音声メディア市場における「Clubhouse」の競合優位性|人気クリエイター獲得と収益化に向けて

リモートワークの普及によって日本でも全国のラジオ番組を聴取できる「radiko」の会員数が1000万人に到達間近とされ、クオリティの高い音声コンテンツへの需要が高まりを見せています。

 

招待制の音声SNS「Clubhouse」は、2020年5月にパイロット版がローンチ後、1,500人のユーザーしかいない段階で1億ドルの評価額を得ていました。

 

そして、2021年1月現在200万人/週のアクティブユーザーを獲得している「Clubhouse」は約10億ドルの評価額で新たな資金調達を予定し、より多くの人々にサービスの提供を目指しています。

 

日本でもメルカリで招待券が売買されるなど現象として認知が拡大しており、ユーザーの爆発的な増加に対応するAndroid版開発や不正防止対策に多くの資金を投じる必要があると言えるでしょう。

 

音楽イベントのオンライン化が進行し、これまでライブ会場に行けなかった人々がイベントに参加できるようになり、バーチャルイベントと相性の良い音声SNSも多くの人々が利用するようになると想定されます。

 

本稿では、「Clubhouse」とその他の音声メディアを比較し、人気クリエイター獲得と収益化に向けた取り組みを解説していきます。

 

>>Clubhouseの特徴と差別化戦略|音声による人間的な繋がりの充足と現代の時代精神へのアプローチ

 

音声メディア(コンテンツ)関連市場の成長率

米国では2021年の消費者向けテクノロジー産業市場規模が4,610億円と予測され、音声メディア(コンテンツ)に関連する各市場も成長が見込まれています。

 

・ソフトウエア&ストリーミングサービス市場:1,120億ドル(前年比11%増加)

・オーディオサービス市場:100億ドル(前年比19%増加)

・ワイヤレスイヤホン、ヘッドホン市場:93億ドル(前年比16%増加)

 

「Amazon オーディオブックAudible」などは、人々の活字離れとともに新たな教育コンテンツとして利用されており、音声コンテンツが有する価値をさまざまな人々に提供する試みが行われています。

 

吉本興業やNewsPicksが「Audible」を利用してコンテンツ提供を行い、最近ではオーディオドラマ/映画といった独自コンテンツの開発提供も行われているなど音声コンテンツの体験価値の向上が「Clubhouse」の成長を占う上でも重要となることでしょう。

 

お笑い芸人による「音声ならではのエンターテインメント」は日本でも根強い人気を博していますが、野球中継や落語、朗読など多岐にわたる分野で音声コンテンツは成立しており、従来の固定観念をどのようにして打ち破るかなど将来的な市場形成に大きな期待が寄せられています。

 

「Clubhouse」の将来性

「Amazon Audible」「Spotify」「Podcast」などは独自コンテンツの提供に向けて音声コンテンツクリエイターへの投資も行っており、クリエイターをサポートするサブスクサービスも登場しています。

 

しかし、音声コンテンツ市場では無課金で良質なコンテンツを聴取できることが一般的であるため、すでに他のSNSプラットフォームで高い評価を得ているクリエイターが事業の多角化を見込んで参画している傾向にあります。

 

そのような市場環境の中でどのようにして収益化を実現するかが「Clubhouse」の将来性を左右する大きな要因であると考えられ、「Spotify」がコメディアンのジョー・ローガンと独占配信権を約1億ドルで結んだ事例は音声コンテンツ市場の新たな可能性を提示していると考えられます。

 

「Clubhouse」のコンテンツは、多くのビジネスマンにとって馴染みのないシリコンバレーのVCが中心となって提供されてきました。

 

その文化的背景が「Clubhouse」の市場価値を高めていると言え、ラジオやポッドキャスト、読書の延長線上では聞くことのできない「希少価値の高い人々による希少なコンテンツ発信」は近い将来、大きな収益を生み出すことにつながるかもしれません。

 

人気のクリエイターを確保するための独占契約やチケット制の導入など機能的要件の追加は従来の音声コンテンツメディアと差別化を図る上では結果として同質化戦略となる可能性もあり、クリエイターのクオリティを担保する施策の実施など、バイラル的に発生した価値をどこまで維持できるか注目が集まります。

 

まとめ

「Clubhouse」以外にも大きな資本力をもとに音声コンテンツ市場の新規開拓を進める動きが確認され、市場全体の底上げが期待されます。

 

その可能性を追求する取り組みが活発になる中、優秀なクリエイターの獲得が第一優先事項であると言え、希少性の高いコンテンツを発信できる人材を取り込めるエコシステムの構築が進む「Clubhouse」は市場においても大きな優位性を有していると言えるでしょう。