ヘルスケア市場のIPO予想2021|アメリカ・ユニコーン企業の有望銘柄

2020年は世界的にオンラインでの遠隔医療サービスの普及が進み、産業構造の変化とともに新たな医療ビジネスの発展が期待されています。日本でも株式会社メドレーが2019年12月に上場し、株価は1,223円から一時は最高値6,990円となるなど、テクノロジーを活用した医療ビジネスに大きな期待が寄せられています。

 

本稿では、アメリカの医療ヘルスケア企業を紹介し、将来的なIPOの可能性について考察していきます。

 

>>米国IPO予定のバイオベンチャー企業一覧|最新医療や創薬の次世代銘柄

再生医療/創薬企業「Samumed」 評価額120億ドル/総額6億5,800万ドルの資金調達(シリーズB)

 

2008年に設立された「Samumed」は、再生医療/創薬分野のデカコーン企業として6億5,800万ドルの資金調達に成功しています。当初はステルスで事業を展開していましたが、2013年に120億ドルの評価額で2億2,000万ドル(シリーズA)、2018年8月のシリーズBで4億3,800万ドルの資金調達を実施。

 

以降は追加の調達を行わず、変形性関節症、乾癬、アルツハイマー病などの治療プログラムの高度化を図り、男性型脱毛症の改善にも資金を投じています。世界の再生医療市場は2016年の54億ドルから2023年までに393億ドル以上になると予測されており、120億ドルの評価額を有する「Samumed」の成長には大きな期待が寄せられています。

 

既存の投資家にはシンガポールの国立科学技術委員会の副議長だったFinian Tan氏が会長を務めるシンガポールのVC「Vickers VenturePartners」がおり、「Samumed」が開発を進める創薬プラットフォームを高く評価しています。「人類への影響は、(アレクサンダー)フレミングが抗生物質を発見して以来(1920年代)、私たちが見たことのない桁違いのものです。」とTan氏は述べており、治療薬の承認/普及とともに「Samumed」の企業価値も高まることでしょう。

 

現在、SpaceXやStripeなど未上場のデカコーン企業として「Samumed」のIPOが期待されていますが、ここ数年は追加の資金調達を行なっていない点や事業への中長期的な取り組みが必要であることなどを考慮すると株式市場の動向に合わせて大型の調達を目指す必要は今の所ないとも考えられます。

 

>>IPO市場2021・フィンテック銘柄|アメリカ・スタートアップ企業が実現する金融のDX

遺伝子検査サービス企業「23andMe」 評価額28億ドル/総額8億6,860万ドルの資金調達(シリーズF)

 

遺伝子検査市場は2024年までに117億ドル(CAGR10.70%)に達すると予測され、遺伝性疾患や癌の発生リスクを遺伝子レベルで認識することで生活習慣の改善など予防医学の発展が期待されています。Abbott Laboratories Inc.、Bio-Rad Laboratories、Hoffmann-LaRocheなどが遺伝子検査企業として知られ、最新テクノロジーを活用して人々が新たなアプローチで健康を促進することをサポートしています。

 

2006年に設立された「23andMe」は規制当局との協議を通じて、厳格な基準をクリアした個人向け遺伝子検査サービスを提供し、健康リスクのみならず、自分の祖先がどの地域からきたのかを分析することも可能とされています。検査の精度は99%を誇り、FDA(食品医薬品局)からの承認を得ていることからその技術力は高く評価されており、99ドルから祖先分析サービス、199ドルから健康+祖先分析サービスを提供。

 

より多くの人々が安価に遺伝子を検査でき、健康促進に新たなインサイト(洞察)をもたらすことからヘルスケアスタートアップ企業として大型のIPOが期待されています。2020年12月にはセコイアキャピタル、ペガサステックベンチャーズ、NewViewキャピタルから8,250万ドルを調達し、シリーズFまでに評価額28億ドルで総額8億6,860万ドルの資金調達に成功。

 

パーソナライズされた健康促進サービスの普及は今後、各国で進むことが予想され、日本で遺伝子検査サービスを提供する企業にも大きな注目が集まることでしょう。

 

>>AI/機械学習のプレIPO企業2021|サイバーセキュリティ・データ分析予測銘柄

医療インフラサービス企業「Color」評価額15億ドル/3億8,200万ドルの資金調達(シリーズD)

 

米国において医療サービスは高額であり、そのインフラの構築は地域社会に行き届いていないことが課題とされています。「Color」は、誰もがアクセスしやすい医療インフラの整備を目指しており、テクノロジーを活用して費用対効果の高いサービスを提供することで、より良い医療環境の構築を促進。2020年には新型コロナウィルス検査ラボの構築を効率化するプラットフォームを提供し、必要な試薬や資材の調達を統一化やより効果的な検査後のワークフローの整備をサポートしています。

 

「Color」は遺伝子検査など精密医療へのアプローチを強化する技術とインフラサービスを有する最先端のヘルスケアスタートアップ企業として知名度を高めており、シリーズDラウンドにおいて1億6,700万ドルを調達。UberでIPOを成功させたEmily ReuterやStripeで副社長を務めたAshley Chandlerが参画するなど、企業のさらなる成長に向けて取り組みを進めています。

 

「私たちが開発してきたテクノロジーファーストな公衆衛生インフラの構築は、非常にうまく機能し、実際にスケーリングする大きな機会であると感じています。」ColorのCEOであるOthman Larakiはこのように述べており、2019年の比較すると5倍の規模に事業は拡大したと話しています。

 

業務の効率的な運用とコスト削減は医療関係者に大きなメリットをもたらし、今後は不要なトランザクション軽減と大規模なワクチン接種の効率化を「Color」は実現することでしょう。時代の大きな追い風を受ける「Color」は現在シリーズDラウンドを終えたばかりですが、評価額15億ドル/3億8,200万ドルの資金調達に成功しており、3-5年後のIPO銘柄として今後も大きな注目が集まることでしょう。

 

>>これから伸びる注目のスタートアップ企業とは?シリーズD前に1億ドル以上の資金調達に成功したアメリカ・中国企業

まとめ

アメリカでは医療ヘルスケア企業が大型の資金調達を実施しており、特に医療インフラの整備は緊急の課題として注目を集めています。

 

人々の健康促進や社会課題の解決に向けて多くの企業が取り組みを進めており、市場全体の拡大が見込まれています。

 

>>アメリカIPOスケジュール【20211月第3週】AffirmPoshmarkが上場