リブラ上院議会公聴会|顧客のデータ保護について

デジタル通貨

アメリカ上院公聴会に参加した議員の多くはプライバシーとセキュリティなど顧客のデータ保護について度重なる問題を引き起こしてきたFacebookについては信用できないとの見方を示しました。

 

Facebookは2016年のアメリカ大統領選挙における個人情報の不正流出問題によって選挙における公正性を毀損したとして、およそ5400億円もの罰金を課せられています。

 

そのためLibraによるステーブルコイン開発による金融業界への進出は各国の規制当局からも批判の声があがっており、公聴会においてもLibraについては厳しい意見が相次ぎました。

 

それに対してFacebookのブロックチェーン担当責任者のDavid Marcusは下記のように答えています。

 


・Calibraデータを広告ターゲティングには利用しない
・Calibraユーザーは政府発行のIDを提示して本人確認を行う(マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策)
・スイス連邦データ保護情報委員会(FDPIC)の監督下で規制を受ける(プライバシーとセキュリティ保護)

 

しかしながら、スイスの連邦データ保護・情報委員(FDPIC)はLibraからまだ連絡を受けていないと明らかにしており、今後の取り組みに注目が集まります。

 

アメリカではなく、スイスに拠点を置くことについてはスイスが国際金融の中心地であるためとDavid Marcusは述べており、アメリカ規制当局からの監督を逃れるためではないとしています。

 

David Marcusは「アメリカがデジタル通貨における革新を主導しなければ、他の国がそれを行うだろう」とも述べており、これは一部の議員からは共感を呼んだと考えられます。

 

Libraは計画段階にあり、メリットとリスクについては慎重に協議を重ねるべきと議員の一人は述べており、David Marcusも規制当局からの懸念を解決するまではLibraの発行を行わないとしています。

 

これまでのFacebookが行ってきたプライバシーとセキュリティ保護を軽視した取り組みと今回のLibra計画についてSherrod Brown議員は下記のように述べています。

 

Now Facebook may not intend to be dangerous, but surely they don’t respect the power of the technologies they’re playing with. Like a toddler who has gotten his hands on a book of matches, Facebook has burned down the house over and over and called every arson a learning experience.

 

FRBパウエル議長 Libraに対して懸念を表明

 

アメリカでは Libra(リブラ)についての公聴会が7月16日と17日に開催される予定となっていますが、個人の取引情報へのアクセスを巡って懸念の声が相次ぐなどFacebookのデータ保護については疑問の声が少なくありません。

 

そのような中で、カリブラCEOのデービット・マーカスは「個人の取引情報を顧客本人の同意をなくしてFacebookが共有することはない」と上院銀行住宅都市委員会へ手紙で回答をしています。

 

また、Libra(リブラ)についていち早く批判的立場を表明した下院金融サービス委員会のマキシン・ウォーターズ委員長に対しては

 

「I want to give you my personal assurance that we are committed to taking the time to do this right」

 

と書いた手紙を送っていることが明らかになっており、正しく物事を進めるために時間をかけてLibra(リブラ)プロジェクトを進めていくという個人的見解を表明しています。

 

そのような中で、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長は下院金融サービス委員会での議会証言でLibra(リブラ)についての質問に下記のように回答しています。

 

“Libra raises many serious concerns regarding privacy, money laundering, consumer protection and financial stability,”(Libraはプライバシー、マネーロンダリング、消費者保護、そして金融の安定性に関して多くの深刻な懸念を引き起こしています)

 

“I don’t think the project can go forward”(私はプロジェクトを進めることができるとは思わない)

 

Libra(リブラ)をめぐっては金融安定監督評議会(FSOC)が既存の金融システムに対するリスクを調査するなど取り組みが進められており、世界中の中央銀行との調整を行なっているとパウエル議長は述べています。

 

中国人民銀行前総裁 リブラへの予防処置を提案

 

中国では暗号資産取引所の全面禁止を行なっていますが、ブロックチェーン技術の導入はざまざまな分野で行われており、中国人民銀行ではLibra(リブラ)に対抗して独自のデジタル通貨の開発を発表しています。

 

そして、2013〜2018年まで中国人民銀行総裁を務めていた周小川はLibraへの予防処置を行うべきとの考えを中国メディアを通じて明らかにしています。

 

周小川はリブラについて、「クロスボーダー送金が可能な通貨バスケットによるステーブルコイン」としてこれまでのデジタル通貨とは異なり、大きな進歩を遂げている暗号資産であることを指摘。

 

暗号資産といえば価格変動の激しさによって投機目的で利用されることが多く、国際送金についても手数力の高さが課題とされてきました。

 

そのような課題に対しての解決策の1つを提示したとして周小川はリブラを評価していますが、将来的にはリブラのみならず様々な企業や人々が国際的なステーブルコイン開発に取り組むだろうとし、その潜在的な危険性について予防処置をとるべきとの見方を明らかにしています。

 

その上で、マネーロンダリング対策やカストディ(資産管理)といった課題についても指摘しており、国際的なデジタル通貨に対しては中国の国家体制や人民元に対しての圧力も考慮する必要があるとしています。

 

中国人民銀行王信研究局局長はリブラがもたらす各国の通貨政策への影響について述べており、将来的なCBCD(中央銀行発行通貨)の発行にむけて、その可能性を探っていくとしています。

 

また、穆長春副司長(支付司)はリブラについて「中央銀行の監督下に置くべき」としており、Facebookのマネーロンダリング(資金洗浄)とテロ資金対策の不透明さについても危険性を指摘しています。

 

CBCDによって国際送金がより円滑に行えるようになれば、既存の金融システムの監視下で運用が可能です。

 

将来的に各国の中央銀行が国際送金といった商業銀行の金融サービスを担うことも予想されますが、中国人民銀行はリブラについて非常に高い関心を抱いていることが伺えます。

 

リブラ インドではサービス展開を行わない方針

 

インド準備銀行(RBI)は暗号資産の取り扱いを禁止しており、インド政府も暗号資産利用者には罰則を強化する方針を示しています。

 

そのためインドではリブラのサービスを展開する計画はないとしています。

 

Libra(リブラ)公聴会にむけて意見

暗号資産取引所ビットメックスCEOであるアーサー・ヘイズは「Libra(リブラ)は商業銀行を排除し、収入源を破壊する可能性がある」と述べています。

 

Libra(リブラ)については各国の規制当局からの批判が相次ぎ、その多くが「既存の金融システムの秩序を乱す」といったものでした。

 

最近ではFATFによる暗号資産へのマネーロンダリング対策強化が発表されましたが、「既存金融システムを保護する」といった意味合いが強く、Libra(リブラ)が新しい金融サービスとして実現するのは難しいとの見方が強くなっています。

 

しかし、将来的にLibra(リブラ)は商業銀行が行なっている金融サービスに参入し、中央銀行や商業銀行の存在意義が薄れるとの考えをアーサー・ヘイズは持っているようです。

 

そして、BitCoinについては「金融プライバシー保護の手段」としてLibra(リブラ)とは競合しないといった見解を示しています。

 

すでにFacebookは20億人以上ものユーザーを抱えているため、Libra(リブラ)が実現した場合には既存の金融機関は顧客離れへの懸念があります。

 

EU圏内の銀行では、Libra(リブラ)への危機感から2020年までに即時決済システムを全銀行で導入することを目指すことを明らかにしており、既存の金融機関も競争の激化にむけて取り組みを進めています。

 

参考文献

 

仮想通貨「Libra」の信頼性に懸念、議員らがFacebookを追及

Sen. Sherrod Brown slams Facebook’s crypto plans: ‘It doesn’t deserve our trust’

Facebook crypto plans turn up heat on EU banks over real-time payments

Facebook official responds to Maxine Waters on cryptocurrency project

Fed chief calls for Facebook to halt Libra project until concerns addressed

周小川谈Libra:有必要未雨绸缪

央行王信:未来要推动央行数字货币研发央行王信:未来要推动央行数字货币研发

フェイスブック「リブラ」、中銀の監督下に置く必要-中国人民銀幹部

Facebook Has No Plans for Calibra or Cryptocurrency in India

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