野村総研 デジタルアセット債発行|ブロックチェーンを活用した社債発行とは?

STO

現在、セキュリティトークンに関する研究は幅広い分野で行われています。

 

すでにSTOが証券法のもとでどのように取り扱われるか明確になっている米国では、健全な市場形成に向けて規制当局や市場関係者がブロックチェーンを導入した証券取引所開設の是非についての協議が行われています。

 

 

米国では、スタートアップ企業であるtZEROやOpenFinanceNetworkがATSの認可を受け、各発行プラットフォームもブローカーディーラーやトランスファーエージェントのライセンスを取得しています。

 

しかし、SECへの認可を目指しているセキュリティトークン取引所「The Boston Security Token Exchange(BSTX)」に関しては、Nasdaqなど既存の市場関係者からの反発もあり、SECはその認可などについて慎重な構えを見せています。

 

既存の証券法や証券取引所はセキュリティトークンに対応して構築されてはいないために概念実証など、より安全な運用や健全な市場形成に向けた取り組みを行うことが市場の発展には必要不可欠です。

 

日本においては今年の5月に法改正を控えており、「一般社団法人日本STO協会」や「ST研究コンソーシアム」など証券会社が中心となり、市場が形成されています。

 

米国や欧州諸国と比較すると市場形成は遅れていると言えますが、証券会社の主導のもと、市場形成が行われる事例は世界的にも珍しく、市場関係者とより円滑な取り組みを実施できるとも考えられます。

 

そのような中で、野村證券株式会社、野村信託銀行株式会社、NRIおよび株式会社BOOSTRYが

 

「デジタルアセット債」(第1回無担保社債)
「デジタル債」(第2回無担保社債)

 

の発行を行っています。

 

・ブロックチェーンを活用した社債原簿管理
・発行者が社債権者を継続的に確認できること

 

を目的として、アプリを通じた自己募集やデジタルアセットの付与といった日本初の取り組みを実現しています。

 

社債の発行には、多くの事務作業が必要とされ、これまでは案件も大口のものに限定されてきました。

 

しかし、ブロックチェーン技術を活用することで、新たな資金調達手段として企業はデジタル債を発行することができるようになり、オンラインで小口化された投資商品として投資家はデジタル債を購入することができます。

 

今回は、世界で取り組みが行われているブロックチェーンを活用した社債発行について解説していきます。

 

ブロックチェーンを活用した社債発行について

 

タイでは、トヨタ自動車の海外子会社である「Toyota Leasing Thailand」がブロックチェーンを活用して社債の発行を行っています。

 

「ブロックチェーン債」に関する取り組みは、2018年8月に世界銀行が「bond-i(Blockchain Operated New Debt Instrument)」を発行したのを皮切りに

 

2019年4月:ソシエテジェネラルSFH(フランス)がパブリックブロックチェーンで債券を発行。
2019年8月:世界銀行が2度目の「bond-i」発行。
2019年9月:サンタンデール銀行(スペイン)がパブリックブロックチェーンで債券の発行と決済を実施。(同年12月に償還
2019年12月:中国銀行がブロックチェーン上で零細企業向けの融資債券を発行。

 

といった大手金融機関による取り組みが行われています。

 

また、ドイツでは「Fundament Group」が、2億5000万ユーロ(2億8000万ドル)分の不動産担保証券をセキュリティトークンとして発行する取り組みも行っています。

 

 

ブロックチェーン上で債券を管理することで、仲介業者を排除することができ、取引から決済までの時間を短縮できるとして、各国で取り組みが行われています。

 

また、これまで債券管理は中央清算機関が行ってきたことから、透明性の向上も期待されていおり、すでにサンタンデール銀行は、発行から決済(ERC-20を用いた)までの業務をブロックチェーン上で実施。

 

今後は全ての業務プロセスがブロックチェーンで行われることが考えられます。

 

技術革新による金融取引の効率化には大きな期待が寄せられており、日本でも大手金融グループが主体となって取り組みが進められています。

 

 

「Toyota Leasing」の取り組みについて

 

「Toyota Leasing」は、「Thai Bond Market Association」が開発を進めるブロックチェーンプラットフォームを活用して「ブロックチェーン債」の発行を行っています。

 

バンコク銀行が引受会社となり、機関投資家向けに「5億バーツ」の債券を発行。

 

この取り組みは、タイの規制サンドボックス内で行われ、タイ証券取引委員会(SEC)、タイ銀行が協働しています。

 

タイではブロックチェーン上での証券発行に関する認可に向けて取り組みを進めており、電子到着ビザ(eVOA)や海上におけるコンテナのトレーサビリティー管理などにもブロックチェーンを導入。

 

ブロックチェーンの活用が進むタイでは、「ライトネット(Lightnet)」と呼ばれるブロックチェーンスタートアップ企業が約34億円に及ぶ資金調達に成功しています。

 

ステラのブロックチェーンを利用したクロスボーダー決済を手がけており、2020年第1四半期には稼働を予定。

 

今回の「ライトネット(Lightnet)」の資金調達には、日本のセブン銀行が参加しており、銀行口座を持たない人々への金融包摂の実現などが期待されています。

 

タイでは、債券発行のみならず、ブロックチェーンの社会実装が着実に進行しています。

 

ちなみに、将来的には「ABS (資産担保証券)×セキュリティトークン」の市場規模拡大が予想されており、社債や不動産担保証券のトークン化にも大きな注目が集まることとなるでしょう。

 

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