アメリカIPO注目銘柄2020年12月|大型上場やスケジュールについて

2020年11月はアントグループが予定していた370億ドル(約3兆8,300億円)規模のIPOがジャック・マー氏の「金融規制とイノベーションの促進」に関する発言を発端にして急遽、延期に追い込まれる大きな事件がありました。

 

フィンテックの台頭によって従来の金融機関の個々の機能がアンバンドリングされ、最近ではAPI連携によって各種金融サービスのプラットフォームとなる「リバンドル化」といった現象も確認されており、デジタルアセット市場においてもDefi(分散型金融)市場に多くの資金が投じられています。

 

その一方、規制が追いつかないことで「投資家保護」「マネーロンダリング」「サイバーセキュリティ」などこれまで想定し得なかったリスクへの対応が必要となり、「金融規制とイノベーションの促進」を巡っては、フィンテック企業への規制を強化することで従来の金融機関を守ろうとする傾向も中国では強まっています。

 

最近では、Googleがシティグループなどの金融機関と協業し、銀行口座サービス「Plex」を発表し、日本でも後払い決済サービス「ペイディー」、個人向け資産運用サービス「ウェルスナビ」、投資関連アプリ「フィナテキストHD」といったスタートアップ企業が企業価値300億円以上と算定されています。

 

イノベーションを促進する金融規制の整備は各国ごとにその特色は異なりますが、健全な市場形成に向けては必要不可欠であり、大型上場が続く中国においても金融イノベーションへの監督強化の影響は少なくありません。

 

このような情勢の中で、アメリカにおいてはフードデリバリー会社「DoorDash(ドアダッシュ)」、全世界的な民泊プラットフォーム会社「Airbnb(エアビーアンドビー)」などが2020年内のIPOを目指しているとされています。

 

本稿ではIPO直近のアメリカのテック系スタートアップ企業について紹介し、2021年以降の資本市場について考察していきます。

 

>>アメリカIPOスケジュール【20211月第3週】AffirmPoshmarkが上場

「DoorDash」「Airbnb」のIPOを間近に控えたIPO市場の現状

 

2020年のIPO市場は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって多くの計画が頓挫した一方、9月以降はIPOが急増し、第4四半期に至っては1999年以降最も忙しい四半期とされています。

 

成長著しいテック系スタートアップ企業がIPOへの準備を開始したとされる報道が、次々と報じられる中、新型コロナウイルスワクチンの開発/提供による景気回復を見込んだ市場形成が今後は予想され、2020年12月はその追い風を受けたIPOラッシュが期待されます。

 

人々が外出の機会を抑制したことで、消費者向けサービスを提供する企業の多くは経営の行き詰まる傾向が高まりましたが、ソフトウェア、eコマース、ゲーム会社が大きく業績を拡大し、エンタープライズ向けのサービスを提供する会社のIPOが続いています。

 

そのような厳しい状況下においても「DoorDash」はオンラインでの注文が急増したことを背景に在宅勤務を続ける消費者に向けてフードデリバリーサービスを提供し、着実に業績を拡大。

 

「Airbnb」は都市部での民泊ビジネスは急激に業績を落としたもののソーシャルディスタンスの徹底によって田舎/郊外における収益増加を実現するなど、柔軟にビジネスモデルを変化させることに成功しました。

 

一方で、市場ではより高リスクな投資機会の提供への取り組みも進んでおり、「SPAC(特別買収目的会社)」による資金調達は540億ドル/164件に及びました。

 

IPOによる資金調達後に成長が見込まれるスタートアップ企業を買収/合併する「SPAC(特別買収目的会社)」のメリットとしては、各ラウンドでの長期的な資金調達を経ることなく、成長企業が上場できることが挙げられます。

 

しかし、どれだけ成長著しいビジネスモデルを有している企業でも市場環境の変化によって大きく業績を悪化させてしまう可能性や事業モデルに虚偽があったとして株価が急落した水素燃料電池トラック製造会社「ニコラモーター」の事例も今年の9月には確認されており、「SPAC(特別買収目的会社)」は投資家にとって高リスクなスタートアップ投資であるとも言えます。

 

 

>>スタートアップ企業の大型調達一覧【20211月】競合企業や市場規模

2020年12月以降のアメリカ資本市場

 

2020年のアメリカ資本市場は、短期間でのイグジットによる収益獲得ニーズが「SPAC(特別買収目的会社)」という形で市場構造を変化させています。

 

今後は、新型コロナウイルスワクチンの開発/提供の恩恵を受けて、消費者向けサービス会社の業績の回復が期待され、事前にリスクを分析/回避するマネジメントサービスの台頭が各産業で進むことが予想されます。

 

潜在的なリスクが驚異となることを「ブラックエレファント(黒い象)」と呼びますが、不確実性が高まる現代社会においてはサーバーセキュリティをはじめとして事前にリスクを分析/回避することの重要性が高まることでしょう。

 

「DoorDash」「Airbnb」は、新型コロナウイルス以前の日常への回帰とともに消費者向けサービスとしてさらなる発展が見込まれており、ロードショー(投資家向け説明会)においては下記の評価額を目指しているとされています。

 

DoorDash:300億-330億ドル(予想額:300億)

Airbnb:250億-280億ドル(予想額:250億)

 

後払いサービス会社「Affirm」、オンラインゲーム会社「Roblox」、eコマース会社「Wish」、株式投資アプリ会社「Robinhood」も年末から2021年の第1四半期にかけてのIPOを目指しているとされ、アントグループのような2,000億ドル規模ではないもののアメリカでは成長企業の上場がより活発になると考えられます。

 

>>ブロックチェーン/暗号資産企業とIPO2021年における国家超越と非中央集権の現在

まとめ

デジタルアセット市場においてはスイスで銀行/証券ライセンスを有する「Sygnum Bank(シグナム)」がベンチャーキャピタル、不動産、アートなどの資産をセキュリティトークンとして発行/取引するプラットフォームの開設を発表。

 

これまでの株式市場のみならずあらゆる資産が投資家のポートフォリオに加えられる時代が2020年以降には開かれると考えられ、その根幹を支える技術としてブロックチェーンは活用されています。

 

法整備によるイノベーションの促進は資本市場に新たな可能性をもたらしており、成長企業のIPOとともに実物資産トークンの取引にも将来的には大きな注目が集まることでしょう。

 

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