アメリカの利下げによる円高株安の可能性|日銀のETF買い入れについて

国際金融・経済

アメリカでは景気減速への懸念からFRBパウエル議長が利下げを示唆する発言を6月19日の連邦公開市場委員会(FOMC)で行いました。

 

「An ounce of prevention is worth a pound of cure.」は「早めの予防を行うことで、悪化は免れる」といった意味を持ち、7月30、31日のFOMCでは政策金利が2.5%から引き下げられると予想されています。

 

その利下げ幅が「0.25%」ごとなのか、トランプ大統領が要求する「0.5%」なのかが争点となっています。

 

FRBとしては投資家や市場との信頼関係を損なうことなく、段階的に利下げを行うことで市場の混乱を避けることが望まれます。

 

一方で、日本では利下げによる円高への警戒が強まっています。

 

アメリカの利下げで円高株安の可能性は?


 

リーマンショック時におけるアメリカ政策金利の大幅な利下げによって、日経平均は一時7000円代を割り込み、円高は90円台まで進みました。

 

このような景気後退期における大幅な利下げの繰り返しは市場を混乱させ、円高ドル安を加速させますが、現在のところアメリカは中国への制裁を緩和させるなど景気悪化を招くリスクを最小限に止めようとする動きが見られます。

 

・最近のアメリカの2018年実質GDP成長率

 

第1四半期(1~3月)前期比年率+2.3%
第2四半期(4~6月)前期比年率+4.1%
第3四半期(7~9月)前期比年率+3.5%
第4四半期(10~12月)前期比年率+2.6%

 

上記のようになっており、景気の拡大は続いているものの成長は徐々に鈍化してきていることがわかります。

 

今回の利下げは景気後退の予防策として長期的な景気拡大を目指すためのものであり、景気後退期における大幅な利下げとは意味合いが異なるものです。

 

G20において米中貿易問題が好転したことも踏まえ、利下げによる円高ドル安への影響は少ないとされています。

 

また、リーマンショック時に円高ドル安が進んだ要因の一つとして、安全通貨(低金利通貨)である円に対して買いが集中したことが挙げられます。

 

現在はスイスやスウェーデンといった国でマイナス金利を実施しており、円の他にも低金利通貨は多く存在していることから円高要因は少ないといえます。

 

日本銀行によるETF買い入れについて


懸念材料としては、日本銀行の金融政策(国債・ETFの買い入れ)が円安誘導・為替操作として国際的にも問題視されており、日本の金融市場の健全性が損なわれていることが挙げられます。

 

円高になった際に金融政策として実施が行われる可能性が高いとされていますが、これ以上の円安誘導・為替操作は国際的な非難を免れません。

 

中央銀行による金融市場の操作はスイスなどでも行われていますが、これ以上の国債・ETFの買い入れは日本銀行としても避けたいところでしょう。

 

また、日本銀行は市場の正常化にむけて長期金利の利上げを目指しており、そのような状況でのアメリカの利下げは大きな影響を日本の金融市場に及ぼす可能性があります。

 

国債・ETFの買い入れは前年度より抑えられており、特にETFの買い入れは月平均3872億円、年間4兆6472億円で推移しています。

 

ETF買い入れ推移


 

1月4日704億円
1月10日704億円
1月16日704億円
1月29日704億円
設備投資228億円
合計3044億円

 

2月7日704億円
2月8日704億円
2月15日704億円
設備投資228億円
合計2320億円

 

3月5日702億円
3月7日702億円
3月8日702億円
3月13日702億円
3月25日702億円
3月27日702億円
3月28日702億円
設備投資240億円
合計5154億円

 

4月9日705億円
4月10日705億円
4月11日705億円
4月26日705億円
設備投資240億円
合計3065億円

 

5月8日707億円
5月9日707億円
5月14日707億円
5月16日707億円
5月21日707億円
5月23日707億円
5月24日707億円
5月29日707億円
5月30日707億円
5月31日707億円
設備投資228億円
合計7298億円

 

6月3日705億円
6月4日705億円
6月13日705億円
設備投資240億円
合計2355億円

 

アメリカの利下げに備えた減額との予想もありますが、トランプ大統領が来日した5月には買い増しが行われているのがわかります。

 

将来的にETFの買い入れ総額が40兆円に達した際には、日本銀行が東証一部の時価総額の6%以上を保有する日本株の最大株主となります。

 

金融政策として行っていたETFの買い入れですが、売却による株安を招く危険性もあり、今後の日本銀行の動向に注目が集まっています。

 

参考文献


 

日銀、日本株の最大株主に 来年末にも

日銀が日本最大の株主となることへの懸念

スイスと日本、世界で2つの中央銀行だけの異常とは

日銀の隠れた緩和縮小、国債からETFへ-購入減との見方

日銀ETF買い入れ、2億円減額に潜むメッセージ-年6兆円枠で最低

米利下げが現実味 でも円高は進まない?

 

SNS


STOnlineはSNSを開始しました。

Twitter: @stonline_jp

Facebook: @sto.on.line.io

コメント

タイトルとURLをコピーしました