デカコーン企業GojekがTokopediaと合併交渉|米国でのSPAC-IPOの可能性や株主間の利害関係について

インドネシアではスーパーアプリ事業を展開するデカコーン企業「Gojek」が大手ECサイト「Tokopedia」との合併に向けて各事業のデューデリジェンスを行うと報じられています。

 

顧客データの利活用によってライドシェア、フードデリバリー事業の高度化を図り、現在はインドネシア167の都市と地域で100万人以上のドライバー、30万以上の加盟店を有するまでに成長した「Gojek」は、ベトナム、シンガポール、タイ、フィリピンでの事業も展開。最近では、デジタルバンク「PT Bank Jago Tbk」にも出資するなど決済事業にも力を入れており、インドネシア最大手のECサイト「Tokopedia」との合併によるエコシステムの拡大が期待されます。

 

本稿では東南アジアのデカコーン企業「Gojek」について紹介し、米国でのSPAC-IPOの可能性や株主間の利害関係について考察していきます。

 

>>スタートアップ企業の大型調達一覧【20211月】競合企業や市場規模

「Gojek」が「Tokopedia」と合併を目指す理由

 

2010年に二輪バイクタクシープラットフォームとして創業した「Gojek」は、シリーズFまでに下記の世界的な企業、VCから資金調達を実施しており、総額は50億ドルに到達。

 

Astra International

blibli.com

Google

三菱

Sequoia

Northstar

Temasek Holdings

KKR

Warburg Pincus

Visa

Parallon

SCB

Tencent

JD.com

meituan.com

Capital Group

「Gojek」は、シンガポールのスーパーアプリ企業「Grab」との合併を目指していましたが、経営権をめぐって合意が難航したことで、より相互的な企業成長を見込める「Tokopedia」との協業を模索しています。「Grab」の時価総額は143億ドルであるのに対して、「Gojek」は100億ドル、「Tokopedia」は70億ドルの時価総額であることから合併によって競合優位性を東南アジア市場で確立することにも繋がります。

 

また、ニューヨーク証券取引所に上場しているシンガポールのIT企業「Sea Group 」の株価が400%以上に高騰したことも東南アジア企業がエコシステムの拡大を目指す大きな追い風となっており、「Grab」「Gojek」「Tokopedia」「Sea Group 」の競争関係は2020年代の東南アジア資本市場をさらなる発展に導くでしょう。「Sea Group 」は調達した資金をもってして規模の拡大を推し進めることができることからより巨大な資本力とエコシステムを獲得することを「Gojek」「Tokopedia」は目指しています。

 

>>アメリカIPOスケジュール【20211月第3週】AffirmPoshmarkが上場

「Gojek」「Tokopedia」合併 投資家間の思惑

 

合併に向けたデューデリジェンスの段階ではあるものの「Gojek」「Tokopedia」は、インドネシアと米国での二重上場を目指しているとされています。また、米国では SPAC(特別買収目的会社)との合併を模索しているとされ、「Tokopedia」は2020年12月にSPACと協議したことを明かしています。

 

まずは両社の合併、米国IPOの際にはSPACとの合併によって通常のIPOプロセスを経ずとも上場企業となることはスピーディーな事業拡大を目指す両社にとっては1つの選択肢となりそうです。2020年はパランティア、アサナなどが直接上場(ダイレクトリスティング)を行った事例が確認されており、「Sea Group 」に次ぐ東南アジアデカコーン企業のIPO動向に2021年は注目が集まることでしょう。

 

月間アクティブユーザー数は「Gojek」は東南アジア5か国で3,800万人、「Tokopedia」はインドネシアのみで1億人(2020年12月)を有していることから人口増加や経済成長が見込まれる東南アジアでビジネスを展開する企業には今後、多くの投資が寄せられると考えられます。デューデリジェンスの課題としては、「Gojek」が決済サービス「GoPay」を運営する一方、「Tokopedia」はデジタル決済サービスOVOの主要株主であることが挙げられ、重複する事業に関しては詳細な調査が行われることでしょう。

 

そして、合併に向けた障壁とされるのが株主間の利害関係です。

 

「Gojek」には中国の大手IT企業「JD.com」が出資し、「Tokopedia」の主要株主には「Alibaba Group」がいます。中国市場において「Alibaba Group」、「JD.com」は競合関係にあり、東南アジアにおけるEコマース市場をめぐる各企業の思惑を一致させることは難しいといえます。

 

また、インドネシアにおいては「Tokopedia」のみならず「Alibaba Group」傘下の「LazadaGroup」、「JD.com」が運営する「JD.id」が存在しており、「Gojek」「Tokopedia」の合併は「Alibaba Group」、「JD.com」間の利害関係にも大きな影響を及ぼすこととなりそうです。現在はどのような線引きや妥協案の模索が行われているかは明らかにされていませんが、巨大な資本力を有する企業の独占的な市場支配競争が東南アジアでも展開されることが想定され、米国のみならず香港や上海でのIPOによってアジア資本市場が世界の中心となることも期待されます。

 

>>ブロックチェーン/暗号資産企業とIPO2021年における国家超越と非中央集権の現在

まとめ

 

東南アジアは2020年代の成長市場として大きな飛躍が期待され、インドネシア、シンガポール企業の台頭が確認されています。米国Amazon、中国Alibabaなど2000年代はEコマース市場の拡大が世界経済の成長を支えてきましたが、東南アジアではライドシェア、フードデリバリー、決済事業を兼ね備え、多角的な事業展開を進める企業が巨大な資本力を有するようになっています。

 

市場規模の拡大とともにその成長性は確かなものとされ、「Grab」「Gojek」「Tokopedia」「Sea Group 」以外にも主要なVCが投資する企業が将来的なテンバガー銘柄になる可能性など東南アジアは高い潜在性を秘めた市場であるといえます。

 

>>ヘルスケア市場のIPO予想2021|アメリカ・スタートアップ企業の有望銘柄