STOのメリット・デメリット|セキュリティトークンとは?

今回は、プライベートエクイティ投資市場における新しい資金調達方法として注目を集めるSTOに関して解説していきます。

 

現在、セキュリティトークンに関する取り組みは各国で行われ、STOが証券法のもとでどのように取り扱われるか明確になっている米国においては、多くのSTOプロジェクトが実施され、時価総額は約1億7000万ドルに達しています。(2020年7月4日時点)

 

ブロックチェーンを導入した証券取引所開設の是非についても協議が行われるなど、デジタルアセット市場の発展とともにさらなる資本市場の活性化や多様性の向上に期待が寄せられています。

 

すでに米国は、スタートアップ企業である「tZERO」や「OpenFinanceNetwork」がATSの認可を受け、各発行プラットフォームもブローカーディーラーやトランスファーエージェントのライセンスを取得しており、健全な市場形成に向けて市場関係者が国際標準組織の設立を行うなど、世界のSTO市場を牽引。

 

しかし、SECへの認可を目指しているセキュリティトークン取引所「The Boston Security Token Exchange(BSTX)」に関しては、Nasdaqなど既存の市場関係者からの反発もあり、SECはその認可などについて慎重な構えを見せています。

 

既存の証券法や証券取引所はセキュリティトークンに対応して構築されてはいないために概念実証など、より安全な運用や健全な市場形成に向けた取り組みを行うことが市場の発展には必要不可欠です。

 

日本においては今年の5月に金商法が改正され、「一般社団法人日本STO協会」や「ST研究コンソーシアム」など証券会社が中心となり、市場が形成されています。

 

米国や欧州諸国と比較すると市場形成は遅れていると言えますが、証券会社の主導のもと、市場形成が行われる事例は世界的にも珍しく、今年3月の「デジタルアセット債」の発行や実証も相次いで行われています。

 

東南アジア市場でも日本企業は積極的な展開を見せており、中国ではブロックチェーン上で、担保付きコマーシャルペーパーが発行されるなど、米国やヨーロッパにおける私募市場における資金調達といった側面のみならず、金融機関における証券のデジタル化による市場拡大も進行。

 

デジタルアセット市場は

 

・暗号資産

・従来の証券のデジタル化

・これまで証券化されたこなかった資産のデジタル化

 

といったように資本市場にさらなる多様性と繁栄をもたらすと考えられ、世界最大の新興市場である「NASDAQ」もデジタルアセットプラットフォームの構築をサポートするSaaSサービスの提供を開始しています。

 

また、産業のデジタル化による経済成長を図る取り組みが日本でも行われていますが、中国はすでに都市開発において、ブロックチェーンと最先端技術を組み合わせたインフラの構築を進めており、海外では、証券などのアセットビジネスのみならず資本市場全体でブロックチェーンの利活用が行われています。

 

セキュリティトークン市場においても、米国SEC登録免除規定「Regulation」に準拠した「利益分配トークン」や「米国1940年投資会社法に準拠した投資ファンド持分トークン」の発行が行われており、株式や債券のみならず、様々なアセットのトークン化の事例が確認されています。

 

まずは、最新事例をもとにSTOの現状について確認し、将来的な利活用に向けて法規制や実物資産のトークン化などについて考察していきます。

 

目次

セキュリティトークン市場 最新事例(2020年)

 

・セキュリティトークンP2P取引について

・不動産の部分的所有権(fractional ownership)トークンの普及

 

米国では不動産の部分的所有権(fractional ownership)、ヨーロッパでは不動産担保証券のトークン化への取り組みが行われています。

 

不動産トークンプラットフォーム「RealT」と分散型取引所 (DEX)「Uniswap」は戦略的パートナーシップを締結し、ブロックチェーン上で米国不動産の部分的所有権トークンを購入することができるようになりました。

 

不動産の部分的所有権(fractional ownership)は、日本では馴染みのない権利ですが、ハワイなどで不動産のタイムシェア(1年の中で数ヶ月間だけ不動産を利用できる権利)を利用することで、休暇を楽しむこともできます。

 

※部分的所有権がセキュリティ(証券)に該当するかは検討が必要であると考えられますが、米国においては「real estate token」と表記されることが多く散見されます。

 

この章ではセキュリティトークン市場概況を踏まえて、P2P取引と不動産トークンの可能性について考察していこうと思います。

 

P2Pセキュリティトークン取引について

 

これまで、米国市場ではRegulationに準拠し、セキュリティトークン発行を行うケースが一般的でしたが、Rule144の適用によって、1年間の譲渡制限が設けられていました。

 

この譲渡制限によって、セキュリティトークン取引所は流動性の向上が見込めず、今年の4月にはATS(Altanative trading system)のライセンスを持つ「OpenFinanceNetwork」が上場企業への契約の見直しを求める発表が行われました。

 

取引高が見込めない現状においては、取引所の運営コストが大きな問題とされ、ボストンデジタル取引所の開設もナスダックが反対を表明するなど、米国においてはセキュリティトークン取引所の存在意義が見直されつつあります。

 

そのような中で、セキュリタイズはP2Pでのセキュリティトークン取引を可能とする「Instant Access」を発表。

 

・発行体によるKYC/AMLチェック
・DSプロトコルによってコンプライアンスに遵守した取引が可能
・P2P取引ネットワーク「AirSwap」を利用
・取引用URLリンクからセキュリティトークンが購入可能に

 

といった特徴が「Instant Access」にはあり、取引所を介さずともコンプライアンスに遵守した取引を実現できるとして、「Instant Access」によるセキュリティトークンの取引が、今後どのような広がりを見せていくのか大きな注目が集まります。

 

セキュリタイズはプライマリーマーケットのみらず、セカンダリーマーケットにおける新たなインフラストラクチャーを世に提供しました。

 

セキュリティトークン市場は、各国の資本市場の流動性を向上させ、企業活動の活性化を促進させるとして大きな期待が寄せられている分野ではありますが、個々の投資家がブロックチェーン技術によってコンプライアンスを遵守できることで新しい取引のあり方を実現できるとも考えられます。

 

既存の証券取引市場においても「投資家が統治するグローバルな取引所」についての議論が交わされており、P2Pによる国境を越えたセキュリティトークン取引の普及により、資本市場のさらなる発展が期待されます。

 

不動産の部分的所有権(fractional ownership)トークンの普及

 

不動産の部分的所有権(fractional ownership)トークンの登場によって、セキュリティトークン市場では取引高が増加しており、すでに「RealT」が発行した下記の不動産は完売となっています。

 

・20200 Lesure St, Detroit, MI 48235
・5942 Audubon Rd, Detroit, MI 48224
・9336 Patton St, Detroit, MI 48228
・16200 Fullerton Ave, Detroit, MI 48227
・9943 Marlowe St, Detroit, MI 48227

 

RealT HPでは物件情報を確認することができます。

 

「Uniswap」を通じて、ドイツ、香港、シンガポールなど世界40ヵ国以上の国々へ各不動産の部分的所有権は「RealTokens」として販売され、個人投資家も購入が可能です。

 

※ 米国投資家は対象外とされています。

 

投資家には月々の賃貸料金から配当が分配され、

 

米ドル(家賃)→米ドルペッグのステーブルコイン「DAI」→投資家のイーサリアムに送信(配当)

 

といった流れで配当がブロックチェーン上で瞬時に実施されます。

 

このことでこれまで金融機関や業者を介して行われていた配当の手続きが効率化され、人的コストの削減にもつながります。

 

RealTによって、不動産トークン取引は前月と比較して、約2倍になり、REST(不動産セキュリティトークン)はセキュリティトークン市場全体の総取引量の約15%を占めています。(2020年3月)

 

不動産の部分的所有権(fractional ownership)のトークン化によって、より多くの投資家が暗号資産による不動産投資を実現することができるでしょう。

 

一方で、不動産の部分的所有権は国ごとに法律の整備状況が異なり、そのトークン化に関する法律構成については慎重な議論が必要となります。

 

有限会社持分権(部分的所有権)のトークン化

 

米国の不動産トークンプラットフォーム「RealT」はデトロイトにある不動産「8342 Schaefer Highway, Detroit, MI 48228」をRegulationD、Sに準拠してトークン化。

 

フランスやドイツの投資家を中心として販売開始から10日間で4000のトークンを完売させました。

 

販売開始から10日間で不動産トークンを完売させたのは、これまでの最速記録であり、48カ国以上の投資家が参加。

 

フランス:26.93%

ドイツ:11.17%

スイス:10.94%

オランダ:8.33%

ベトナム:7.87%

ブルガリア:4.29%

 

「8342 Schaefer Highway, Detroit, MI 48228」には現在のところ259人の投資家がいます。(2020年4月28日16時)

 

RealTではデルフェア州でLLC(有限会社)を設立し、持分権をトークン化することで、海外の投資家向けに分散型取引所Uniswapを介して、販売。

 

LLC(有限会社)持分権の法的スキームを利用しているとされ、今後も「RealT」による米国不動産のトークン化に注目が集まることでしょう。

 

・米国 LLCスキーム (デラウェア州)
1 州の規定に基づいて有限会社(LLC)を設立
2 各シリーズのLLCの持分権をトークンに分割
各シリーズのLLCの持分権は、等しいトークンユニットに分割されます。

 

「8342 Schaefer Highway, Detroit, MI 48228」の不動産情報詳細

年間利回り:12.59%

総家賃:年間36,720ドル

トークンごとのレンタル年間$ 6.40

総トークン数:4000

タイプ:ファミリー向け

大きさ:3,230平方フィート

テナント有

エクィティ・マルチプル(投資回収率:投資してから何年で何倍になるか):2x-4x

・財務

総家賃/月$ 3,060.00

プロパティマネジメント (8.00%)-244.80ドル

RealTプラットフォーム (2.00%)-61.20ドル

固定資産税-$ 250.00

保険-81.29ドル

ユーティリティ-189.42ドル

維持費-99.17ドル

純家賃/月2,134.12ドル

純家賃/年25,609.44ドル

資産価格203,333.33ドル

キャップレート12.59%

※物件の利回りに関するすべての財務諸表は、現在の状況に基づいたものであり、いつでも変更される可能性があります。

 

不動産セキュリティトークン 各国の法律構成について

 

不動産の部分的所有権(fractional ownership)は投資家に低価格で複数の不動産物件に投資する機会を提供します。

 

リスク分散が重要視される昨今の投資環境においては、安定的な利回りを生み出す不動産投資においてもポートフォリオの多様化が重要であると考えられます。

 

一方で、投資家間での部分的所有権(fractional ownership)に関する契約の締結が必要になり、配当条件や投資家保護への条件など法的権利の確認、交渉サポートなどを弁護士に相談することも重要です。

 

また、タイムシェアは不動産の利用期間を予約(確保)するための権利であり、収益配当を生み出さないため部分的所有権(fractional ownership)とは区別して考えられています。

 

日本においては

 

・信託受益権、匿名組合持分:公証役場での確定日付取得が必須
→私的自治の原則に則り、当事者間でアカウント契約を締結することで、「二項有価証券 その他の権利」としてセキュリティトークンを定義する

 

といった法律構成に関する議論も交わされています。

 

不動産セキュリティトークンについては各国で法整備の状況が異なることからすべての国々で米国・のユースケースを採用できるとは限りません。

 

しかし、将来的なセキュリティトークン市場の発展のためには不動産トークンの取引高増加が重要であると考えられ、その実現可能性については多くの議論が交わされることが期待されます。

P2P取引と不動産トークンの将来性

 

P2P取引と不動産の部分的所有権(fractional ownership)トークンはセキュリティトークン市場の発展を牽引することが予想されます。

 

P2P取引ネットワーク「AirSwap」、分散型取引所 (DEX)「Uniswap」を介したグローバルなセカンダリーマーケットの形成は、これまでのセキュリティトークン市場で必要とされてきた流動性の向上を担うものであり、米国不動産などこれまで投資対象とされてこなかった投資商品の購入も可能となります。

 

RealTでは、配当がステーブルコインで行われるなど、既存の資本市場では想定されていない取引のあり方について各国の規制当局がどのような見解を示すべきなのか検討の余地は必要ですが、各国の法律に準拠した形で暗号資産やトークンが利用されることで新たな資本市場の形成にもつながると考えられます。

 

不動産セキュリティトークン市場の展望

 

セキュリティトークン市場において多くの注目を集めているのが不動産領域における流動性の向上です。

 

日本でもクラウドファンディングやソーシャルレンディングを活用して国内のみならず、海外の不動産への投資も近年では行えるようになるなど、市場の拡大が見込まれています。

 

一方で、コロナウィルスの感染拡大によって商業用不動産ではテナントの多くが休業を余儀なくされ、産業の構造的変化への対応が迫られています。

 

また、観光客の減少による宿泊施設の空室、不特定多数の人々が集まるシェアオフィスなど、ここ数年間で成長を遂げていた不動産事業に関しても業態の見直しが必要であると考えられます。

 

今後はSOHOのような形で在宅勤務が当たり前となり、どのように統制環境を整備していくのかなど、コンプライアンス遵守や企業文化の変化への対応も企業にとっては不可欠になるでしょう。

 

シュリンクしていく事業がある一方で、不動産領域においてはより小規模かつ効率性の高い新たなビジネスモデルの構築を模索する取り組みが重要であると言えます。

 

そのような中で、米国においてはVertalo、tZEROなどが不動産のトークン化事業を発表しています。

 

・既存のプライベートエクイティ取引所との差別化:成長企業が株式をトークン化することの意義
・SECへの登録免除規定Regulationへの準拠による1年間のロックアップ:取引高、上場銘柄がすぐに増えない

 

といった、これまでのセキュリティトークン市場の課題に対する1つの答えとして不動産トークンによる取引所の活性化は、将来的な市場の発展に向けて非常に重要であると考えられます。

 

・取引所(ATS)での不動産トークンの売買によるセキュリティトークン市場の活性化
・不動産証券化のバックオフィス業務へのブロックチェーン技術の活用による事業効率化の実現

 

など、不動産領域において大きな可能性を秘めているトークン化への取り組みが世界的に広まることで市場はさらなる発展が見込まれます。

 

この章では、2010年代の不動産市場動向を踏まえて、不動産トークンの可能性について探っていこうと思います。

 

 

Vertalo、tZERO $ 300Mの不動産をトークン化

Vertalo、tZERO、Prime Trust、およびAdvantage Blockchainは、$300Mの不動産をトークン化する4社間のパートナーシップを発表しました。

 

・Vertalo・Advantage:Tezosブロックチェーン上で不動産をトークン化
・Prime Trust:トークンを保管(カストディ)
・tZERO:パートナーであるブローカーディーラーDinosaur Financial Groupを通じて、ATSでトークンの取引を実現

 

上記のような流れで、不動産トークンの発行からセカンダリーマーケットでの取引を予定しています。

 

このパートナーシップは、ペンシルベニア州を本拠地とする「Real Estate Capital Management」のポートフォリオの段階的なトークン化の実現を目指すものです。

 

今後3か月でおよそ9000万ドルの不動産トークン化を予定しており、ペンシルベニア州とコスタリカのホテルのトークン化を皮切りに、一般投資家に向けた不動産投資機会の提供が実現されると考えられます。

 

「米国でReg Dを使用してSTO を行う場合、それらが取引可能になるまで1年待つ必要があります」

「この取り組みは不動産をトークン化しているため、すぐに上場され、すぐに取引できるようになります。」

「私たちは資金を調達するためにセキュリティトークンを使用していません。テクノロジーを使用してコストを削減し、コストを節約しています。」

 

VertaloのCEOであるDave Hendricks氏は上記のように述べており、セキュリティトークンによる不動産の資金調達よりも、現在はより安定した流通市場の構築を目指しているとしています。

 

Vertaloは、不動産オーナー、投資家、ファンドマネージャーが現在の不動産投資をトークン化するためのツールとしてVertalo Real Estateプラットフォームを開発したとしており、資産のトークン化に対応するためトランスファーエージェントの新たなあり方を指し示しているとも言えるでしょう。

2020年代:不動産セキュリティトークン市場の可能性

 

リアルエステートセキュリティトークン(REST)市場では、不動産トークン化プラットフォームであるRealTに3つの新しい不動産物件が掲載されるなど、RESTの取引量はセキュリティトークン市場全体のおよそ15%に達しています。

 

これまでtZEROやOpen finance Networkにおいて取引高が増えないことを背景にSTO市場の将来性については懐疑的な声も少なくありませんでした。

 

リアルエステートセキュリティトークン(REST)は、米国のみならずドイツ(Black Manta)でも取り組みが行われており、STO市場の拡大に向けて大きな役割を果たすことが考えられます。

 

これまで一般投資家に出回らなかった高級不動産のみならず、成長が見込まれる東南アジアの不動産のトークン化についても大きな期待が寄せられます。

 

法的な要件が各国でどのように定義されリアルエステートセキュリティトークン(REST)が広まっていくのか。

 

悲観的な予想が強まる2020年代の不動産市場において、トークン化は新しい時代を切り開く大きな可能性を秘めていると言えるでしょう。

 

証券化ビジネスとブロックチェーン|小規模案件のトークン化について

 

ブロックチェーンを活用した証券化コスト削減によるこれまで証券化できなかった小規模な実物資産の証券化(トークン化)が大きな注目を集めています。

 

日本の大手金融機関が保有する「ローン担保証券(Collateralized Loan Obligation:CLO)」は低金利による資産運用の困難さから近年では増加傾向にあります。

 

CLO:格付けの低い複数の企業へのローン債券をパッケージ化した投資商品

 

国内金融機関のCLO保有額
農林中央金庫(農林中金)七兆九千億円
三菱UFJフィナンシャル・グループ 二兆四千七百三十三億円
ゆうちょ銀行 一兆五千二百四十一億円

 

コロナウィルスの感染拡大を発端にした原油・エネルギー・ 航空業界の混乱および今後引き起こされる可能性のある様々な経済危機の影響によって、「ローン担保証券(CLO)」による損失リスクは高まりをみせていると言えます。

 

サブプライムローン問題から10数年が経過し、CLOの市場は6600億ドル規模に成長した一方で、高リスク投資を助長させるとして、

 

・資金調達手段の多様化

・バランスシートの良化

 

といった本来、証券化(securitization)によってもたらされるべきメリットおよび証券化ビジネスのイメージを毀損しているといった側面も存在しています。

 

また、これまでの証券化ビジネスは

 

・SPC管理のための作業が膨大

・小規模案を複数取り扱うにはの多くのアレンジャーを必要とする

 

といった課題を抱えていたために、近年では、案件のトレンドが小規模化している不動産・金銭債権のみならずPublic Private Partnership(PPP)インフラといったオルタナティブアセットが証券化される事例も増加している傾向にあります。

 

PPP方式によるインフラ整備は、国の財政資金のみならず民間資金も活用した官民連携によって発展途上国のインフラ投資市場を活性化するために取り組みが行われています。ADB(アジア開発銀行)はアジア太平洋地域におけるインフラ需要を約1.7兆(約190兆円)としており、市場の活性化が期待されていますが、政治・自然災害リスクなどから信用格付けはBBB以下の案件が多く、事業性が課題ともされています。

 

時代の移り変わりとともに多様な投資機会を提供してきた証券化ビジネスですが、今後はより正常な形で市場が発展することが期待されます。

 

証券化ビジネスの法規制について

日本は不良債権処理問題を背景に不動産市場においては証券化が進行しました。

 

 

また、近年では自治体の財源確保(地方空港運営など)を背景にインフラファンド投資も市場が形成されています。

 

オルタナティブアセット投資の現状と将来性

日本では東証インフラファンド市場が2015年に創出され、

 

 ・ジャパン・インフラファンド投資法人
・エネクス・インフラ投資法人
・東京インフラ・エネルギー投資法人
・カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人
・日本再生可能エネルギーインフラ投資法人
・いちごグリーンインフラ投資法人
・タカラレーベン・インフラ投資法人

 

といった銘柄が上場しており、合計時価総額は959億円(2020年2月20日)となっています。

 

現在のところ再生可能エネルギーのファンドを中心として市場が形成されていますが、インフラの整備、維持に民間の資金を活用する取り組みとして近年ではEGS投資の観点からも大きな注目を集めています。

 

東南アジア地域でのPPP方式インフラ整備に関するファンドへの投資は非常に難しいと言えますが、日本のインフラファンド投資は景気に左右されにくい、より安全性の高いオルタナティブアセット(投資商品)として日に日にその存在感を高めています。

 

証券化ビジネスは不動産や「ローン担保証券(CLO)」といった金銭債券のみならずエネルギー発電や公共インフラ(空港、港湾)にも対象を広げています。

 

また、多様な実物資産が証券化されることで、より多くの投資家への投資機会を提供できるといったメリットがあり、近年では証券化業務の効率性を向上させるためにブロックチェーンを活用する取り組みが行われています。

 

三井物産、LayerXが次世代アセットマネジメント会社を設立

 

三井物産、LayerX、SMBC日興証券、三井住友信託銀行は2020年4月にブロックチェーン技術を活用した次世代アセットマネジメント事業を協業で行うために新会社を設立することを明らかにしました。

 

新会社である「三井物産デジタル・アセットマネジメント(仮名)」は、ブロックチェーンを活用した実物資産の証券化および管理コスト削減に取り組むためにシステム開発および実証ファンドの組成を計画。

 

大企業も参画し、アセットマネジメント領域におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されるとあって大きな話題を集めています。

 

三井物産:オルタナティブな実物資産のアセットマネジメント
LayerX:ブロックチェーン技術を活用した証券化・証券の管理の効率化
SMBC日興証券:金融商品の販売
三井住友信託銀行:不動産流動化(証券化)、コンサルティング

 

日本ではLayerXを中心としてブロックチェーンの社会実装が着実に進行しており、今後も様々な分野で協業による実証を通じて、実用化に向けた取り組みが行われることが将来的な市場の発展につながるとして、大きな期待が寄せられています。

 

また、世界各国では実物資産のトークン化への取り組みも行われており、Wave Financial Groupによるバーボンウィスキーのトークン化の事例を紹介します。

 

米国 Wave Financial Group バーボンウィスキーをトークン化

ウイスキーは、「時間が経つほどに熟成し、商品価値が向上していく」といった特徴があります。

 

投資商品としては長い期間保有することで、価格が上昇していくといったメリットがウイスキーにはあり、近年では世界的にもウイスキーの売上が向上していることからも市場の拡大が予想されています。

 

米国のデジタル資産企業のウェーブ・フィナンシャル・グループは、ケンタッキー州のワイルダーネス・トレイル蒸留所と共同で「ウェーブ・ケンタッキー・ウィスキー2020デジタルファンド」を立ち上げました。

 

これは、約2,000万ドル(約21.8億円)相当のバーボンウィスキーをブロックチェーン技術を活用してトークン化し、最大で400万本分のトークンとして販売する取り組みです。

 

ブロックチェーンを活用したトークン化によって、より多くの投資家に投資機会を提供し、市場の流動性を向上させるとして実物資産のトークン化への取り組みは今後も各国で行われることが予想されます。

 

ユニークな投資商品の流通にむけて

これまで手にすることのできなかったアセットクラスへの投資機会の増大は、より多くの投資家を育成します。

 

・これまでアレンジャーの不足によって組成されてこなかった小規模不動産の証券化

・インフラ、ウィスキーといったこれまで証券化されてこなかったアセットの証券化

 

ブロックチェーン技術による証券化・証券管理プロセスの効率化によって、上記のような事例が実現できる可能性があるとされており、各国の法規制に準拠した形でのトークンの活用など、新たな市場の創出が期待されています。

 

近年では、クラウドファンディングやソーシャルレンディングなど少額投資への関心が高まる中で、ブロックチェーン技術を活用したトークン化によってユニークな投資対象が世の中に出回ることで、日本の投資市場もより一層の拡大が図られることでしょう。

 

日本のSTO市場について

 

日本においてはSTO協会・ST研究コンソーシアムの設立や大手金融グループが証券取引の効率化に向けてブロックチェーンを活用する取り組みを実施するなど、2020年5月の金商法改正を経て、STOの社会実装に大きな関心が寄せられています。

 

日本では、改正金商法のもとで「1項有価証券」に該当するとされているセキュリティトークンですが、契約又は技術により流通性が制限されている場合は、1項有価証券としての規制を課す実質的根拠がないため、セキュリティトークンは2項有価証券に該当すると考えられています。

 

※2項有価証券は「みなし有価証券」とも言われ、集団投資スキーム持分や信託受益権と同様に有価証券届出書の企業内容などの開示規制が適用されないといった特徴があります。

 

この説をもとにして日本においてSTO市場の発展を目指すことが、現状にいては重要であるともいえ、「管理された流動性」が担保されている場合には、セキュリティトークンを2項有価証券とする内閣府令が必要になるとされています。

 

・譲渡対象の制限 (サービス内の会員やホワイトリスト掲載者にのみ譲渡可能)
・ロックアップ期間の設定 (発行又は譲渡がされた後6か月間は譲渡することができない)
・スマートコントラクト等の技術の活用により、流通性が制限されていることが担保されている

→「管理された流動性」が担保されている場合には、セキュリティトークンは1項有価証券(電子記録移転権利)に該当せず、2項有価証券とする内閣府令が必須

 

内閣府令のより具体的な内容としては上記の3点が想定され、アメリカSECの登録免除規定である「Regulation」のように

 

・投資家属性(適格投資家・一般投資家・国外投資家)
・不特定多数への勧誘行為の可否
・最大調達額の制限

 

といった私募用・海外投資家用・小規模IPO用といったきめ細やかな枠組み作りが必要であると考えられます。

 

野村グループ ブロックチェーンを活用した社債発行

 

野村證券株式会社、野村信託銀行株式会社、NRIおよび株式会社BOOSTRYが

 

「デジタルアセット債」(第1回無担保社債)
「デジタル債」(第2回無担保社債)

 

の発行を行っています。

 

・ブロックチェーンを活用した社債原簿管理
・発行者が社債権者を継続的に確認できること

 

を目的として、アプリを通じた自己募集やデジタルアセットの付与といった日本初の取り組みを実現しています。

 

社債の発行には、多くの事務作業が必要とされ、これまでは案件も大口のものに限定されてきました。

 

しかし、ブロックチェーン技術を活用することで、新たな資金調達手段として企業はデジタル債を発行することができるようになり、オンラインで小口化された投資商品として投資家はデジタル債を購入することができます。

 

タイでは、トヨタ自動車の海外子会社である「Toyota Leasing Thailand」がブロックチェーンを活用して社債の発行を行っています。

 

「ブロックチェーン債」に関する取り組みは、2018年8月に世界銀行が「bond-i(Blockchain Operated New Debt Instrument)」を発行したのを皮切りに

 

2019年4月:ソシエテジェネラルSFH(フランス)がパブリックブロックチェーンで債券を発行。
2019年8月:世界銀行が2度目の「bond-i」発行。
2019年9月:サンタンデール銀行(スペイン)がパブリックブロックチェーンで債券の発行と決済を実施。(同年12月に償還
2019年12月:中国銀行がブロックチェーン上で零細企業向けの融資債券を発行。

 

といった大手金融機関による取り組みが行われています。

 

また、ドイツでは「Fundament Group」が、2億5000万ユーロ(2億8000万ドル)分の不動産担保証券をセキュリティトークンとして発行する取り組みも行っています。

 

ブロックチェーン上で債券を管理することで、仲介業者を排除することができ、取引から決済までの時間を短縮できるとして、各国で取り組みが行われています。

 

また、これまで債券管理は中央清算機関が行ってきたことから、透明性の向上も期待されていおり、すでにサンタンデール銀行は、発行から決済(ERC-20を用いた)までの業務をブロックチェーン上で実施。

 

今後は全ての業務プロセスがブロックチェーンで行われることが考えられます。

 

技術革新による金融取引の効率化には大きな期待が寄せられており、日本でも大手金融グループが主体となって取り組みが進められています。

 

 

「Toyota Leasing」の取り組みについて

 

「Toyota Leasing」は、「Thai Bond Market Association」が開発を進めるブロックチェーンプラットフォームを活用して「ブロックチェーン債」の発行を行っています。

 

バンコク銀行が引受会社となり、機関投資家向けに「5億バーツ」の債券を発行。

 

この取り組みは、タイの規制サンドボックス内で行われ、タイ証券取引委員会(SEC)、タイ銀行が協働しています。

 

タイではブロックチェーン上での証券発行に関する認可に向けて取り組みを進めており、電子到着ビザ(eVOA)や海上におけるコンテナのトレーサビリティー管理などにもブロックチェーンを導入。

 

ブロックチェーンの活用が進むタイでは、「ライトネット(Lightnet)」と呼ばれるブロックチェーンスタートアップ企業が約34億円に及ぶ資金調達に成功しています。

 

ステラのブロックチェーンを利用したクロスボーダー決済を手がけており、2020年第1四半期には稼働を予定。

 

今回の「ライトネット(Lightnet)」の資金調達には、日本のセブン銀行が参加しており、銀行口座を持たない人々への金融包摂の実現などが期待されています。

 

タイでは、債券発行のみならず、ブロックチェーンの社会実装が着実に進行しています。

 

ちなみに、将来的には「ABS (資産担保証券)×セキュリティトークン」の市場規模拡大が予想されており、社債や不動産担保証券のトークン化にも大きな注目が集まることとなるでしょう。

 

米国STO市場 Regulation改正について

 

米国では、SEC(証券委員会)への登録免除規定であるRegulationを利用して私募市場ので資金調達が行われており、これによって成長企業への投資が活性化されてきました。

 

一方で、IPO前に時価総額が高くなりすぎてしまい、上場後には株価が上がらない「オーバーバリュエーション」といった事例も近年では相次いでおり、米国においては上場市場と私募市場のあり方が見直されつつあります。

 

そのような中で、Regulation改正の提案が2020年3月4月に行われ、下記のような内容で米国SEC HPでは発表が行われています。

 

For Regulation A:

レギュレーションA+ の場合

・raise the maximum offering amount under Tier 2 of Regulation A from $50 million to $75 million; and

レギュレーションA+ tier2:最大調達額を5,000万ドルから7,500万ドルに引き上げ

・raise the maximum offering amount for secondary sales under Tier 2 of Regulation A from $15 million to $22.5 million.

レギュレーションA+ tier2:二次販売の最大調達額を1500万ドルから2,250万ドルに引き上げ

For Regulation Crowdfunding:

・raise the offering limit in Regulation Crowdfunding from $1.07 million to $5 million;

レギュレーション・クラウドファンディングの募集限度額を107万ドルから500万ドルに引き上げ

・amend the investment limits for investors in Regulation Crowdfunding offerings by:

レギュレーション・クラウドファンディング・オファリングの投資家に対する投資制限を次のように修正

・not applying any investment limits to accredited investors; and

認定投資家に投資制限を適用しない。

revising the calculation method for investment limits for non-accredited investors to allow them to rely on the greater of their annual income or net worth when calculating the limit on how much they can invest.

非認定投資家の投資限度額の計算方法を改訂し、投資できる限度額を計算する際に、年収または純資産のいずれか大きい方を選べるようにする。

For Rule 504 of Regulation D:

レギュレーションD 504の場合

raise the maximum offering amount from $5 million to $10 million.

最大提供額を500万ドルから1,000万ドルに引き上げ

参考文献:SEC Proposes Rule Changes to Harmonize, Simplify and Improve the Exempt Offering Framework

 

プレIPOフェーズの成長企業にとっては、レギュレーションA+の調達限度額の引き上げによって、より多くの資金調達ができるようになります。

 

また、Reg CFの調達限度額の引き上げに伴い、成長企業は資金調達のオプションとして新たな選択肢を得ることにもなります。

 

最大調達限度額の引き上げおよび認定投資家規則の変更は、2012年に施行されたJOBS法(Jumpstart Our Business Startups)と同様に、中小企業/スタートアップ企業への資本投入を活性化させ、成長を促進させるといった目的があると考えられます。

 

上記の取り組みが実現した場合には、私募市場の資金調達がより活発に行われるようになり、IPOなど上場市場の社会的な役割も変化を余儀なくされることが予想されます。

 

米国では、オルタナティブ投資がVCやPEを中心に盛んに行われており、今後は新興産業市場における成長企業への投資機会の拡大が各国の資本市場においては重要なテーマになるとも言えるでしょう。

 

そのような中で、STOによる資金調達に用いられている米国Regulationの変更は大きな意味を持つものと言えますが、一方で、SECに登録しセキュリティトークン取引所の開設を目指しているINX Ltd.が135億円にも及ぶIPOを実施するとの発表もあり、Regulationを基本として行われていた米国のSTOもセカンダリーマーケットを中心に新たなフェーズに入る可能性が出ています。

 

INXが135億円にも及ぶIPOを実施へ

ブロックチェーン企業による米国最大の登録証券(セキュリティトークン)販売を目指し、INX Ltd.は、1億3,000万ドルの新規株式公開(IPO)のために投資家へのロードショーを開始し、目論見書の更新などを手続きを進めています。

 

This is our initial public offering. We are offering 130,000,000 INX Tokens, (the “INX Tokens” or “Tokens”). Each INX Token (including fractions of INX Tokens) will entitle its holder to receive pro rata distributions of 40% of the Company’s cumulative net cash flow from operating activities, excluding any cash proceeds from an initial sale by the Company of an INX Token (“Adjusted Operating Cash Flow”). Commencing in 2021, the distribution will be calculated on an annual basis and paid on or before April 30 to parties (other than the Company or its subsidiaries) that hold INX Tokens on the preceding March 31. Each annual distribution will be based on the Company’s cumulative Adjusted Operating Cash Flow (net of cash flows which have already formed the basis for a prior distribution), calculated as of December 31 of the year prior to the distribution.

130,000,000のINXトークン(「INXトークン」または「トークン」)を提供しています。各INXトークン(INXトークンの一部を含む)は、INXトークンの会社による初期販売からの現金収入を除く、事業活動からの当社の累積純キャッシュフローの40%の比例配分を受け取る権利を保有者に付与します(調整済み営業キャッシュフロー」)。2021年に開始され、配布は年単位で計算され、4月30日までに、前の3月31日にINXトークンを保有する当事者(当社またはその子会社を除く)に支払われます。累積調整済み営業キャッシュフロー(事前の分配の基礎をすでに形成しているキャッシュフローの純額)、配布前の年の12月31日時点で計算されます。

参考文献:As filed with the U.S. Securities and Exchange Commission on March 2, 2020. Registration No. 333-233363 (UNITED STATES SECURITIES AND EXCHANGE COMMISSION Washington, D.C. 20549 Amendment No. 7 to FORM F-1 REGISTRATION STATEMENT UNDER THE SECURITIES ACT OF 1933 INX LIMITED)

 

INX Ltd.は、BitLicenseの取得に向けて本社をジブラルタルからニューヨークに移転を予定しており、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)との協議を進めています。

 

IPOによって集めた資金は、暗号資産取引所INX DigitalおよびセキュリティトークンプラットフォームINX Securitiesの立ち上げに投じるとしており、AnchorageやBitGoとのパートナーシップを構築しています。

 

その他にも下記の企業とも提携を行っています。

 

Tokensoft:設計および技術アドバイザリーサービスの提供
Quantstamp:ファイリングに従って取引所のスマートコントラクトコードを監査

 

これまでマイニング企業であるArgo Mining が、ロンドン証券取引所でのIPOを通じて3,250万ドルを調達しましたが、INX Ltd.は、1億3,000万ドル規模での新規株式公開(IPO)を目指しており、tZEROやOpen Finance Networkといった既存のセキュリティトークン取引所とともに米国のSTO市場においては大きな役割を担うと考えられます。

 

米国におけるセキュリティトークン取引所は、ブローカーディーラー(BD)、代替取引システム(ATS)、登録投資顧問(RIA)などの証券関連のライセンス取得とともに、事業を行う州からの送金許可証が必要となりますが、SECへの登録を行いセキュリティトークンの発行・取引を行うことで、一般投資家への投資機会を提供できるとも想定されます。

 

米国最大の登録証券(セキュリティトークン)販売所として今後の米国STO市場を牽引するとも予想されるINX Ltdですが、市況環境が悪化している中でのIPOが成功するか否か大きな注目が集まることでしょう。

 

INX Ltd.の目論見書詳細

INXトークン:ERC20

トークンティッカー:INX

このオファリングで提供されるトークン合計:130,000,000トークン

最低募集額:7,500,000ドル

※7,500,000ドルを超える資金を調達しない限り、INXトークンの販売を完了しない。

調達資金の使用用途:暗号通貨およびセキュリティトークン取引プラットフォームを含むINXトレーディングソリューションの継続的な開発と運用のために、INXトークンの販売から調達した資金を使用する予定

募集の終了:

(i)提供されている130,000,000トークンのすべての販売

(ii)この登録ステートメントがSECにより有効と宣言された365日後

(iii)独自裁量によって短期間でオファリング終了する場合も

INX取引プラットフォームでのINXトークンの使用について:

INX証券取引プラットフォームで取引手数料の支払いとして使用される場合、INXトークンは、他の通貨を使用して支払われる手数料と比較して、所有者に少なくとも10パーセント(10%)の割引を付与します。

INXによる独自の裁量により、取引手数料の他の支払い方法と比較して、より大きな割引などのプロモーションインセンティブを提供する場合があります。

ただし、INXトークンに含まれる割引権利が10パーセント(10%)未満になることはありません。 INXトークンは、INXデジタル取引プラットフォームでの取引手数料の支払いとして使用することはできませんが、INXトークンの記録保持者に対して、INXデジタル取引プラットフォームでの取引手数料の割引を随時提供する予定です。

 

また、下記の事例も米国では取り組みが進んでおり、法整備の進展により市場の活性化が図られています。

 

米国 暗号資産法2020

 

カテゴリー別に規制当局を明確にする法案を共和党議員Paul Gosarが提出。

 

暗号資産コモディティ:商品先物取引委員会(CFTC)
有価証券:証券取引委員会(SEC)
通貨:金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)

 

複数の公募型STOを実施しているドイツにおいても暗号資産とセキュリティトークンは金融商品に該当すると定める発表が行われており、明確な規制が設けられることで投資家保護の実現を図る規制当局の意図が見受けられます。

 

日本においても改正金商法が今年の春にも施行予定とされており、大手金融機関によるセキュリティトークン取引所(私設取引所)開設や証券取引の効率化に向けた取り組みを進めているなど、証券会社を中心とした市場形成が行われています。

 

レッドスワン、Polymathが22億ドル規模の不動産トークン化を実施

 

個別の企業に目を移すと、テキサスにおいて商業不動産販売を手掛けるレッドスワンが、セキュリティトークン発行プラットファームPolymath(ポリマス)と提携し、22億ドル規模の不動産資産のトークン化を行っています。

 

・tZERO:英国において高級不動産のトークン化計画(2020 Q1)
・Habor:107億円規模の不動産トークン化を実施

 

上記の取り組みが米国ブロックチェーン企業によって行われてきましたが、Polymathも2社に続いて不動産のトークン化を行ったことで、ブロックチェーン技術を活用した不動産市場の流動性向上が米国では進んでいます。

 

日本においてもSecuritize(セキュリタイズ)とLIFULLが不動産のデジタル証券化の実証実験を行っており、不動産のデジタル化に向けた取り組みには今後も大きな話題を集めることでしょう。

 

米国 STO市場の今後

 
・私募による資金調達の活性化:規制緩和
・一般投資家への投資機会提供:SEC登録によるセキュリティトークン発行
・暗号資産市場の健全化:カテゴリーに応じた管轄の明確化

 

米国の最新事例を考慮すると、STO市場を発展の促進と法規制による投資家保護を図るためには上記のような取り組みが重要であると考えられます。

 

各国の資本市場の規模感にもよりますが、米国の資本市場が1996年の規制緩和から今に至る発展を遂げ、多くの成長企業を育成してきたことを考慮すると、米国における法整備のあり方が今後のSTO市場においても非常に重要な存在になるとも言えるでしょう。

 

発行のみならず取引市場においても大きな進展が見受けられる米国STO市場。

 

Regulation改正およびINX LtdのIPOが2020年以後のSTO市場を占う上でも重要な指針となると考えられます。

 

各報道への市場の反応

 

SEC 登録義務免除要件「Regulation」について

アメリカにおける有価証券の募集・販売はSEC(アメリカ証券取引委員会)にて登録義務が課されています。

 

このSECへの登録は費用が高く、多くの時間が必要とされているため、シード期における資金調達を目指す企業にとってはハードルが高くなっています。

 

しかし、SECへの登録義務の免除要件である「Regulation」を満たすことができれば登録は不要となります。

 

そのためアメリカでSTOを実施するにあたっては、下記の「Regulation」が用いられています。

 

 

Regulation D

 

Regulation Dには

Rule 504
Rule 506(b)
・Rule 506(c)

の3タイプがあります。

 

いずれも証券発行者はSECへの登録届出の必要がなく、私募による資金調達が可能となっています。

 

現在のSTO市場では506(c)が1番多く用いられており、

 

・適格投資家限定
・ロックアップ期間(6〜12ヶ月)あり

 

といったデメリットがあるものの、不特定多数への勧誘行為(一般勧誘)が可能であることから多くのプロダクトがSTOを行う際に用いています。

 

下記ではそれぞれの特徴についてまとめています。

 

Rule 504

 

・適格投資家限定
・不特定多数への勧誘行為(一般勧誘)不可
・ロックアップ期間あり
・最大調達額:500万ドル/12ヶ月

 

Rule 506(b)

 

・適格投資家 非適格投資家(最大35人)
・不特定多数への勧誘行為(一般勧誘)不可
・ロックアップ期間(6〜12ヶ月)あり
・最大調達額:上限なし
・非適格投資家への情報提供が必須

 

Rule 506(c)

 

・適格投資家
・不特定多数への勧誘行為(一般勧誘)可
・ロックアップ期間(6〜12ヶ月)あり
・最大調達額:上限なし
・適格投資家であることを証明する手続きが必須

 

Regulation Dを用いたSTOを実施する際には、SECへ「Form D」と呼ばれる書類の提出が必須となります。

 

この「Form D」の提出は証券発行手続きに詳しい弁護士に委託する場合が多いとされています。

 

また、Regulation Dを用いたSTOの場合は「ロックアップ期間」が設けられているためにSTOの二次流通市場は流動性が低いことで知られています。

 

セキュリティトークン取引所ではロックアップ期間を経てから売買が開始されるため、tZEROやOpenFinance Networkでは今年の夏からようやく取り扱いが本格化してきています。

 

Regulation S

 

・アメリカ国外の適格投資家
・不特定多数への勧誘行為(一般勧誘)可
・ロックアップ期間あり
・最大調達額:上限なし

 

RegSは調達の限度額がなく、ロックアップ期間も設けられていないといったメリットがあり、アメリカ以外の国に住む投資家にむけたSTOを行う際に用いられます。

 

Rule 506(c) との併用も可能となっていますが、アメリカにおける州法の違いから併用の取り扱いは難しいとされています。

 

Regulation A+

 

Regulation A+にも

・Tier1

・Tier2

の2タイプがあり、最大調達額に違いがあります。

 

Tier1

 

・適格投資家 非適格投資家
・不特定多数への勧誘行為(一般勧誘)可
・ロックアップ期間なし
・最大調達額:2,000万ドル/12ヶ月
・SECへの目論見書提出が必要
・各州の証券監督機関、委員会の審査対象
・年次ごとの報告義務
・監査済みの財務諸表の提出義務
・二次流通市場における取引には州法が適用

 

Tier2

 

・適格投資家 非適格投資家
・不特定多数への勧誘行為(一般勧誘)可
・ロックアップ期間なし
・最大調達額:5,000万ドル/12ヶ月
・SECへの目論見書提出が必要
・SECの審査対象
・各州の証券監督期間、委員会からの認定は不要
・年次、半年ごとの報告義務
・監査済みの財務諸表の提出義務
・二次流通市場における取引には州法が適用

 

アメリカ 暗号資産(仮想通貨)規制動向

 

アメリカではステーブルコインLibraについてアメリカ議会で公聴会が開催され、ビックテックの金融業界の進出について反対する法案が公開されるなど、規制強化を求める声が相次ぎました。

 

暗号資産業界は法整備が追いつかなかったことからICOプロダクトによる価格操作などの不正が横行し、多くの投資家が資産を失うといった事態に発展しました。

 

ICOへの規制は各国でその取り組みが行われていますが、今度はビックテックによる金融サービスとして暗号資産を活用する取り組みが行われるとのことで、既存の金融機関の保護にむけた取り組みが必要不可欠であると言えます。

 

アメリカでは約50億円の不正流出事件に発展した2016年6月の「The DAO事件」によって、SECはトークンを証券法のもとで規制することを決定しました。

 

2017年7月にはICOによるトークン発行を証券法上の「有価証券」に該当するとして規制を強化しましたが、ICOの乱立によってスキャムプロダクトが乱立するといった事態となり、多くの国々で社会問題にもなりました。

 

アメリカでも世界初の分散型銀行として話題を集めたアライズバンクがICOによって6億ドル(約680億円)の資金調達に成功しましたが、虚偽情報による詐欺と証券法違反の疑いからSECによる訴訟を経て、資産凍結の裁判所命令が出されました。

 

このアライズバンク事件は2018年11月にCEOであったジャレッド・ライスがFBIに逮捕されるといった事態に発展し、同年12月にはジャレッドCEOとスタンレーフォードCOOに対して270万ドル(約270億円)の支払いがアメリカ合衆国裁判所によってくだされました。

 

そのような中でアメリカでは下記のような規制への取り組みが行われています。

 

・SEC(証券取引委員会)がICOの有価証券への該当を定めた新たな枠組みを発表
・FINRA(米金融取引業自主規制機構)が暗号資産関連事業者に対して事前連絡の義務化
・「Token Taxonomy Act(トークン分類法)」

 

SEC ICOの有価証券への該当基準を明確化

 

SECは「Framework for “Investment Contract” Analysis of Digital Assets」を今年の4月に発表しています。

 

これをもとにしてSECはアメリカで初めてのICO承認を「Blockstack」に対して行っており、法規制に準拠したICOによる資金調達が今後は活性化すると期待されています。

 

ICOが有価証券に該当しない基準を「Framework for “Investment Contract” Analysis of Digital Assets」では明確化しており、ICOによる資金調達とイノベーションの促進にむけてSECは取り組みを進めています。

 

「トークン分類法(Token Taxonomy Act)」について

 

「トークン分類法(Token Taxonomy Act)」は2018年12月に発表され、暗号資産を「デジタルトークン」という新たなアセットクラスとして分類することを定めた法案です。

 

暗号資産をアメリカ証券法の「有価証券」の定義から排除することで、これまで曖昧だった判断基準に明確な定義を設けるとしています。

 

このことでブロックチェーン技術を活用した資金調達を促進させ、さらなるイノベーションの活性化を目指すと考えられます。

 

現在のところブロックチェーン企業の多くは、スイスの「クリプト・バレー」やマルタ共和国、リトアニアに集中しています。

 

アジアではシンガポールや中国がブロックチェーンによる経済活性化を目指し、各企業が取り組みを世界に先駆けて行なっているなど、アメリカとしては他国との競争にむけた取り組みが必要不可欠といえます。

 

そのような中で、「トークン分類法」が持つ意味は大きいと言えるでしょう。

 

2019年5月には「トークン分類法」によって暗号資産による売買益(キャピタルゲイン)の非課税基準が「600ドル(6万6000円)」に設定されるなど、暗号資産業界の活性化にむけて取り組みが行われています。

 

日本では暗号資産による売買益は少額取引においても雑所得になり、最大45%の所得税が課税されています。

 

FINRA 暗号資産取引所開設 事前連絡を義務化

 

FINRA(米金融取引業自主規制機構)はSEC認定の自主規制団体であり、今年7月には暗号資産関連の事業を行う前には事前報告を義務付ける規制が発表されています。

 

今後は暗号資産取引所の設立のみならず、カストディサービスや暗号資産ファンドの投資顧問サービスについても事前連絡と協議が必要となります。

 

FINRAの承認待ちとなっている企業は40社以上に及ぶとされており、このことによってアメリカよりも他国でブロックチェーン事業を行う企業の増加といったブロックチェーン企業の国外流出といった問題も指摘されています。

 

FINRAによる規制はアライズバンクのように大規模な詐欺を行う企業の撲滅には一定の効果を発揮していますが、法規制に準拠して新たなビジネスモデルを構築しようとする企業の発展の妨げになっているとも言えます。

 

そのためSECの「Framework for “Investment Contract” Analysis of Digital Assets」や「トークン分類法」による「有価証券」の明確な定義付けはアメリカの暗号資産業界の発展に大きな意味を持つと言えるでしょう。

 

ヨーロッパ セキュリティトークン市場について

 

TokenSoftは、スイスに設立された「TokenSoft International AG」を通じて、ヨーロッパでのセキュリティトークン事業を展開しています。

 

ヨーロッパ市場では、ドイツやイギリス、スイスを中心にSTOが実施され、各国の法規制に応じて様々な特徴を有しているのが特徴です。

 

スイスでは、blockimmoがブロックチェーンベースの不動産取引プラットフォームを開発し、2019年3月にはおよそ289万ドルの不動産(アパート、レストラン)取引に成功しています。

 

blockimmoは、「STX.SWISS」と共同で、株式の20%をセキュリティトークンとして発行し、STOを実施。

 

このSTOは、スイス金融市場監督局(FINMA)およびリヒテンシュタイン金融市場監督局(FMA)からの認可を受け、行われてます。

 

また、「OverFuture SA」は、ブロックチェーン上でIPOを行う「デジタルIPO」の実施を発表しています。

 

株主情報のブロックチェーン上での管理・共有を行うことで、IPOプロセスの効率化が図られるとされていますが、日本では

 

・主幹事証券会社
・株主名簿管理人
・株式会社証券保管振替機構

 

といったプレイヤーがIPOには必要不可欠であり、どのような規制に基づいてブロックチェーン上で、上場に向けた各種業務が行われるのか注目が寄せられています。

 

イギリスでは、株式をセキュリティトークン化し、IPO前のラウンドでSTOを実施する「ハイブリッドIPO」の実施を「Worldchess」が発表しており、ヨーロッパにおいては国ごとに多種多様なセキュリティトークンの活用を目指す取り組みが行われています。

 

そのような市場環境の中でもドイツでのSTOはヨーロッパ市場においても大きな注目を集めています。

 

ドイツでは、規制当局であるBafinからの認可を受けるために多くの企業がSTOプロジェクトの監査手続きに取り組んでいます。

 

ETO(Equity Token Offering)プラットフォーム「Neufund」は、3,387,752ユーロに及ぶETOに成功。

 

Bafinとの協議の中では、プロジェクトの開示情報の監査のみならず、

 

・最低投資額
・大口投資家限定

 

といったこれまで前例のない募集要項についても話し合いが行われました。

 

「Neufund」がBafinの認可を受けてからは、

 

・P2Pの中小企業向けの融資プラットフォームを運営する「Bitbond
・有望スタートアップ企業の投資ポートフォリオを提供しているVCファンド「StartMark

 

といった企業が社債セキュリティトークンを発行しています。

 

また、不動産証券を担保としたセキュリティトークンの発行も「Fundament Group」が行っており、ベルリン、ハンブルクなどを拠点とした不動産をポートフォリオとして、2億5000万ユーロに及ぶSTOが実施されています。

 

米国では「RealT」がRegS、Dに準拠して不動産事業を営む有限会社の部分的所有権のセキュリティトークン発行を実施し、Uniswapを通じて、海外投資家への販売を行っており、各国の規制当局および規制ごとに不動産セキュリティトークンの定義も異なることがわかります。

 

さらには、不動産開発プロジェクトへの参加証明書をセキュリティトークンとして発行するといったユニークな取り組みもBlack Mantaが実施しています。

 

その他のヨーロッパ諸国でも規制当局の認可を受け、下記のようにSTOが行われています。

 

デンマーク:ARYZE

リヒテンシュタイン:Smartchem

 

新築不動産プロジェクト参加証明書のセキュリティトークン化

 

Black Manta Capital Partners(ブラックマンタ)は、ルクセンブルクに設立され、ドイツに子会社を展開し、セキュリティトークン事業に取り組んでいます。

 

今回、ブラックマンタはドイツの不動産企業であるTigris Immobilienとの協業によって、総額で$12 Million(およそ13億円)分の新築不動産のセキュリティトークンプロジェクトを開始しました。

 

ベルリン・フリードリヒスハイン=クロイツベルク区での不動産開発プロジェクトへの「Assert participation certificates(参加証明書)」をセキュリティトークン化(詳しくは公式HPを参照)と考えられ、高利回りな新築不動産プロジェクトに最小投資額500ユーロから参加できるのは特徴です。

 

・発行体:Tigris Immobilien
・トークン総額:1,999,500ユーロ(プロジェクト全体10,943,398ユーロ)
・最小投資額:500ユーロ
・種類:メザニン
・アセット:参加証明書(20%の収益配当)
・購入可能通貨:EUR/BTC
・利回り(税引前)IRR:8%pa
・期間:2020年4月14日-5月31日
・トークンの譲渡:可能
・プロトコル:ERC-20
・プロジェクト概要:新築不動産開発
(約2000平方メートル:それぞれ40〜60平方メートルのアパートユニットが建築予定)

 

リアルエステートセキュリティトークン(REST)市場について

 

リアルエステートセキュリティトークン(REST)市場は今年に入り、活況を呈しており、Realtによる米国不動産のセキュリティトークンプロジェクトによって、全体の取引高の15%を占めるようになりました。

 

米国では企業がSTOを行う場合にはSECへの登録免除規定であるRegulationに準拠してセキュリティトークンは発行されるために、Rule144に基づいて1年間のロックアップ期間が課せられます。

 

これは未公開企業の株式の短期売買を防止し、投資家保護を実現するための規制ではありますが、STO市場においては取引量が増加しないことから市場の将来性に疑問を呈する声も少なくありませんでした。

 

不動産セキュリティトークンはRegulationに準拠する必要がないことから取引高の増加に貢献することが予想され、そのことから2020年はSTO市場がより一層の拡大を遂げることが考えられます。

 

これまで不動産投資は一部の投資家限定のインカムゲイン型の投資商品として親しまれてきましたが、今後は一般投資家へより安定的で高利回りな海外不動産に投資できる機会が提供されることでしょう。

 

そのような市場環境の変化が予想される中で、ヨーロッパでもリアルエステートセキュリティトークン(REST)への取り組みが行われたことはさらなる市場の発展を期待させるものであり、より多くの国々で不動産市場の流動性および新規性の高い取り組みによる投資市場の活性化が図られると考えられます。

 

今回のブラックマンタとTigris ImmobilienのSTOは、ドイツとオーストリアの投資家限定で行われるものですが、今後はヨーロッパ全域を対象としたSTOの実施を検討しているとのこと。

参照:  https://blackmanta.capital/tigris-s17a/

 

今回の不動産開発プロジェクトの概要について、公式サイトで確認したところ非常に洗練されたアパートメントであることがわかりました。

 

このような不動産に投資できるとなると、国際的な流動性向上が見込まれることでしょう。

ドイツ STO市場について

ドイツでは国債全年限でマイナス金利化が進んでいますが、ECB(欧州中央銀行)の量的緩和とともにキャピタルゲインを得ることを目的として買いが殺到。

 

国債利回りは、財政悪化の指針として古くから知られていましたが、すでにその役割は失われており、債券市場における混乱の深刻さを物語っています。

 

財政均衡を最重要課題としてきたドイツ政府ですが、景気後退(リセッション)への備えとして、500億ユーロ(約5兆9000億円)の追加支出を行う姿勢を明らかにしています。

 

・4-6月期国内総生産(GDP)前期比0.1%減少
・ドイツ製造業PMI速報値43.6(予想:43.0)

 

米中貿易摩擦、イギリス合意なき離脱(ブレグジット)といった国際情勢の混乱とともに製造業や輸出が低迷しているドイツ経済ですが、景気刺激策として新たな産業の創出を模索している状況にあると言えます。

 

そのような中で、ブロックチェーン企業「ブラックマンタ(Black Manta Capital)」が、STOプラットフォームの立ち上げをドイツ連邦金融監督庁(BaFIN)から承認されたことが明らかになりました。

 

「ブラックマンタ(Black Manta Capital)」はルクセンブルクの企業であり、ヨーロッパを中心としてSTOプラットホームの展開を目指しています。

 

ドイツ連邦金融監督庁(BaFIN)からの承認を得るまでには申請から9ヶ月の期間を要したことが明らかになっていますが、ドイツではBitbond、Fundamentなどに次いでのSTO事例として注目を集めています。

 

 

今回のドイツ連邦金融監督庁(BaFIN)による承認によって、「ブラックマンタ(Black Manta Capital)」は今年の第4四半期にもSTOプラットホームの提供を始めるとしています。

 

BMCPコンサルティング(ウィーン)
BMCP社(マルタ)

 

といった企業とともに投資プラットフォーム市場の開拓を行うとしており、シンガポールにおいても「ブラックマンタ・アジア(Black Manta Capital Asia)」を設立する予定となっています。

 

ドイツはBlackMantaを含めるとすでに3件のSTOが、ドイツ連邦金融監督庁(BaFIN)に承認されており、世界的にも先進的な取り組みを行っています。

 

アメリカではSEC(証券取引委員会)が規制当局となっており、登録免除規定のRegulationを適用することで、私募によるSTOが多く行われています。

 

ドイツの場合は

 

公募債(Bitbond)
不動産担保証券(Fundament)

 

を裏付け資産としたセキュリティトークン発行が行われており、Fundamentの場合は2億5000万ユーロ(2億8000万ドル)規模のSTOを計画しているなど、大規模な資金調達が行われています。

 

米国企業のヨーロッパ市場参入によるグローバル化について

 

“Due to the regulatory clarity in Switzerland and due to the comfort that the regulators have there with blockchain-based assets, the pace of innovation has been a little bit faster in Switzerland and so that’s why we do see more activity out in Switzerland,”

 

TokenSoft Inc.のCEOであるMason Bordaはこのように語っており、高い技術力を持つ米国企業が海外市場に参入することで、さらなる市場の発展が見込まれると考えられます。

 

規制が明確になっている地域では、ブロックチェーンシステム開発企業としてもカスタマイズがしやすい一方で、多くの国々ではセキュリティトークンおよび暗号資産に関する法規制が明確化されていないといった課題が存在しています。

 

また、法規制が定められた国や地域においても既存の金融市場の安定性を担保するために厳格なセキュリティトークン規制が整備されるといった事例もあり、米国においてもSEC登録免除規定「Regulation」の改正案が提出されるなど、セキュリティトークンをめぐる法規制に関しては今後も議論が必要であると考えられます。

 

TokenSoftのスイスでの展開がヨーロッパのセキュリティトークン市場にどのような好影響をもたらすのか大きな期待が寄せられていますが、米国企業の海外進出は各国のセキュリティトークンビジネスの高度化を図る上でも重要な意味を持つことでしょう。

 

アジア セキュリティトークン取引所や法規制について

 

アメリカでは、セキュリティトークンを活用した資金調達の事例が毎月報告されており、最近ではReg+を適用したICOがSECに認可され、これには一般投資家も投資に参加しています。

 

アジアではシンガポールやフィリピンCEZAにおいてセキュリティトークン取引所が開設されるなど、取り組みが行われており、各国は法規制の整備を急いでいます。

 

アジア各国で行われているSTOへの取り組みについて解説していきます。

 

シンガポール

 

シンガポールでは2017年8月にICOを規制することを発表。

 

これはICOを証券先物法の規制対象とすることを示したもので、その後もマネーロンダリング防止やテロ資金対策を目的としたライセンスの取得を義務化。

 

同年11月にはガイドラインによってICOが明確に規制されるなど、世界に先駆けて取り組みが行われました。

 

ICOを行うためにはライセンスの取得だけでなく、目論見書の提出なども必要とされています。

 

規制強化にいち早く取り組んだシンガポールは、現在アジアにおいても最も重要な拠点として知られており、ST取引所も開設されています。

 

2018年第4四半期には、ICOによって2億5100万ドルの資金調達が行われており、その件数は85件にも及んでいます。

 

シンガポールは世界の中でも暗号資産市場のけん引役ともいえますが、その多くは中国やロシアといった規制の厳しい国からの流入であることが考えられています。

 

iSTOX、1exchange (1X)といったセキュリティトークン取引所も開設されており、セカンダリーマーケットの創出にむけた取り組みがシンガポールではすでに行われています。

 

セキュリティトークン取引所「iSTOX」に東海東京が出資へ

 

法規制に準拠した既存金融システムにブロックチェーン技術を活用する取り組みは連日のように報じられていますが、アジア市場においては中国人民元デジタル通貨発行など、中国が中心となってブロックチェーン技術の発展が行われると予想されてます。

 

金融領域のみならず、様々な産業分野においてブロックチェーン技術の活用が行われると考えられ、ベトナム・ホーチミン市におけるスマートシティ構築など、「社会実装」に向けた取り組みに関する報道から連日、目が離せない展開が続いています。

 

11月14日には、シンガポールのセキュリティトークン取引所「iSTOX」に東海東京フィナンシャル・ホールディングス(以下、東海東京)が出資を計画していることが明らかになりました。

 

東海東京は、将来的に日本市場におけるセキュリティトークン取引所の開設を目指しているとのことで、先週の「セキュリティトークン研究コンソーシアム」の設立に引き続き、日本でもセキュリティトークンへの取り組みが相次いで報じられています。

 

アメリカでは、tZEROやOne Financial Networkが1年間のロックアップ期間を経て、セキュリティトークン取引をスタートさせていますが、アジアにおいても各国で金融市場のデジタル化が進んでいると言えるでしょう。

 

東海東京は、「iSTOX」の親会社である「ICHX TECH」におよそ5億円の出資を行うとしており、シンガポールにおけるセキュリティトークン市場の活性化が期待されています。

 

また、日本企業が「iSTOX」を利用してセキュリティトークンを発行する取次を東海東京フィナンシャル・ホールディングスは計画しており、協業による相互的な発展が見込まれるでしょう。

 

アジア市場においては、中国人民元をデジタル通貨として発行するとの報道に大きな注目が集まっており、アリペイやウィーチャットペイなどスマホ決済サービス市場の競争激化が予想されます。

 

日本においてもソフトバンクとラインの包括提携(買収)によって、PayPayとLINE Payの統合などが話題となっていますが、多くの企業が金融サービスのデジタル化に取り組んでいることがわかります。

 

セキュリティトークン市場においては、セキュリタイズなど各国の法規制に準拠した発行プラットフォームが市場を牽引しており、日本においても2020年春の法改正をきっかけに市場の形成が行われると考えられます。

 

最近では、スタートアップ企業へのオーバーバリュエーションが国際的な問題とされてきましたが、未公開株式市場の流動性向上をセキュリティトークンは担うとされており、将来的には適正な企業価値の評価にも繋がることでしょう。

 

 

フィリピン

 

フィリピンではカガヤン経済特区庁(CEZA)が規制当局となっており、SRO(自主規制団体)にはアジアブロックチェーン暗号協会(ABACA)が指定されています。

 

ICOを行うためには目論見書の提出や詳細な情報開示が義務付けられ、「DATO(デジタル・アセット・トークン・オファリング)」として定義付けがなされているのです。

 

「DATO(デジタル・アセット・トークン・オファリング)」は500万ドル未満、500万〜1000万ドル、1000万ドル以上と資金調達額で3種類の分類がされています。

 

また、ユーザートークン、セキュリティトークン、コモディティと性質によっても分類がなされている状況です。

 

2018年12月にはICO規制の草案が発表され、その草案の中ではICOトークンは証券に分類されることや証券取引委員会に登録されることが明文化され、必要情報の開示など投資家保護の内容も盛り込まれています。

 

CEZAには、CEZEX、ADAXといったセキュリティトークン取引所が開設されており、セカンダリーマーケットの市場拡大を見込んだ取り組みが行われています。

 

タイ

 

タイでは2018年5月にデジタル資産事業法が定められ、ICOに対しては法整備を進めた上で、合法的な資金調達方法とすることを目指しています。

 

現在では二段階の審査制度が設けられており、一段階目の「ICOポータル」による審査は投資家保護のためにプロダクトや本人確認が行われます。

 

このICOポータルによる審査を通過したプロダクトは、タイSEC(証券取引委員会)の審査を受けるといったプロセスを経て、はじめてトークンの発行が行われます。

 

同年12月にはICOに対する規制緩和についての公聴会が開かれました。

 

ここでは、プライベートのトークン発行においては目論見書の提出が不要になるといった議論が行われています。

 

また、2019年2月にセキュリティトークンの発行を承認する改正証券取引法が可決され、現在は、正式施行にむけた規制の枠組み作りに取り組んでいる状況です。

 

アジア STO市場の展望

 

ICOの問題点として持続可能なビジネスモデルではないことが挙げられます。

 

誰でも参加できる資金調達法でありますが、その調達した資金はプロダクトとは関係のない企業にも流れ、ほとんどのトークンが今では使えなくなってしまっています。

 

爆発的に普及したICOでしたが、投資家保護の観点からも市場自体はしばらくの間、停滞を余儀なくされることが予想されます。

 

しかしながら、アメリカではSECへの登録免除規定であるRegA+を適用し、ブロックスタックがICOによる資金調達に成功するなど、法規制に準拠する資金調達方法として利用されるケースも出てきています。

 

すでにアジア各国ではSTOに関する取り組みが行われており、今後セカンダリーマーケットがどのような発展を遂げるのか注目が集まります。

ブロックチェーン技術を活用した金融のデジタルトランスフォーメーション(DX)

 

ドイツ国内の証券取引所の統括を行なっている企業グループであるドイツ取引所は、コメルツバンクやクレディスイス、UBSとの共同で債券取引への分散型台帳技術の導入への取り組みを行なっています。

 

証券取引の分野では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として分散型台帳技術によるデータ共有システムの構築への取り組みが行われており、日本でも三菱 UFJフィナンシャル・グループがセキュリティトークンとスマートコントラクトを活用した金融取引プラットフォーム「Progmat(プログマ)」を発表。

 

 

今回のドイツ取引所の債券取引には、ブロックチェーンCordaを活用して開発されたプラットフォームが使用されており、ルクセンブルクのHQLAX社が開発を手がけています。

 

世界各国でもブロックチェーンへの注目は高まっており、取引履歴の偽造を防止し、脱税を防止できるとして中国では金融のみならず各分野で導入が進んでいます。

 

・中国銀行 ブロックチェーン債券発行システムで金融債権(200億元)を発行
・バイドゥ ブロックチェーン、AI、ビッグデータを活用した「XuperChain」によるスマートシティプロジェクト(医療、交通、行政、司法)を公表
・国外への資本流出防止などを目的にブロックチェーンを活用した「デジタル人民元」の発行を予定

 

「暗号法(Cryptography Law)」を2020年1月に発効予定とされていますが、「デジタル人民元」の普及によって米ドルとの基軸通貨争いにも注目が集まります。

 

アメリカではGAFAが金融業へ進出することに対して、既存金融の秩序を乱すとして規制当局をはじめとして反対する声が上がっていますが、各分野で導入が進められています。

 

・Nasdaq 金融機関へのブロックチェーンPFを開発しているSymbiontに約21億円を出資
・バンク・オブ・アメリカ 貿易金融PFマルコ・ポーロ・ネットワークに参加
・IBM ブロックチェーンプラットフォーム「Food Trust」を各企業が活用

 

ネスレやウォルマートが食の安全性を高めるために食品トレーサビリティシステムに「Food Trust」を活用していますが、金融分野ではFacebook・Libraの失速など中国と比較すると社会的ニーズの低さによってブロックチェーンの普及が遅れているとも言えます、

 

日本ではERP(統合基幹業務システム)導入の際にも各企業ごとに異なるシステムを使用するといった事例もあり、企業や業界を横断した業務の統一化への取り組みは社会的関心は高いものの、実現は難しいとも考えられてきました。

 

一方で、金融の分野では現金や紙による取引をFintechを活用した取り組みによって効率化するキャッシュレス決済などがここ数年で普及しており、証券取引においてはセキュリティトークンとスマートコントラクトの活用がデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するとして「Progmat(プログマ)」など開発が進められています。

 

医療や行政の分野では、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが活発に行われていますが、ブロックチェーンを導入するほど偽造防止に対してニーズが低いこともあり、ブロックチェーンの社会実装は特定の分野に限られることが予想されます。

 

金融の分野に関しては、「Progmat(プログマ)」のように有価証券をセキュリティトークンとして発行し、スマートコントラクトとプログラマブルマネー(デジタル通貨のようなものと想定されます)による自動決済によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現が果たされるとしてブロックチェーンを導入する取り組みには期待が寄せられています。

 

ドイツ取引所や中国銀行、大手銀行HSBCもスマートコントラクトを活用した債券市場の効率化への取り組みを行なっており、tzeroやOpenfinanceといったセキュリティトークン取引所とともにセカンダリーマーケットの発展を担うことが予想されます。

 

これまで、セキュリティトークンは発行プラットフォームを活用した資金調達方法(STO)として活用されてきましたが、既存金融商品(有価証券)のデジタル化とスマートコントラクトとの組み合わせによる金融市場の効率化への活用が行われることでしょう。

 

中国のキャッシュレス決済Alipayの開発・運営を行なっているアントフィナンシャルでは、ブロックチェーンを活用することで、およそ3ヶ月かかっていたサプライチェーン・ファイナンスにおける中小零細企業の資金調達(融資)を数秒でできると発表しています。

 

アントフィナンシャルは、これまで透明性の低かった中国の中小企業のファイナンス情報をブロックチェーンで共有・管理を行えるとして、リアルタイムでの資金調達(融資)を実現することを目指しています。

 

スマートコントラクトによる自動決済によって、デジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に普及している金融市場ですが、既存金融商品(有価証券)のみならず収益配当権などのセキュリティトークン化によって、より多くの人々がトークンエコノミーを活用したセカンダリーマーケットでの取引を実現するための取り組みも進んでいます。

 

ブロックチェーンへの関心は高いものの、導入に関してはその必要性がない分野も多く存在しますが、金融分野においてはその活用がどのように社会を変革していくのか今後も注目が集まります。

 

STO 応用的活用事例

 

Securitize(セキュリタイズ)」「Axoni(アクソニ)」といった米国のブロックチェーンスタートアップ企業は、高い技術をもとにして金融機関との提携を進めており、ブロックチェーンの社会実装が着実に進行しています。

 

そのような中で、不動産市場においては証券化プロセスの効率化を目的にセキュリティトークンを活用する事例が相次いで報じられており、米国のセキュリティトークン関連企業の「tZERO」、「Habor」は不動産投資会社と連携し、不動産のトークン化事業を手掛けています。

 

不動産市場では行われており、大手投資銀行が相次いでレポートを作成するなど、不動産証券化プロセスの効率化および市場の流動性向上への期待が高まっています。

 

JSTA・デロイト トーマツ コンサルティング合同会社・Securitize レポート

 

オックスフォード大学レポート

 

tokenyレポート

 

また、特殊な事例としてはNBAで活躍するプロバスケットボール選手であるスペンサー・ディンウィンディーが契約金を裏付け資産としてSTOを実施するなど、投資家がこれまで手にすることのできなかったアセットクラスの創出も行われています。

 

 

2次流通を担うセカンダリーマーケットへ上場するプロジェクトは現在のところ上記のように多いとは言えませんが、tZEROはブローカーディーラー5社と契約を締結するなど、2020年はより多くのSTOプロジェクトが誕生することが予想されます。

 

NBA ディンウィンディー選手のSTOについて

 

米国では著名な音楽家が著作権収益や将来的なライブ活動による収益を担保にして債券を発行してきた事例があり、過去にはデヴィットボウイやジェームズブラウンが資金調達に成功しています。

 

このような取り組みはデヴィットボウイの債券発行(ボウイ債)をサポートしたデヴィット・プルマンに由来して「プルマン債」と呼ばれています。

 

金融ビジネスと音楽を結びつけ、証券化に成功したデヴィットボウイの功績は今もなお語り継がれており、音楽不況が始まることを見越して1997年に発行された「ボウイ債」は証券化ビジネスの草分け的存在ともされています。

 

近年では証券化ビジネスもデジタル化が進んでおり、米国のプロバスケットボール選手であるSpencer Dinwiddie(スペンサー・ディンウィンディー)は、自身の契約金を裏付け資産としてセキュリティトークンの発行を予定しています。

 

この取り組みは2019年9月に発表がなされましたが、NBAから契約金の譲渡に関して懸念の声が上がっていました。

 

懸念点として挙げられていたのは、ディンウィディーが契約の3年目にオプションを実行する可能性でした。

 

当初の計画では実際にオプトアウトしより高額な契約に署名した場合、「“significant dividends for investors”(投資家への多額の配当金と考えられます)」を約束しており、ディンウィディー選手はこの条項を削除し、代わりにフラットボンドを提供するなどSTOによる資金調達計画をこの4ヶ月間で修正しました。

 

NBAは法律事務所デベボワーズ&プリンプトンを雇い入れ、ディンウィディー選手の資金調達に関する法務チームも交えて4回の面談、3回の電話会議を行うなど、法的要件については議論が交わされたようです。

 

RegulationD 506(c)に準拠して今回のSTOは実施予定とされており、認定投資家限定で150,000ドル/1年間で販売。

 

ディンウィディー選手が発行するセキュリティトークン「SD8」を購入した投資家には3年間にわたって投資額に応じた毎月4.95%の配当が支払われます。

 

販売期間:2020年1月13日〜2月10日
満期:2023年2月10日(元本保証あり)

 

ディンウィディー選手は

 

“I think the prolonged conversation obviously worked out,”

“because they recognized I’m not doing anything wrong or anything illegal. They know it’s coming. They didn’t have too much rebuttal for it. There’s nothing in there that’s considered gambling.”

 

と語っており、今回のSTOに関して違法なことをしていないことをNBAは認め、ギャンブルと見なされるものは何もないとの見解を示しています。

 

ディンウィディー選手は8人の投資家をシカゴのオールスターウィークエンドに連れて行くとTwitterで発表し、RegAによる一般投資家への投資機会提供なども示唆しています。

 

今回の取り組みは、デヴィッド・ボウイが証券化ビジネスを音楽にもたらしたのと同じように、様々な業界におけるセキュリティトークン化ビジネスの先駆けとも考えられ、市場にさらなる流動性をもたらすとして大きな注目が集まることでしょう。

 

地方債のトークン化|コンセンシス(ConsenSys)

 

コンセンシス(ConsenSys)はアントフィナンシャルなどの中国企業と共にブロックチェーン業界において大きな存在感を示しています。

 

イーサリアムの共同創業者であるジョセフルービンによって設立されたコンセンシス(ConsenSys)ですが、最近では米国証券会社「ヘリテージ・ファイナンシャル・システムズ(Heritage Financial Systems)」を買収。

 

これにより証券および投資顧問業務を行えるようになったために、自社ブロックチェーン である「Codefi」を使用して「地方債のトークン化事業」を展開する意向を示しています。

 

米国の地方債市場は数兆ドル規模に及んでおり、古くは運河や橋といった公共的なインフラ整備のために発行が行われてきました。

 

しかし、発行および配当の支払いなどコストが大きいことから小規模な資金調達には用いられないなど、市場の流動性は低いといった問題を抱えており、セカンダリー市場の活性化に向けてコンセンシス(ConsenSys)は地方債のトークン化事業を手掛けるとしています。

 

スマートコントラクトによる配当の自動支払いおよび法的要件の確認業務の効率化などが期待され、将来的にはより小額からの地方債発行が可能になることから地方自治体の活性化にもつながると考えられます。

 

最近では、STOによる資金調達および大手金融機関でのブロックチェーン導入が話題となっていますが、4兆ドル(約440兆円)規模の発行が行われている地方債市場におけるトークン化事業は、米国の地方自治体が資金調達をより円滑に行うためにも非常に重要な社会的役割を担うと考えられます。

 

セキュリティトークンの定義

 

暗号資産業界ではトークンの発行が「有価証券」に該当するのか議論が繰り返されてきました。

 

アメリカでは詐欺まがいのICOプロジェクトが問題になった際に、連邦証券法で定められた登録義務がなされていないことを理由に証券法違反として取り締まりが行われました。

 

トークン発行が「有価証券」として証券法の規制対象となるのか?

 

この判断基準として「Howeyテスト(ハウイテスト)」が用いられています。

 

「Howeyテスト」はその基準を以下のように定めています。

 

1 投資として資金の出資があること
2 投資先から収益が期待できること
3 投資先が共同事業であること
4 第三者の仕事による収益が期待できること

 

アメリカでは、この4項目に該当した場合にトークンは有価証券として認められると定義されています。

 

アメリカやアメリカの適格投資家を対象にしたトークン発行にはこの「Howeyテスト」に適合しているかどうかが重要になり、連邦証券法に則って登録義務が課せられます。

 

あくまで「Howeyテスト」は一つの定義にすぎませんが、世界各国で行われているセキュリティトークン発行は、その国の法規制に準拠して発行されています。

 

このことから一般的にセキュリティトークンは「ブロックチェーン上で有価証券をトークン化したもの」と定義されています。

 

(有価証券:株式や社債、不動産といった資産を持っていることを証明するもの)

 

資産の所有や債券を証明する有価証券は、その国ごとの規制に準拠しています。

 

そのためSTOは「新たな資金調達方法」としても大きな注目を集めており、暗号資産およびトークンエコノミーの拡大にも大きな役割を果たすとされています。

 

また、セキュリティトークンの発展によって、ICOによる詐欺まがいのプロジェクトは淘汰され、暗号資産業界全体の健全性が図れると期待されています。

 

手軽に始められる新しい資金調達方法として大きな注目を集めていたICOですが、実際にはプロジェクトは行われないといった事例が相次ぎました。

 

資金調達後に忽然とプロジェクトのHPが削除され、価格の吊り上げが簡単に行われるなど投機目的のプロジェクトが乱立し、ハッキングの被害もあいついだことから多くの投資家が資産を失うといった事態にも発展したのです。

 

世界各国の規制当局がICOへの規制強化など市場の健全性向上への取り組みが進む中で、国が定める規制に則って発行されるセキュリテイトークンに注目が集まっています。

 

一方で、各国ごとに法規制は異なることから明確な定義づけは難しく下記のような解釈をアジア証券業金融市場協会(ASIFMA)は発表しているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

STOのメリット

 

①詐欺まがいのプロダクトは淘汰される

 

各国の証券法に基づいた金融商品であり、「投資家保護」によって市場の健全化を図ることができます。

 

②IPOよりも資金調達がスピーディーにできる

 

ICOと比較すると限られた投資家からしか投資を募れないといったデメリットはあります。

 

しかし、監査機関からの審査に2年ほど時間がかかるIPOと比較すると資金調達がよりスピーディーに行えます。

 

また、機関投資家からの投資が募れるので、より大口の金額を集めることができます。

 

ICOによる投機や取引所からの資産流出などのニュースが重なり、暗号資産は「新しいけど怪しい」といったイメージがまだまだ根強く残っています。  

 

詐欺のようなプロジェクトが乱立し、誰でも簡単に投機の対象にできたICOがまだ記憶に新しいかと思います。

 

法規制の整備やボラティリティ(価格変動)の激しさといった課題は山積していますが、ブロックチェーンの将来性については世界中が注目しています。  

 

そのような中でSTOはICOの投機的価値にスポットを当て、既存金融の規制に準じてトークンを発行する新たな金融商品として脚光を浴びています。  

 

STOは各国の法規制に準じてトークンが発行されることを前提としているため、機関投資家による巨額な資金調達が行えると予想されます。  

 

法規制に準じたプロジェクトしか認められないため、取引市場の健全な秩序を守れるといったメリットもあります。  

 

また、投資対象として適正価格の判断がしやすい点もICOにはないメリットです。  

 

資産の裏付けがないものの誰でも参加できたICOと比較すると投資の判断の難易度は高いですが、法規制に則った金融資産です。  

 

株や債券といった資産をトークン化することで、配当・支払いといった手続きが簡略化され、「透明性」を担保するといった側面にも注目が集まっています。

 

さらには株式市場が「24時間取引可能」になることで市場の「流動性」の向上も期待できます。

 

STOのデメリット

   

各国の証券法に基づいているため投資家にも資格が必要です。(アメリカではSECによって年収や資産が特定以上でないと投資できない)  

 

そのためICOのように少額投資家が多額の利益を上げることはないと考えられます。

 

そのため、STOが普及していくことで仕組みが変わってくる可能性もありますが、現状ではICOバブルのようなことは起こらないでしょう。  

 

また、企業が「IPO」を行うためには監査機関からの審査や資料の作成といった手続きが必要不可欠で、おおよそ数年の準備期間がかかります。

 

この準備期間が起業家にとっての障害となっています。 

 

そのため手軽に資金調達を行えるICOが普及しましたが、監査もなく資産の裏付けもない金融商品は高いリスクが伴い、事実詐欺的な事例が頻発したため合法的で資金調達のコストを軽減できるSTOに注目が集まってます。  

 

しかし、STOにも問題はあります。 

 

例えば、ハッキングの問題について、絶対的な安全性は既存の金融システムでも保証されているとは言い難いですが、トークンの発行や管理側は負担が大きいと言えます。  

 

また、セキュリティトークン取引所でも売買があまり活発に行われていないといったtZEROのような事例も現状では存在します。

 

なぜSTOが必要なのか?

 

STOは、これからの企業の資金調達手段として注目されています。

 

しかし、なぜ今までの企業の資金調達手段であった銀行融資やIPOではなく、STOが注目されているのでしょうか?  

 

伝統的には、企業の資金調達手段は銀行融資と株式発行です。

 

ベンチャー企業の場合はベンチャーキャピタルや個人投資家から出資を受ける場合もあります。  

 

これらの資金調達はいくつかの点でSTOに劣るところがあり、そのためにSTOが注目を集めています。

 

以下では、各資金調達手段についての解説と、その欠点を説明します。  

 

銀行融資

 

銀行融資は大企業、もしくは既に設立された中小企業の資金調達手段としてよく使われています。   利点として、銀行に事業計画書を提出し、審査に受かれば融資が得られる上、いくら得られるのかがわかるため、安定しているという利点もあります。また、銀行から融資を得られたということは、それ自体がすでに一定の信用になります。  

 

一方で、無視できない欠点があるのも銀行融資の特徴です。   銀行から融資を受けるには銀行を満足させる事業計画書を提出する必要がある上、銀行が収益性が低いと判断した事業では融資を得られないため、自社事業のコントロールを維持しにくいです。また、ブロックチェーンのような最新のテクノロジー分野では、担当者に十分な知識がない場合もあります。その上、銀行の融資は信用のある大企業なら簡単ですが、設立したばかりのベンチャー企業の場合は実績や信用に乏しく、銀行から融資を受けるのが難しいと言った欠点があります。  

株式発行

 

株式発行は証券取引所に上場できる大企業の資金調達に使われます。   上場企業の資金調達手段です。企業によっては、IPOをすることでUberやNetflixのように巨額の資金調達に成功する場合があります。一方で、証券取引所の審査に通らなかったり、手数料を支払えないような中小企業やベンチャー企業には難しい資金調達手段です。UberやNetflixと言った企業でもわかるように、証券取引所に上場する段階ですでに巨額の資金を集めるかなり大きな企業であることが多いため、ベンチャー企業の資金調達としてはあまり現実的ではありません。

投資家による出資

 

投資家による出資は、ベンチャー企業の資金調達手段として頻繁に利用されています。   自社事業を理解し、資金面や人脈、その他多くの面でサポートしてくれる投資家がいた場合、起業家は本来の自社事業に専念できます。   一方で、資本政策によっては投資家に経営上の主導権を握られる恐れや、出資先がある程度の資金を持っている投資家に限定されるため、そのようなネットワークを持たない起業家には難しい資金調達手段となっています。

これからの資金調達: STO

 

銀行融資や投資家からの資金調達に目新しさがなくなってきた状況の中、ベンチャー企業から注目を集めたのがビットコインの隆盛とともに話題となったICO(Initial Coin Offering=イニシャルコインオファリング)です。   ICOは、広く投資家から出資を募ることができ、また銀行融資や株式上場よりも大規模な資金調達のハードルがはるかに低いという利点がありました。   しかし、なんの審査も資産の裏付けもなく行えるICOでは詐欺が頻発し、投資家が敬遠するようになってしまいました。  

 

STOはこれらの欠点を克服した新しい資金調達手段になることが期待されています。   STOは審査を通して専門の取引所に上場されるため、ICOのような詐欺を防げる上、広く投資家から資金調達をすることを可能にします。   投資家としても今まで一部の資金豊富な投資家のみであったベンチャー出資とは異なり、株式や社債の購入と同様に行うことができ、さらに証券取引所と異なり、24時間いつでも取引が可能となります。   このような市場に対する潜在的な需要は巨額であり、これからの時代の金融のメインストリームになることが期待されています。

 

セキュリティトークンの現状について

 

SBIホールディングスの北尾吉孝社長はセキュリティトークンによる資金調達、「STO(セキュリティ・トークン・オファリング)」の普及にむけて暗号資産の新団体設立を目指すことを明らかにしました。STOによるセキュリティトークンは各国の法規制に準拠して発行されるため市場の健全性を損なうことなく資金調達が可能であるとして注目を集めています。

 

暗号資産業界は法整備がなされていなかったことでICOによるスキャムプロダクトが乱立し、多くの投資家が詐欺まがいのプロダクトによって資金を失ってしまったという歴史があります。現在では世界的にICOへの規制強化が行われ、市場の健全化に向けた取り組みが進んでいる中で、日本では改正資産決済法が2020年6月までに施行が予定されるなど世界に先駆けて法整備を行なっています。

 

より健全な市場の発展を目指し、法規制に準拠した新しい資金調達方法としてSTOは期待されており、世界では不動産業界などで活用が進められています。今回はセキュリティトークンの種類(株式・債権)や仕組みを解説を紹介していきます。

 

セキュリティトークンの種類

 

セキュリティトークンは以下の3種類に大きく分類されています。

 

①株式トークン(DX.Exchange・エストニア)

 

24時間取引可能となるため海外の投資家が、他国にある企業の株式をトークンとして購入できることが期待されています。

 

②配当トークン(Bitbond・ドイツ)

 

トークンの購入者は配当を受け取れるようになります。Bitbondは年に4回にわけて1%の配当が手に入ります。(年利4%)

 

③債権トークン(Bitbond・ドイツ、ソシエテ・ジェネラル・フランス)

 

債権担保付き社債(カバードボンド)は安全性の高さと利回りの良さから評価が高い投資商品。


ソシエテ・ジェネラルでは効率的な発行手続きのために実験的に自社向けに債権担保付き社債をトークン化して発行しています。

 

セキュリティトークンの仕組み

 

セキュリティトークンは以下の技術が実装されています。

 

スマートコントラクト

 

 

スマートコントラクトが私たちの身近で使われ始めたのは「自動販売機」が最初と言われています。

 

①飲料水を買うのに必要な金額を投入
②指定した飲料水のボタンを押す

 

この2つが契約条件となり、自動的に飲料水が提供されるようになっています。このスマートコントラクト技術によって、ブロックチェーン上に書き込んだプログラムが自動で契約を実行してくれます。例えば、「ujo MUSIC」という音楽配信サービスではEthereumによって決済が自動で行われます。

 

消費者は楽曲を選び、その料金をブロックチェーン上で支払います。著作権料を分配する契約プログラムをスマートコントラクトに設定しているため、自動的に音楽家に収益が入る仕組みとなっています。支払いはEtherで行われ、これまで仲介業者と行われていた手続きを必要としません。

 

セキュリティトークンにもこのようにスマートコントラクト技術が実装されており、自動で契約が実行されます。このことで以下のようなメリットが私たちにもたらされます。

 

①仲介手数料がかからなくなる。取引のコスト削減。
②仲介業者が不要になる。支払いがスピーディーに。

 

また、スマートコントラクトを活用するにあたり、ブロックチェーン上で土地の所有権や契約内容が公開されます。分散化台帳技術によって情報の改ざんも難しくなるため、契約の透明性が向上し、安全性も確保できるようになります。

 

コンプライアンスが関係する事案についてもスマートコントラクトによって自動で執行されるように設定でき、取引の正当性が保証されます。

 

しかし、私たちが契約を紙ベースで取り交わす際には事業者同士の曖昧な解釈が存在します。

 

そういった人と人との間で交わされる約束事などについては、スマートコントラクトでも定義づけが難しいといった問題も存在します。

 

マルチシグ(マルチシグネチャ)

 

マルチシグ(マルチシグネチャ) はブロックチェーン上でデータの処理を行う際に複数の秘密鍵による署名を必要とすることです。

 

オンライン銀行で振り込みを行う際に暗証番号と設定した合言葉を入れるのをイメージしていただければわかりやすいです。

 

このマルチシグ(マルチシグネチャ)の仕組みがセキュリティトークンには実装されています。また、セキュリティトークンは世界各国の証券法などの規制に基づいた金融商品をトークン化します。KYC(身元確認)、AML(マネーロンダリング対策) に事前に対応しているためにスキャムの排除にも繋がります。このような仕組みがセキュリティートークンには実装されており、以下のようなメリットがあります。

 

セキュリティートークン ユーティリティトークンとの違い

 

 

ユーティリティトークンの代表格であるビットコインは所有者がビットコインブロックチェーンを利用する際の手数料を払うために使われます。このようにサービスを利用できるようになるユーティリティトークンは「ユーセージトークン」と言います。

 

また、オーガーではREPトークンによって未来予想市場を作る「働きかけ」ができます。そのため「ワークトークン」と呼ばれ、「働きかけ」をすることで対価を受け取ることができます。

 

イーサリアムの場合は「ハイブリッドトークン」と呼ばれ、Etherトークンを使用してスマートコントラクトの実行を行えます。そして、このスマートコントラクトによってプラットフォームの拡張を目指しています。

 

このようにユーティリティトークンは3種類あります。ユーティリティトークンは「サービスを利用する上で使えるトークン」と言えます。セキュリティトークンのように証券法に準拠している必要はありませんし、あくまでユーティリティトークンはサービスの利用を目的に作られています。

 

セキュリティートークン ステーブルコインとの違い

 

 

日本でも「GMO Japanese Yen」のように法定通貨と連動したステーブルコインの発行が行われています。価格変動(ボラティリティ)が少ないために、価格の乱高下を理由に投資を敬遠していた投資家からも投資を募ることができます。

 

価格が安定しているために実用性が高く、将来的にはハイパーインフラに悩む国々の金融インフラとしても期待されています。セキュリティトークンは規制に準拠した証券をトークンを発行しますが、ステーブルコインはドル、円といった法定通貨をトークン化している点で違いがあります。また、金や原油を担保にして発行されるのもステーブルコインの特徴です。

 

世界のセキュリティトークン取引所や発行プラットフォームについて

   

イギリス海外領土ジブラルタルにある「ジブラルタル証券取引所(GSX)」は、EUが認可した取引所として初めて2019年4月にセキュリテートークンの上場を認可しました。 

 

CEOであるNick Cowanはブロックチェーンによって資本市場の流動性の向上や民主化の基盤を強化を目指していると述べており、ほとんどの国々でジブラルタル証券取引所のマーケットに参加できます。  

 

また、マルタ証券取引所ではBinanceと提携したプラットフォームを計画しているなど、ヨーロッパではSTOに友好的な国が多いのが特徴です。  

 

Neon Exchange(NASH)

 

2018年9月3日にリヒテンシュタインの金融市場局(FMA)の承認を得て、ヨーロッパ市場で初めて証券がトークン化された事例となりました。  

 

Desico

 

2018年11月、リトアニアのクラウドファンディング法の下でSTOを立ち上げ。  

 

Neufund

 

ドイツにあるSTO発行プラットフォーム「Neufund」は、ドイツの金融監督当局であるBafinと連携のもと2018年12月に40万ユーロの調達に成功。  

 

世界の個人投資家が利用できるため、ドイツ国内で初めてSTOが成功した事例として知られています。  

 

個人投資家もKYC手続きに合格すると「Neufund」のSTO発行プラットフォームを利用できるため、世界規模の投資家に対応することを目指しています。

 

SIX Swiss Exchange(スイス)

 

スイス金融規制当局FINMA、スイス国立銀行の認可を目指したデジタル取引所を開発中。  

 

ソシエテジェネラル(フランス)

 

PACTE法案によってブロックチェーンによる経済活性化を目指すマクロン政権ですが、黄色いベスト運動によって国内では政治的混乱が続いています。

 

そのような中でフランスでは投資銀行の「ソシエテジェネラル」が子会社を通じて125億円のセキュリティトークン(債権担保付き社債)を発行しています。

 

経済刺激策としてフランスではブロックチェーン技術の導入が進んでおり、先進国の中でも積極的な取り組みを行なっています。経済大国であるドイツではBitbondがドイツ国内初となるセキュリティトークン発行を行いました。

 

配当型のセキュリティトークンを発行し、年4%ベースで運用が可能です。また、2019年夏には国としての戦略を打ち出すことを明らかにしています。

 

国内のブロックチェーン企業との公聴会を行うなど取り組みが進められています。

 

そして、日本では2019年3月に「資金決済法・金融証券取引法の改正案」が発表され、投資家保護を目指した法整備が進められています。

 

スイスやリヒテンシュタインにまたがる「クリプトバレー」にブロックチェーン企業が集まっていますが、世界各国では法整備によって企業誘致を目指しています。

 

その中で日本は世界に先駆けて「投資家保護」を打ち出した法案の成立を目指しています。

各国のSTOプロジェクト一覧

アメリカ

・取引所

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https://stonline.io/us-sto-regulation/

・発行プラットフォーム

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https://stonline.io/securitize2/

・不動産

・企業

スイス

ドイツ

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https://stonline.io/fundament/
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https://stonline.io/blackmanta/

イギリス

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https://stonline.io/hybridipo/

オランダ

エストニア 

デンマーク

リヒテンシュタイン

ブラジル

イスラエル 

シンガポール

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https://stonline.io/istox/

世界 法規制に関する動向

 

アメリカ

 

アメリカにおける暗号通貨の規制には証券取引委員会(SEC)が深く関わっており規制は厳格です。ICOはほとんど認可がおりず、アメリカ国民によるICOの参加が禁止されている州も多くあります。

 

SECは新しい暗号通貨に対し基本的に慎重な姿勢です。
暗号通貨取引所に対する規制は州ごとに異なるため、規制の緩い州に取引所が集中する傾向にあります。

 

SECは、現状の規制では流動性や市場操作などの特定リスク対して投資家の保護が十分にされていないため、国として規制の枠組みを作成するべきと考えています。

 

SEC委員長ジェイ・クレイトンは暗号通貨規制をSECの管理下に置くべきだと考えており、SECはStrategic Hub for Innovation and Financial Technology (FinHub)というブロックチェーンや暗号通貨、AIの企業専用の相談窓口を開設し、相談の受付を行っています。

 


FinHubはSECの様々なサービスへのアクセスを一本化することでユーザーがSECの担当者と連絡が取りやすくすることを目的としています。

 

カナダ

 

カナダでは暗号資産取引所に対して、金融取引報告分析センター(FINTRAC)への登録を義務付けることを明らかにしました。

 

マネーロンダリング対策の一環として2020年6月からこの規制は行われる予定となっています。

 

FINTRACへの登録義務は銀行と暗号資産取引所との連携を目指す取り組みの一環としても実施を予定しており、暗号資産のマネーロンダリング対策について規制強化が行われている中で、カナダの取り組みに注目が集まっています。

 

カナダでは今年の2月に暗号資産取引所「QuadrigaCX」が200億円相当の暗号資産を消失した事件が起こりました。

 

QuadrigaCXでは資産管理担当だったGerald Cotten CEOが亡くなってしまったことで、管理権そのものが消失。

 

顧客の暗号資産はコールドウォレットに管理していたとQuadrigaCXは発表していますが、トランザクションの検証からはコールドウォレットに管理した証拠がないとも言われています。

 

コインチェック事件と同様の暗号資産盗難事件の可能性もあり、カナダでは暗号資産への規制強化がカナダ証券管理者(CSA)と投資業界規制機関(IIROC)によって進められることとなりました。

 

結局のところ、QuadrigaCXは4月に破産宣告を行なっており、コールドウォレットについても2018年4月から空であったことが明らかにされています。

 

暗号資産への規制が追いついていないことから、多くの投資家が資産を失ってしまったこの事件を教訓にカナダでは法整備が行われていくことでしょう。

 

カナダでは2020年にアンチマネーロンダリング改正法の施行を予定しています。

 

そのため暗号資産取引所に対しても本人確認(KYC)や不正が疑われる取引の報告義務などコンプライアンス向上に向けた取り組みが進められています。

 

国際的にも暗号資産取引所はマネーローンダリング及びテロ資金供与対策についての対策が不十分であるとして、法整備がFATFによって進められています。

 

暗号資産取引所が規制当局の監督下に置かれ、マネーロンダリング対策に取り組むことで、市場の健全化に期待が集まっています。

 

しかし、一方では暗号資産取引所の撤退や顧客離れを懸念する声も上がっています。

 

FATFによる暗号資産規制は既存の金融システムを保護するといった意味合いもあり、カナダのように暗号資産取引所と銀行との連携を図る取り組みには今後も注目が集まります。

 

ロシア

 

ロシアではプライベートチェーンベースでの暗号資産は合法化される予定となっています。

 

しかし、Facebookが発表したLibra(リブラ)のようなパブリックチェーンベースの暗号資産はロシア国内では取引禁止としています。

 

また、暗号資産取引所についてもロシア国内では今後も禁止とされています。

 

プーチン大統領は今年2月に規制採択を7月1日までに行うように国家院に命じており、石油や天然ガスなどの天然資源輸出に依存した経済構造からの脱却を目指していると考えられます。

 

6月中には暗号資産規制をまとめた法案が採択される予定となっています。

 

FATF(金融活動作業部会)からの勧告を受けて、ロシア中央銀行とFSB(ロシア連邦保安庁)が会議を行ったことをロシアの非政府系通信社Interfaxは伝えています。

 

FATFはマネーロンダリングとテロ資金供与対策(AML/CFT)の国際協調を推進するため設立された政府間機関です。

 

国際的な暗号資産規制の基準をまとめた「解釈ノートとガイダンス」を6月21日に採決しています。

 

「FATFはロシアに対して2019年末までに暗号通貨の流通に関する法案を採択するべきであるとの勧告を行った」とInterfaxは報じています。

 

これまでロシアでは2018年5月に暗号資産取引を禁止する法律が制定され、世界的にみても厳しい暗号資産規制を行ってきました。

 

以前からFATFはロシアの法規制については指摘を行なっており、ICOやプライベートチェーンベースでの暗号資産売買の合法化にむけた取り組みがロシアでは着々と進められてきました。

 

ロシア副財務大臣のAlexei Moiseyevは、「法規制によって暗号資産売買は合法化が検討されているものの、決済については引き続き取り締まる」と述べています。

 

世界各国で暗号資産への規制強化が行われている中で、ロシアでは暗号資産売買は合法化するものの、決済手段としては認めないとしています。

 

ロシアの経済構造は原油価格によって大きな変動を受けやすく、国家予算歳入も石油・ガス税収に依存しています。

 

プーチン大統領は2024年5月に大統領としての任期を終えますが、後継者候補の育成とともに弱体化するロシア経済の改善に取り組まなくてはなりません。

 

ロシアは今回の暗号資産規制によってブロックチェーン企業の発展を目指し、天然資源依存の経済構造からの脱却を図るとしています。

 

バハマ

 

バハマではブロックチェーン企業の誘致を目指して、新しい枠組み作りに取り組んでいます。

 

バハマは100年以上も前から金融立国として国際的にも認知され、「タックスニュートラル」と呼ばれています。

 

同国は法人税や消費税がないといった税制上のメリットがあるために、ブロックチェーン企業の誘致にも積極的な姿勢を見せています。

 

バハマ証券委員会はセキュリティトークン(以下ST)を規制する新しい法案の草案を提出するなど、その取り組みに注目が集まっています。


「Digital Assets and Registered Exchanges Bill, or DARE Bill 2019, for industry and public consultation」

 

この新しい法案はバハマでのトークン発行に携わる取引所をはじめとしてICOプロジェクトにも適用されます。

 

プロジェクトごとにホワイトペーパーを発行することを義務付けており、トークンの種類や資金調達額が変更された場合にはすぐに変更する必要があります。

 

また、トークンの登録には技術や資本力についての詳細な情報が必要となり、マネーロンダリングといったリスクに対しての対策も必要になります。

 

登録には弁護士を雇い、規制当局との連携を行わなければならず、登録されたプロジェクトはデータ保護法、金融取引報告法、金融取引報告規則、金融情報規則の対象となります。

 

これらはバハマ証券規制当局がプロジェクトが実際に行われるのか評価するのに役立ちます。

 

購入者に不利益を被るような場合には直ちに情報開示を求められ、応じない場合には1万バハマドル(10,000ドル)の罰金が科せられます。

 

また、この制度を遵守しなかった場合には50万ドルの罰金または最大50年間の懲役の刑に処せられます。

 

さらに、誤解を招くような情報を提出した際にも最大10年間の懲役が課せられるとされています。

 

バハマでは証券監督所ならびに投資家に対して、投資家保護の観点からST販売に関する情報を提供することを定めています。

 

2019年3月27日にこの草案は公開協議のために提出され、5月28日までには意見をまとめるとChristina Rolle委員会事務局長は述べています。

 

しかし、バハマ証券規制当局にはさまざまな意見が寄せられており、協議の期間は1カ月延長することが予想されています。

 

この公開協議の後にはバハマ政府、議会を経て2019年秋には法案として可決される可能性があるとChristina Rolle委員会事務局長は述べています。

 

バハマは2017年ごろから法整備を行う必要性にいち早く気づき、暗号通貨取引所についても大きな関心を寄せていました。

 

財務省や規制機関は暗号通貨のプロジェクトから問い合わせを受け、合法的なガイダンスの作成を行うなど取り組みを続けてきました。

 

今年の5月にはセキュリティトークンとユーティリティトークンの基準を定めると予想されています。

 

いくつかのトークンは現行の証券取引法から免除されることも予想されており、現在、法案を審議しているとのことです。

 

PO8」はサルベージにより沈没船から引き上げられた海洋考古学の産物をブロックチェーンによってトークン化するプロジェクトですが、これは非代替(NFT)トークンであるために証券法の対象となるか注目を集めていました。

 

NFT(Non-Fungible Token)とは、ERC721規格により発行した非代替性トークンです。

 

これまではCryptokittiesといったゲームに用いられてきましたが、PO8は現物資産である沈没船の財宝をトークン化しています。

 

2019年2月には所有権をSTOとして販売をスタートしました。投資家から集めた資金は、ダイバーへの賃金支払いや博物館の設立にあてられます。

 

将来的には観光客を集めることで収益化をPO8は目指しています。

 

現在、バハマ政府は非代替(NFT)トークン発行について強制処置は取らないとしていますが、法案次第ではこれに従わなくてはならないとされています。

日本におけるSTOの将来性

 

STOはIPOのように数年単位の準備期間も必要なく、ブロックチェーンによって投資家から資金を調達することが可能となります。

 

株式や不動産をブロックチェーンによって小口化して販売することも可能で、より少額から投資が可能となります。

 

ブロックチェーン上で世界中の投資家から資金調達をすることができるため、さらなる投資機会の提供といったメリットも存在します。

 

STOの普及によって市場の流動性向上が期待され、特に不動産市場では小口化によって多くの投資家が不動産投資を少額から行えるようになります。

 

実際に海外では不動産会社が株式をセキュリティトークンとして発行し、トークン所有者には収益の10%を配当として分配するといった事例も存在します。

 

現在のところ日本では実例がないことからどの企業も様子見基調が続いており、海外のユースケースを参考に日本でもセキュリティトークンの普及を目指した取り組みが必要不可欠であると言えます。

 

最近では日本セキュリティトークン協会(JSTA)がアメリカのセキュリティトークン発行プラットフォーム「Securitize」とパートナーシップ締結を行うなど積極的な動きをみせています。

 

STO協会は、法整備などセキュリティトークンについてのルール作りを行うとされています。

まとめ

「新しい資金調達方法」として注目を集めているSTOですが、アメリカだけでなく、世界の国々でセキュリティトークンの発行が行われており、日本においてもその活用が期待されています。  

 

これまではICOの乱立によって、多くの投資家が詐欺まがいのプロダクトによって資産を失うなど、結果として暗号資産業界への信用が失われる事態に発展しましたが、最近では「投資家保護」を目的に規制強化が行われており、法規制に準拠して発行されるセキュリティトークンの活用が暗号資産の健全化にもつながるとされています。  

 

日本ではハッキングによる不正流出がここ数年で相次いでおり、ホットウォレットでの暗号資産管理やKYC・AMLによる顧客管理などが課題とされています。  

 

ビットポイントは自主規制団体である日本仮想通貨交換業協会が定めたホットウォレットへの管理基準を守っていたために35億円で被害が済んだとの見方もありますが、セキュリティ対策についてはより多くのコストがかかることでしょう。  

 

価格操作やスキャムによる被害は減ってきていますが、規制強化の流れの中でICOによる資金調達は日に日に困難になってきているともいえます。  

 

また、FATFによる第4次対日相互審査が行われていることからも暗号資産業界だけではなく、金融業界全体で規制強化が必要であるといえます。  

 

そのような中で、STOによる資金調達は世界各国で事例が生み出されており、日本でも同様の取り組みによって市場の流動性向上や経済活性化を目指すことが予想されています。  

 

 

参考文献

 

Canadian Government Releases Final AML Regulations for Crypto Businesses

Regulations Amending Certain Regulations Made Under the Proceeds of Crime (Money Laundering) and Terrorist Financing Act, 2019: SOR/2019-240

QuadrigaCX’s missing millions is the messiest Bitcoin saga yet

Canadian Crypto Exchange QuadrigaCX Officially Declared Bankrupt

DIGITAL ASSETS AND REGISTERED EXCHANGES (DARE) BILL, 2019 

Bahamas Securities Regulator Proposes Rules for Token Sales

【イベントレポート】「【バハマ政府STO担当官来日!メディア独占イベント】バハマ政府のSTOの枠組みと、ブロックチェーン実用化事例のご紹介」

バハマがブロックチェーン大国に名乗りをあげる|海洋考古学を民主化へ

 

 

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