オーストラリア・ナショナル証券取引所(National Stock Exchange of Australia)は、地域証券取引所として1937年に設立されました。(※当時の名称はニューカッスル証券取引所)
最盛期には300社にもおよぶ企業が上場し、
・Golden Circle(缶詰の果物とジュースメーカー)
・Ricegrowers (Sunrice)
といった企業も名を連ねていましたが、オーストラリアの金融の中心がシドニーとメルボルンに移動したため、1985年には一度、閉鎖されています。
その後、2000年に再設立され、2005年にはベンディゴ証券取引所(現在のIR Plus証券取引所)を買収。
2006年に現在のオーストラリア・ナショナル証券取引所に名称が変更され、現在のところ67の企業が上場し、NSXの企業の時価総額は48億ドル、平均資本調達額は830万ドルとなっています。
2018年は、合計1,440万ドル/933件の取引が行われているものの流動性の向上がオーストラリア・ナショナル証券取引所の大きな課題と言えます。
そのような中で、オーストラリア・ナショナル証券取引所(NSX)証券決済の効率化に向けた取り組みを進めています。
・クリアペイ(ClearPay)について
オーストラリア・ナショナル証券取引所(NSX)を運営するNSX Limitedは、取引所間でリアルタイム決済を行うDvPプラットフォームの開発に向けて合弁会社「クリアペイ(ClearPay)」を設立しました。
「NSX Limited」は、「クリアペイ(ClearPay)」の株式を41%所有しており、将来的にはさらに130万ドルを出資し、50%の株式を取得する予定です。
現在、株式の59%を所有する「iSignthis (ISX)」の子会社である「Probanx Solutions」が、ブロックチェーン ベースのプラットフォームの設計と開発を担当します。
「クリアペイ(ClearPay)」は、ブロックチェーン技術を活用して、オーストラリア・ナショナル証券取引所(NSX)のレジストリシステムや決済、清算機能をデジタル化を目指しています。
同社ではブロックチェーン基盤「デジタル・エクスチェンジ・サブレジスター・システム(DESS)」を組み込むことで、証券取引の効率化が図られるとしており、「T+0」の実現に向けて取り組みが行われると考えられます。
すでに、オーストラリア証券取引所では「クリアリング・ハウス・エレクトロニック・サブレジスター・システム(CHESS)」と呼ばれるブロックチェーンが導入されており、このことで、オーストラリアの証券取引所市場の競争力が高まるとの見方もされています。
各国の証券取引所で、ブロックチェーン技術の導入が行われており、セーシェル共和国の国法証券取引所MERJでは株式をトークン化してIPOを行うといった事例も確認されています。
・参考文献
Sign of the times: the NSX is now going after fintechs
The how, what, and why of the NSX — the evolution of an Australian secondary market
National Stock Exchange of Australia looks to facilitate same-day settlement via iSignthis
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