リモートワークの普及によって日本でも全国のラジオ番組を聴取できる「radiko」の会員数が1000万人に到達間近とされ、クオリティの高い音声コンテンツへの需要が高まりを見せています。
招待制の音声SNS「Clubhouse」は、2020年5月にパイロット版がローンチ後、1,500人のユーザーしかいない段階で1億ドルの評価額を得ていました。
そして、2021年1月現在200万人/週のアクティブユーザーを獲得している「Clubhouse」は約10億ドルの評価額で新たな資金調達を予定し、より多くの人々にサービスの提供を目指しています。
日本でもメルカリで招待券が売買されるなど現象として認知が拡大しており、ユーザーの爆発的な増加に対応するAndroid版開発や不正防止対策に多くの資金を投じる必要があると言えるでしょう。
音楽イベントのオンライン化が進行し、これまでライブ会場に行けなかった人々がイベントに参加できるようになり、バーチャルイベントと相性の良い音声SNSも多くの人々が利用するようになると想定されます。
本稿では、「Clubhouse」とその他の音声メディアを比較し、人気クリエイター獲得と収益化に向けた取り組みを解説していきます。
>>Clubhouseの特徴と差別化戦略|音声による人間的な繋がりの充足と現代の時代精神へのアプローチ
もうこれオンラインセミナーとかカンファレンスが勝手に毎日届く感じになっててすごい。テレビ番組の番組表のようにも見えてくる#ClubHouse pic.twitter.com/AaufIyhOqk
— 加藤 恭輔(Kyosuke Kato) (@kyo_spr) January 26, 2021
(1/2) 音声SNS #Clubhouse が調達額で1000億を超え一気にユニコーン企業になった。米国では著名人や起業家、スタートアップ界隈の人から招待制で急拡大中。使ってみた所感は新たな時代のハイソな『ダイヤルQ2』。ライブ的に沸き起こる会話の輪に気軽に出入りが可能で企業による活用もイメージできる。
— たいろー / メルカリ→スマニュー🦄 ユニコーン転職ラジオ (@tairo) January 26, 2021
音声メディア(コンテンツ)関連市場の成長率

米国では2021年の消費者向けテクノロジー産業市場規模が4,610億円と予測され、音声メディア(コンテンツ)に関連する各市場も成長が見込まれています。
・ソフトウエア&ストリーミングサービス市場:1,120億ドル(前年比11%増加)
・オーディオサービス市場:100億ドル(前年比19%増加)
・ワイヤレスイヤホン、ヘッドホン市場:93億ドル(前年比16%増加)
「Amazon オーディオブックAudible」などは、人々の活字離れとともに新たな教育コンテンツとして利用されており、音声コンテンツが有する価値をさまざまな人々に提供する試みが行われています。
吉本興業やNewsPicksが「Audible」を利用してコンテンツ提供を行い、最近ではオーディオドラマ/映画といった独自コンテンツの開発提供も行われているなど音声コンテンツの体験価値の向上が「Clubhouse」の成長を占う上でも重要となることでしょう。
お笑い芸人による「音声ならではのエンターテインメント」は日本でも根強い人気を博していますが、野球中継や落語、朗読など多岐にわたる分野で音声コンテンツは成立しており、従来の固定観念をどのようにして打ち破るかなど将来的な市場形成に大きな期待が寄せられています。
#clubhouse 今日フォロワーがグイグイ伸びてるから、バイラルで広まってるんだろうなー
公開ピッチとか、公開壁打ちミーティングとか、やってみようかな、と思案中。イベントは全部これでいいじゃん。という気持ちになる。
広報目的の採用イベント、勉強会とか、皆さんやった方が良いですよ pic.twitter.com/maXsVS3aQm
— 有安 伸宏 / Nobuhiro Ariyasu (@ariyasu) January 26, 2021
何と言われようとClubhouseよりNowVoice. @NowVoice_jp
— KeisukeHonda(本田圭佑) (@kskgroup2017) January 26, 2021
「Clubhouse」の将来性

「Amazon Audible」「Spotify」「Podcast」などは独自コンテンツの提供に向けて音声コンテンツクリエイターへの投資も行っており、クリエイターをサポートするサブスクサービスも登場しています。
しかし、音声コンテンツ市場では無課金で良質なコンテンツを聴取できることが一般的であるため、すでに他のSNSプラットフォームで高い評価を得ているクリエイターが事業の多角化を見込んで参画している傾向にあります。
そのような市場環境の中でどのようにして収益化を実現するかが「Clubhouse」の将来性を左右する大きな要因であると考えられ、「Spotify」がコメディアンのジョー・ローガンと独占配信権を約1億ドルで結んだ事例は音声コンテンツ市場の新たな可能性を提示していると考えられます。
「Clubhouse」のコンテンツは、多くのビジネスマンにとって馴染みのないシリコンバレーのVCが中心となって提供されてきました。
その文化的背景が「Clubhouse」の市場価値を高めていると言え、ラジオやポッドキャスト、読書の延長線上では聞くことのできない「希少価値の高い人々による希少なコンテンツ発信」は近い将来、大きな収益を生み出すことにつながるかもしれません。
人気のクリエイターを確保するための独占契約やチケット制の導入など機能的要件の追加は従来の音声コンテンツメディアと差別化を図る上では結果として同質化戦略となる可能性もあり、クリエイターのクオリティを担保する施策の実施など、バイラル的に発生した価値をどこまで維持できるか注目が集まります。
各社の決算説明書を見て、基本褒めるリスペクトするというコンテンツ配信をclubhouseでやってみようかな。ネガティブなことは言わない縛りで。いいところ発見的な。@hirokawa_style 君とかとやるのがいいんだろうけど、廣川君基本辛口なんだよなぁ。
— 手嶋浩己 (@tessy11) January 26, 2021
clubhouse、昨日12位くらいで、今日7位か。
日本でももう1万人は使ってる感じだな。
土日: 500人
昨日: 5000人
今日: 2万くらいはいきそう pic.twitter.com/LC8xNU0YAe— じょー@パラレル (@Joaoki) January 26, 2021
まとめ

「Clubhouse」以外にも大きな資本力をもとに音声コンテンツ市場の新規開拓を進める動きが確認され、市場全体の底上げが期待されます。
その可能性を追求する取り組みが活発になる中、優秀なクリエイターの獲得が第一優先事項であると言え、希少性の高いコンテンツを発信できる人材を取り込めるエコシステムの構築が進む「Clubhouse」は市場においても大きな優位性を有していると言えるでしょう。
Clubhouseを倒すサービスを作りたければ、常にClubhouseに居て、色んな部屋を見てどのバーチカルだったら勝てるかを考えるのが良いかもしれない。
ClubhouseはJustin TVで、Twitchを作るチャンスが残っているかもしれない。 https://t.co/za00wvqtw5
— Tetsuro Miyatake (@tmiyatake1) January 26, 2021
早速昨日Clubhouse試してみたけど
音がめちゃくちゃ良いのと
コメント出来ないつくりってのが
目新しいという月並な感想でした@minowanowa さんも言ってたけどインスタライブの対抗馬かと思いきや少し印象は違った
キラーとなる利用シーンを見つけられるかに注目してます#ハック思考— 須藤憲司(スドケン)@ハック思考 (@sudoken) January 25, 2021