INX|セキュリティトークン(デジタル証券)市場におけるIPO(公募型STO)の実施について

INX Ltd.」は、SEC(米国証券取引委員会)に登録された公募型のSTOの実施を発表しています。

 

今回、「INX Ltd.」は、ERC20に準拠した、130,000,000個のINXトークン(デジタル証券)の発行によって、1億1,100万ドル規模の資金調達を計画。

 

これは米国資本市場において初めてブロックチェーン上で証券(株式)が発行された形でのIPO(公募型STO)とされており、来週、8月24日から募集が始まるとされています。

 

近年ではSPAC(特別買収目的会社)を介して設立間もない未公開株式会社が公開企業になる事例は米国で相次いで報じられていますが、ブロックチェーン技術を活用したIPOプロセスの効率化や投資家にどのようにしてトークン(デジタル証券)を発行し、スマートコントラクトを活用した配当を実施するのかなど、調達の成功・失敗に関わらず「INX Ltd.」のIPO(公募型STO)のユースケースが全世界的に広まることで、証券取引所におけるデジタル化を推進し、ブロックチェーンに対応した株式市場の形成が行われるとも考えられます。

 

IPO(公募型STO)については後日、詳細をお届けできればと思います。

 

「INX Ltd.」のビジネスモデルや企業分析について

一方、実際にブロックチェーン技術を活用した公募型の資金調達が、IPO(もしくはデジタルIPO)として普及するかについては未知数な部分も多々あり、「INX Ltd.」のForm F-1(登録届出書)「RISK FACTORS」の欄には

 

We are a recently formed company established under the laws of Gibraltar with minimal activity and no historical operating results.(私たちは最近設立された会社であり、ジブラルタルの法律に基づいて設立され、活動は最小限で、過去の営業実績はありません。

In their report dated April 23, 2020 our independent auditors stated that our financial statements for the year ended December 31, 2019 were prepared assuming that we would continue as a going concern and they expressed substantial doubt about our ability to continue as a going concern.(私たちの独立監査人は、2019年12月31日に終了した会計年度の財務諸表は、継続企業として継続することを前提として作成され、継続企業として継続する当社の能力についてかなりの疑念を表明したと述べました。)

Since our date of inception in September 2017, we have incurred a loss from operations and as of December 31, 2019, we have an accumulated deficit of $8,336,000. In addition to the accumulated deficit, we have entered into contractual arrangements committing us to future expenses, including the repayment of loans, as well as significant contingent obligations which are not currently reflected on our balance sheet.(20179月の開始日以降、当社は営業損失を被っており、20191231日現在、累計で8,336,000ドルの赤字を抱えています。当社は、貸付金の返済を含む将来の費用、ならびに現在当社の貸借対照表に反映されていない重要な偶発債務を返済する契約を締結しています。)

 

参考文献:Form F-1(登録届出書)

と記されており、「no historical operating results・going concern・accumulated deficit of $8,336,000」の企業による1億1100万ドル規模の資金調達計画が、どのように投資家に評価されるのかデジタル証券(セキュリティトークン)市場においても重要な出来事になるとも考えられます。

 

最低募集額7,500,000ドルを調達した場合には、

 

(1)デジタル証券(セキュリティトークン)とそれ以外のブロックチェーンアセットクラスを区別し、各アセットクラスにおける取引機会の提供。

 

(2)送金ライセンス、米国のブローカーディーラーライセンス、およびATSとしての登録を含む、適切な規制ライセンスと承認の取得。

 

(3)デジタル証券(セキュリティトークン)であるINXトークンを発行し、所有権のリアルタイムに反映するINXレジストリを維持。

 

(4)すべてのINXトークンホルダーがKYC / AMLに準拠すること。

 

(5)INXトークンの所有者に権利と利益を付与。

 

といったビジネスプランを計画しており、tZEROやOpen finance networkに次ぐ、ATS(代替取引システム)が、米国デジタル証券(セキュリティトークン)市場に誕生する可能性があると考えられます。

 

すでにローンチされているデジタル証券(セキュリティトークン)取引所においても財政悪化の懸念からサラリーの削減などが実施されており、これから各ライセンスの取得を行う企業がどのようにして市場優位性を獲得できるのか(また、なぜno historical operating resultsの状態でaccumulated deficit of $8,336,000があるのか?

 

など、これまでの経営に関して疑問に思う点はあるものの、SEC登録免除規定Regulationに準拠したSTOは、機関投資家や少数の一般投資家に限定されたものであったため、SECに登録された公募型のSTOの事例は新たな取り組みとして市場の活性化につながるとも考えられます。

 

投資家保護を前提とした市場形成に向けて

先週、Overstock、Republic、Polymathに関する記事を掲載し、今週は流通市場を中心に取り上げました。

 

多くの場合、各プレーヤーは約2年前から規制当局と協議しており、従来の取引所におけるブロックチェーンの導入(トークン発行)は市場の発展に向けて非常に喜ばしいことだと思います。

 

正直なところ、NASDAQ上場企業や投資銀行がデジタル証券(優先株、利益分配権)を発行し、tZEROなどで取引できればより大きな市場が形成されると思います。

 

したがって、ブロックチェーンでより効率的で安全な取引システムを実現すると同時に、投資家の保護など、従来の資本市場の秩序を保護することも重要です。

 

取引所があることで、大規模な資金調達と公開企業になることを企業は目指し、より厚みのある資本市場が発展します。

 

しかし、多額の借金を抱える企業が、一般投資家から資金調達を行うのは一昔前のICOのように大きなリスクをもたらすとも考えられます。

 

INXのIPOは非常に挑戦的な取り組みであり、公募STOとして多くの注目を集めていますが、それ同時に、監査が「coing cocern」の判断をしていることを考慮して投資を行う必要があります。

 

シード・アーリーステージの企業に投資できるのが米国デジタル証券(セキュリティトークン)市場の魅力とも言え、大手企業が参入が見込まれる中、各スタートアップ企業の市場開拓に今後も注目が集まることでしょう。

 

「INX Ltd.」のIPOに関しては今年の4月にも大きな話題を集めており、4月時点での情報を下記にまとめています。

INXが135億円にも及ぶIPOを実施へ

ブロックチェーン企業による米国最大の登録証券(セキュリティトークン)販売を目指し、INX Ltd.は、1億3,000万ドルの新規株式公開(IPO)のために投資家へのロードショーを開始し、目論見書の更新などを手続きを進めてきました。

 

This is our initial public offering. We are offering 130,000,000 INX Tokens, (the “INX Tokens” or “Tokens”). Each INX Token (including fractions of INX Tokens) will entitle its holder to receive pro rata distributions of 40% of the Company’s cumulative net cash flow from operating activities, excluding any cash proceeds from an initial sale by the Company of an INX Token (“Adjusted Operating Cash Flow”). Commencing in 2021, the distribution will be calculated on an annual basis and paid on or before April 30 to parties (other than the Company or its subsidiaries) that hold INX Tokens on the preceding March 31. Each annual distribution will be based on the Company’s cumulative Adjusted Operating Cash Flow (net of cash flows which have already formed the basis for a prior distribution), calculated as of December 31 of the year prior to the distribution.

130,000,000のINXトークン(「INXトークン」または「トークン」)を提供しています。各INXトークン(INXトークンの一部を含む)は、INXトークンの会社による初期販売からの現金収入を除く、事業活動からの当社の累積純キャッシュフローの40%の比例配分を受け取る権利を保有者に付与します(調整済み営業キャッシュフロー」)。2021年に開始され、配布は年単位で計算され、4月30日までに、前の3月31日にINXトークンを保有する当事者(当社またはその子会社を除く)に支払われます。累積調整済み営業キャッシュフロー(事前の分配の基礎をすでに形成しているキャッシュフローの純額)、配布前の年の12月31日時点で計算されます。

参考文献:As filed with the U.S. Securities and Exchange Commission on March 2, 2020. Registration No. 333-233363 (UNITED STATES SECURITIES AND EXCHANGE COMMISSION Washington, D.C. 20549 Amendment No. 7 to FORM F-1 REGISTRATION STATEMENT UNDER THE SECURITIES ACT OF 1933 INX LIMITED)

 

INX Ltd.は、BitLicenseの取得に向けて本社をジブラルタルからニューヨークに移転を予定しており、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)との協議を進めています。

 

IPOによって集めた資金は、暗号資産取引所INX DigitalおよびセキュリティトークンプラットフォームINX Securitiesの立ち上げに投じるとしており、AnchorageやBitGoとのパートナーシップを構築しています。

 

その他にも下記の企業とも提携を行っています。

 

Tokensoft:設計および技術アドバイザリーサービスの提供
Quantstamp:ファイリングに従って取引所のスマートコントラクトコードを監査

 

これまでマイニング企業であるArgo Mining が、ロンドン証券取引所でのIPOを通じて3,250万ドルを調達しましたが、INX Ltd.は、1億3,000万ドル規模での新規株式公開(IPO)を目指しており、tZEROやOpen Finance Networkといった既存のセキュリティトークン取引所とともに米国のSTO市場においては大きな役割を担うと考えられます。

 

米国におけるセキュリティトークン取引所は、ブローカーディーラー(BD)、代替取引システム(ATS)、登録投資顧問(RIA)などの証券関連のライセンス取得とともに、事業を行う州からの送金許可証が必要となりますが、SECへの登録を行いセキュリティトークンの発行・取引を行うことで、一般投資家への投資機会を提供できるとも想定されます。

 

米国最大の登録証券(セキュリティトークン)販売所として今後の米国STO市場を牽引するとも予想されるINX Ltdですが、市況環境が悪化している中でのIPOが成功するか否か大きな注目が集まることでしょう。

 

INX Ltd.の目論見書詳細

INXトークン:ERC20

トークンティッカー:INX

このオファリングで提供されるトークン合計:130,000,000トークン

最低募集額:7,500,000ドル

※7,500,000ドルを超える資金を調達しない限り、INXトークンの販売を完了しない。

調達資金の使用用途:暗号通貨およびセキュリティトークン取引プラットフォームを含むINXトレーディングソリューションの継続的な開発と運用のために、INXトークンの販売から調達した資金を使用する予定

募集の終了:

(i)提供されている130,000,000トークンのすべての販売

(ii)この登録ステートメントがSECにより有効と宣言された365日後

(iii)独自裁量によって短期間でオファリング終了する場合も

INX取引プラットフォームでのINXトークンの使用について:

INX証券取引プラットフォームで取引手数料の支払いとして使用される場合、INXトークンは、他の通貨を使用して支払われる手数料と比較して、所有者に少なくとも10パーセント(10%)の割引を付与します。

INXによる独自の裁量により、取引手数料の他の支払い方法と比較して、より大きな割引などのプロモーションインセンティブを提供する場合があります。

ただし、INXトークンに含まれる割引権利が10パーセント(10%)未満になることはありません。 INXトークンは、INXデジタル取引プラットフォームでの取引手数料の支払いとして使用することはできませんが、INXトークンの記録保持者に対して、INXデジタル取引プラットフォームでの取引手数料の割引を随時提供する予定です。

 

米国では、法整備との各企業活動の進展により市場の活性化が図られています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA