Libra(リブラ)連絡会設置の理由|Facebookの今後

デジタル通貨

 

今回は財務省・金融庁・日本銀行による「Libra(リブラ)連絡会」設置を踏まえてLibra(リブラ)の今後について解説していきます。

 

ビットポイントの不正流出問題によって、これまでの暗号資産規制について見直しが急務とされています。

 

日本では既存の金融システムにおいても地方銀行のマネーロンダリング対策が不十分であることなどが課題とされており、ネットバンキングでの不正送金も平成27年には30億円以上の被害額を計上してました。

 

今年10月には「第4次FATF対日相互審査」が控えており、暗号資産業界のみならず、金融業界全体で規制強化が必要不可欠とされています。

 

そのような中で、財務省・金融庁・日本銀行はLibra(リブラ)連絡会を設置したことを7月12日に共同発表しました。

 

G7を控えており、世界各国でもLibra(リブラ)については多くの議論が交わされています。

 

Libra(リブラ)連絡会について

 

Libra連絡会はLibraの世界経済への影響やマネーロンダリング対策について議論を行うことを目的に設置されました。

 

Libraが将来的にもしも実現した場合には既存の金融機関の存在意義や財政的健全性、中央銀行の金融政策の影響力の低下など「既存の金融システムにおける秩序の崩壊」が不安視されています。

 

実際にLibraが実現するよりも前に、中央銀行発行のデジタル通貨や大手銀行によるステーブルコイン発行が行われることが現在のところ予想されますが、Libraへの包囲網形成に日本としても取り組んでいる姿勢が見受けられます。

 

日本銀行はデジタル通貨の発行計画を明らかにはしていませんが、Libraについて調査を進め、今後発行されるであろう他国のCBCDや銀行発行のステーブルコインへの対策を現段階から行う必要があることは間違いありません。

 

Libra(リブラ)既存の金融システムとの対立

 

Facebookは創業時に「Move fast and break things(素早く行動し破壊せよ)」をモットーに掲げていました。

 

2014年からは「Move fast with stable infrastructure(安定したインフラとともに素早く行動せよ)」に切り替わりましたが、ブロックチェーン技術を活用した新しい金融サービス構築を目指す同社の取り組みには大きな批判が寄せられています。

 

ビットコインは特定の組織を必要としない「分散型」の特徴を有していますが、Libraの場合は特定の組織「Libra協会」によって成立する「中央集権型」といった特徴があります。

 

そのため組織が社会的に攻撃され、信用を失ってしまった場合にはLibraのプロジェクトそのものが潰れてしまうことも考えられます。

 

FacebookがLibraを発表したことで、多くの議論を巻き起こしたことは功績として残るかもしれませんが、実際のところFacebookは顧客情報の不正流出問題によっておよそ50億ドルの制裁金をFTC(米連邦取引委員会)に課せられるなど社会的信用の低下が指摘されています。

 

また、営利目的の企業が金融サービスを担うことについても批判が巻き起こっており、世界金融の安定性を担う国際通貨基金(IMF)や各国の中央銀行はLibraに対して否定的な姿勢を強めています。

 

Libra(リブラ)を決済手段として利用する意義について

 

Libraが世界の決済サービスのあり方を変えるといった好意的な評価も見受けられますが、実際にLibraを発展途上国における国際送金や決済手段として活用するメリットについては慎重な議論が必要となります。

 

ステーブルコイン発行への取り組みはLibraに限らず各国の中央銀行でも進められており、同じ中央集権型の特徴を持つ場合には社会的信用度の高い金融機関を選ぶのが最良の選択です。

 

すでに20億人以上のユーザーを抱えているFacebookですが、全てのユーザーがFacebookを信用し、Libraを利用する世の中になるのは長い時間をかけて金融サービスとして信用を築くことから始めなくてはなりません。

 

すでにゴールドマンサックスやJPモルガンといった既存の金融機関もステーブルコインについては取り組みを進めていることが明らかにされており、今後もステーブルコインの同業他社は増えていくことでしょう。

 

話題性が先行していますが、Facebookが抱えるプライバー保護や消費者保護といった問題を解決することは容易ではなく、さらにその上に既存の金融システムとの対立が明確化されている現状において、単なるステーブルコイン開発としては問題を抱えすぎていると言えるでしょう。

 

アメリカ議会での公聴会に先立って、トランプ大統領やFRBパウエル議長からはLibraへ批判の声が上がっており、米下院金融サービス委員会のマキシン・ウォーターズ委員長など議会からは「個人のプライバシーや国家安全保障への懸念から、リブラの開発は一時停止すべきだ」とまで言われています。

 

アメリカではFacebookが2016年大統領選においてトランプ陣営のデータマーケティングを担い、オンライン上での政治広告などの情報操作を行うなどしてアメリカ議会からは大きな批判を浴びていました。

 

証拠を隠蔽するためのロビー活動や献金活動が2018年には報じられるなど、これまでのFacebookの取り組みを考慮すると「社会的信頼の高い新しい金融機関」として成功を収めるのは非常に困難なミッションであることが伺えます。

 

このような状況において、なぜFacebookは新たな決済サービスの開発に取り組むのか多くの疑問は残りますが、時間をかけて取り組みを進めることでアメリカ議会からの信頼を得ることが当面の課題となりそうです。

 

【関連記事】
米大手ペイパル、リブラ協会からの脱退を表明
ステーブルコインの現状と課題|Libra(リブラ)とCBDC
Libra(リブラ)に対する世界の反応|プロジェクト中断や規制の可能性
Libra(リブラ)ホワイトペーパー解説|ステーブルコインの将来性

参考文献

 

財務省・金融庁・日銀、仮想通貨リブラに関する連絡会を設置=報道

「リブラ」連絡会を設置=金融庁・日銀と-財務省

Facebookの新モットー「安定したインフラですばやく動け」–インフラ強化策を発表

米議会、当局「リブラ」包囲網 事業停止求める声も

FBはトランプとロシアにどう使われたか?

****************
STOnlineはSNSを開始しました。

Twitter: @stonline_jp

Facebook: @sto.on.line.io

コメント

タイトルとURLをコピーしました