アメリカはパレスチナへの経済支援(寄付)の透明性を担保するためにブロックチェーン技術の活用を目指しています。
これはイスラエルのブロックチェーン企業Orbs社の共同創設者ネッタ・コリン(Netta Korin)が明かしたもので、アメリカ政府や国務省と協力してプロジェクトが進められています。
パレスチナではイスラエルとの政治的問題が長年にわたって問題とされており、Orbsとアメリカ政府の共同プロジェクトはブロックチェーン技術の活用によって経済支援をより透明性のあるものにすることを目標としています。
寄付活動におけるブロックチェーン技術活用について
寄付を行う際には日本赤十字社協会など中間団体を経由する必要があり、寄付金の一部は団体の運営資金に充てられています。
ブロックチェーン技術の活用によって中間団体に支払っていた仲介手数料の削減が実現でき、寄付金の使用用途も明確になります。
また、支援された側から直接報告を受け取ることもブロックチェーン技術によって可能となり、相互的な交流を図ることができるようになります。
寄付活動は中間業者の存在によって、寄付したお金がどこに流れているのか不透明といった課題があり、市場の活性化にとってもブロックチェーン技術は大きな役割を果たすとされています。
アメリカとOrbsの取り組みはより直接的な経済支援を可能とし、将来的には寄付活動だけでなく投資へのブロックチェーン技術活用も目指しています。
Orbs ブロックチェーン決済サービス開発への取り組み
情報通信技術(ICT)業界ではブロックチェーンプラットフォーム「Communications Blockchain Network(CBN)」の設立が明らかにされており、下記の大手企業がすでに設立支援を表明しています。
・A1 Telekom Austria
・China Telecom Global
・Colt Technology Services
・Deutsche Telekom Global Carrier
・IDT
・Orange
・PCCW Global
・Tata Communications
・Telefonica
・Telstra
・TNZI
この取り組みは情報通信技術(ICT)における決済インフラ整備によって業界全体の成長を促進することが狙いです。
「Communications Blockchain Network(CBN)」はOrbsをはじめとして、下記の企業との提携を明らかにしており、相互的な発展を目指しています。
・IBM
・Orbs
・ConsenSys
・R3
・Amartus
・Clear Blockchain Technologies
・CSG
・Difitek
・Internet Mobile Communications
・Subex
・Syniverse
・TOMIA
ブロックチェーン技術の活用によって決済の自動化やデータの改ざんを防止するセキュリティ向上が期待されており、情報通信技術(ICT)サービスの利用者はより円滑な決済が可能となります。
情報通信技術(ICT)業界における国際的な枠組み作りにおいても大きな役割を果たすとされており、様々な企業とテクノロジーのコラボレーションによって業界全体の発展を目指しています。
現在のところ「自動決済アプリケーション」「相互運用を可能とするAPIの開発」
このようにOrbsはアメリカ政府とのプロジェクトだけではなく、 「Communications Blockchain Network(CBN)」にも参加しており、より高度なレベルでのブロックチェーン決済サービスの開発に取り組んでいることがわかります。
アメリカ 5兆円規模のパレスチナ経済支援計画を発表
中東和平を目指すアメリカはパレスチナ自治区やエジプト、レバノンといった国々を対象に5兆円規模の経済支援計画を発表しました。
179の事業に対してこの経済支援は行われ、パレスチナ自治区において100万人の雇用を生み出すことを目指しています。
パレスチナのGDP(区内総生産)を2倍にすることや貧困率を半減させることが目標として掲げられています。
この5兆円規模の経済支援はアラブ諸国から資金調達によって賄われることとされていますが、現在のところ資金調達が約束されているわけではなく、あくまで和平にむけての議論を活性化させることが狙いです。
パレスチナとイスラエルとの政治的問題についての提案は2019年9月に行われるイスラエル選挙後に行われるとされています。
アメリカ政府はアラブ諸国への資金提供を呼びかけ、政治的問題についての取り組みを進めていくとしています。
アメリカとOrbsの取り組みはこの経済支援計画の一環と考えられ、パレスチナへの資金提供にブロックチェーン技術が活用される歴史的な出来事となることでしょう。
しかしながら、パレスチナ側は、アメリカ政府からの経済支援を断る姿勢を見せています。
理由としては「パレスチナへの圧力を強めている」ことが挙げられ、パレスチナとイスラエルは国際会議(バーレーン・マナマ)をボイコットする事態に発展。
ヨルダン川西岸とガザ地区ではアメリカ政府からの経済支援に対する反対デモが行われ、アメリカによる人道支援組織への拠出停止といった制裁処置が一層の混乱を招いているとして大きな波紋を呼んでいます。
ブロックチェーン技術の活用については、2018年10月から米国財務省とイスラエル銀行、イスラエル財務省によって取り組みが進められていたことから今後も継続されると考えられます。
参考文献
米トランプ政権、中東パレスチナ問題解決に向けブロックチェーン企業と連携か
「通信業界向け」ブロックチェーン基盤の構築でOrbs・ConsenSys・IBMなどが協力
米国政府が「Orbs」と協力|中東・紛争地域の問題解決に向けブロックチェーン活用
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