不動産セキュリティトークン市場の現状と可能性|安定的な不動産セクターは?

ルクセンブルクのセキュリティトークン企業ブラックマンタはドイツの規制当局bafinから認可を受け、ヨーロッパの不動産トークン市場において大きな注目を集めてきました。

 

ベンチャーキャピタルからの資金調達に成功したことをブラックマンタは明らかにしており、今回は不動産投資市場の動向を調査するとともにセキュリティトークンの可能性について考察していきます。

 

日本でも渋谷の再開発が進み多くのオフィスビルが立ち並ぶようになりましたが、新型コロナウィルスの影響で稼働率の低下など不動産市場も大きな変化の時を迎えています。

 

一方、リモートワークの普及によって鎌倉など都心部から離れた地域に移り住む人々も増加傾向にあり、書斎付き不動産への需要の高まりなど不動産商品の多様化といった観点からも新たな不動産市場のあり方が模索されてきます。

 

不動産セキュリティトークン市場の現状

日本は人口が減少傾向にありますが、経済発展が見込まれる東南アジアのマレーシアやフィリピンでは大規模な不動産投資計画が立ち上がっており、海外不動産への投資も近年では人気を集めてきました。

 

ソーシャルレンディングやクラウドファンディングプラットフォームでは、米国不動産への少額投資案件も登場しており、日本の投資家でも簡単に海外投資を行えるようになっています。

 

セキュリティトークン市場においてもブロックチェーン技術を活用した業務効率化や世界各国の高利回りな不動産の流動性を高めることに大きな関心が寄せられており、多くの資産を有する投資家しか参加できなかった不動産投資市場における少額投資の普及が見込まれています。

 

これまで利回りの低さから証券化できなかった不動産がブロックチェーン技術やさまざまな最新技術を活用することでどのように流動性を高めることができるか?といった観点から不動産セキュリティトークン市場を中長期的に見ていくこと、そして実証を通じてその可能性を探っていくことが重要であると考えられます。

 

2019年からドイツでは多くの不動産セキュリティトークンプロジェクトが発表され、イギリスでもtzeroが高級不動産のトークン化プロジェクトへの取り組みを示唆するといった事例が相次ぎ、今年の3月からはuniswapを通じて米国不動産のセカンダリー取引を実現したRealTが人気を博するなど不動産市場の活性化が進行。

 

かなりタイムリーな話題ですが、デトロイトの不動産トークンが即日完売したとの発表をRealTは行っており、不動産セキュリティトークン市場におけるセカンダリーマーケット構築の成功事例として今後も活躍が期待されます。

現在のところ不動産市場の先行きが不透明であるためにtzeroによる英国高級不動産のトークン化プロジェクトなどの進捗状況は明らかにされていませんが、水面下ではRealTがuniswapを通じて海外投資家から多くの投資を集めている事例もあり、今後予想される不動産価格の下落後の市場形成も含めてより中長期的な視点で不動産セキュリティトークンへの取り組みを考察することが重要であると言えます。

 

不動産セキュリティトークン市場の可能性

 

冒頭でお話しした通り、不動産市場は大きな変化の時を迎えていることから現在の不動産セキュリティトークンのあり方も市場の変化とともに変わることが予想されます。

 

また、不動産投資自体はインカムゲイン型の投資商品であることから長期保有によってその価値を発揮する傾向にあります。

 

不動産領域で、取引所におけるセカンダリーマーケット(uniswapなどは考慮しない場合)形成が進むことや投資家間でのP2P取引の実現など、より多くの可能性を不動産セキュリティトークンは秘めているとも考え、まずはプライマリーマーケットにおける不動産投資商品の多様化など、従来の不動産市場の流動性をより向上させる役割を担う必要があるとも言えます。

 

日本でもオリンピック需要によって不動産市場に多くの資金が投じられましたが、オフィスビルの解約や不安定な世界情勢の中で、不動産の投資商品としての価値が大きく下落することも考えられます。

 

そのためより安定的な需要を見込めている不動産セクターの選別が重要であると言え、最近では物流センターなどが大きな需要を集めています。

 

安定的な不動産セクターは?

 

米国では下記の3つのセクターの安定性や需要の高さ、回復力の速さに注目が寄せられています。

 

・インフラストラクチャ

 

携帯電話の通信タワーや5Gネットワーク基地局への積極的な投資を大手通信会社は実施しており、在宅勤務によるネットワークインフラの活用の増加など、社会インフラとしてその重要は今後ますます拡大するとされています。また、人の入居や出入りが伴わない点においてもその他の不動産セクターと大きな違いがあると言えます。

 

・データセンター

 

家庭でのデータ使用量の増加やクラウドコンピューティングの普及によって、データセンターの社会的重要性は増しています。インフラストラクチャと同様に入居者を必要としない高い稼働率を安定して生み出せる不動産セクターであり、引き続きその需要は安定的であると考えられます。

 

・インダストリアル

 

配送センター、倉庫はEC需要の急激な増加にともない、その社会的重要性を高めていますが、国際貿易や製造業が大きな打撃を受けていることもあり、景気後退期には不安定なセクターになることも考えられます。しかし、現状はその価値を高めており、早期に世界的な混乱が沈静することがこのセクターの発展につながります。

 

まとめ

 

米国のREITの需要を参考に安定的な不動産セクターを見てきましたが、日本では不動産投資商品としてあまり見たことのない不動産セクターが多かった印象です。

 

リーマンショック後には日本のREIT市場も壊滅的な下落を経験しましたが、現在では数十兆円規模の市場に成長しており、不動産セキュリティトークン市場の発展を見据える上では、「魅力的ではあるものの、これまで流動性のなかった投資商品」の流動性向上が大きな鍵を握ることでしょう。

 

市場の先行きも不透明ではありますが、より包括的な考察を今後も継続して行っていこうと思います。

 

・参考文献

 

REITs: Clearing Up Some Misconceptions

Real Estate Investment Trusts (REITs): A stable investment option

10616 McKinney St, Detroit, MI 48224

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