リアルエステートセキュリティトークン(REST)市場の展望|Vertalo、tZEROが不動産トークン事業を開始

不動産STO

セキュリティトークン市場において多くの注目を集めているのが不動産領域における流動性の向上です。

 

日本でもクラウドファンディングやソーシャルレンディングを活用して国内のみならず、海外の不動産への投資も近年では行えるようになるなど、市場の拡大が見込まれています。

 

一方で、コロナウィルスの感染拡大によって商業用不動産ではテナントの多くが休業を余儀なくされ、産業の構造的変化への対応が迫られています。

 

また、観光客の減少による宿泊施設の空室、不特定多数の人々が集まるシェアオフィスなど、ここ数年間で成長を遂げていた不動産事業に関しても業態の見直しが必要であると考えられます。

 

今後はSOHOのような形で在宅勤務が当たり前となり、どのように統制環境を整備していくのかなど、コンプライアンス遵守や企業文化の変化への対応も企業にとっては不可欠になるでしょう。

 

シュリンクしていく事業がある一方で、不動産領域においてはより小規模かつ効率性の高い新たなビジネスモデルの構築を模索する取り組みが重要であると言えます。

 

そのような中で、米国においてはVertalo、tZEROなどが不動産のトークン化事業を発表しています。

 

・既存のプライベートエクイティ取引所との差別化:成長企業が株式をトークン化することの意義
・SECへの登録免除規定Regulationへの準拠による1年間のロックアップ:取引高、上場銘柄がすぐに増えない

 

といった、これまでのセキュリティトークン市場の課題に対する1つの答えとして不動産トークンによる取引所の活性化は、将来的な市場の発展に向けて非常に重要であると考えられます。

 

 

・取引所(ATS)での不動産トークンの売買によるセキュリティトークン市場の活性化
・不動産証券化のバックオフィス業務へのブロックチェーン技術の活用による事業効率化の実現

 

など、不動産領域において大きな可能性を秘めているトークン化への取り組みが世界的に広まることで市場はさらなる発展が見込まれます。

 

今回は、2010年代の不動産市場動向を踏まえて、不動産トークンの可能性について探っていこうと思います。

Vertalo、tZERO $ 300Mの不動産をトークン化

Vertalo、tZERO、Prime Trust、およびAdvantage Blockchainは、$300Mの不動産をトークン化する4社間のパートナーシップを発表しました。

 

・Vertalo・Advantage:Tezosブロックチェーン上で不動産をトークン化
・Prime Trust:トークンを保管(カストディ)
・tZERO:パートナーであるブローカーディーラーDinosaur Financial Groupを通じて、ATSでトークンの取引を実現

 

上記のような流れで、不動産トークンの発行からセカンダリーマーケットでの取引を予定しています。

 

このパートナーシップは、ペンシルベニア州を本拠地とする「Real Estate Capital Management」のポートフォリオの段階的なトークン化の実現を目指すものです。

 

今後3か月でおよそ9000万ドルの不動産トークン化を予定しており、ペンシルベニア州とコスタリカのホテルのトークン化を皮切りに、一般投資家に向けた不動産投資機会の提供が実現されると考えられます。

 

「米国でReg Dを使用してSTO を行う場合、それらが取引可能になるまで1年待つ必要があります」

「この取り組みは不動産をトークン化しているため、すぐに上場され、すぐに取引できるようになります。」

「私たちは資金を調達するためにセキュリティトークンを使用していません。テクノロジーを使用してコストを削減し、コストを節約しています。」

 

VertaloのCEOであるDave Hendricks氏は上記のように述べており、セキュリティトークンによる不動産の資金調達よりも、現在はより安定した流通市場の構築を目指しているとしています。

 

Vertaloは、不動産オーナー、投資家、ファンドマネージャーが現在の不動産投資をトークン化するためのツールとしてVertalo Real Estateプラットフォームを開発したとしており、資産のトークン化に対応するためトランスファーエージェントの新たなあり方を指し示しているとも言えるでしょう。

2010年代の不動産市場と今後

2010年代の世界経済は中国の「低賃金・高成長」の恩恵を受け発展を遂げてきましたが、ここ数年は中国経済の成熟とともに国有企業債・地方債のデフォルトへの懸念が生じています。

 

2019年には国有企業9社のデフォルトが確認されており、その中には2018年の世界500強企業に挙げられた「天津物産集団」やホワイトグローブとして知られるHNAグループからも3社がデフォルトしています。

 

また、地方政府の債務残高は21兆3800億元と中国財政部は発表しています。

 

リーマンショックの際に行われた中国の4兆元財政出動刺激策によって世界経済は立て直しを図ることができましたが、各国は景気刺激策を継続したことで、2010年代は実体経済とはかけ離れた金融相場が形成されたと考えられます。

 

そのような中で、不動産市場は金利の引き下げやカネ余りの恩恵を受けて、成長を遂げ、日本でも不動産の小口化商品がインカムゲイン型の新しい投資商品として親しまれるようになりました。

 

しかし、中国では2019年の地方債の発行は6兆元にも及ぶ一方で、すでにインフラ事業への投資は不動産価格の停滞の影響もあり、その必要性は薄れていると言えます。

 

新たな地方債の発行によって償還の補填を行うことで中国経済が減速するのを引き延ばしている状態にあるため、地方財政は逼迫し、不動産価格の下落とともにデフォルト総額は増大することも考えられます。

 

「国進民退」の政策のもとで、民営企業がデフォルトし、次に国営企業、そして地方財政にまで、中国経済の破綻の兆候は出始めており、国内債券のデフォルト総額は1000億元(2019年10月まで)にも及んでいます。

 

地方においては銀行、企業、政府が連鎖的にデフォルトする可能性が指摘されており、債務の取り消し(ライトオフ)の実施などリーマンショック以後の世界経済の成長を支えた中国は大きな経済的リスクを抱えています。

 

そのような要因から2020年代の不動産市場は中国を中心としたアジア市場においては停滞を余儀なくされるとも考えられます。

 

2020年代は不動産の利活用について新たなビジネスモデルの構築が図られる中で、世界経済全体のリスク要因を考慮し、不動産投資を行うことが重要であると言えます。

アジア市場における不動産トークン事業の可能性

東南アジアにおいてはフィリピンがREIT法の条件緩和によって、アヤラグループが約150億ペソ(約320億円)調達計画を発表するなど、人口増加や経済成長を背景とした不動産開発への取り組みが活性化しています。

 

今年の1月には、フィリピン内国歳入庁(BIR)がREITによって得られた配当に関する源泉徴収、個人所得税の免除規定(7年間)を施行し、従来、銀行に預金されていた資金をREITに投資できる環境の整備が行われています。

 

そのような市場環境の中で、C ESTATES Inc.は、マカティ市内のおよそ88,500,000 フィリピン・ペソ(日本円:およそ1億8734万円)の不動産をトークン化を2019年9月に実施。

 

現在、多くの不動産物件がプラットフォームには掲載されており、トークンによる不動産の少額取引が見込まれています。

 

2019年にはSwoopの買収やRE / MAXキャピタルとのパートナーシップを締結し、投資家向けの検証済み物件リストのデータベース構築への取り組みを行い、不動産のデジタル化によって海外投資家へのフィリピン不動産への投資機会を提供することを目指しています。

 

今後は、フィリピン国民のみが所有できる不動産やインフラに関する所有権の譲渡証書への提供を予定しており、投資家保護の観点から証券取引委員会など、政府内のいくつかの機関と協力して、法律に遵守していることの協議を行なっています。

 

不動産取得に数ヶ月の時間を要するフィリピン市場の課題解決についても取り組みを進めており、将来的には

 

・クラウドソーシング
・タイムシェアリング
・ランドバンキング
・住宅ローンなどの融資

などの追加サービスを提供し、

・マレーシア
・インドネシア
・タイ
・カンボジア
・ベトナム

 

に事業を拡大する予定としています。

 

“Those are the first targets that we have outside the Philippines, hopefully, early 2020,” “If we can make it in the Philippines, I doubt we cannot do it in other countries because regulations there are definitely much advanced than [ours].”

 

C Estates COO であるElixes Becislaoは上記のように述べており、2020年代における東南アジア市場において、不動産のトークン化が大きな可能性を秘めていることが伺えます。

 

C Estates ホワイトペーパー

https://cestates.io/assets/download/cestates_whitepaper.pdf

 

まとめ

 

リアルエステートセキュリティトークン(REST)市場では、不動産トークン化プラットフォームであるRealTに3つの新しい不動産物件が掲載されるなど、RESTの取引量はセキュリティトークン市場全体のおよそ15%に達しています。

 

これまでtZEROやOpen finance Networkにおいて取引高が増えないことを背景にSTO市場の将来性については懐疑的な声も少なくありませんでした。

 

リアルエステートセキュリティトークン(REST)は、米国のみならずドイツ(Black Manta)でも取り組みが行われており、STO市場の拡大に向けて大きな役割を果たすことが考えられます。

 

これまで一般投資家に出回らなかった高級不動産のみならず、成長が見込まれる東南アジアの不動産のトークン化についても大きな期待が寄せられます。

 

法的な要件が各国でどのように定義されリアルエステートセキュリティトークン(REST)が広まっていくのか。

 

悲観的な予想が強まる2020年代の不動産市場において、トークン化は新しい時代を切り開く大きな可能性を秘めていると言えるでしょう。

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