これから伸びる注目のユニコーン企業とは?シリーズD前に1億ドル以上の資金調達に成功したアメリカ・中国企業

2020年は中国でエドテック・ヘルスケア領域で大型調達が確認され、スタートアップ市場が急速に発展しています。特にシリーズGで総額35億ドルを調達したオンライン教育企業「Yuanfudao(猿輔導)」がデカコーンとなるなどこれまでの産業構造を変革する新たなビジネスモデルに注目が集まっています。

 

スタートアップ企業投資は日本でも市場規模を拡大していますが、米国と中国は経済成長に向けてリスクマネーの供給が盛んであり、社会課題をテクノロジーで解決しようとする機運がさらに高まることでしょう。2021年にかけては米国ではデータ分析・サイバーセキュリティ銘柄の上場が見込まれ、中国でも「微医(WeDoctor)」「満幇集団(Full Truck Alliance)」がIPOを予定しています。

 

本稿では、シリーズD前に1億ドル以上の資金調達に成功したアメリカ・中国企業を紹介し、これから伸びる注目のスタートアップ企業について考察していきます。

 

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米国「Verily Life Sciences」 調達金額総額:25億/ベンチャーラウンド(3回目)

Alphabetの子会社であるヘルスケア企業「Verily Life Sciences 」は人々の健康を促進することを目的にデータ共有システムの開発/提供を行なっています。「Verily Life Sciences 」は、2015年に子会社化されるまで「Google X」のライフサイエンス部門「Google Life Sciences 」として運営されていた歴史があり、ヘルスケアに関するデバイス、ソフトウェアなど包括的なソリューションをこれまで提供してきました。

 

最近では日本ヘルスケア企業である「参天製薬」と合弁会社を設立するなど企業との積極的な連携にも取り組んでおり、デジタルヘルスケアの推進に向けてより多くの人々に臨床研究に参加してもらえる市場構造の変革を進めています。2017年8億ドル、2019年10億ドルの資金をTemasek、OntarioTeachers’Pension Plan、Silver Lakeなど外部の投資家から調達しており、2020年12月にはヘルスケアプラットフォーム・保険事業への投資に向けてさらに7億ドルの資金調達に成功。

 

Alphabetの子会社でありながらも外部の投資家から調達を行う各企業は「Other Bets」部門と呼ばれており、2020年第3四半期は1億7,800万ドルの収益/営業損失11億ドルとなっています。Other Bets部門には、自動運転車企業「Waymo」をはじめとしてドローン企業「Wing」、スマートシティ関連技術企業「Sidewalk」などがあり、「Verily Life Sciences 」の事例を参考にAlphabetの子会社がどのような市場戦略を構築するのかにも注目が集まることでしょう。

 

AlphabetのSundar Pichai CEOは、「Other Bets部門では、長期的な視野を持ちながら、確実に成長するための規律を構築する段階にあると思います。私たちは、「Other Bets」の企業が時間の経過とともにVerily Life Sciencesのようなプロセスをたどることを期待しています」と述べています。

 

「Verily Life Sciences 」はヘルスケアとデータサイエンスを統合し、ゲノムデータ分析、COVID-19テストサービスなど多角的な事業を展開しており、大手保険グループの「Swiss Re」とともに保険企業「Coefficient」を設立するなど、デジタルヘルスケア企業として今後の成長が期待されます。日本のスタートアップ企業としてはサスメド株式会社が臨床開発支援システムや自動分析サービス事業を手がけており、最近では不眠症治療アプリの開発も行うなど、ヘルスケア市場のデジタル化を促進しています。

 

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中国「美术宝(Meishubao) 調達金額総額:3億620万ドル / シリーズD

「美术宝(Meishubao)」は2014年に設立され、世界160以上の国と地域で500万人以上のユーザーを獲得しているオンラインアート教育事業を展開しています。アート教育に携わる教師と主に3-18歳のユーザーを繋ぐオンライン教育プラットフォームを提供しており、現在は約50万人の有料会員がオンラインでアートを学んでいます。

 

日本ではYouTubeなどを活用してアートや音楽を学習する機会が提供されていますが、「美术宝(Meishubao)」は中国農村部を中心により多くの子供達がワンツーマンでアートを学べる教育環境の整備を推進。このユニークなビジネスモデルは少子高齢化が進む日本では普及が難しい可能性が高いですが、中国のように膨大な人口を有し、教育への投資に積極的な国では大きな需要を獲得しています。

 

シリーズDラウンドでは2億1,000万ドルの資金調達に成功しており、サービス・カリキュラム開発をはじめとしてオンライン・オフラインの統合事業に向けて投資を行うとしています。今回の資金調達は、50億ドル以上の運用資産(AUM)を誇る米国のプライベートエクイティ企業TPGの投資ファンド「The Rise Fund Ⅱ」が主導しており、中国のVC「フォーチュンキャピタル」などが参加。テンセントが主導した2回のシリーズCラウンドでは各4,000万ドルの調達に成功しており、調達金額総額は3億620万ドルとなっています。

 

ニッチな市場に特化したEdTech(エドテック)企業が中国では成長を遂げていますが、日本でもすららネットが2017年の上場以降、最高値を1016日はつけるなどオンライン教育市場の活性化が期待されます。

 

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米国「Starburst Data」 調達金額総額:1億8,200ドル / シリーズC

米国ではAI/機械学習を活用したデータ分析事業を手がける企業に多くの投資が集まっており「ThoughtSpot」「DataRobot」「Databricks」などの新規上場(IPO)が期待されています。

 

「Starburst Data」は、データレイク(Data Lake)との連携によってデータ分析を高速化するSQLクエリエンジン「StarburstEnterpriseforPresto®」を開発/提供しており、評価額16億ドル(シリーズC)で1億1,800万ドルの資金調達に成功。2017年に設立され、2019年11月に2,200万ドル、今年の6月にはシリーズBで4,200万ドルの資金調達を実施していた「Starburst Data」はデータ分析の高度化が進む現在、もっとも高く評価されるビジネスモデルであると考えられ、インサイトまでの時間を短縮し、コスト削減を実現する技術力に大きな期待が寄せられています。

 

アンドリーセン・ホロウィッツがシリーズCラウンドを主導しており、年間経常収益が約1,200万ドルであった「Starburst Data」が評価額16億ドルをつける理由としては分散SQLクエリエンジン「StarburstEnterpriseforPresto®」がもともとFacebookによって開発され、データを収集/分析の非中央集権化を実現している点にあると考えられます。

 

このビジネスモデルは、大規模なデータ処理のためのSparkオープンソース統合分析エンジンを開発する「Databricks」、Kafkaオープンソースデータストリーミング事業を展開する「Confluent」に似ており、アドホック分析ソフトウェアを開発する「Ahana」など競合環境が激しいことも大型の調達を促していると言えるでしょう。

 

2017年に設立されたスタートアップ企業が評価額16億ドルの算定を受けることは非常に珍しいと言えますが、データ分析市場は多くの企業が高度な技術力を駆使して、データエコシステムの発展を促しており、2021年の有名企業のIPOとともにその存在感を市場で高めていくことでしょう。

 

>>世界のユニコーン企業2021IPOが期待されるスタートアップ企業の有望銘柄

 

・参考文献

 

Alphabet health company Verily bolsters warchest with another $700 million

Verily

 

meishubao

meishubao/crunchbase

 

starburst

Investors Pay High Price for Starburst Data at $1.6 Billion Valuation

Starburst Data Collects $42M Round As Big Data Startup Ramps Up Product Development, Channel Expansion