【G20大阪サミット】暗号資産規制を解説|FATFの取り組みや今後

暗号資産規制

今回は「20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)」を前に国際的な暗号資産規制への取り組みを解説をしていきます。

2019年6月28日、29日に行われる「G20大阪サミット」では、「解釈ノートとそのガイダンス(※1) 」を中心とした国際的な暗号資産規制についての議論が予想されています。

※1 マネーロンダリング対策及びテロ資金対策に関する国際基準「FATF勧告」の15項目に定められた「新技術の悪用防止」の解釈ノートとそのガイダンス

G20大阪サミットに先立って、福岡で行われた「G20財務相・中央銀行総裁会議」(6月8日、9日)では、暗号資産規制について意見交換が行われました。

投資家保護や市場の健全化を目指す上で、G20大阪サミットは今後の暗号資産業界においても大きな意味を持つものと考えられます。

また、G20と同時開催で「V20 暗号資産サービス提供者サミット(Virtual Asset Service Providers Summit)」が開催予定となっています。

暗号資産への規制強化に取り組む中で、どのように整合性の取れた発展を目指していくのか注目が集まります。

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G20財務相・中央銀行総裁会議 暗号資産への国際的な規制を求める

G20財務相・中央銀行総裁会議においては暗号資産への規制強化などを盛り込んだ声明が発表されました。

20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)

会議では下記の3つの規制や報告書が取り上げられていました。

・FATF(金融活動作業部会)「解釈ノートとガイダンス」
・FSB(金融安定理事会)「暗号資産の規制当局ディレクトリ」
・IOSCO(証券監督者国際機構)「市中協議文書・暗号資産交換業者に関する論点、リスク、及び規制に係る重要な考慮事項」

FATFによる解釈ノートとガイドラインは6月21日に採決されており、取引における匿名性の排除などが盛り込まれていることで、大きな話題をよんでいます。

FATFはマネーロンダリングとテロ資金供与対策(AML / CFT)の国際協調を推進するため設立された政府間機関で、年に3回、FATFプレナリーという専門家会議を開催し、FATFの意思決定を行っています。

また、G20財務相・中央銀行総裁会議においては暗号資産がもたらす技術革新については一定の評価をしつつも、金融システムの安定性やガバナンスに与えるリスクについては、今後も監視が必要としています。

暗号資産の基礎となるものを含む技術革新は、金融システム及びより広く経済に重要な便益をもたらし得る。暗号資産は、現時点でグローバル金融システムの安定に脅威をもたらしていないが、我々は、消費者及び投資家保護、マネーロンダリング及びテロ資金供与への対策に関するものを含め、リスクに引き続き警戒を続ける。

20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)より引用

今後はFATFの解釈ノートとガイダンスが国際規制基準となり、世界各国で投資家保護や市場の健全化への取り組みが強化されると予想されます。

しかしながら、規制強化によって取引所を介さずに取引が行われる危険性があるなど、解釈ノートとガイダンスの内容には懸念の声もあがっています。

FATF 「解釈ノートとガイダンス」による規制強化の影響について

FATFは6月16〜21日に行われたFATFプレナリーにおいて「解釈ノートとガイダンス」を発表。

解釈ノートとガイダンスでは暗号資産サービス提携業者(VASP)に対して利用者情報の共有を定めています。

暗号資産への規制強化を求める内容となっており、下記の情報の共有を加盟国に求めています。

・顧客の氏名
・顧客の暗号資産ウォレット番号
・住所、国民番号、利用期間など顧客識別情報
・受取人の氏名
・受取人の暗号資産ウォレット番号

FATFには日本も加盟をしていることから暗号資産取引所はより厳密な顧客情報の管理・共有が求められることになります。

しかし、暗号資産の取引自体は「匿名性」であり、世界中の暗号資産取引所が協力して情報共有を行うのは難しいとの声もあがっています。

ブロックチェーン上で受取人の顧客情報の確認が義務付けられた場合には、取引所のコスト増加の可能性もあることから、実現に向けては懸念の声もあがっています。

また、匿名での取引が規制によって困難になった場合には、取引所を介さずに暗号資産取引を行う人々が現れる危険性もあります。

解釈ノートとガイダンスによる規制によって透明性の高い暗号資産取引が行われなくなることも予想され、暗号資産の発展にむけてどのように整合性をとっていくのか注目が集まります。

G20大阪サミットと並行してV20 暗号資産サービス提供者サミットが開催予定となっており、解釈ノートとガイダンスは大きな話題を集めることとなりそうです。

FSB・IOSCOの報告書について

G20財務大臣・中央銀行総裁会議声明においては、FSB・IOSCOの暗号資産についての報告書を歓迎するとの文言が表記されています。

我々は、ノンバンク金融仲介が金融システムに与える多様性を歓迎する一方、引き続き、関連する金融安定リスクを、適切に特定、注視、対処する。我々は、FSBと証券監督者国際機構(IOSCO)による市場の分断についての報告書を歓迎し、10月に、進行中の作業も含めた進捗報告を受けることを期待する。

20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)より引用

今年4月に提出されたFSBの報告書「暗号資産の規制当局ディレクトリ」の中では、世界金融にとって暗号資産が重大なリスクとなる可能性は低いと分析されています。

しかし、暗号資産市場の成長スピードが早いことからAML/CFTや租税回避のリスクが懸念され、継続的な監視が必要であるとしています。

また、IOSCOは市中協議文書「暗号資産交換業者に関する論点、リスク、及び規制に係る重要な考慮事項」を今年5月に公表し、顧客資産の保護や市場の公正性といった観点から暗号資産のリスクについて分析を行っています。

将来的に暗号資産を証券とみなした場合には、証券規制に基づいた原則を適用する必要があり、IOSCOは暗号資産とそのリスクの監視を継続して行うことが報告されています。

AML/CFTは、世界各国が協力して取り組みを進めることが必要不可欠であり、現在のところFATF・FSB・IOSCOが国際的な規制強化の中心となっています。

規制強化にむけて各国が協力体制構築へ

最近ではロシアでFATFの指導のもと暗号資産規制への取り組みが行われ、6月中にも採択予定となっています。

世界各国で法整備を行うことでブロックチェーン企業の誘致を目指す取り組みが進んでいます。

ロシア暗号資産規制を採択へ|Libra(リブラ)は今後も取引禁止へ

これまでの暗号資産業界では法整備が追いつかなかったことによって、ICOによるスキャムが相次いでいました。

多くの投資家が詐欺まがいのプロダクトによって資産を失うといった事態にも発展し、世界中で社会問題となりました。

しかし、最近では証券法に準拠して発行されるセキュリティトークンが注目を集め、世界各国でSTOが行われています。

また、ICO規制は世界各国で取り組みが進められており、日本でも改正資産決済法が2020年6月までに施行される予定となっています。

今後はFATFの解釈ノートとガイダンスの影響をうけ、国際協力及び規制枠組みの強化が図られることが予想されます。

暗号資産取引所はより厳重な顧客審査システムや管理体制の構築が必要不可欠となりますが、規制強化によって規制を回避しようとする動きが出てくることも考えられます。

どこまで規制を行うのかについては慎重な協議が必要となり、暗号資産に関する国際的な取り組みには今後も注目が集まります。

参考文献

仮想通貨マネロン規制でFATFに”バランス取れた”解決策を要求へ V20がG20大阪サミットと同時開催 Cointelegraph Japan

G20財務相会議閉幕。貿易摩擦への懸念表明と国際協調の重要性を訴え 仮想通貨WATCH

FATFの仮想通貨に関するガイダンスと解釈ノートとは? 仮想通貨WATCH

G20首脳会議、国際間での暗号資産規制アプローチの統合を奨励 コイン東京

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