Talking about security tokens and the DX IGWT token in Tokyo. pic.twitter.com/jwEwlV3V3H
— Daniel Skowronski (@danskowronski) June 26, 2019
2019年11月に「DX.Exchange(デラックス・エクスチェンジ)」は閉鎖されています。ご参考までに読んでいただければ幸いです。
「DX.Exchange(デラックス・エクスチェンジ)」はEFIU (エストニア金融情報部門)からの認可を受けた暗号資産取引所で、2019年1月にソフトローンチしました。
本格的なローンチは2019年6月を予定しており、STO取引所としての機能だけではなく、アメリカ証券取引所NASDAQとの提携によって上位銘柄の株式トークンの発行も行なっています。
暗号資産のみならず法定通貨の取り扱いも行なっており、株式トークンを含めたあらゆる資産の取引をサポートします。
2019年にはヨーロッパ証券市場の上位銘柄の取り扱いやAlipayとの提携、MTFライセンスの取得によるレバレッジ暗号資産取引も計画されています。
「DX.Exchange」に関する最新情報やこれまでの取り組みをわかりやすく紹介していきます。
最新情報
https://t.co/gavrewTi9F Launches Smart Leverage Tokens to Allow Margin Trading on the Blockchain. Read the full story at https://t.co/qk3jRbE8kc pic.twitter.com/U6fMrn6Kr5
— DX.Exchange (@DXdotExchange) July 10, 2019
DXエクスチェンジは今年7月にブロックチェーンでの証拠金取引(FX)を行うための「ターボトークン」を発表しています。
スマートレバレッジドトークン(SLT)と呼ばれ、新たな金融商品として注目を集める「ターボトークン」ですが、今後はペア数の増加とともに利用者も増えていくことが予想されます。
利用者拡大に向けて日本でも「@Press」や「SankeiBiz」にも広告を出すなど、マーケティングにかなり力を入れている様子です。
エストニア ブロックチェーンへの取り組みや規制動向
今では世界有数のIT立国として知られるエストニアですが、2014年から「e-Residency(電子居住権)」を始めたことで「電子国家」として話題を集めていました。
これはエストニアに住んでいなくても電子住民として会社設立や銀行口座開設ができる画期的なサービスです。
e-Residencyに登録して2500ユーロ(約33万円)を払えば、エストニアで起業することができるため、スタートアップ投資の拠点としても注目を集めています。
すでに700社以上のブロックチェーン関連企業がエストニアには誕生しており、エストニアのブロックチェーン企業である「blockhive OÜ」と「SetGo」は日本国内での事業展開を開始するなど、新たな取り組みも始まっています。
「blockhive OÜ」と「SetGo」は日本企業のエストニア進出をサポートし、日本政府の電子政府化に向けての実証実験を通じて、両国の経済発展を目指しています。
また、エストニア国内では2008年ごろから試験的にブロックチェーン技術の活用を目指し、2012年には国民保険などの分野で運用を開始。
2017年に政府が主体となってe-Residency内で使えるトークン「エストコイン」の発行を発表しました。
EU加盟国であり、独自通貨の発行権がないことからエストコインの発行は見送られることとなりましたが、ブロックチェーン技術に対してはかつてより大きな関心を抱いていました。
2018年12月にはエストニア金融庁が「マネーロンダリング防止およびテロ対策資金調達法の改正案」を検討していることを明かしており、ブロックチェーン企業に対するライセンスの強化を計画しています。
エストニアでの会社設立を行なった暗号資産関連企業は本社をエストニアに置くことを義務付け、暗号資産市場の健全性の向上を目指しています。
暗号資産を取り扱うライセンス制度をいち早く導入し、申請から2週間で規制当局であるFinancial Intelligence Unit(FIU)からの承認が行われていましたが、2019年4月からは対面での本人確認が必須となっています。
オンラインでのライセンス取得はできなくなりましたが、多くのブロックチェーン企業がエストニアでの会社設立を目指しており、スイスやマルタといった国々よりも多くの企業の誘致が予想されています。
STO発行にはエストニア金融監督局(EFSA)に目論見書を登録する必要があり、この点についてはEUの目論見書規定に基づいて法整備がなされています。
今や世界中のブロックチェーン企業がエストニアに集結し始めている中で、DX.Exchange(デラックス・エクスチェンジ)はどのような取り組みを行なっているのでしょうか?
DX.Exchangeの現状と課題
DX.Exchangeは2019年1月にソフトローンチを行い、メンバーシップ料や取引手数料など取引所の機能テストを行いました。
最近では5月にPumaPayトークンが上場し、6月27日~30日にはDX.Exchangeの本格的なオープンを予定しています。
DX.Exchangeが発表した計画の中では下記の事業が予定されています。
2019年 第1四半期
・ヨーロッパの上位銘柄の取り扱いをスタート
・店頭市場 (OTC)の提供
2019年 第2四半期
・デビットカードの提供
・香港証券取引所、東京証券取引所の上位銘柄の取り扱いスタート
・Alipayとの提携
・デジタルストックの売買でオンラインショッピングが可能に
2019年 第3四半期
・MTFライセンスの取得によるレバレッジ暗号資産取引への対応
2019年 第4四半期
・デジタルバンクの提供により銀行口座から法定通貨の送金が可能に
2020年 第1四半期
・アメリカ暗号資産市場への参入
・バニラオプションの提供
2020年 第4四半期
・分散型取引所を提供
2019年1月28日 DX.Exchange「DX 東京ミートアップ」より
計画の一部は遅れている事業もありますが、世界的な証券取引所の上位銘柄の取り扱いやAlipayとの提携は暗号資産市場が既存の市場や社会に大きな影響を与えると予想されます。
人々の生活に暗号資産が普及するきっかけとなることが考えられ、2020年には分散型取引所の開設も予定されています。
世界的に見ても先進的な取り組みを行なっているDX.Exchangeですが、当面は6月に予定されているローンチが予定通り行われるかに注目が集まります。
また、現在のところアメリカの投資家はDX.Exchangeには登録ができません。
MTFライセンスの取得によってアメリカ暗号資産市場への参入も計画されており、アメリカ規制当局との協議が進められています。
最近ではイスラエルの研究開発チームとして活動していた72人の雇用にも成功しており、全世界的な展開にむけて取り組みが進められています。
DX.Exchangeの特徴
・月額メンバーシップ
DX.Exchangeでは月額20ドルをメンバーシップ料金として支払う必要がありますが、取引所の独自トークンであるDXcashをメンバーシップ料金の支払いに使うことで、月額10ドルでDX.Exchangeを利用できます。
・取引量手数料プラン
取引量(月)に応じて手数料が発生するこちらのプランは$100,000までの取引量の場合は1回の取引で0.25%が発生します。
しかし、DXcashによって取引手数料の支払いを行えば、0.20%の手数料となり、取引量が多くなればなるほどに手数料はお得になっていきます。
$50,000までは取引手数料は無料です。
取引量(月) 手数料(通常) 手数料(DXCash)
-$50,000 0% 0%
-$100,000 0.25% 0.20%
$100,001 – $500,000 0.20% 0.15%
$500,001 – $1,000,000 0.15% 0.10%
$1,000,001 + 0.10% 0.05%
・取り扱い通貨
DX.Exchangeでは「ドル・ユーロ・日本円・ポンド」といった法定通貨が使用可能です。
この4種類の法定通貨に加えて、「BTC、ETH、Tether (USDT)」が基軸通貨と定められています。
NASDAQとの提携
DX.Exchangeはアメリカ証券取引所NASDAQとの提携を結んでいます。
NASDAQのFIXプロトコルやMatching Engine( “ME”)といった技術がDX.Exchangeには使用されており、暗号資産取引所としては世界初の試みです。
NASDAQとの提携によって、証券取引における最高基準の規制に準拠することができ、円滑な取引と市場操作の防止を実現できます。
また、NASDAQに上場している大手企業の株式トークン発行も行うことができ、下記の企業の株式トークンは法定通貨または特定の暗号資産で購入可能となっています。
アルファベット(グーグル株)
アップル
アマゾン・ドットコム
フェイスブック
マイクロソフト
テスラ
ネットフリックス
バイドゥ
インテル
エヌビディア
大手企業の株式トークン化はNASDAQとの連携を行なっているDX.Exchange独自のものであり、ブロックチェーン業界にとっても大きな意味を持つと考えられます。
Financial Information eXchange(FIX)プロトコルについて
FIXプロトコルは米国の証券取引会社で使用されている証券取引における電子コミュニケーションの統一規格です。
FIXプロトコルによって定義されている標準化されたメッセージとワークフローによって、証券会社と投資家は人手を介さずに取引ができるようになります。
注文情報を実行するために売り側と買い側注文管理システム(OMS)間の通信にFIXプロトコルは使用され、証券取引では共通システムとして広く普及しています。
Matching Engine( “ME”)について
Nasdaq Technologies ABとの提携により、DX.ExchangeはMatching Engine( “ME”)を利用することができます。
DX.Exchangeシステムの一部として使用されているNasdaq MEは、FIXプロトコルを通して売買注文をFIXプロトコルと注文管理システム上で管理し、注文情報が一致した場合には取引情報が作成され、その詳細を決済システムに送信します。
MPS MarketPlace Securities, Ltdについて
MPSはキプロス規制機関CySECに認可を受けており、DX.Exchangeとの連携を結んでいます。
DX.Exchangeで株式トークンの購入があった際には、MPSがNASDAQを通じて株式を購入します。
MPSは株式に基づいたERC-20トークンをスマートコントラクト上で発行し、投資家はMIFID2に準拠した本人確認(KYC)の確認プロセスを経て、取引を行います。
顧客は株式の所有権を購入することはなく、株式に基づいたERC-20トークンをDX.Exchangeを通じて購入することになります。
この株式のトークン化によって24時間365日の取引が可能となり、さらなる投資機会の提供が期待されています。
また、DX.ExchangeにはNasdaq独自の市場監視技術も装備されています。
NASDAQマッチング技術
機能豊富なプラットフォームはいつでも、どこでも、あらゆる資産の取引をサポートし、企業が新しい資産クラスに進出したり追加のサービスを提供しようとするときに適応できるように拡張性と柔軟性が必要不可欠になります。
マルチアセット対応や本人確認から支払いまでのシームレスな連携、法令や規制に適応したコンプライアンスチェック機能の充実など、複雑化した業務フローを見直し、オペレーション効率や精度を向上させることが求められています
NASDAQのマッチング技術はDX.Exchangeに複数の資産を取引する機能を提供し、取引業務のコストと技術的な複雑さを軽減します。
このことで顧客は安全な取引を実現できます。
コールドストレージ
ハッキング対策のため暗号資産の保管には「コールドウォレット(ストレージ)」と呼ばれるオフラインでの保管方法を採用しています。
オフラインでの送金は不可能であるために、暗号資産の安全な保管方法として知られています。
法廷通貨と暗号資産の一括管理
2019年6月現在のDX.Exchangeでは暗号資産の取り扱いはまだ少ないものの、法定通貨と暗号資産、株式トークンといったあらゆる資産の取引をサポートします。
これまでの暗号資産取引所では、暗号資産の種類は多いものの法定通貨には対応していないものがほとんどでした。
DX.Exchangeは法定通貨と暗号資産のみならず、株式トークンの発行も行なっており、すべての通貨を一括管理で管理し、より効率的な取引を実現します。
DX.ExchangeでSTO上場を行うプロセス
Come visit the https://t.co/gavrewTi9F Team at the Barcelona Trading Conference #btconf2019. Meet the https://t.co/gavrewTi9F team at Booth #13, come to learn more about the new Turbo Tokens #exchangeyourway pic.twitter.com/EKGcfu69YJ
— DX.Exchange (@DXdotExchange) July 10, 2019
DX.ExchangeではESMA(欧州証券市場監督局)※1とMIFIDII(第2次金融商品市場指令)※2の規制に基づき、STO上場が行われます。
登録の各プロセスごとに資格要件が設定され、これに合格することではじめて取引所での取り扱いが可能となります。
資格要件は「Investment Committee・Legal opinion・Background Check・Token Review・Distribution」の5つが設定されており、審査内容は下記の通りです。
Investment Committee:各STOについて「事業計画・実績・ホワイトペーパー・資金調達方法・マネジメント」の観点から評価を行います。
Legal opinion:STOによる資金調達の正当性と使用方法についての法的見解が必要となります。
Background Check:KYC、AMLの徹底と重要な公的地位を有する者(Politically Exposed Persons)への審査を行わなければなりません。
Token Review:ブロックチェーンプロトコルの検証
Distribution:これまで誰とどのような方法でSTO発行が行われたのかデータが必要となります。
取引所として「IGWTトークン」と呼ばれる独自のセキュリティトークンの発行も行なっており、これはDX.Exchangeで取り扱った初めてのSTOとなりました。
現在はSTOの上場についての報告はありませんが、取引所の本格的な稼働とともに新たな動きが見られることでしょう。
用語解説
※1 ESMA 欧州証券市場監督局
欧州金融市場においての金融規制機関。
「欧州連合全体の金融市場の監督」として機能しており、信用格付会社の登録及びその後の監督について権限を持っています。
ESMA、EBA(欧州銀行監督局)、EIOPA(欧州保険・企業年金監督局)を総称してESAs (欧州監督当局)と呼ぶ。原則的に各国監督当局の監督との立場をとっており、金融機関の監督権限は加盟各国の監督官庁にある。
※2 MIFID II 第2次金融商品市場指令
EU金融市場における包括的な規制のこと。
2018年1月に施行され、投資家保護と金融市場の透明性向上を目的としており、EU加盟国すべてに適用されます。
暗号資産など株式以外の金融商品への規制をはじめとして、デリバティブ取引に関する規制導入などが定められています。
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