「不動産特定共同事業法(不特法)」の改正が平成29年12月に行われてから不動産の小口化が実現し、投資商品としても注目を集めています。
これまでは資本金が1億円からなど参入に大きなハードルがあった不動産の小口化事業ですが、不特法の改正によって資本金1000万から始められるなど不動産市場の流動化が行われています。
今回は「不動産小口化商品とJ-REITの違い」について解説していきます。
不動産小口化商品について
投資家はより少額からの投資ができるため、資産運用の1つとしても認知されており、金商法に基づいたスキームとは異なる、不特法に基づいた不動産小口化商品が普及しています。
金商法スキーム:案件ごとにファンドが組成され、運営会社は投資家から集めた資金を融資として貸し付けます。
貸し付けた資金は運用期間を経て運営会社に返却され、想定利回りに基づいて投資家に分配されます。
不特法スキーム:運営会社は投資家から集めた資金をもとにして不動産を購入、運営し、賃料収入、または売却収入を投資家に分配します。
国土交通省は不特法に基づいた不動産クラウドファンディング事業の促進にむけたガイドラインを平成31年3月に発表しており、さらなる発展が期待されています。
J-REITについて
不動産投資信託と呼ばれ、投資家から集めた資金をもとに複数の不動産への投資を行い、賃料収入や売買益を投資家に分配する仕組みです。
不動産の取得や運営などは専門家に委託され、複数物件(ホテルリゾートやオフィスビルなど)への投資によって分散投資が行われます。
証券取引所への上場をJ-REITはしているため、株式と同じように取引が可能であり、少額投資ができるのも特徴です。
ここ数年は配当が安定して上昇しており、不動産への直接投資よりも手軽にできる不動産投資として人気を集めています。
企業側としても利益の90%を投資家に分配することで、法人税が免除されるといったメリットが存在します。
不動産小口化商品とJ-REITの違い
平成12年11月に改正投資信託法(投信法)が施行され、不動産も投資信託の運用対象として認められるようになりました。
下記の2種類が投信法で定められており、証券取引所に上場しているJ-REITは投資法人(会社型)に該当します。
投資法人(会社型)制度:投信法では投資法人が運用業務などを行うことを禁止しており、投資法人は資産運用、資産保管、一般事務といった業務を外部委託することが定められています。
投資法人が業務の外部委託先を設立し、そこでの運用によって得られた収益を投資家に分配する仕組みを投資法人(会社型)制度といいます。
投資信託(契約型)制度:投資家から集めた資金を「信託財産」として取り扱い、信託契約に基づいて運用を行う仕組みのことを投資信託(契約型)制度といいます。
J-REITでは投資運用を行う際にもこのような制度のもとで運用が行われています。
また、どちらの制度によるJ-REITであっても、金商法に基づいて取引は行われます。
投資法人(会社型)制度:有価証券(受益証券、投資証券)
投資信託(契約型)制度:信託受託権
J-REITは投信法と金商法が適用されているため、不動産小口化商品とは法律面で、違いがあることがわかります。
不動産市場の流動性向上にむけて
不動産クラウドファンディングはスマートフォンから手軽に投資ができるので、資産運用の手法としても注目を集めています。
金商法に基づいてファンドへの融資を行うスキームと不特法に基づいて不動産を取得するスキームの2種類がありましたが、どちらも利回りは5%以上の商品が多く、運用期間も数ヶ月〜2年程度となっています。
複数の不動産クラウドファンディングに少額投資を行うことで、分散投資も可能であるため資産運用を行う際には知っておいて損はありません。
しかし、賃料収入が途絶えた時や不動産が天災によって壊れてしまったというリスクは存在するので、保証制度などはしっかり確認するようにこころがけましょう。
参考文献
REIT(リート)とは 三井住友トラスト・アセットマネジメント
投資信託及び投資法人に関する法律 不動産用語集 三井住友トラスト不動産
少額で投資できる「不動産小口化商品」とは?ーREITとどこが違うの?
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