Libra(リブラ)プロジェクトへの規制やデメリット

世界のイノベーションを牽引してきたフェイスブックがなぜ、Libraのような複雑な仕組みを施した金融商品を発表したのか多くの人々は疑問に思っています。

 

それはフェイスブック社に金融商品の組成に詳しい人材や暗号資産の開発に取り組んだ経験が不足していたからなのかもしれませんが、例えば無名の企業がETFの仕組みを採用し、その利益が利用者に還元されないステーブルコインを開発した場合、それはただの企業の金儲けのためだと考えられるでしょう。

 

Libraについてはアメリカ議会をはじめとして各国の規制当局からも批判が上がっており、その多くはフェイスブックが過去に顧客情報を不正流出させた企業である点や既存の金融システムの秩序を乱すといったものでした。

 

それを踏まえてフェイスブックがLibraのローンチを延期する可能性を示唆したことをCNBCが報じました。

 

>>Facebook warns investors that Libra digital currency may never see the light of day

 

目次

Libra デメリットについて

 

ステーブルコインLibraは国際送金システムSWIFTや銀行を介さないためにより効率的な国際送金に利用でき、銀行口座を持たない人に向けての決済サービスを提供するとしています。

 

また、20億人以上もいるフェイスブックユーザーに対して支払手段を提供するために、Libraは提供と同時に世界で最も利用されるステーブルコインとなるでしょう。

 

しかし、本人確認の徹底がなされない場合にはマネーロンダリングの危険性があり、ステーブルコインへの規制も各国では整備されていない状況にあります。

 

また、銀行を介さずに国際送金が可能であるために、既存の金融システムにとっては厄介な存在であることは否めません。

 

自分たちの仕事が奪われるだけでなく、既存の規制の枠組みにとらわれない金融サービスの提供によって金融システムが混乱する危険性があるからです。

 

フェイスブックとLibra協会加盟企業が儲けるために何らかの暗号資産を開発するのであれば問題ないのですが、Libraは決済手段であるステーブルコインを営利目的に活用するといった取り組みであるとして、多くの批判を集める結果となりました。

 

実際にステーブルコインは国際送金よりもビットコインを購入するために利用されているケースが多く、現在のところは米ドルに連動した「テザー」が人気を集めています。

 

Libra ローンチ延期の可能性を示唆

 

フェイスブックのような世界的企業がステーブルコインの開発を行うのは、暗号資産業界の将来的な発展にとっては大きな意味を持ちます。

 

しかし、実際に発表が行われ、多くの議論を呼んでいる現状においてはフェイスブックの認識の甘さや取り組みの不十分さが指摘されています。

 

特にプライバシー保護については多くの批判が寄せられており、個人情報を不正流出させる企業が将来的に金融機関となることは常識的に難しいと考えられます。

 

また、規制への準拠など時間をかけて開発を進めていくとしていますが、ステーブルコインはすでに様々な企業が取り組みを進めており、フェイスブックといえども強豪との競争の前にこれだけの批判を集めたプロジェクトを軌道に乗せるのは非常に困難な道であるとも言えるでしょう。

 

自社の抱える社会的な問題(顧客情報流出)とそのリスクを考慮すると、ステーブルコインといった金融サービスの提供は大きな批判を浴びることは事前に予測できたと考えられますが、フェイスブックはSECに提出した最新の四半期報告書で下記のように明記しています。

 

In addition, market acceptance of such currency is subject to significant uncertainty. As such, there can be no assurance that Libra or our associated products and services will be made available in a timely manner, or at all. We do not have significant prior experience with digital currency or blockchain technology, which may adversely affect our ability to successfully develop and market these products and services.

 

「Libraがすぐに利用可能になるという保証はありません」といった報告をしており、ローン延期の可能性が示唆されています。

 

Libra 下院公聴会について

 

7月18日(日本時間)に行われた下院公聴会ではリブラプロジェクトの開発中止について激しい議論が行われました。

 

議会側は「リブラプロジェクトを規制する法案の成立までプロジェクト中止」を求めていましたが、フェイスブックの子会社「カリブラ」の責任者であるマーカスは「時間をかけて規制への準拠を目指し、Libraの発行を行う」と答えました。

 

マーカスは議員からの詰問に対しても「開発中止」については譲歩しない構えを見せましたが、Maloney議員からは開発中止の代替案が提示されました。

 

これは「SECと連銀の監督下でリブラのパイロット版の実施する」といったものであり、100万人以下の規模で行われるとMaloney議員はしています。

 

しかしながらこの代替案についてもマーカスは承諾する姿勢は見せず、開発中止や代替案については頑なに態度を保留する形となりました。

 

これを受けて、今後はどのような規制がリブラに対して行われるのか注目が集まります。

 

G7ではリブラについての特別会議が行われる予定とされており、各国は国際的協調によってリブラに対してのルール作りを進めることとなりそうです。

 

>>リブラ上院議会公聴会|顧客のデータ保護について

 

リブラ「信用の担保」について

 

 

今回の下院公聴会においてはリブラについて1836年のアメリカで行われていた「ワイルドキャットバンク(ヤマネコ銀行)」と似ているとの指摘が議員からあり、「信用の担保」がリブラではどのように行われるか注目が集まります。

 

「ワイルドキャットバンク(ヤマネコ銀行)」:1836年に第2次アメリカ合衆国銀行の定款更新が拒否されたことで、アメリカは「フリーバンキング」の時代に突入しました。金融における秩序は崩壊し、誰でも銀行券(紙幣)を発行できるようになったのです。しかし、その価値の裏付けはそれぞれの企業や組織の「信用」といった曖昧なものであったため、現代においては商品券のようなものでした。それを取り扱う企業や組織のことを当時は「ワイルドキャットバンク(ヤマネコ銀行)」と呼んでいました。

 

リブラはリブラアソシエーションといった特定の組織によってステーブルコイン の発行を行うため、「中央集権型」の特徴を持ちます。

 

そのためリザーブした資金を資産運用に使う可能性があるとして顧客の購買データの取り扱いのみならず、多くの懸念事項が存在していると言えるでしょう。

 

顧客データの流出によって約5400億円もの罰金を課せられたフェイスブックがどのようにして「信用の担保」に取り組むのか今後も大きな話題を集めることが予想されます。

 

また、日本円が裏付け資産として利用されることが明らかになりました。

 

リブラは法定通貨とペッグされ、価格が安定しているといった特徴を持つステーブルコインとして発行が計画されており、複数の通貨や国債によるバスケット型の採用を検討しています。

 

そのためリブラを日本円で購入し、他の通貨よりも円が安くなった場合にリブラを利用して決済を行うと差額分の利益が発生します。

 

現在のところ日本は暗号資産による少額決済についても課税対象となっており、日本の税制上ではリブラを利用するたびに確定申告の必要性が出てきます。

 

Libra ホワイトペーパーについて

 

2019年6月18日、Facebookを運営するFacebook, Inc.は新たな仮想通貨プロジェクト「Libra(リブラ)」を発表しました。

 

Libraのホワイトペーパーによれば、Libraは既存の金融システムにおいて銀行口座を持たない人々について問題意識を抱えており、「多くの人びとに力を与える、シンプルで国境のないグローバルな通貨と金融インフラになる」ために、スマートフォンでテキストメッセージを送るが如く、全ての金融システムを誰もが簡単に使えるようにしたいとの目標を掲げています。

 

Libraのホワイトペーパーによれば、「全世界のオーディエンスに対応することを意図しているため、 Libra ブロックチェーンを実装するソフトウェアはオープンソースです。つまり、これをベースに誰もが開発を行うことができ、多くの人びとがこれを利用して金融ニーズを満たせるようになっています。」とのことで、これは、Libraプロジェクトは全世界的なステーブルコイン計画であることを示しています。

 

このプロジェクトの運営に当たっては、スイス・ジュネーブを本部とするLibra Association(リブラ協会)が設立され、VISAやMastercard、Spotify AB、 Uber Technologiesなど名だたる企業が名を連ねていることからも、実現による影響力の大きさは容易に想像ができるでしょう。

 

そんなLibraプロジェクトについて、世界中の既存金融システムからは批判的な声が相次いでいます。

 

Libraプロジェクトの概要と世界の声

 

Facebookが本拠とするアメリカでは2019年7月16、17日に公聴会が開かれ、前述の通り、米国下院金融サービス委員会はLibraプロジェクトの開発中止を求めました。

 

また、IMF(国際通貨基金)や各国の中央銀行は、LibraプロジェクトはLibraのステーブルコインが超国家的な広がりによって法定通貨に準ずるような存在になることを懸念しています。

 

これらの批判は、Facebookを初めとしたLibra Association のメンバーの組織的な性格によるところが大きいと言えるでしょう。

 

彼らは金融政策の適切化を目的にしているわけではなく、あくまで営利目的の企業であるからです。現在、専ら法定通貨を発行している各国の中央銀行はIMFのメンバーです。

 

彼らのような各国中央銀行は営利を目的としてはおらず、あくまで資本主義下における金融政策を主導している政策機関としての機能を果たしています。

 

この点において、営利企業の集合体であるLibra Associationとは大きく異なった性格を持っていると言えるでしょう。

 

営利企業には、各々出資者がおり、必ずしも一貫した意思決定がなされるとは限りません。

 

種々のビジネス上の観点から、方針や政策が大きく、しかも急激に変更される可能性も否定はできないのです。

 

無論、そのような急激な方針転換は、Libraプロジェクトとそこに関わる自社の信用を失墜させかねないという点でそれほど高い蓋然性は持ち合わせていないとも考えられるでしょう。

 

しかし、ここで重要なのは、あくまで、金融政策の適正化を目的としたIMFなどとは組織的な性格が異なり、そのような可能性も否定はできないということなのです。

 

このように、Libraプロジェクトを巡っては期待の声とともに、各国から激しい批判も巻き上がっています。

 

既存の金融システムとの協議の難航も予想される中、これまでの世界の反応を取りまとめました。

 

アメリカ Libraプロジェクトの中断を要請

 

アメリカ下院金融委員会委員長であるマキシン・ウォーターズ議員はFacebook側に、規制当局がLibraプロジェクトに関する審査を終えるまでの間、Libraプロジェクトの開発を中断するよう要請しました。

 

世の中に実装されれば、既存の金融システムに対する影響は少なくないと言える今回のLibraプロジェクト。

 

アメリカとしては、その既存金融システムの舵取り役として、十分にその影響と対策を審議したいといった狙いがあると思われます。

 

当然のことながら、議会や規制当局にとってもLibraプロジェクトほどの大規模なステーブルコイン計画は前例のないもので、世界的な金融規制の枠組みに適合するかについては今後多くの議論が必要とされています。

 

また、ウォーターズ議員はFacebookが暗号通貨による支払いをユーザーの生活に浸透させようとしている今回の取り組みについて、ユーザーや既存金融を保護する明確な規制の枠組みがないことについても懸念を表明しています。

 

一方、このことについてFacebook広報担当者は「開発が進むにつれ、議員の質問に対応することを楽しみにしている」と述べています。

 

Libraプロジェクトに対して懸念を抱いている議員は小規模で超党派的な議員グループを形成しており、、公聴会は一般公開されました。

 

この他にも、このLibraプロジェクトの遂行に当たっても、個人情報などのデータプライバシーについてFacebook側に説明責任を求める動きが「#BreakUpBigTech」 としてtwitterなどで広がりを見せるなど、Facebookの運営においてしばしばユーザーの個人情報保護の観点から批判を受けてきたFacebook, Inc.への世間の目は厳しいものであると言えるでしょう。

 

そんな中、米連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル会長はFacebookとFRBが会合を開いたことを明らかにしました。

 

パウエル会長は暗号資産やデジタル通貨については潜在的に大きな可能性があると述べており、FRBがLibraプロジェクトについての規制に関与する可能性を示唆しています。

 

今後のLibra普及に向けて、既存金融システムとの調和が課題となるであろうFacebook, Inc.の米国議会や関連機関との協議の模様にも引き続き注目していく必要があるでしょう。

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Libra(リブラ)に対する世界の反応|プロジェクト中断や規制の可能性

ヨーロッパ Facebookのシャドーバンク化や主権通貨への懸念を表明

 

ヨーロッパにおいても、Facebookの発表したLibraについてすでに批判的な声が上がっています。

 

欧州議会のマーカス・ファーバー議員はFacebookのシャドーバンク化への懸念について言及しました。

 

シャドーバンクとは、銀行ではない証券会社やヘッジファンドなどの金融機関が、資金の貸付を行う金融仲介であり、一般的に免許制などで厳格に規制されている銀行と比較して規制が緩いため、情報開示も少なく、多額の資金を投資家から調達してレバレッジをかけられるという仕組みになっています。

 

そのため、規制当局も厳密にはその実態を把握しきれていない現状があり、これらが破綻した時の世界経済への影響は甚大なものがあるとして懸念されています。

 

2007〜2009年にかけてのサブプライムローン問題が明らかになる以前にも、欧米のペーパーカンパニーを介してシャドーバンクからの多額の資金調達が大規模に行われており、これが世界的な金融危機の一因になったとの声もあります。

 

今回のLibraにおいても、Libra自体が銀行業規制の外側にいるにも関わらず多額の資金を容易に動かせることから、シャドーバンキングの温床になるのではないかといった点が懸念されているものです。

 

Libraのシャドーバンク化の懸念について、Facebookの世界的な影響力を背景として、Libraプロジェクトに対する既存金融システムからの批判的な声は非常に大きいものとなっています。

 

また、フランスのブリューノ・ル・メール財務相はLibraプロジェクトによるステーブルコイン計画が将来的に主権通貨になる可能性について、ステーブルコインは価格が安定しているために国際送金だけでなく、政治経済が悪化している国々では商取引に使われる可能性があると言及しています。

 

商取引の増加については、Libraのホワイトペーパーの中でも「グローバルに、オープンに、瞬時に、かつ低コストで資金を移動できるようになれば世界中で多大な経済機会が生まれ、商取引が増える、と私たちは考えます。」と述べられており、Libra の目指すあるべき姿の一つと捉えられるでしょう。

 

Libraの価格は、世界各国の銀行預金や短期債券に裏付けられており、純粋な仮想通貨と異なって実態の伴った価値を有します。

 

その点で、高インフレ率に悩まされている国では価値の安定性を保つLibraのステーブルコインである「グローバルコイン」が種々の商取引に用いられ、結果として法定通貨に準ずるような存在になり、そこからLibraの超国家的な広がりを見せることを世界の規制当局は警戒していると考えられるでしょう。

 

また、イングランド銀行のマーク・カーニー総裁はLibraプロジェクトについて世界最高水準の規制を受ける可能性やイギリス中央銀行がG7、国際決済銀行、IMF国際通貨基金などと協力し、精査を行うと述べています。

 

カーニー総裁はFacebookのプライバシー保護やマネーロンダリング防止対策についても疑問を投げかけており、Libraプロジェクトについては厳しい態度を表明しています。

 

中国 大手IT企業はLibraプロジェクトへの参加はしない意向

 

全世界的なサービスを展開する上で無視できないのが、巨大な人口規模を有する中国の存在でしょう。

 

無料メッセンジャーアプリ企業​WeChatの親会社TencentのCEOである​ポニー・マー​氏はLibraプロジェクトが成功するキーポイントは「規制」にあると述べています。

 

Tencentは2018年3月、暗号資産やデジタル通貨についてのリスクを考慮してその発行は自社では行わず、暗号資産事業には関与しないと表明しています。

 

また、アリババグループの金融関連会社​Ant FinancialのCEOエリック・ジン氏もデジタル通貨からは距離を置くことを2018年に明言しており、Libraプロジェクト発表以前も「これに対する 我々の姿勢は変わっていない」と表明しています。

 

​QR・バーコード決済サービスAlipayを運営するAnt Financialも、各地域の決済サービスプロバイダと1社ずつ提携する従来の戦略をもとに海外市場への展開を拡大しており、ブロックチェーンに基づく戦略は採っていません。

 

これら中国企業のブロックチェーンビジネスに対する姿勢は、中国共産党による規制を背景としており、このために中国ではFacebookへのアクセスができず、2017年に中央銀行は暗号通貨の提供についても禁止しています。

 

中国国内での規制とLibraのステーブルコイン計画について、オープンソース・デベロッパー・コミュニティCSDNのYan Meng副社長は「中国はすでに十分に確立された決済ネットワークを持っているためステーブルコインの需要はないかもしれません。」と述べています。

 

また、Yan Meng副社長は「すでにAliPayが中国という世界人口の20%を占める1つの巨大経済からユーザーを獲得していることからLibraが世界規模の支払いネットワークを実現することは難しい。」とLibraの世界的な普及についても言及しています。

 

これまでに世界中で数多の暗号通貨プロジェクトが発表されてきましたが、Libraはその中でも一際話題に上ったプロジェクトの一つでしょう。

 

開発初期段階にあるステーブルコイン計画が、各国議会や規制当局までに相次いで批判的意見を表明させていることも、このプロジェクトが他のステーブルコイン計画のもたらすインパクトとは比較にならない影響力を持っていることの証明と言えます。

 

Libra Association はLibraのホワイトペーパーの中で、世界で17億人の成人が従来の銀行システムの外にいるという課題を示し、もっと多くの人々が金融サービスや安価な資本を利用できるようになる必要があると述べています。

 

しかし、既存の金融システムの外側にいる人々を救おうとするあまり、既存の金融システムに馴染んだ政府や規制当局、金融機関との摩擦を生じさせるのは結果として金融システム全体の新たな歪みを生むことになりかねません。

 

取り残された人々を救うために、別の人々を取り残すことは、真の金融革命とは言い難いでしょう。Libraが、今後各国の既存金融システムとの調和をいかに図って行くのか、引き続き注目していく必要があります。

 

リブラ上院議会公聴会|顧客のデータ保護について

アメリカ上院公聴会に参加した議員の多くはプライバシーとセキュリティなど顧客のデータ保護について度重なる問題を引き起こしてきたFacebookについては信用できないとの見方を示しました。

 

Facebookは2016年のアメリカ大統領選挙における個人情報の不正流出問題によって選挙における公正性を毀損したとして、およそ5400億円もの罰金を課せられています。

 

そのためLibraによるステーブルコイン開発による金融業界への進出は各国の規制当局からも批判の声があがっており、公聴会においてもLibraについては厳しい意見が相次ぎました。

 

それに対してFacebookのブロックチェーン担当責任者のDavid Marcusは下記のように答えています。

 


・Calibraデータを広告ターゲティングには利用しない
・Calibraユーザーは政府発行のIDを提示して本人確認を行う(マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策)
・スイス連邦データ保護情報委員会(FDPIC)の監督下で規制を受ける(プライバシーとセキュリティ保護)

 

しかしながら、スイスの連邦データ保護・情報委員(FDPIC)はLibraからまだ連絡を受けていないと明らかにしており、今後の取り組みに注目が集まります。

 

アメリカではなく、スイスに拠点を置くことについてはスイスが国際金融の中心地であるためとDavid Marcusは述べており、アメリカ規制当局からの監督を逃れるためではないとしています。

 

David Marcusは「アメリカがデジタル通貨における革新を主導しなければ、他の国がそれを行うだろう」とも述べており、これは一部の議員からは共感を呼んだと考えられます。

 

Libraは計画段階にあり、メリットとリスクについては慎重に協議を重ねるべきと議員の一人は述べており、David Marcusも規制当局からの懸念を解決するまではLibraの発行を行わないとしています。

 

これまでのFacebookが行ってきたプライバシーとセキュリティ保護を軽視した取り組みと今回のLibra計画についてSherrod Brown議員は下記のように述べています。

 

Now Facebook may not intend to be dangerous, but surely they don’t respect the power of the technologies they’re playing with. Like a toddler who has gotten his hands on a book of matches, Facebook has burned down the house over and over and called every arson a learning experience.

 

FRBパウエル議長 Libraに対して懸念を表明

 

アメリカでは Libra(リブラ)についての公聴会が7月16日と17日に開催される予定となっていますが、個人の取引情報へのアクセスを巡って懸念の声が相次ぐなどFacebookのデータ保護については疑問の声が少なくありません。

 

そのような中で、カリブラCEOのデービット・マーカスは「個人の取引情報を顧客本人の同意をなくしてFacebookが共有することはない」と上院銀行住宅都市委員会へ手紙で回答をしています。

 

また、Libra(リブラ)についていち早く批判的立場を表明した下院金融サービス委員会のマキシン・ウォーターズ委員長に対しては

 

「I want to give you my personal assurance that we are committed to taking the time to do this right」

 

と書いた手紙を送っていることが明らかになっており、正しく物事を進めるために時間をかけてLibra(リブラ)プロジェクトを進めていくという個人的見解を表明しています。

 

そのような中で、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長は下院金融サービス委員会での議会証言でLibra(リブラ)についての質問に下記のように回答しています。

 

“Libra raises many serious concerns regarding privacy, money laundering, consumer protection and financial stability,”(Libraはプライバシー、マネーロンダリング、消費者保護、そして金融の安定性に関して多くの深刻な懸念を引き起こしています)

 

“I don’t think the project can go forward”(私はプロジェクトを進めることができるとは思わない)

 

Libra(リブラ)をめぐっては金融安定監督評議会(FSOC)が既存の金融システムに対するリスクを調査するなど取り組みが進められており、世界中の中央銀行との調整を行なっているとパウエル議長は述べています。

 

中国人民銀行前総裁 リブラへの予防処置を提案

 

中国では暗号資産取引所の全面禁止を行なっていますが、ブロックチェーン技術の導入はざまざまな分野で行われており、中国人民銀行ではLibra(リブラ)に対抗して独自のデジタル通貨の開発を発表しています。

 

そして、2013〜2018年まで中国人民銀行総裁を務めていた周小川はLibraへの予防処置を行うべきとの考えを中国メディアを通じて明らかにしています。

 

周小川はリブラについて、「クロスボーダー送金が可能な通貨バスケットによるステーブルコイン」としてこれまでのデジタル通貨とは異なり、大きな進歩を遂げている暗号資産であることを指摘。

 

暗号資産といえば価格変動の激しさによって投機目的で利用されることが多く、国際送金についても手数力の高さが課題とされてきました。

 

そのような課題に対しての解決策の1つを提示したとして周小川はリブラを評価していますが、将来的にはリブラのみならず様々な企業や人々が国際的なステーブルコイン開発に取り組むだろうとし、その潜在的な危険性について予防処置をとるべきとの見方を明らかにしています。

 

その上で、マネーロンダリング対策やカストディ(資産管理)といった課題についても指摘しており、国際的なデジタル通貨に対しては中国の国家体制や人民元に対しての圧力も考慮する必要があるとしています。

 

中国人民銀行王信研究局局長はリブラがもたらす各国の通貨政策への影響について述べており、将来的なCBCD(中央銀行発行通貨)の発行にむけて、その可能性を探っていくとしています。

 

また、穆長春副司長(支付司)はリブラについて「中央銀行の監督下に置くべき」としており、Facebookのマネーロンダリング(資金洗浄)とテロ資金対策の不透明さについても危険性を指摘しています。

 

CBCDによって国際送金がより円滑に行えるようになれば、既存の金融システムの監視下で運用が可能です。

 

将来的に各国の中央銀行が国際送金といった商業銀行の金融サービスを担うことも予想されますが、中国人民銀行はリブラについて非常に高い関心を抱いていることが伺えます。

 

リブラ インドではサービス展開を行わない方針

 

インド準備銀行(RBI)は暗号資産の取り扱いを禁止しており、インド政府も暗号資産利用者には罰則を強化する方針を示しています。

 

そのためインドではリブラのサービスを展開する計画はないとしています。

 

Libra(リブラ)公聴会にむけて意見

暗号資産取引所ビットメックスCEOであるアーサー・ヘイズは「Libra(リブラ)は商業銀行を排除し、収入源を破壊する可能性がある」と述べています。

 

Libra(リブラ)については各国の規制当局からの批判が相次ぎ、その多くが「既存の金融システムの秩序を乱す」といったものでした。

 

最近ではFATFによる暗号資産へのマネーロンダリング対策強化が発表されましたが、「既存金融システムを保護する」といった意味合いが強く、Libra(リブラ)が新しい金融サービスとして実現するのは難しいとの見方が強くなっています。

 

しかし、将来的にLibra(リブラ)は商業銀行が行なっている金融サービスに参入し、中央銀行や商業銀行の存在意義が薄れるとの考えをアーサー・ヘイズは持っているようです。

 

そして、BitCoinについては「金融プライバシー保護の手段」としてLibra(リブラ)とは競合しないといった見解を示しています。

 

すでにFacebookは20億人以上ものユーザーを抱えているため、Libra(リブラ)が実現した場合には既存の金融機関は顧客離れへの懸念があります。

 

EU圏内の銀行では、Libra(リブラ)への危機感から2020年までに即時決済システムを全銀行で導入することを目指すことを明らかにしており、既存の金融機関も競争の激化にむけて取り組みを進めています。

 

Libra 国際決済銀行(BIS)からの批判や収益化の仕組み

 

Libra(リブラ)は複数の法定通貨をバスケットにすることで、価格の安定性を保つステーブルコインの発行を計画しています。

 

Libraが発行するステーブルコインは分散投資と高い利回りが特徴であるETF(上場投資信託)のような仕組みを採用しています。

 

しかし、Libra(リブラ)を使う人々はETFのように利回りを受け取ることができず、その利益はLibra協会に流れることになることが指摘され、批判を浴びています。

 

暗号資産取引所eToro(イートロ)のアナリストであるMati Greenspanjは「Libra(リブラ)は利回りを受け取れない資産担保ETF」と述べていま
す。

 

Libra(リブラ)は発表当初からLibraプロジェクトについては規制当局から反対の声があがっており、アメリカでは議会がプロジェクト中断を求める事態に発展しています。

 

そして、国際決済銀行(BIS)が大手IT企業による金融サービスが国際的な金融システムなどに「潜在的な脅威」をもたらすと警告を鳴らしています。

 

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Libra(リブラ)に対する世界の反応|プロジェクト中断や規制の可能性

 

Libra(リブラ)のホワイトペーパー解説|ステーブルコインの将来性

 

Libra 「潜在的な脅威」とは?

 

国際決済銀行(BIS)はFacebookやAmazon、Alibabaによる金融サービスは既存の金融システムにとって「潜在的な脅威」をもたらすとして警戒を強めています。

 

なぜなら、大手IT企業はすでに膨大な顧客情報を有しており、このことで金融市場の支配が行われる危険性があるからです。

 

国際決済銀行は大手IT企業の金融市場進出は市場に急速な変化をもたらす可能性があるとしています。

 

ステーブルコインにような決済手段だけではなく、融資や保険など金融業界全体に進出する可能性についても国際決済銀行は警戒を強めています。

 

つまり、国際決済銀行は既存の金融規制の枠組みでは対応できない問題が顕在化することを恐れており、Libraが推し進めているブロックチェーン技術を活用した貧困国への金融サービス提供などが金融市場の急速な変化を招く「潜在的な脅威」としています。

 

また、国際決済銀行は政策面でも市場環境の維持やデータ保護を盛り込んだ包括的な手法の確立を求めています。

 

大手IT企業による新たな金融サービスに対応するためには、国際的な協力が必要不可欠として、国際決済銀行は各国の規制当局に対応を促しています。

 

Libra(リブラ)は既存の金融業界においても「潜在的脅威」として警戒されており、Facebookでは公聴会や規制当局との情報共有を行っていくとしています。

 

Libra プロジェクトの今後は?

 

FacebookのLibraプロジェクトはステーブルコインの発行によって、ブロックチェーンによる決済手段の普及を目指しています。

 

メッセンジャー経由で世界中のユーザーに対して送金ができるためVenmoやPayPalのような支払いの利便性をブロックチェーンによって実現することが目的です。

 

銀行口座を持たない人々は17億人にも及ぶと言われており、そのような人々が銀行を介さずとも国際送金や安全な資金の管理を行えるといった恩恵をLibraはもたらすとしています。

 

Libraプロジェクトはスイスを拠点として、ウォレット運営企業「Calibra」の設立も行なっています。

 

すでにLibra協会にはVISAやMasterCardといったクレジットカード会社も参加をしており、国際決済銀行による警告は既存の金融サービス企業にとっても大きな影響を及ぼすことが予想されます。

 

VISAやMasterCardにとっては、Libraがクレジットカードにとって代わる決済手段となる可能性もあり、今後の進展に注目が集まります。

 

また、Facebookは過去に5000万人分の顧客情報漏洩を引き起こしており、Libraプロジェクトについては多くの課題があると言えます。

 

国際決済銀行(BIS)について

 

国際決済銀行(BIS)は「中央銀行の銀行」として世界各国の中央銀行の政策と国際協力の支援を行なっています。

 

スイス・バーゼルに拠点があり、通貨価値と金融システムの安定を目的として各国の中央銀行が協働関係を構築できるように相互的な議論を推進しています。

 

ビッグテック企業の金融業界進出を阻止へ|Libraへの規制強化

 

米下院金融サービス委員会は「Keep Big Tech out of Finance」と名を冠した法案草案をオンライン上で公表しており、ビッグテックが金融機関になることを防止する取り組みを行なっています。

 

ビッグテックは巨大なハイテク企業のことで、最近ではビックテックが独占禁止法に違反していないか米株式市場でも議論が行われています。

 

ビッグテックに対する規制強化を検討する動きもあり、これは株価上昇を抑制するとしてさらなる議論を呼んでいます。

 

「Keep Big Tech out of Finance」は現在のところオンラインで草案として公開されているのみで、法的な拘束力を持つものではありませんが、Facebookの公聴会にむけて先手を打ったとも言えるこの取り組みは大きな注目を集めています。

 

各国の規制当局や米議会がLibraに反対を表明する中で、オフィシャルな文章として発表されたのは「Keep Big Tech out of Finance」が初となります。

 

この法案草案ではビッグテックがデジタル資産の発行や運営を行うことを禁止することを目指しており、250億ドルの売上がある企業をビッグテックと定義しています。

 

Facebookは2018年に全世界で550億ドルを計上していることから、禁止対象となります。

 

Facebookはビッグテックだからこそステーブルコインの発行や金融業界への参入を目指すことができたとも言えますが、どのような戦略によって米議会や規制当局からの支持を集めるか注目が集まります。

 

フェイスブック 上院公聴会について

 

17日に行われた上院公聴会ではフェイスブックによる顧客のデータ保護が話題になりました。

 

結局のところ、リブラを通じて行われた取引の顧客の決済データはフェイスブックに収集される否かについてLibraプロジェクトの責任者であるデビット・マーカスは明確な回答をすることができませんでした。

 

デビット・マーカス:フェイスブック子会社カリブラの責任者

 

Facebookは最大8700万人の個人情報を流失させ、2016年の大統領選挙でトランプ大統領の陣営に有利になるように利用させていたことで50億ドルの制裁金を米連邦取引委員会(FTC)に命じられています。

 

2018年4月にもマーク・ザッカーバーグCEOが米議会で証言を行うなど、これまでも顧客のプライベート保護を巡っては問題を引き起こしてきました。

 

そのような経緯があってFacebookがLibraを発表した直後から各国の規制当局や米議会は「既存の金融システムの秩序が乱れる」として営利目的の企業が金融業界に進出する危険性を指摘しています。

 

トランプ大統領やFRBパウエル議長もLibraについては懸念の姿勢を示しており、Facebookの取り組みには規制が行われることが予想されます。

 

Libra マネーロンダリング対策について

 

デビット・マーカスはアメリカ財務省のFinCEN(資金犯罪取締ネットワーク)への登録によってマネーロンダリング対策を行うことを明らかにしています。

 

デビット・マーカスはデジタルウォレット「カリブラ」についてカストディ型での開発を行っていると明かしています。

 

暗号資産業界においてはすでに暗号資産取引所コインベースがカストディサービスを提供しており、顧客の暗号資産を保管するにあたり下記のような厳格な財務管理サービスを提供しています。

 

引き出し制限
監査証跡
複数署名
専用担当者の電話サポート
サイバーセキュリティ

 

暗号資産業界はFATFによる規制強化への取り組みが行われていますが、カリブラがハッキングにどこまで対応できるのか未知数な部分があります。

 

また、このようなサービスを提供したとしても、20億人以上の顧客データをフェイスブックがマネタイズする可能性は否定できません。

 

Libraは複数の法定通貨をバスケットにして価格を安定させるステーブルコインの一種として発表されましたが、すでに各国の中央銀行やJPモルガンがデジタル通貨の発行への取り組みを進めているなど、将来的には既存の金融機関との競合が考えられます。

 

その場合には「どちらが金融機関として信用できるか」が重要になると考えられ、個人情報の流失によって50億ドルの制裁金を課せられた企業が金融機関となるのはそもそも御門違いともいえます。

 

ファイスブックがステーブルコイン発行計画である「Libra(リブラ)」を発表し、世界最大の暗号資産取引所であるバイナンスもビットコインに裏付けられたステーブルコイン発行の計画を明らかにしています。

 

法定通貨やビットコインと価格が連動するステーブルコインへのニーズが高まりをみせていますが、多くの人々はクレジットカードやPaypalでの支払いサービスを利用しており、実際に普及するかは未知数だといえます。

 

ちなみにファイスブックは「リブラ・インベストメント・トークン」というSTOも計画しています。

 

今回はリブラのホワイトペーパーを解説し、ステーブルコインの将来性について紹介していきます。

 

リブラのホワイトペーパー解説


 

プログラミング言語「Move」による独自取引ロジックやスマートコントラクトの実装をリブラでは目指しており、LibraBFTコンセンサス・プロトコルを使用しています。

 

LibraブロックチェーンはBFT(ビザンチン・フォールト・トレランス性)アプローチを採用することで、P2Pネットワークが正常に稼働し、ネットワークへの信頼を担保します。

 

また、ブロックチェーンで広く採用されている「マークルツリー」のデータ構造を使用しています。

 

プロトコル「Libra Core」

プログラミング言語「Move」

通貨単位「Libra」

準備金「銀行預金・短期国債」

Libra協会本社「スイス・ジュネーブ」

運営会社「Calibra(フェイスブック子会社)」

 

Libra協会メンバー


 

会社名業種
Visa金融
Mastercard金融
PayPal金融
Stripe金融
PayU金融
Ebayネット通販
MercadoLibreネット通販
Farfetchネット通販
Uberライドシェア
Lyftライドシェア
Spotify音楽
Booking Holdings旅行
Vodafone通信
iliad通信
Kiva非営利団体
Mercy Corps非営利団体
Women’s World Banking非営利団体
CalibraFacebook子会社
Coinbase暗号資産
Xapo暗号資産
Anchorage暗号資産
BisonTrails暗号資産
Andreessen Horowitzベンチャーキャピタル
Union Square Venturesベンチャーキャピタル
Creative Destruction Labベンチャーキャピタル
Thrive Capitalベンチャーキャピタル
Ribbit Capitalベンチャーキャピタル

 

2020年前半にLibra協会はスタートし、加盟数は100に増加する予定とされています。

 

開発要件


 

①高度な取引データ処理能力や低遅延性、効率的で大容量のストレージシステム。数十億のアカウントに対応できるスケーラビリティ。

②資金や財務情報の安全を確保するための堅固なセキュリティ。

③Libraエコシステム・ガバナンスや金融サービスのイノベーションを可能にするための柔軟性。

 

ミッション「多くの人びとに力を与える、シンプルで国境のないグローバルな通貨と金融インフラになる」

 

1. 安全でスケーラブルで信頼性の高いブロックチェーンを基盤とする
2. 実態価値を付与するための資産のリザーブを裏付けとする
3. エコシステムの発展を目指す独立したLibra協会がLibraを運営する

 

ステーブルコインの将来性


 

ファイスブックは「グローバルコイン」というステーブルコインを2020年に発行予定となっています。

 

将来的に月2.4億人ものファイスブックユーザーが「グローバルコイン」を使用することとなれば、支払い方法として広く浸透するとも言われています。

 

これまでのステーブルコインはテザーが巨額の損失補塡問題によって信用を失い、最近ではパクソス、トゥルーUSDといったステーブルコインが台頭してきました。

 

そのような中でファイスブックが打ち出したステーブルコイン計画は大きな話題を集めており、これまで銀行や国際送金企業と提携を結び、国際送金システム「Xラピッド」を広めてきたリップル(XRP)にも大きな影響があると考えられます。

 

ファイスブックのリブラプロジェクトにはクレジットカード会社やオンライン決済システム会社は参加していますが、銀行は含まれていません。

 

銀行を介さずともフェイスブック上で簡単に送金ができるシステムを構築することができるため、グローバルコインは普及するとリップル(XRP)をはじめとしたアルトコインにも大きな影響があると予想されます。

 

しかしながら、投資銀行が共同事業体に参加してないことからリブラプロジェクトについて疑問を持つ声も上がっており、将来的にステーブルコインが支払い方法として定着するのかはまた別の話となりそうです。

 

Libra(リブラ)連絡会設置の理由|Facebookの今後

 

今回は財務省・金融庁・日本銀行による「Libra(リブラ)連絡会」設置を踏まえてLibra(リブラ)の今後について解説していきます。

 

ビットポイントの不正流出問題によって、これまでの暗号資産規制について見直しが急務とされています。

 

日本では既存の金融システムにおいても地方銀行のマネーロンダリング対策が不十分であることなどが課題とされており、ネットバンキングでの不正送金も平成27年には30億円以上の被害額を計上してました。

 

今年10月には「第4次FATF対日相互審査」が控えており、暗号資産業界のみならず、金融業界全体で規制強化が必要不可欠とされています。

 

そのような中で、財務省・金融庁・日本銀行はLibra(リブラ)連絡会を設置したことを7月12日に共同発表しました。

 

G7を控えており、世界各国でもLibra(リブラ)については多くの議論が交わされています。

 

Libra(リブラ)連絡会について

 

Libra連絡会はLibraの世界経済への影響やマネーロンダリング対策について議論を行うことを目的に設置されました。

 

Libraが将来的にもしも実現した場合には既存の金融機関の存在意義や財政的健全性、中央銀行の金融政策の影響力の低下など「既存の金融システムにおける秩序の崩壊」が不安視されています。

 

実際にLibraが実現するよりも前に、中央銀行発行のデジタル通貨や大手銀行によるステーブルコイン発行が行われることが現在のところ予想されますが、Libraへの包囲網形成に日本としても取り組んでいる姿勢が見受けられます。

 

日本銀行はデジタル通貨の発行計画を明らかにはしていませんが、Libraについて調査を進め、今後発行されるであろう他国のCBCDや銀行発行のステーブルコインへの対策を現段階から行う必要があることは間違いありません。

 

Libra(リブラ)既存の金融システムとの対立

 

Facebookは創業時に「Move fast and break things(素早く行動し破壊せよ)」をモットーに掲げていました。

 

2014年からは「Move fast with stable infrastructure(安定したインフラとともに素早く行動せよ)」に切り替わりましたが、ブロックチェーン技術を活用した新しい金融サービス構築を目指す同社の取り組みには大きな批判が寄せられています。

 

ビットコインは特定の組織を必要としない「分散型」の特徴を有していますが、Libraの場合は特定の組織「Libra協会」によって成立する「中央集権型」といった特徴があります。

 

そのため組織が社会的に攻撃され、信用を失ってしまった場合にはLibraのプロジェクトそのものが潰れてしまうことも考えられます。

 

FacebookがLibraを発表したことで、多くの議論を巻き起こしたことは功績として残るかもしれませんが、実際のところFacebookは顧客情報の不正流出問題によっておよそ50億ドルの制裁金をFTC(米連邦取引委員会)に課せられるなど社会的信用の低下が指摘されています。

 

また、営利目的の企業が金融サービスを担うことについても批判が巻き起こっており、世界金融の安定性を担う国際通貨基金(IMF)や各国の中央銀行はLibraに対して否定的な姿勢を強めています。

 

Libra(リブラ)を決済手段として利用する意義について

 

Libraが世界の決済サービスのあり方を変えるといった好意的な評価も見受けられますが、実際にLibraを発展途上国における国際送金や決済手段として活用するメリットについては慎重な議論が必要となります。

 

ステーブルコイン発行への取り組みはLibraに限らず各国の中央銀行でも進められており、同じ中央集権型の特徴を持つ場合には社会的信用度の高い金融機関を選ぶのが最良の選択です。

 

すでに20億人以上のユーザーを抱えているFacebookですが、全てのユーザーがFacebookを信用し、Libraを利用する世の中になるのは長い時間をかけて金融サービスとして信用を築くことから始めなくてはなりません。

 

すでにゴールドマンサックスやJPモルガンといった既存の金融機関もステーブルコインについては取り組みを進めていることが明らかにされており、今後もステーブルコインの同業他社は増えていくことでしょう。

 

話題性が先行していますが、Facebookが抱えるプライバー保護や消費者保護といった問題を解決することは容易ではなく、さらにその上に既存の金融システムとの対立が明確化されている現状において、単なるステーブルコイン開発としては問題を抱えすぎていると言えるでしょう。

 

アメリカ議会での公聴会に先立って、トランプ大統領やFRBパウエル議長からはLibraへ批判の声が上がっており、米下院金融サービス委員会のマキシン・ウォーターズ委員長など議会からは「個人のプライバシーや国家安全保障への懸念から、リブラの開発は一時停止すべきだ」とまで言われています。

 

アメリカではFacebookが2016年大統領選においてトランプ陣営のデータマーケティングを担い、オンライン上での政治広告などの情報操作を行うなどしてアメリカ議会からは大きな批判を浴びていました。

 

証拠を隠蔽するためのロビー活動や献金活動が2018年には報じられるなど、これまでのFacebookの取り組みを考慮すると「社会的信頼の高い新しい金融機関」として成功を収めるのは非常に困難なミッションであることが伺えます。

 

このような状況において、なぜFacebookは新たな決済サービスの開発に取り組むのか多くの疑問は残りますが、時間をかけて取り組みを進めることでアメリカ議会からの信頼を得ることが当面の課題となりそうです。

マネックスがリブラに参加申請を提出|デメリットや今後は?

 

マネックスグループが日本企業としてははじめてLibra協会への参加申請を行なった、と松本大CEOは明かしています。

 

これはマネックスの2019年第二四半期決算の記者会見で、Libraへの参加表明を行なっており、8月の1次審査を経て9月末には参加の可否が発表されるとしています。

 

Libraは「既存の金融システムの秩序を乱す」として各国の規制当局などから批判されてきました。

 

アメリカ上院下院で行われた公聴会においては、過去にフェイスブックが顧客の個人情報を不正に流出させた問題を踏まえて、プライバシー保護について厳しい意見が飛び交いました。

 

このような状況でマネックスの今回の取り組みは非常に話題性のあるもので、参加の可否は問わずとも日本の暗号資産業界にとっては明るいニュースとして現段階では報じられています。

 

Libra自体も実際に実現するかは難しいとされていますが、ステーブルコインや暗号資産市場への関心を惹きつけ、毎日のように関連のニュースが飛び交っています。

 

暗号資産の普及に向けては人々からの興味関心を集め、より健全な金融サービスであることを証明するのが一番有効な手立てであり、Libraの取り組みに日本企業が参加するといった非常にタイムリーな話題として今後も大きな注目を集めることが予想されます。

 

デメリットや今後について

 

Libraのホワイトペーパーでは27社がLibra協会のメンバーとして記載されていました。

 

複数の法定通貨にペッグされたステーブルコインとして発表されたLibraですが、利用者がLibraを購入すると、送金された法定通貨はリブラ協会を通じて信託銀行が保管する仕組みになっています。

 

保管された資金をもとにして信託銀行は短期国債への投資による運用を行うとされており、この仕組みそのものはETFと同じスキームを採用しています。

 

しかしながら、運用によって得られた収益は利用者に還元されるといったことはホワイトペーパーでも記載されておらず、分配のないETFとして一部からはLibraに懐疑的な声もあがっています。

 

国際的な金融の秩序を乱すとの批判もLibraには寄せられており、営利を目的とする民間企業が金融サービスとしてステーブルコインを発行することに対して規制強化の必要があると考えられます。

 

さらに数ある企業の中でも、ビッグテックと呼ばれる存在のフェイスブックが20億人以上の利用者に対してステーブルコインを提供するとあって、アメリカ議会では開発中止を求めて公聴会が開かれる事態に発展しました。

 

これまではイノベーティブな企業として名を馳せてきたフェイスブックですが、今回の金融業界参入はLibraのプロダクト開発も含めて厳しい評価がくだされています。

 

さらにVISAのアルフレッド・ケリーCEOはLibra協会への参加はどの企業も正式な決定がなされていないと明かしています。

 

現在のところLibra協会への参加は法的拘束力がないとされていることからマネックスの取り組みについても今後の進展に注目が集まります。

 

Libra(リブラ)に対する世界の反応|プロジェクト中断や規制の可能性

 

Libraプロジェクトについてヨーロッパ金融規制当局はFacebookが「シャドーバンク」になるのでは、と懸念を表明するなど、世界中から反対の声があがっています。

 

母国アメリカでは7月16日に公聴会が開かれる予定となっており、米国下院金融サービス委員会はLibraプロジェクトの中止を求めています。

 

LIbraプロジェクトには多くの疑問が投げかけられており、Libraプロジェクトによるステーブルコインが超国家的な広がりによって法定通貨に準ずるような存在になることをIMFや各国の中央銀行は恐れています。

 

なぜなら、Facebookは金融政策の適切化を目的にしているわけではなく、あくまで営利目的の企業であるからです。

 

Libraプロジェクトを巡ってFacebookと各国の金融当局から激しい批判が巻き上がっており、協議の難航も予想される中、これまでの世界の反応をまとめてみました。

 

アメリカ Libraプロジェクトの中断を要請 公聴会を7月16日に開催

 

 

アメリカ下院金融委員会委員長であるマキシン・ウォーターズ議員はLibraプロジェクトを中断するよう要請しました。

 

これはアメリカ合衆国下院や規制当局がLibraプロジェクトを審査するまで開発を中断することを求めたもので、Libraが世界の金融システムに及ぼす影響について理解を深めたいという目的があります。

 

議会や規制当局にとってもLibraプロジェクトは前例のないもので、世界的な金融規制の枠組みに適合するかについて多くの議論が必要とされています。

 

ウォーターズ議員はFacebookが暗号通貨による支払いをユーザーの生活に浸透させようとしている今回の取り組みについて、ユーザーや既存金融を保護する明確な規制の枠組みがないことに懸念を表明しています。

 

このことについてFacebook広報担当者は「開発が進むにつれ、議員の質問に対応することを楽しみにしている」と述べています。

 

Libraプロジェクトに対して懸念を抱いている議員は小規模で超党派的な議員グループを形成しており、アメリカ上院銀行委員会は公聴会を7月16日に開催すると発表しています。

 

証人に関する情報は発表されていませんが、公聴会は一般公開される予定となっています。

 

個人情報などデータプライバシーについてFacebookに説明責任を求める動きは「#BreakUpBigTech」として広がりをみせています。

 

また、米連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル会長はFacebookとFRBが会合を開いたことを明らかにしています。

 

暗号資産やデジタル通貨については潜在的に大きな可能性があることをパウエル会長は述べており、FRBがLibraプロジェクトについての規制に関与する可能性を示唆しました。

 

ヨーロッパ Facebookのシャドーバンク化や主権通貨への懸念を表明

 

 

フランスのブリューノ・ル・メール財務相と欧州議会マーカス・ファーバー議員はLibraプロジェクトについて規制や精査を求めました。

 

また、ファーバー議員はFacebookのシャドーバンク化への懸念を表明。

 

これはFacebookが20億以上ものユーザーを抱えていることが大きな理由ですが、Libraプロジェクトに対する既存金融システムからの反対の声は非常に大きいです。

 

規制当局への説明をFacebookは求められており、政治的背景も含め大きなうねりとなって世界で議論を巻き起こしています。

 

ブリューノ・ル・メール財務相はLibraプロジェクトによるステーブルコイン計画が将来的に主権通貨になる可能性についても言及。

 

ステーブルコインは価格が安定しているために国際送金だけでなく、政治経済が悪化している国々では商取引に使われる可能性があります。

 

高インフレ率に悩まされている国ではLibraのステーブルコインである「グローバルコイン」が法定通貨に準ずるような存在になり、そこから超国家的な広がりをみせることを世界の規制当局は警戒していると考えられます。

 

また、イングランド銀行総裁のマーク・カーニーはLibraプロジェクトについて世界最高水準の規制を受ける可能性やイギリス中央銀行がG7、国際決済銀行、国際通貨基金などと協力し、精査を行うと述べています。

 

カーニーはFacebookのプライバシー保護やマネーロンダリング防止対策についても疑問を投げかけており、Libraプロジェクトについては厳しい態度を表明しています。

 

中国 大手IT企業はLibraプロジェクトへの参加はしない意向

 

 

無料メッセンジャーアプリ企業WeChatの親会社TencentのCEOであるポニー・マーはLibraプロジェクトが成功するキーポイントは「規制」にあると述べています。

 

Tencentとしては暗号資産やデジタル通貨についてのリスクを考慮して暗号資産の発行は自社では行わなわず、暗号資産事業には関与しないと2018年3月に表明していました。

 

アリババグループの金融関連会社Ant FinancialのCEOエリック・ジンもデジタル通貨からは距離を置くことを2018年に明言しており、Libraプロジェクト発表前にも「これに対する我々の姿勢は変わっていない」と広報担当者は表明しています。

 

Ant FinancialではQR・バーコード決済サービスAliPayを運営しているため、各地域の決済サービスプロバイダと1社ずつ提携する従来の戦略をもとに海外市場への展開を拡大しています。

 

また、オープンソース・デベロッパー・コミュニティCSDNの副社長Yan Mengは「中国はすでに十分に確立された決済ネットワークを持っているためステーブルコインの需要はないかもしれません。」と述べています。

 

中国からはFacebookにアクセスができないことや、2017年に中央銀行が暗号通貨の提供を禁止した影響から中国ではLibraプロジェクトをはじめとした暗号資産については消極的な姿勢をみせています。

 

すでにAliPayが中国という世界人口の20%を占める1つの巨大経済からユーザーを獲得していることからLibraプロジェクトが世界規模の支払いネットワークを実現することは難しいとYan Mengは言及しています。

 

参考文献

 

Libra Currently Looks More Like a Fiat Currency than a Cryptocurrency

Halt Libra? US Lawmakers Call for Hearings on Facebook’s Crypto

Senate Banking Committee Schedules July Hearing on Facebook’s Libra Crypto

Facebook Talked to the Fed About Libra, Chairman Powell Says

Facebook’s New Crypto Faces Scrutiny From European Authorities

Bank of England Governor Says Facebook’s Libra Crypto Will Be Scrutinized

China’s Biggest Payment Firms Have No Plans to Follow Facebook into Crypto

マネックス、リブラ協会への加盟申請を提出。8月に一次審査

VISA社長 、仮想通貨リブラ参画は「どの企業も正式でない」と発言

財務省・金融庁・日銀、仮想通貨リブラに関する連絡会を設置=報道

「リブラ」連絡会を設置=金融庁・日銀と-財務省

Facebookの新モットー「安定したインフラですばやく動け」–インフラ強化策を発表

米議会、当局「リブラ」包囲網 事業停止求める声も

FBはトランプとロシアにどう使われたか?

US May Bar Large Tech Firms From Issuing Cryptocurrencies

U.S. proposes barring big tech companies from offering financial services, digital currencies

Congressional leaders have drafted a bill that would ban Big Tech from launching a digital asset

ビッグテック規制、株価の不安定要因に

フェイスブックに5400億円制裁金 米当局が和解案決議

米議会、当局「リブラ」包囲網 事業停止求める声も

Facebook’s Libra cryptocurrency ‘poses risks to global banking’

BIS(国際決済銀行)とは何ですか?

FBの仮想通貨は「世界の貧者の味方」になれるのか

仮想通貨「Libra」の信頼性に懸念、議員らがFacebookを追及

Sen. Sherrod Brown slams Facebook’s crypto plans: ‘It doesn’t deserve our trust’

Facebook crypto plans turn up heat on EU banks over real-time payments

Facebook official responds to Maxine Waters on cryptocurrency project

Fed chief calls for Facebook to halt Libra project until concerns addressed

周小川谈Libra:有必要未雨绸缪

央行王信:未来要推动央行数字货币研发央行王信:未来要推动央行数字货币研发

フェイスブック「リブラ」、中銀の監督下に置く必要-中国人民銀幹部

Facebook Has No Plans for Calibra or Cryptocurrency in India

Halt Libra? US Lawmakers Call for Hearings on Facebook’s Crypto

Facebook Talked to the Fed About Libra, Chairman Powell Says

Facebook’s New Crypto Faces Scrutiny From European Authorities

Facebook warns investors that Libra digital currency may never see the light of day

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