デジタル資本市場の形成に向けて|中国におけるデジタルアセット取引所の可能性

中国においてもデジタルアセットへの関心は高まりを見せており、中国証券監督管理委員会の元会長であるXiao Gangは、デジタルトランスフォーメーションを支える最新技術の活用は資本市場のエコシステムや投資のあり方にも大きな変革をもたらすとしており、

 

・資産のデジタル化
・デジタルアセット取引の需要向上
・取引所のデジタル化への適応

 

など、中国においても「デジタルチャイナ」・「デジタルエコノミー」の構築が進んでいると述べています。

 

デジタル化による資本市場の効率的な運営には、様々な技術の活用が見込まれていますが、取引所における証券の即時決済やデータの管理・共有といった点においてはブロックチェーン技術の利活用が進んでおり、米国ではATSライセンスを有したスタートアップ企業が取引所ビジネスを展開するといった事例も確認されています。

 

アジアにおいてもシンガポールにおいてサンドボックス制度を利用した実証を経て、デジタル証券取引所の運営がおこなわれており、日本企業が日本の不動産をデジタル証券化し、クロスボーダーな取引を実現する取り組みを予定するなど、デジタル技術を活用した資本市場の活性化が期待されます。

 

タイにおいても米国でデジタル証券発行の実績を有する企業が手がける取引所が、タイSECから認可を受けるといった事例もあり、ビットコイン・DeFIといったデジタルアセットへの関心の高まりとともに証券市場においてもデジタル化への対応が着実に進行していると言えます。

 

多くの人々がデジタルアセットへの警戒心を抱いていた数年前とは状況は一変し、多くの投資家が市場へ参入していますが、Xiao Gangは、黎明期における課題として

 

・デジタルへの適応が困難な従来の組織構造
・関連法規制の整備の遅れ
・デジタルインフラストラクチャの強化

 

についても指摘しています。

 

中国においては暗号資産取引が禁止されている中、金融機関によるブロックチェーン上での証券発行など、より健全な市場形成への取り組みが実施されてきました。

 

暗号法の施行など政府が主体となって産業分野へのブロックチェーン技術の導入を推進しており、デジタル人民元の普及による通貨システムの変革といった観点からも資本市場に与える影響は非常に大きいものであると考えられます。

 

従来の金融システムでは対応していないことや法規制が曖昧であることからデジタルアセットが資本市場に大きな混乱をもたらすといった事例も過去には存在していましたが、デジタルアセット取引所における迅速かつ効率的な取引、コンプライアンスコストの大幅削減といったメリットはデジタル資本市場の形成を今後も促進することでしょう。

 

米国においては、銘柄自体は少ないもののデジタル証券取引所におけるナスダック上場企業の優先株(デジタル証券)の取引高が増加傾向にあり、各国におけるエコシステムの発展においてもセカンダリーマーケットの形成が将来的な市場の発展につながるとも考えられます。

 

最新技術を活用した中国のスタートアップ企業が米国や香港でIPOを実施している事例もこの10年間で急増しており、今後の資本市場の発展を担う上でも、デジタルアセットのエコシステム拡大による投資家育成や市場全体のデジタル技術への対応などは非常に重要であると言えます。

 

デジタルアセット取引所の展開などはまだ明確ではないものの、デジタル人民元による証券決済など、中国における取引所ビジネスはデジタル資本市場の形成に大きな可能性をもたらすことでしょう。

 

・参考文献

 

肖钢:数字资本市场的挑战与对策

证监会原主席肖钢:我国数字化转型势必产生新型数字资产交易所

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