不動産セキュリティトークン|投資商品としての可能性について

不動産STO

アメリカではHarborが学生寮REITをセキュリティトークンとして発行し、2,000万ドルの資金調達を目指したものの貸し手との折り合いがつかずに結局のところ今年の4月に中止となってしまいました。

 

不動産市場規模を考えると、セキュリティトークンを活用した小口投資の実現によって、流動性を向上させる取り組みが盛んに行われてもおかしくはないのですが、

 

法律面や実際の費用対効果(REITをセキュリティトークン化するよりもREITとして販売したほうが効率的)を考えると、現時点では不動産投資でのセキュリティトークン活用方法を模索している段階にあると言えます。

 

今回は他の不動産投資商品との比較によって、「不動産セキュリティトークン」の投資商品としての可能性を探っていきます。

日本の不動産投資の現状と課題

 

不動産投資は株やFXよりも価格変動が激しくないことから、投資の中では安定した投資商品として広く親しまれてきました。

 

日本人は新築物件を好む傾向があり、海外と比較すると中古物件の市場が小さいといった特徴があります。

 

最近では中古物件をリフォームするためにクラウドファンディングで資金調達し、運用によって得られた収益を投資家に分配するといった事業も行われており、日本独自の視点から不動産市場の活性化が図られています。

 

インターネットを活用して小口投資が可能になったために資産運用の手法として注目を集める不動産投資ですが、「不動産セキュリティトークン」は将来的に投資商品としてどのような特徴を持ち、実用化にむけてはどのような取り組みが行われているのでしょうか?

 

不動産投資クラウドファンディング

 

株式会社ブリッジ・シー・キャピタルは「不動産特定共同事業法」に基づいた不動産投資サービス「CREAL」を展開しています。

 

インターネットで投資家から投資を募り、集めた資金をもとに不動産を購入し、運用します。

 

家賃収入を投資家に配当として毎月分配し、運用期間は4ヶ月〜24ヶ月と設定されています。

 

投資家は匿名組合への優先出資、株式会社ブリッジ・シー・キャピタルは劣後出資を行う仕組みになっているので、仮に不動産売却の際に元本割れした場合でも損失分は株式会社ブリッジ・シー・キャピタルがカバーするようになっています。

 

また、子会社の株式会社ブリッジ・シー・エステートとマスターリース契約を結んでいるため、家賃の支払いが滞った場合でも投資家への配当には影響が出ない仕組みを構築しています。

 

これまでは一般投資家が投資できなかったハイグレードな投資案件にも少額から投資ができることも特徴の1つと言えます。

 

定期的な配当と安定したリターンが見込める不動産投資であり、1万円から投資できるといった点において高い評価を得ています。

 

ソーシャルレンディングと比較すると物件情報が明確化されており、収支内容も見極めた上で投資を行うことができます。

【関連記事】
不動産特定共同事業法(不特法)|小口化商品とJ-REITの違い

不動産投資クラウドファンディング|不特法によるシステムを解説
不動産投資クラウドファンディング|不特法やブロックチェーンの可能性

ソーシャルレンディング

 

ロードスターキャピタル株式会社は不動産に特化したソーシャルレンディングサービス「OwnersBook(オーナーズブック)」を展開しています。

 

第二種金融商品取引業に基づいて、インターネットで投資家から資金を集め、不動産ファンドへの貸付を行うといったスキームを構築しています。

 

ファンドへの貸付を行うといった仕組みであるため、借手からの返済利息を投資家に配当として分配します。

 

自社で不動産の運用を行うわけではないので、不動産投資クラウドファンディングとは異なるビジネスモデルと言えます。

 

物件リスクや貸付条件といった詳細情報が記載されており、不動産の評価額や貸付タイプなども確認した上で投資が可能となっています。

 

貸付タイプや配当に関して各プロジェクトごとに異なる点が、不動産投資クラウドファンディングとの違いです。


REIT

 

REITは不動産を証券化した不動産投資信託として証券市場での売買が行われます。

 

景気動向や不動産市況に影響を受けやすく、リーマン・ショック時には投資家からの資金調達ができないために多くの事業者が撤退を余儀なくされましたが、ここ数年は不動産市況の活況によって多くの資金が流れ込んできています。

 

不動産の取得実績も年間で1兆円に達するなど、市場規模自体は拡大をしていますが、値動きの激しさがデメリットであり、不動産投資クラウドファンディングやソーシャルレンディングとは異なる性質を持つ不動産投資と言えます。

 

集めた資金を複数の不動産に投資し、運用するため分散投資が自然と行われ、1つの物件の運用失敗や売却による損失などが起こった際にも他の物件の運用益でカバーできる仕組みとなっています。

【関連記事】
不動産のセキュリティトークン化の事例|J-REITや証券化不動産市場

セキュリティトークン 小規模不動産の活用にむけて

 

不特法の改正によって、小規模不動産の小口化やインターネットでのより簡易的な資金調達が可能となりました。

 

地域を問わず面白いプロジェクトには不動産クラウドファンディングを利用して投資をしようとする投資家は増えており、小口化によって一般人でも少額からの投資を行うことができます。

 

しかしながら、事業に取り組む担い手が不足しているといった課題も存在し、法的な面での参入障壁が低くなったとしても、実際に取り組む事業者や物件の確保が行われなければ不動産市場の流動性向上は難しいと言えます。

 

より多くの人々に対して、中古物件や古民家といった小規模不動産の活用を啓蒙するために注目を集めているのが「不動産テック」です。

 

「不動産テック」は

 

人工知能(AI)
ブロックチェーン(分散型台帳)
仮想現実(VR)
拡張現実(AR)

 

といった最新技術によって、不動産価格査定の統一化や仲介業者の排除による取引の効率化を測ることができるとして、多くの企業で導入への取り組みが進められています。

 

ブロックチェーン技術を活用することで、物件情報の管理・共有をはじめとして、取引や配当の自動化を行うといった新たなビジネスモデルも模索されています。

 

インターネットでの不動産クラウドファンディングによって、小規模不動産の活用への取り組みが着実に行われていますが、単一用途特化型REITをセキュリティトークンとして発行し、資金調達を行うといったユースケースもアメリカでは存在しています。

 

このアメリカでの取り組みは不動産オーナーと不動産投資会社とのトラブルによって結局は中止となりましたが、セキュリティトークン発行プラットフォーム「Harbor」は今後もセキュリティトークンを活用した不動産市場の流動性向上を目指すとしています。

 

セキュリティトークンの最大のメリットはブロックチェーン技術を活用した不動産の証券化事例として、新たなビジネススキームを投資家に提供することができるといったことが挙げられます。

 

本来のREITとセキュリティトークン発行における運用管理費用の比較など、不動産投資におけるセキュリティトークンの実用化にむけては多くの課題を抱えていると言えます。

 

「Harbor」は今年の5月にも投資会社Rhodium Capitalと提携し、1億ドルの不動産投資ファンドのトークン化を行うと発表しています。

【関連記事】
ブロックチェーンと不動産|日本の不動産に海外の富裕層が投資する時代

まとめ

 

・不動産投資はインターネットにて少額投資が可能になり、資産運用の手法として注目を集めている。

 

・現在では、不動産投資クラウドファンディング、ソーシャルレンディング、REITなどが注目を集めている。

 

・「不動産テック」と呼ばれる最新技術を用いての不動産価格の統一化、中間業者の排除による業務の効率化を促す取り組みが多くの企業で進められている。

 

・不動産投資におけるセキュリティートークンの活用は発展途上であるが、今後活用されていく可能性は十分にある。

 

参考文献

 

Harbor Cancels Tokenized REIT Of University Dorm ‘The Hub At Columbia’

CREAL 公式サイト

OwnersBook

学生寮REIT

 

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