スタートアップ企業(シンガポール)の資金調達動向|セキュリティトークン市場の現状

シンガポール政府はスタートアップ企業の支援に向けておよそ約217億円(2億8,500万シンガポール・ドル)を第4弾新型コロナウイルス経済支援パッケージの補正予算に盛り込むことを発表。

官民が共同してスタートアップ企業の支援を強化しており、企業の倒産防止と雇用の継続の実現とともにデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進させるため「Digital Resilience Bonus」の導入など、約385億円(5億シンガポール・ドル)をこえる補正予算の計上も明らかにされています。

すでにディープテックに関連した事業を営むスタートアップ企業の支援として約231億円(3億シンガポール・ドル)を今年の2月にも補正予算として計上しており、産業振興に向けた国家的な取り組みを積極的に実施。

新型コロナウィルス感染拡大の影響で有望なスタートアップ企業でも資金調達が困難な状況にある一方、適正な株価・企業価値で出資を行えるといった側面もあり、各国ではベンチャーキャピタルなどが新たなファンドを開始する中、シンガポールでは資本市場の発展に向けて最先端技術を活用した新規産業の育成に力を入れています。

今回は、シンガポールのスタートアップ市場について解説し、将来有望な産業にスポットを当ていきます。

 

RWDC Industries:生分解性プラスチック

 

海洋プラスティック問題など環境保全の観点からレジ袋の有料化に取り組む企業も増加しており、海水で分解される代替素材の開発が行われています。

日本ではレジ袋の生産を手掛ける福助工業が、海洋生分解の研究を行っている群馬大学の粕谷健一教授と共同でトウモロコシなどを利用した生分解性プラスティックレジ袋を開発。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が「海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業」を2024年度実施するなど、生分解性プラスティック市場の発展が見込まれています。

プラスティックを分解する酵素を持つ微生物はすべての環境に存在しているわけではな異事から、プラスティックに酵素を埋め込むことにより生分解が行われるよう開発が進められています。

今後はバイオマスを原料とした新たな生分解性プラスティックの開発も期待されており、国際規格の制定による一般市民への啓蒙などによって、プラスティックと人類のより良い共存関係を築くことが望ましいと考えられています。

シンガポール企業「RWDC Industries」は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を原料とした生分解性プラスティックを開発しており、アメリカ・ジョージア州にも工場を建設するなど生産性の向上に取り組んでいます。

ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、食用の油などを微生物発酵することで製造され、厳格な検査・認証機関である「TÜV(テュフ)オーストリア」からも認証を受けています。

Vickers Venture Partners
Flint Hills Resources
CPV/CAP Pensionskasse Coop
Eversource Retirement Plan Master Trust
WI Harper Group

シリーズ Bでは上記のファンドやVCを中心に1億3,300万ドルの資金調達に成功しており、生分解性プラスティックの普及と環境保全に大きな期待が寄せられていることがわかります。

 

GoBear:金融包摂・デジタル保険

 

金融市場においては近年、小口投資や金融包摂の実現に向けて最新技術を活用する取り組みが注目されています。

GoBearは、「Compare banking and insurance in seconds」を掲げ、さまざまな金融・保険商品の検索・比較サービスを展開。

すでに香港、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、、タイ、ベトナムといった東南アジアを中心に展開され、

・旅行保険
・自動車保険
・クレジットカード
・個人ローン

をオンラインで選択し、利用することができるので、これまで対面でしか申し込みのできなかった金融・保険商品のデジタル化を実現しています。

Standard Chartered
Tunaiku
Commonwealth Bank
Simas Insurtech
OCBC NISP
FWD Life
Digibank DBS

といった企業もパートナーとして参画しており、その総数は100社以上に及びます。

新型コロナウィルスの感染拡大の影響でデジタル保険部門においては52%も平均注文額が増加しており、GoBearが手掛ける各サービスには多くの需要があると考えられます。

また、フィリピンの融資プラットフォーム「AsiaKredit」を買収したことで、GoBearはデジタル融資サービスの提供も行っており、金融スーパーマーケットとしてより多くの人々へさまざまな金融商品を提供し、金融包摂(financial inclusion)の実現に貢献していると言えます。

Walvis Participaties
Aegon N.V.

といったベンチャーキャピタル、資産運用会社から2019年5月には8,000万米ドル、2020年5月には1,700万米ドルの資金調達に成功しており、東南アジアの保険・クレジットカード・ローン市場の未来を担うとして大きな期待が寄せられています。

 

ヘルスケアスタートアップがシンガポール市場を牽引

 

近年では、SNPs検査など遺伝子マネージメントや「均一場理論」に基づいたタイムウェーバーといった高次元情報の書き換えといった新たな取り組みが最先端医療として広まっています。

個々人の体質にあった最先端医療サービスは今後発展することが予想されますが、専門知識を有する薬局(薬剤師)と患者をつなぐプラットフォームの提供によって薬局市場のデジタル化に取り組む企業もシンガポールには存在しています。

mClinica Pharmacy Solutionsが手掛けるSwipeRxプラットフォームは、医薬品や治療へのアクセスの効率化を実現し、すでに東南アジア7か国で1億5,000万人以上の人々に利用されています。

また、インドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシア、タイ、カンボジアの薬剤師3人に1人がSwipeRxプラットフォームを利用しています。

シリーズAでは、620万米ドルの調達に成功し、今後は2,000万ドルの調達をmClinica Pharmacy Solutionsは目指しているとのことで、東南アジア最大のデジタル薬局プラットフォーム「SwipeRx」のさらなる利用者数拡大が見込まれます。

日本企業である双日が、AI技術を活用した画像診断および遠隔医療システムを提供する「テツユウ・ヘルスケア・ホールディングス(THH)」に出資を行っており、すでに20の医療機関との連携に成功しています。

シンガポールでは環境保全や医療分野においてスタートアップ企業の活躍がめざましく、シンガポール政府の支援を背景に2020年代はより強固な資本市場の形成が見込まれています。

セキュリティトークン取引所「iSTOX」「1exchange(1X)」が運営されているシンガポール市場においても、企業が資金調達の一環としてSTOを実施し、未成熟な取引所への上場を望むかについてはより多くの時間と議論が必要と考えられますが、未公開株式や不動産といったこれまで非流動性資産とされてきた資産のトークン化によって、より幅のある資本市場の形成が将来的には見込まれるでしょう。

参考文献

第4弾補正予算で、スタートアップ、企業のデジタル化を追加支援(シンガポール)

https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/06/8d4040402748bc90.html

・RWDC Industries

シンガポールのバイオテックスタートアップRWDC、1億3,300米ドルを調達しシリーズBをクローズ——生分解性プラスチックの生産力増強へ

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000714.000012580.html

https://newswitch.jp/p/22269

https://newswitch.jp/p/22573

https://www.kankyo-business.jp/news/025062.php

https://user.spring8.or.jp/sp8info/?p=3201

シンガポールのGoBearが1,700万米ドルを調達、東南アジア全域で金融サービスを加速へ

・GoBear

シンガポールのGoBearが1,700万米ドルを調達、東南アジア全域で金融サービスを加速へ

https://www.crunchbase.com/funding_round/gobear-series-unknown–64b53efa#section-overview

https://e27.co/financial-products-comparison-firm-gobear-acquires-lending-platform-asiakredit-to-grow-to-philippines-20200504/

https://www.gobear.com/id

https://www.prnewswire.com/news-releases/financial-supermarket-gobear-announces-us80-million-in-funding-300846051.html

https://sbr.com.sg/financial-services/more-news/gobear-chubb-pilot-work-home-insurance-product

・mClinica

https://www.mclinica.com/

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59277760Z10C20A5FFE000/

https://www.crunchbase.com/organization/mclinica#section-overview

mClinica Pharmacy Solutions leads the charge against COVID-19 in Southeast Asia

・THH

https://news.yahoo.co.jp/articles/46426dd24d83b922609902694ea67871f3c68cd4

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