号資産規制

 

カナダでは暗号資産取引所に対して、金融取引報告分析センター(FINTRAC)への登録を義務付けることを明らかにしました。

 

マネーロンダリング対策の一環として2020年6月からこの規制は行われる予定となっています。

 

FINTRACへの登録義務は銀行と暗号資産取引所との連携を目指す取り組みの一環としても実施を予定しており、暗号資産のマネーロンダリング対策について規制強化が行われている中で、カナダの取り組みに注目が集まっています。

 

カナダでは今年の2月に暗号資産取引所「QuadrigaCX」が200億円相当の暗号資産を消失した事件が起こりました。

 

QuadrigaCXでは資産管理担当だったGerald Cotten CEOが亡くなってしまったことで、管理権そのものが消失。

 

顧客の暗号資産はコールドウォレットに管理していたとQuadrigaCXは発表していますが、トランザクションの検証からはコールドウォレットに管理した証拠がないとも言われています。

 

コインチェック事件と同様の暗号資産盗難事件の可能性もあり、カナダでは暗号資産への規制強化がカナダ証券管理者(CSA)と投資業界規制機関(IIROC)によって進められることとなりました。

 

結局のところ、QuadrigaCXは4月に破産宣告を行なっており、コールドウォレットについても2018年4月から空であったことが明らかにされています。

 

暗号資産への規制が追いついていないことから、多くの投資家が資産を失ってしまったこの事件を教訓にカナダでは法整備が行われていくことでしょう。

 

マネーロンダリング対策で暗号資産取引所の今後は?

 

カナダでは2020年にアンチマネーロンダリング改正法の施行を予定しています。

 

そのため暗号資産取引所に対しても本人確認(KYC)や不正が疑われる取引の報告義務などコンプライアンス向上に向けた取り組みが進められています。

 

国際的にも暗号資産取引所はマネーローンダリング及びテロ資金供与対策についての対策が不十分であるとして、法整備がFATFによって進められています。

 

暗号資産取引所が規制当局の監督下に置かれ、マネーロンダリング対策に取り組むことで、市場の健全化に期待が集まっています。

 

しかし、一方では暗号資産取引所の撤退や顧客離れを懸念する声も上がっています。

 

FATFによる暗号資産規制は既存の金融システムを保護するといった意味合いもあり、カナダのように暗号資産取引所と銀行との連携を図る取り組みには今後も注目が集まります。

 

ロシア暗号資産規制を採択へ|天然資源依存型経済からの脱却

 

ロシアではプライベートチェーンベースでの暗号資産は合法化される予定となっています。

 

しかし、Facebookが発表したLibra(リブラ)のようなパブリックチェーンベースの暗号資産はロシア国内では取引禁止としています。

 

また、暗号資産取引所についてもロシア国内では今後も禁止とされています。

 

プーチン大統領は今年2月に規制採択を7月1日までに行うように国家院に命じており、石油や天然ガスなどの天然資源輸出に依存した経済構造からの脱却を目指していると考えられます。

 

6月中には暗号資産規制をまとめた法案が採択される予定となっています。

 

ロシア 暗号資産売買は合法化するものの、決済手段としては認めない方針

 

FATF(金融活動作業部会)からの勧告を受けて、ロシア中央銀行とFSB(ロシア連邦保安庁)が会議を行ったことをロシアの非政府系通信社Interfaxは伝えています。

 

FATFはマネーロンダリングとテロ資金供与対策(AML/CFT)の国際協調を推進するため設立された政府間機関です。

 

国際的な暗号資産規制の基準をまとめた「解釈ノートとガイダンス」を6月21日に採決しています。

 

「FATFはロシアに対して2019年末までに暗号通貨の流通に関する法案を採択するべきであるとの勧告を行った」とInterfaxは報じています。

 

これまでロシアでは2018年5月に暗号資産取引を禁止する法律が制定され、世界的にみても厳しい暗号資産規制を行ってきました。

 

以前からFATFはロシアの法規制については指摘を行なっており、ICOやプライベートチェーンベースでの暗号資産売買の合法化にむけた取り組みがロシアでは着々と進められてきました。

 

ロシア副財務大臣のAlexei Moiseyevは、「法規制によって暗号資産売買は合法化が検討されているものの、決済については引き続き取り締まる」と述べています。

 

世界各国で暗号資産への規制強化が行われている中で、ロシアでは暗号資産売買は合法化するものの、決済手段としては認めないとしています。

 

ロシア 天然資源依存型経済からの脱却へ

 

ロシアの経済構造は原油価格によって大きな変動を受けやすく、国家予算歳入も石油・ガス税収に依存しています。

 

プーチン大統領は2024年5月に大統領としての任期を終えますが、後継者候補の育成とともに弱体化するロシア経済の改善に取り組まなくてはなりません。

 

ロシアは今回の暗号資産規制によってブロックチェーン企業の発展を目指し、天然資源依存の経済構造からの脱却を図るとしています。

 

バハマの暗号資産(仮想通貨)規制

 

バハマではブロックチェーン企業の誘致を目指して、新しい枠組み作りに取り組んでいます。

 

バハマは100年以上も前から金融立国として国際的にも認知され、「タックスニュートラル」と呼ばれています。

 

同国は法人税や消費税がないといった税制上のメリットがあるために、ブロックチェーン企業の誘致にも積極的な姿勢を見せています。

 

バハマ証券委員会はセキュリティトークン(以下ST)を規制する新しい法案の草案を提出するなど、その取り組みに注目が集まっています。


「Digital Assets and Registered Exchanges Bill, or DARE Bill 2019, for industry and public consultation」

 

この新しい法案はバハマでのトークン発行に携わる取引所をはじめとしてICOプロジェクトにも適用されます。

 

プロジェクトごとにホワイトペーパーを発行することを義務付けており、トークンの種類や資金調達額が変更された場合にはすぐに変更する必要があります。

 

また、トークンの登録には技術や資本力についての詳細な情報が必要となり、マネーロンダリングといったリスクに対しての対策も必要になります。

 

登録には弁護士を雇い、規制当局との連携を行わなければならず、登録されたプロジェクトはデータ保護法、金融取引報告法、金融取引報告規則、金融情報規則の対象となります。

 

これらはバハマ証券規制当局がプロジェクトが実際に行われるのか評価するのに役立ちます。

 

バハマ 違法なプロジェクトには罰金制度を設ける

 

 

購入者に不利益を被るような場合には直ちに情報開示を求められ、応じない場合には1万バハマドル(10,000ドル)の罰金が科せられます。

 

また、この制度を遵守しなかった場合には50万ドルの罰金または最大50年間の懲役の刑に処せられます。

 

さらに、誤解を招くような情報を提出した際にも最大10年間の懲役が課せられるとされています。

 

バハマでは証券監督所ならびに投資家に対して、投資家保護の観点からST販売に関する情報を提供することを定めています。

 

2019年3月27日にこの草案は公開協議のために提出され、5月28日までには意見をまとめるとChristina Rolle委員会事務局長は述べています。

 

しかし、バハマ証券規制当局にはさまざまな意見が寄せられており、協議の期間は1カ月延長することが予想されています。

 

この公開協議の後にはバハマ政府、議会を経て2019年秋には法案として可決される可能性があるとChristina Rolle委員会事務局長は述べています。

 

バハマ 沈没船財産のSTOを実施

 

 

バハマは2017年ごろから法整備を行う必要性にいち早く気づき、暗号通貨取引所についても大きな関心を寄せていました。

 

財務省や規制機関は暗号通貨のプロジェクトから問い合わせを受け、合法的なガイダンスの作成を行うなど取り組みを続けてきました。

 

今年の5月にはセキュリティトークンとユーティリティトークンの基準を定めると予想されています。

 

いくつかのトークンは現行の証券取引法から免除されることも予想されており、現在、法案を審議しているとのことです。

 

PO8」はサルベージにより沈没船から引き上げられた海洋考古学の産物をブロックチェーンによってトークン化するプロジェクトですが、これは非代替(NFT)トークンであるために証券法の対象となるか注目を集めていました。

 

NFT(Non-Fungible Token)とは、ERC721規格により発行した非代替性トークンです。

 

これまではCryptokittiesといったゲームに用いられてきましたが、PO8は現物資産である沈没船の財宝をトークン化しています。

 

2019年2月には所有権をSTOとして販売をスタートしました。投資家から集めた資金は、ダイバーへの賃金支払いや博物館の設立にあてられます。

 

将来的には観光客を集めることで収益化をPO8は目指しています。

 

現在、バハマ政府は非代替(NFT)トークン発行について強制処置は取らないとしていますが、法案次第ではこれに従わなくてはならないとされています。

日本におけるSTOの将来性

 

STOはIPOのように数年単位の準備期間も必要なく、ブロックチェーンによって投資家から資金を調達することが可能となります。

 

株式や不動産をブロックチェーンによって小口化して販売することも可能で、より少額から投資が可能となります。

 

ブロックチェーン上で世界中の投資家から資金調達をすることができるため、さらなる投資機会の提供といったメリットも存在します。

 

STOの普及によって市場の流動性向上が期待され、特に不動産市場では小口化によって多くの投資家が不動産投資を少額から行えるようになります。

 

実際に海外では不動産会社が株式をセキュリティトークンとして発行し、トークン所有者には収益の10%を配当として分配するといった事例も存在します。

 

現在のところ日本では実例がないことからどの企業も様子見基調が続いており、海外のユースケースを参考に日本でもセキュリティトークンの普及を目指した取り組みが必要不可欠であると言えます。

 

最近では日本セキュリティトークン協会(JSTA)がアメリカのセキュリティトークン発行プラットフォーム「Securitize」とパートナーシップ締結を行うなど積極的な動きをみせています。

 

SBIホールディングスの北尾吉孝社長が設立を目指す新団体には大手ネット証券会社などが加入すると明らかにされており、法整備などセキュリティトークンについてのルール作りを行うとされています。

 

セキュリティトークンの定義

 

暗号資産業界ではトークンの発行が「有価証券」に該当するのか議論が繰り返されてきました。

 

アメリカでは詐欺まがいのICOプロジェクトが問題になった際に、連邦証券法で定められた登録義務がなされていないことを理由に証券法違反として取り締まりが行われました。

 

トークン発行が「有価証券」として証券法の規制対象となるのか?

 

この判断基準として「Howeyテスト(ハウイテスト)」が用いられています。

 

「Howeyテスト」はその基準を以下のように定めています。

 

1 投資として資金の出資があること
2 投資先から収益が期待できること
3 投資先が共同事業であること
4 第三者の仕事による収益が期待できること

 

アメリカでは、この4項目に該当した場合にトークンは有価証券として認められると定義されています。

 

アメリカやアメリカの適格投資家を対象にしたトークン発行にはこの「Howeyテスト」に適合しているかどうかが重要になり、連邦証券法に則って登録義務が課せられます。

 

あくまで「Howeyテスト」は一つの定義にすぎませんが、世界各国で行われているセキュリティトークン発行は、その国の法規制に準拠して発行されています。

まとめ

「新しい資金調達方法」として注目を集めているSTOですが、アメリカだけでなく、世界の国々でセキュリティトークンの発行が行われており、日本においてもその活用が期待されています。  

 

これまではICOの乱立によって、多くの投資家が詐欺まがいのプロダクトによって資産を失うなど、結果として暗号資産業界への信用が失われる事態に発展しましたが、最近では「投資家保護」を目的に規制強化が行われており、法規制に準拠して発行されるセキュリティトークンの活用が暗号資産の健全化にもつながるとされています。  

 

日本ではハッキングによる不正流出がここ数年で相次いでおり、ホットウォレットでの暗号資産管理やKYC・AMLによる顧客管理などが課題とされています。  

 

ビットポイントは自主規制団体である日本仮想通貨交換業協会が定めたホットウォレットへの管理基準を守っていたために35億円で被害が済んだとの見方もありますが、セキュリティ対策についてはより多くのコストがかかることでしょう。  

 

価格操作やスキャムによる被害は減ってきていますが、規制強化の流れの中でICOによる資金調達は日に日に困難になってきているともいえます。  

 

また、FATFによる第4次対日相互審査が行われていることからも暗号資産業界だけではなく、金融業界全体で規制強化が必要であるといえます。  

 

そのような中で、STOによる資金調達は世界各国で事例が生み出されており、日本でも同様の取り組みによって市場の流動性向上や経済活性化を目指すことが予想されています。  

 

 

参考文献

 

Canadian Government Releases Final AML Regulations for Crypto Businesses

Regulations Amending Certain Regulations Made Under the Proceeds of Crime (Money Laundering) and Terrorist Financing Act, 2019: SOR/2019-240

QuadrigaCX’s missing millions is the messiest Bitcoin saga yet

Canadian Crypto Exchange QuadrigaCX Officially Declared Bankrupt

DIGITAL ASSETS AND REGISTERED EXCHANGES (DARE) BILL, 2019 

Bahamas Securities Regulator Proposes Rules for Token Sales

【イベントレポート】「【バハマ政府STO担当官来日!メディア独占イベント】バハマ政府のSTOの枠組みと、ブロックチェーン実用化事例のご紹介」

バハマがブロックチェーン大国に名乗りをあげる|海洋考古学を民主化へ

 

 

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