音声SNS「Clubhouse」の特徴と差別化戦略|ファンコミュニケーションとブランディングデザインについて

音声SNS「Clubhouse」は音声のみのコミュニケーションとコミュニティ形成が特徴とされ、起業家や投資家を中心としたバイラルマーケティングによって知名度を高めています。

 

従来の音声コンテンツ市場では「教育・啓蒙」「オーディオドラマ・映画」など聴取(ながら聴き)を目的とした一方通行的なコミュニケーションが主流とされてきました。

 

「Clubhouse」は起業家や投資家による高品質な音声コンテンツ配信を強みとしていますが、コミュニティ形成の要素が加わることで「動画/ライブ配信サービス」で展開されている「ファンクラブ・サービス」の提供なども将来的には検討されます。

 

日本では「すべての人に居場所を」をコンセプトに匿名で通話やコミュニティ形成を実現する「Yay!」が、サービス開始11ヶ月で200万人のユーザーを突破するなど現実世界以外でのコミュニケーションツールが若者を中心に普及しています。

 

かつてはmixiやTwitterがSNSとして人気を博していましたがコミュニケーションツールとしての「動画/ライブ配信サービス」「匿名通話/コミュニティサービス」に次いで「音声SNS」の利活用が進むことが予想されます。

 

「Clubhouse」は招待制ではあるものの若者向けの「動画/ライブ配信サービス」「匿名通話/コミュニティサービス」を利用したことのない人にとっても使いやすいく、今後は優れたクリエイターを育成する仕組みの構築などが期待されます。

 

また、「公演チケット」「広告配信と表示/非表示」「足跡機能」「動画共有」などの有料会員サービスの提供も検討され、「音声コンテンツならでは」の収益モデルの構築が検討されることでしょう。

 

本稿では「Clubhouse」をテーマに音声による人間的な繋がりの充足と現代の時代精神へのアプローチについて考察していきます。

 

「Clubhouse」の特徴と差別化戦略

・匿名でのコミュニティと実装機能の多角化によって若者から支持を集める「Yay!(イェイ)」

・ライブ配信を通じたエンタメの再構築とファンコミュニティによって若者トレンドを生み出している「MixChannel(ミクチャ)」

・ライブ配信やゲーム実況によるコミュニケーションツールとして人気を集める「Mirrativ(ミラティブ)」

 

日本でも新たなコミュニケーションツールとして上記のサービスが普及しており、「新たな文化」の創出が「Clubhouse」が人気を集めている理由の1つとも言えます。

 

音声コンテンツ市場においては読書の音声化や著名人によるコンテンツ配信、オーディオドラマ・映画など「音声コンテンツならでは」の取り組みが行われてきましたが、バイラルマーケティングによって「現象」として認知が広がるには至らず、「Clubhouse」のブランディングデザインは多くの人々を惹きつけています。

 

従来のSNSに消耗した現代人を癒す潜在的な価値を音声コンテンツは有しており、より素朴でノスタルジックを感じられるブランディングデザインによって差別化戦略に成功している点も「Clubhouse」の特徴であると言えます。

 

「Clubhouse」音声による人間的な繋がりの充足と現代の時代精神へのアプローチ

世界中の多くの人々がSNS疲れやデジタルバーンアウトによって新たなメディアコミュニケーションのあり方を模索する中、「Clubhouse」は現代の時代精神を捉えた新たな体験価値の提供を実現しています。

 

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で人々は「人間的な繋がり」の代替として動画配信プラットフォームをはじめとしたSNSサービスを以前よりも重宝するようになりました。

 

そして、テキストや動画によるコミュニケーションのみならず「音声」による共感性によって「人間的な繋がり」を充足させることもまた大きな需要を秘めています。

 

「Clubhouse」はその需要に対して適切なアプローチでオープンマインドな人々のコミュニティ形成を促進し、その生産的で新鮮な体験価値の提供とFOMO(取り残される不安・恐怖)によって多くの人々を惹きつけています。

 

初期のTwitterが#hashtagの発明や天災時の利活用によって爆発的なバイラルを生み出したように「Clubhouse」は社会的インフラとして「ラジオ」のようなポジションを確立できるかは未知数と言えますが、現代に生きる消費され消耗した人々にとっては刺激的かつノスタルジックな空間として半永久的に存在していくことになるかもしれません。

 

気軽に聞けていつでもやめられる音声コンテンツは、コアなファンがお題に対して熱心に回答を送るラジオと同じように従来のメディアにはない特徴を有しています。

 

時代精神を捉えた新たな試みは「Twitter Spaces」など大手SNS企業の市場参画によって激しい競争にさらされることが想定されますが、どのようにしてソーシャルメディアがもたらす「負担」を軽減するかは大きな課題とされ、音声コンテンツ市場全体が1つのムーブメントとなるかもしれません。

 

まとめ

音声による人間的な繋がりの充足と現代の時代精神への最適なアプローチによって人々の心を掴んだ「Clubhouse」。

 

これまでは高エネルギーなマウンティング合戦に疲れた人々とそうでない人々の2軸で語られることの多かったSNSでのコミュニティ・コミュニケーション論ですが、潜在的な需要を掘り起こし、より身近に「人間的な繋がり」を感じさせる「音声」のみを活用したSNSには今後も大きな注目が集まることでしょう。

 

時折ラジオから流れてくるコンテンツに心惹かれるように、負担の少ないコミュニティ・コミュニケーションツールの市場開拓競争が水面下では始まっています。