不動産投資

不動産のセキュリティトークン化の事例|J-REITや証券化不動産市場

アメリカでは連邦証券取引委員会(SEC)の規制に準拠して私募の範囲内でのセキュリティトークン(以下、ST)の発行が盛んに行われています。

 

すでに発行プラットフォームとしてSecuritizeやPolymathなどが話題を呼んでおり、取引所であるtZEROやOpenFinance Networkがさまざまなプロダクトと提携を結ぶなどセキュリティトークン市場形成の取り組みが進んでいます。

 

その中で、不動産のセキュリティトークン化についても関心が高まっており、自社の株式をSTとして発行し、資金調達を行い、不動産事業のさらなる発展を目指している「Resolute.Fund」「Aspencoin」といったプロダクトが登場してきています。

 

「Resolute.Fund」について

 

Resolute.Fundはアメリカの不良債権と化した複数の不動産をポートフォリオとしてファンドの運用を行っています。

 

不良債権投資はアメリカでここ数年人気を集めており、Resolute.Fundでは主にリーマンショックで不良債権化した一般人向けの低価格な不動産をアメリカ全土から調達しています。

 

その数は100軒以上に及び、さらなる事業拡大に向けてセキュリティトークンの発行を実施しました。

 

最低投資額は個人投資家でも市場参入できる10,000USDに設定されており 、5,000,000USDが調達上限金額として設定されています。

 

Resolute.Fundによるセキュリティトークンの販売は2019年6月25日に終了しており、 どれほどの資金調達に成功したのか注目が集まっています。

 

Aspencoinについて

 

2つ目の事例はセン トレジス・アスペンリゾートの株式をセキュリティトークンとして発行した 「Aspencoin」です。

 

セントレジスグループは1830年に設立された伝統的で最高峰のホテル&リゾートカンパニーとして、世界的に展開し、大阪にも拠点を構えています。

 

このAspencoinは、すでに1800万ドルの資金調達に成功しており、投資家はその投資額に応じて4.7%の配当を受け取ることができます。

 

10,000USDに最低投資額が設定され、アメリカSEC Reg D 506(c)に準拠してセキュリティトークンの発行が行われました。

 

この2つのユースケースはすでに実績のある不動産会社の株式がセキュリティトークン化された事例となっています。

 

これはセキュリティトークン発行による資金調達によって不動産投資を行い、収益を分配するというスキームとなっており、日本においても同様のスキームによるセキュリティトークンの活用が期待されています。

 

他には下記のような事例もあります。

 

ReitBZ ホワイトペーパー 解説|ブラジル・不動産投資

 

blockimmoホワイトペーパー解説|スイス不動産STO

 

世界的に見ても、現物不動産を小口化しセキュリティトークンとして発行されたケースはまだ存在せず、日本では証券化不動産市場の規模の大きさからその実現が期待されています。

 

日本では「不動産のセキュリティトークン」はまだ行われていませんが、不動産投資商品としてJ-REITが注目を集めています。

 

J-REITについて

 

J-REITは証券取引所における需要と供給によって価格が決定されます。

 

J-REITは、企業が株式を発行するのと同様に「投資証券」を発行し、投資家に購入させることで資金を調達し、不動産への投資を行っています。

 

そして、J-REITでは不動産物件の売買や賃料収入による収益を決算ごと(基本的に 年に2回)に投資家に分配します。

 

上場株式と同じように価格が変動し、売買されるといった特徴があり、一般に敷居の高いとされる不動産投資を気軽に行えることで近年注目を集めています。

 

J-REITでは不動産証券化市場において、平成29年度に1.83兆円の取得実績があり、これは市場の3割強を占めています。

 

しかし、2008年には不動産価格の下落によって投資家からの資金調達や銀行からの買い入れが困難になったことで、J-REIT市場は冷え込みました。

 

ここ数年は不動産市場の活況によってJ-REITは発展を遂げましたが、J-REITには景気の影響を受けやすいといったリスクがあります。

 

J-REITと不動産のセキュリティトークン化の違いについて

 

セキュリティトークンを用いたSTOは、各国の法規制に準拠して、株式などの有価証券や不動産の情報をブロックチェーン技術を用いることでトークン化し 、それを資金提供者に譲渡する新しい資金調達方法のことです。

 

セキュリティトークンはブロックチェーン上で24時間取引することが可能で、小口化によって多くの投資機会を提供することが可能となります。

 

例えば、J-REITは証券取引所が開いている時間のみ取引が可能となるので、24時間365日の取引可能時間はセキュリティトークンの大きな特徴となっています。

 

また、セキュリティトークンは不動産を小口化するスキームまたは、不動産会社の株式をセキュリティトークン化して資金調達を行うスキームの2つがあります。

 

セキュリティトークンを発行したアメリカの不動産会社は不良債権化した不動産をポートフォリオにしてファンドで運用しているケースもあります。

 

J-REITは不動産投資法人として投資家から資金調達を行い、ファンドを運用するためスキーム構造的にも多少の違いはあります。

 

現物資産の小口投資商品は東急リバブル「レガシア」がありますが、J-REITは最低投資額は小さいものの小口化のスキームは採用していません。

 

日本の不動産業界におけるブロックチェーン活用の現状と課題

 

ブロックチェーン技術を活用することで不動産情報を一括で管理することが可能となり、複数の企業で共有することが可能となります。

 

現在は企業ごとに不動産情報管理システムを導入しているため、情報の改ざんといった不正を監視することが困難です。

 

そのため消費者が不利な契約を結ばされたり、書類による契約のやり取りが煩雑になったりといったデメリットが存在します。

 

ブロックチェーン技術を不動産管理システムに導入する取り組みは日本でも行われており、コンソーシアムなどの立ち上げも積極的に行われています。

・不動産情報コンソーシアムADRE

参加企業

(株)NTTデータ経営研究所
(株)LIFULL
全保連(株)
(株)ゼンリン
(株)ネットプロテクションズ
弁護士法人鈴木康之法律事務所
三菱UFJリース(株)
(株)エスクロー・エージェント・ジャパン

金融機関や行政も参加しており、日本での不動産情報共有プラットフォームの構築を目指しています。

・積水ハウス

bitFlyer社とのブロックチェーン技術による不動産情報管理システム構築事業を展開。

・シノケングループ

Chaintope社との提携により、ブロックチェーンによる民泊物件情報管理システムや暗号資産の開発に取り組む。

・RAX Mt. Fuji

河口湖近辺にあるゲストハウスのトークン化プロジェクトを2018年12月に実施。

現状では不動産のセキュリティトークン化は日本国内では実施されていません。

金融庁による改正資金決済法の発表など暗号資産に対する規制強化によって、 どの企業も様子見な状態であるといえます。

 

参考文献


 

そもそもJ-REITとは?

お部屋探しの来店時「もう埋まってました」は近い将来になくなる?

 

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