ガートナーハイプ・サイクル2020|リーガルテック市場の技術革新と倫理観の形成

世界的な調査会社であるGartner社は「Gartner Legal Tech Hype Curve – 2020 Positions」を発表しており、リーガルテック市場における技術革新の成熟と社会実装にむけた期間(目安)をもとに様々なテクノロジーが紹介されています。

 

今回は、普及が見込まれる3つの技術を中心にリーガルテック市場の今後について解説していきます。

 

Digital ethics(デジタル倫理):過度な期待のピーク期(5-10年)

 

技術革新の発展により新たに形成された分野においては、時として公共の倫理に反して技術を利活用する取り組みが行われることも少なくありません。

 

過度な期待のピーク期に差し掛かっている「Digital ethics(デジタル倫理)」は、デジタルプラットフォームやマーケットを倫理的かつ健全な形で管理することさします。

 

デジタル化が進む中で、何が良くて何が悪いのかといった常識やルールの存在しない領域はこれまで以上に増加することが今後は予想されますが、その基準は国や組織ごとに異なり曖昧であるともされ、最新技術を活用した取り組みに関する倫理観は政治、社会、道徳のみならず、様々な領域からの議論が必要であると考えられます。

 

従来の市場原理を混乱させた暗号資産も現在では法整備の取り組みのもと、新たな金融商品として新たな投資家層の獲得などといったメリットを資本市場にもたらしており、従来の法律や倫理観では担えなかった領域の監督や規制にむけて「Digital ethics(デジタル倫理)」への取り組みはより活発になることが予想されます。

 

新たな市場の創出と利益をもたらしたTikTokが、政治的な側面や安全性からインドや米国など各国で使用禁止が検討される事例も最近では確認されており、「Digital ethics(デジタル倫理)」をめぐる取り組みは今後も注目を集めることでしょう。

 

Legal chatbots(リーガルチャットボット):黎明期(5-10年)

 

ECサイトなどでは、お問い合わせページにチャットボットが登場し、自動応対を実現しています。

 

AI技術を活用したチャットボットの精度向上は、業務の効率化や人件費の削減、重要業務へのリソースの分配といったメリットをもたらしましたが、法律事務所でも「Legal chatbots(リーガルチャットボット)」としてその利活用が行われています。

 

法律事務所は、顧客が抱える課題の情報収集に多くの時間を必要とし、時として収益に繋がらない相談を受けることも少なくありません。

 

「Legal chatbots(リーガルチャットボット)」は、顧客のニーズに応じて24時間対応可能であり、瞬時にサービスを提供するのみならず、デューデリジェンスの自動化や高速化といった法律業界のデジタル化を推進することにも役立つとされています。

 

しかし、弁護士への相談事の多くは非常にセンシティブなものであることが多く、倫理観の観点からも「Legal chatbots(リーガルチャットボット)」の活用に向けてはより多くの議論が必要となることでしょう。

 

Data breach response(データ漏洩対策):過度な期待のピーク期(2年以内)

インターネットの普及とともに個人情報の管理・保護については各企業が義務的な取り組みを実施し、一般データ保護規則(GDPR)など国際的にも「Data breach response(データ漏洩対策)」への関心は高まりをみせています。

 

顧客データの収集・利活用によって、より良い顧客体験を提供する取り組みが、中国や米国を中心に行われ、データエコシステムの発展が見込まれていますが、機密情報の漏洩は、企業や組織に社会的信用の低下や損害をもたらす危険性があります。

 

そのため近年ではデータ漏洩対策に関するコストが増加傾向にあり、最新技術を活用した費用対効果の高い「Data breach response(データ漏洩対策)」サービスには多くの需要があると言えます。

 

リモートワークの普及により企業の機密情報が漏洩する危険性はより高まりをみせており、法令遵守と企業活動の継続に向けてサイバー保険への加入など「Data breach response(データ漏洩対策)」への取り組みは今後、ますます重要になることでしょう。

 

リーガルテック市場においても「Data breach response(データ漏洩対策)」に関するサービスの普及が見込まれています。

 

まとめ

 

「Gartner Legal Tech Hype Curve – 2020 Positions」を見ていくと今後10年間にわたって発展が見込まれる最新技術について知ることができました。

 

最新技術を活用した法律業務のデジタル化に関してはより多くの取り組みが行われていると同時に、倫理観やデータの取り扱いについては法律が追いついていないといった課題も存在します。

 

リーガルテックの発展のみならず、規制当局などによる法整備や倫理観の形成といった側面にも注目して今後も市場調査を継続していこうと思います。

 

・参考文献

 

Gartner Legal Tech Hype Curve – 2020 Positions

https://www.channelasia.tech/article/681831/data-breaches-cost-asean-businesses-minimum-2-71m/

Data Breach データ侵害

How Legal Chatbots Can Increase The Profit of Your Law Firm

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