シンガポールIPO・スタートアップ市場2021|DBS Digitale Exchangeの将来性

2020年のシンガポール証券取引所(SGX)には5つのETFと2つのREITを含めて15の銘柄が新たに上場しました。(2020年12月16日現在)

 

シンガポール証券取引所(SGX)にはマザーボード、カタリストの市場があり、近年では国内のテック系スタートアップ企業の国内上場を促すためにナスダックとの提携を結んでいます。

 

新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり2020年のIPO数は減少傾向にありましたが、12月には「Aedge Group」、TECH ETFである「Lion-OCBC Securities Hang Seng」、「Credit Bureau Asia」が上場。

 

アジアにおいては米国における中国企業の締め出しの影響で、香港・上海証券取引所が新たな上場市場として機能し、中国のテック系スタートアップ企業のIPOが増加傾向にあることから2020年代においてシンガポールがアジアの金融ハブとしてどのような役割を果たすのか証券市場においては上場企業数の増加が大きな課題と考えられます。

 

DBS銀行が開発/提供を手がけるデジタル資産取引所「DBS Digitale Exchange」のローンチがシンガポールでは予定されており、本稿ではシンガポール資本市場の課題を踏まえて、その将来性について考察していきます。

 

2020年のシンガポールIPO・スタートアップ市場

シンガポールではユニコーン企業「Grab」「Sea」「Trax」が世界的にも注目を集めており、中国大手テック企業が「Regional hub」としてシンガポールに拠点を構えることを検討しています。

 

東南アジア市場の重要な経済圏であるシンガポールにおいて中国大手テック企業の影響力が強まることで、国内のスタートアップ企業はより円滑な資金調達やM&Aによるイグジットの機会が提供される可能性が高まることでしょう。

 

今年の10月に上場した「Nanofilm Technologies(ナノフィルムテクノロジーズ)」は4億7,000万ドル以上の調達に成功しており、JustCo、Carousellなどは8億米ドル以上の評価額と推定されています。

 

今後もスタートアップエコシステムの成熟が進むことで国内市場の活性化が図られることが見込まれ、金融・物流・工業など従来の産業構造をテクノロジーによって効率化する取り組みに多くの資金が投じられると考えられます。

 

現在、シンガポール政府は積極的なスタートアップ支援プログラムによって企業の成長を促進させることを目指しており、新たなマーケットとしてデジタル資産取引所「DBS Digitale Exchange」の開発/提供が予定されています。

 

シンガポールにおけるDBS Digitale Exchangeの可能性

近年ではIT企業による金融サービスの提供が行われており、シンガポールでも「Grab」や「Sea」、「AntGroup」がデジタル銀行ライセンスの承認を得ています。

 

中国ではフィンテックの台頭によって金融の市場構造が変化し、最近では従来の金融機関を保護する意味合いでフィンテック企業への規制強化が実施されています。

 

デジタル人民元のパイロットテストも各省で行われており、シンガポールをはじめとした東南アジア貿易において人民元建ての取引が将来的に普及することで、国際的な競争力を高めることも大きな議題の1つとして語られています。

 

デジタル銀行であるフィンテックスタートアップ企業が、データを活用した金融サービスを中小企業や個人に提供することで、シンガポールにおいてもデータエコシステムの利活用が進むことが予想されます。

 

現在は年間上場企業数が10社前後となっていますが、米国や中国の資本市場においてはここ10年間でテック系スタートアップ企業が次々に上場を果たしています。

 

2020年は量的緩和と個人投資家による投資の活性化を背景に「持っている株を売ってでもIPO銘柄に投資する」機運が米国では非常に高く観測され、株式のみならずビットコインに代表されるデジタル資産が投資対象として認知を拡大した年でもあります。

 

そのような市場環境の中で、デジタル資産取引所「DBS Digitale Exchange」はシンガポール市場により自由度の高い資産運用のあり方をもたらし、資本市場を活性化することが期待されます。

 

DBS Digitale Exchangeの将来性

DBS銀行が開発/提供する「DBS Digitale Exchange」は、セキュリティトークンオファリング(STO)、暗号通貨取引、デジタル資産カストディサービスを主な事業の柱としています。

 

STOは株式や不動産など資産に担保されたトークンのことで、「未公開企業株式、債券、プライベートエクイティファンド」も対象すると発表されています。

 

シンガポールでは上場数自体は少ないものの多くの有望スタートアップ企業が存在していることから未公開株式市場における流動性向上によって、資本市場全体の裾野を広げることが重要であると言えます。

 

「資産のデジタル化の指数関数的なペースは、資本市場を再形成するための計り知れない機会を提供します。

シンガポールがグローバルな金融ハブとしてさらに競争力を持つようになるためには、デジタル資産と通貨取引の新たなメインストリームを採用する準備をしなければなりません。

DBSは、これを促進するために完全に統合されたエコシステムの開発を加速することに取り組んでいます。」

 

DBSグループCEOのPiyushGupta氏は上記のように述べており、将来的な市場発展を見据えた「DBS Digitale Exchange」開設の取り組みはシンガポールを金融ハブとしてより大きな存在とすることでしょう。

 

まとめ

「DBS Digitale Exchange」では、ビットコイン、イーサリアム、ビットコインキャッシュ、XRPを取り扱い、法定通貨としてはSGD、USD、HKD、JPYでの取引が可能となります。

 

また、スイスのデジタル証券取引所「SIXデジタルエクスチェンジ(SDX)」と日本の「SBIグループ」、「SBIデジタルアセットHD」が協業し、シンガポールでのデジタル資産取引所の開設を目指しており、金融市場におけるデジタルインフラストラクチャの構築が水面下で進行しています。

 

シンガポールにおけるノウハウの蓄積やスイス、日本との相互的な発展が2020年代では観測されると予想され、グローバルなデジタル資産取引所の構築が進むことでしょう。

 

証券取引所や銀行がデジタル資産市場に進出する事例が世界的にも多く観測されていますが、シンガポールIPO・スタートアップ市場により多くの投資が集まる1つのきっかけとして「DBS Digitale Exchange」の開設は大きな意味を持つことでしょう。

 

・参考文献

 

MAS greenlights DBS Digital Exchange. SGX invests

SBI, SIX announce Singapore digital asset joint venture

Singapore bank DBS to launch digital exchange for institutional investors

Singapore bank DBS to launch digital exchange as demand for virtual currencies soar

IPO Performance/SGX

How Much Would Singapore Investors Have Earned If They Invested $1,000 In Every IPO On The SGX In 2020?

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2020 Guide To Singapore Tech Scene: Events, Startup Hubs and VCs

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