Fnality(エフナリティ)とCBDC|分散型金融インフラ(dFMI)について

デジタル通貨

ブロックチェーン技術を利用した決済は外国為替業務を行うコルレスバンクといった仲介業者を介さないために、個人間送金に用いられている一方で、大手金融機関では従来の銀行間決済スキームを維持したい。

 

そのようなニーズから下記の特徴を有するFnality International(以下、Fnality:エフナリティ)が開発を進めるFnality Global Payments(FGP)の利活用が見込まれています。

 

・中央銀行当座預金の利用、ステーブルコインによる預託金の預け入れ
・「Utility Settlement Coin」:CAD(カナダドル)、EUR、GBP(英国ポンド)、JPY、USD建てのステーブルコイン
・コルレスバンクを介した決済

 

今回は、Fnalityによる分散型金融インフラ(dFMI)開発への取り組みとCBDCについて考察していきます。

 

 

 

Fnalityについて

 

 

参照:https://www.fnality.org/

 

仲介業者を排除したスキームを採用した暗号資産やステーブルコインを利用する方が、FnalityのUSCを利用するよりも効率的であるとも考えられます。

 

一方、Fnalityは中央銀行当座預金を活用するスキームで各通貨とFnality Payments System(FPS)を構築し、コルレスバンクを介したFnality Global Payments(FGP)の実現をめざしています。

 

Fnality Global Payments(FGP)は、地域の法律に従って規制されたピアツーピアのトークン市場を実現する新しい決済システムとして開発が行われ、中央銀行と協力して、FGPに必要な口座開設手続きを進めています。

 

2020年度中には、中央銀行から承認を得て、実証実験を行い、ユースケースを創出することを予定しており、現在のところCAD、EUR、GBP、JPY、USDの5つの通貨を対象としていることが明らかになっています。

 

※現在のところ米国連邦準備制度、イングランド銀行、または欧州中央銀行が承認する可能性の高いとされています。

 

2021年からは、上記の通貨以外の通貨にも対象を増やし、さらに多くの金融機関との連携を図るなど、株主でなくとも参加者(企業)になれるオープンな分散型金融市場インフラ(dFMI)の構築を目指しています。

 

2019年6月にはシリーズAラウンドにおいて5,000万ポンド(約68億円)を調達しており、次世代の金融市場インフラのあり方を大手国際銀行および中央銀行とともに創り上げているブロックチェーン企業であると考えられます。

 

 

ブロックチェーンを活用した次世代金融インフラについて

暗号資産はその登場以来、国際送金の迅速化といったメリットから利活用が行われてきましたが、ボラティリティの激しさから決済手段としてイニシアチブを獲得することはできず、2019年頃からはステーブルコインやデジタル通貨への取り組みが大きく報じられるようになりました。

 

そのような市場環境の中で、ブロックチェーン技術を活用した分散型金融市場インフラストラクチャ(dFMI)の開発を手がけるFnalityは、

 

・ステーブルコイン「Utility Settlement Coin」を利用した銀行間決済
・国際銀行市場における即時決済
・非中央集権型の金融インフラの構築による仲介手数料の削減

 

を目指しており、15の金融機関が「USCプロジェクト」に参画しています。

 

サンタンデール(Banco Santander)
ニューヨークメロン(Bank of New York Mellon)
バークレイズ(Barclays)
CIBC
コメルツ銀行(Commerzbank)
クレディスイス(Credit Suisse)
ロイズ・バンキング・グループ(Lloyds Banking Group)
みずほ銀行(Mizuho Bank)
ING
KBC Group
MUFG Group
ナスダック(Nasdaq)
SMBC(Sumitomo Mitsui Banking Corporation)
ステートストリート(State Street Bank&Trust)
UBS

 

ブロックチェーン技術を採用した金融インフラは、「支払い処理速度の向上・決済リスクの軽減・DVP決済」といった従来の金融インフラでは実現が難しいとされてきた課題を解決するとして、日本でもMUFG、レイヤーエックスが証券決済システム「Progmat」の開発を進めています。

 

また、ナスダックも金融機関システムとの統合および相互運用性といった特徴を有するR3・Cordaブロックチェーンを導入した機関投資家向けデジタル資産プラットフォームの開発を発表。

 

新しい資産と既存の資産を問わず、トークン化が広く採用される新たな時代を想定した分散型金融市場インフラ(dFMI)への取り組みは、各国で行われており、セキュリティトークン市場とはまた別の視点から各企業の動向や協業を見ていく必要があると言えます。

 

 

まとめ:Fnality(エフナリティ)とCBDC

金融市場においては

 

・バックオフィス業務の効率化
・国際送金の迅速化

 

といったメリットのみならず銀行間決済をどのようなスキームで構築するかに大きな注目が集まっています。

 

規制当局の承認プロセスを経て、USC(Utility Settlement Coin)の実証が中央銀行・各銀行セグメントで行われることが想定され、

 

・銀行間支払い
・銀行グループ会社間の支払い
・OTCデリバティブ市場での利用
HQLAxHQLAxとの統合

 

などのユースケースや応用が検討されています。

 

USC(Utility Settlement Coin)と中央銀行デジタル通貨(CBDC)は競合関係にあると考えられますが、ホールセールCBDCの開発・導入にあたってはさまざまな金融機関・ビジネスプラットフォームとのインターフェースが必要とされ、各中央銀行で検証が行われています。

 

CBDCの導入については各中央銀行ごとに取り組みに差はあるものの、中国での実用化に向けた取り組みが2020年初頭から連日のように報じられた時期もあり、今後の金融市場では重要なキーファクターであると考えられます。

 

FnalityのOlaf Ransome(Industry Solutions Advisor)は

 

“If one of the key ones (central banks) signal that they were going to do this instead, we’d sit up and take notice. So far, that hasn’t happened.”

 

と述べており、将来的に中央銀行が代わりにFnalityの業務を行う可能性を考慮しつつも今はまだその時ではないとしています。

 

次世代の金融市場インフラを構築しているFnalityの取り組みが中央銀行・大手銀行から大きな支持を集めている点において、ブロックチェーン技術の実用化が有する可能性は極めて大きなものであると考えられます。

 

Fnalityが金融市場にどのような変化をもたらすのか、今後も調査を続けていきます。

 

 

・参考文献

In Depth: Fnality, the global blockchain payments system backed by Nasdaq, 14 global banks - Ledger Insights - enterprise blockchain
An in depth look at Fnality which runs the blockchain payments system formerly called Utility Settlement Coin. Explores the purpose and roadmap

 

拡大するグローバルコインーー国際送金を独自通貨「USC」で効率化、FnalityがMUFG含む大手金融から5000万ポンド調達

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