OTC取引は取引所を介さずとも暗号資産を購入できるため、規制強化の流れとともにその存在感は日に日に増しています。
日本の暗号資産取引所「Coincheck」においてもビットコイン(BTC)のOTC取引仲介サービスを行なっています。
【大口OTC取引サービス提供開始のお知らせ】
この度、Coincheck(WEB)では大口取引のお客様を対象とした大口OTC取引サービスの取扱を開始致しましたことをお知らせします。https://t.co/D6NQvvcaCs— Coincheck(コインチェック) (@coincheckjp) April 1, 2019
しかし、最近ではマネーロンダリング対策として、より厳格な暗号資産の管理が今後は必要とされており、暗号資産取引所への負担が増大することで、市場の発展が妨げれるとの見方も強まっています。
また、国際的な暗号資産の規制強化をFATFが行なっており、暗号資産取引所が送付人だけでなく、受取人の顧客情報の管理・共有を行うといった規制が今後は設けられる可能性が出てきています。
個人同士が暗号資産の交換を行えるOTC取引の発展が予想される一方で、規制の手が届かない領域での取引の増大によって、暗号資産を含めた既存の金融システムの秩序が乱れることも考えられます。
そのような中で、中国企業や投資家が1日あたり10億〜30億円相当のテザーをHuobi Globalモスクワ支店からOTC取引によって購入しているとのニュースが報じられています。
中国人によるテザー購入について
“There are a lot of OTCs here in Moscow City, a bunch of offices in every building, and the volumes for them all can reach several dozens of millions of dollars a day. It’s all paid for in cash,”(「モスクワ市内にはたくさんのOTCがあり、すべてのビルにたくさんのオフィスがあり、それらのボリュームはすべて1日に数千万ドルに達する可能性があります。)
Huobi Globalモスクワ支店のOTC取引責任者であるMaya Shakhnazarovaは上記のように述べており、全取引の中でもテザーが80%を占めているとしています。
最近ではBitfinexが8億5100万ドル(約950億円)にも及ぶ巨額損失をテザーによって補填したとして裁判にも発展していますが、実際にはクリプト・キャピタルがマネーロンダリングに関与していた可能性があることが諸悪の根源との見方も強まっています。
Bitfinexとクリプト・キャピタルによる一連の騒動によって、テザーに対してはネガティブなイメージがついたとされていましたが、暗号資産取引所を全面的に禁止している中国においては送金の手段として人気を集めているようです。
Huobi Globalモスクワ支店におけるOTC取引の事例のように、中国企業や投資家はOTC取引を利用することで規制当局の目をかいくぐり、投機や送金を目的として暗号資産を購入していると考えられます。
ビットコインをはじめとして暗号資産市場には大量の資金が、ここ数ヶ月で流れ込んできていますが、その大半は中国人によるものだとされています。
中国企業や投資家によるステーブルコインの活用事例を見てきましたが、ステーブルコインはキャピタルフライトやマネーロンダリングに利用される危険性が高く、規制の強化も今後は予想されます。
中国人が人民元をテザーと交換する理由について
ステーブルコインは法定通貨と連動しており、テザーは米ドルに裏付けられ発行されています。
(最近では米ドルに裏付けられているテザーは全体の74%と発表されています。)
最近ではJPモルガンがステーブルコイン「JPMコイン」の実証実験を行なっており、顧客向けのサービス提供も視野に入れた取り組みを進めています。
フェイスブックも複数の法定通貨に連動したステーブルコイン「リブラ」発行計画を発表しましたが、こちらはフェイスブックが顧客情報を不正に流出していたことやETFの仕組みを採用していたことから「既存の金融システムの秩序を乱す」としてローンチの延期の可能性も示唆されています。
日を追うごとにステーブルコインへの関心は高まりを見せており、その中でもテザーは1日の取引量が過去最高を記録するなどしていました。
そして、その取引量の6割は中国とされており、Huobi Globalモスクワ支店などOTC取引所に人民元を持ち込み、中国企業や投資家はテザーやビットコインを購入していることが明らかにされています。
中国では個人による外貨両替は年間5万ドルに制限されており、この問題を解決するためにテザーが利用されているとも考えられます。
OTC取引についての評価・感想
全世界で11億人近くが利用しているWeChat内での仮想通貨取引を5月31日から禁止。
もし取引を行えばそのアカウントはBanされる。中国での仮想通貨のOTC取引のほとんどがWeChat上で行われているようだ。 https://t.co/xpfWMKydut
— たっけ💐🤗🔥 (@takeee814) May 8, 2019
色々な指標見ても分かるが、
最近ビットコインはOTC取引(取引所を通さない取引)が多すぎ。もはや、チャート分析する必要性はかなり薄れてきている。
— 仮想NISHI (@Nishi8maru) March 18, 2019
ツイッターの暗号資産クラスタはもう皆知っていることと思うけど、大手参入やリップル社レポートで明らかになったOTC取引拡大、XRPのメール送信等ユースケース拡大等々、明らかに普及に向けて「変化」しています。
一般層はこの変化をまだ「価格」でしか捉えられず、意識は乖離している。
— みず (@mizuyoukan81) April 2, 2019
ロシアから中国へ「1日で最大3000万ドル」のテザー $USDT が、OTC(店頭取引)によって取引されている
OTC取引の責任者Oleg氏は「日々、大量の法定通貨を持って来ている中国人の仲介人は、一定の流れで取引を行うため、ビジネスは活発です。」と述べた。
https://t.co/Y2iKgsS57m— NEXTMONEY@仮想通貨情報サイト (@nextmoneyCrypto) July 30, 2019
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中国経済減速の原因|消費主導型経済や国進民退について
参考文献
Millions in Crypto Is Crossing the Russia-China Border Daily. There, Tether Is King
ビットコイン高騰の黒幕か? 中国マネー流入の経路とその背景に迫る
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