ステーブルコインは暗号資産業界の発展に重要な役割をもつとされています。
この記事では、ステーブルコインの定義、暗号資産業界の発展における役割、そしてステーブルコインの有望なプロジェクトについて紹介します。
ステーブルコインの仕組み
ステーブルコインとは、価値が法定通貨に紐づけられているコインのことです。
ステーブルコインの発行主体は、ステーブルコインの発行と紐づけられた量の法定通貨を準備する必要があります。
例えば、一コイン=一円のステーブルコインを100億コイン発行した発行主体は100億円を保有する必要があります。
100億円を準備高として保有することで、そのステーブルコインを保有している人が日本円との交換を希望した場合はいつでも交換することができます。
暗号資産といえば人々がすぐ考えるビットコインや、イーサリアムは法定通貨と紐づけられているわけではないので、ステーブルコインではありません。一般に、暗号資産は価値が上下しやすいという特徴があります。
ビットコインに代表される暗号資産は価格の変動が非常に激しいです。
ビットコインの価格を見ると、2017年1月の1コイン約10万円から、2018年1月には約200万円、2019年1月には約40万円と、価格変動が激しいのが特徴です。
この記事執筆時の2019年5月末では約90万円ですが、2ヶ月前の3月末には約45万円と、この2ヶ月で価格が倍になっています。
代表的なステーブルコインであるテザーの価格を見ると、価値はほぼ変化していないことがわかります。
ステーブルコインの必要性
ステーブルコインの、「価値が変動しにくい」という性質は暗号資産においては特殊であり、この性質に大きな期待が寄せられています。
暗号資産は価格の変動が激しいため、長期的に暗号資産を保有すると価格変動により価値が低下するリスクがあります。
この性質により、価格が低い時から多くの暗号資産を保有していた人の資産価値が上昇し、日本で「億り人」と呼ばれるような資産家を生み出した一方、特に2017年後半から2018年初頭にビットコインを購入した人は一時保有ビットコインの価値が5分の1以下まで下落するのを経験しています。
この価格変動は、暗号資産が広く受け入れられる妨げになっている可能性があります。
暗号資産で何かを購入する際に、価格の変動が激しければ、商品を購入することの妨げになります。
店としては価値が一定でないものを商品との交換に使うことには手間がかかります。
例えば、10万円のテレビは円で表記する場合は10万円ですみますが、2017年の1月なら1ビットコイン、2018年の1月なら0.05ビットコイン、記事執筆時なら0.11ビットコインと必要とされるビットコインの価値が全く異なります。
そのため、値札をつけることができず、常にその場で法定通貨とのレートを計算して価格をつけるシステムが必要になります。
また、資産として保有しておくことにも相応のリスクが生まれます。
ステーブルコインは、この弱点を克服しているため、暗号資産がより広く受け入れられるために重要な役割を果たすと考えられています。
暗号資産は、それぞれに特徴があり、用途によって使用を分けることができます。
テザーに代表されるステーブルコインの特徴は価値が一定であることです。
そのため、例えば国際送金にリップルを使ったあとですぐにテザーに交換することで価値を保存するということや、投機目的でビットコインの取引をしている人が資産をテザーに交換して商品を購入するといった要素に使われることが考えられます。
ステーブルコインのプロジェクト
現在、複数の有望なステーブルコインのプロジェクトが計画されています。
スイスの主要証券取引所、Swiss Six は、自社が開発しているセキュリティトークン取引所、Swiss Digital Exchange にてステーブルコインを導入する見込みです。
ブロックチェーン技術の開発に熱心なフランスは、中央銀行の総裁が銀行におけるステーブルコイン導入を検討していると発言しました。
テザーは取引高が全暗号資産でビットコインにつぐ第二位であり、最も知られているステーブルコインです。
テザーの発行高分のドルをテザー社が保有していないという疑惑もありますが、いまでも多くの暗号資産保有者が価値の保存手段として利用しています。
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