中国のブロックチェーン企業特集|衆案保険やGrabについて

ブロックチェーン

中国では暗号資産取引所の全面禁止を行なっている一方で、公共サービスなどにブロックチェーン技術を導入し、経済の発展を目指しています。

 

人口の多さから病院での診察に時間がかかり、取引情報の改ざんや不正が中国では日常的に行われていました。

 

また、AlipayやWeChatPayといった電子決済サービスが普及しており、キャッシュレス文化が日本よりも発達しています。

 

そのため最近話題に上がっているステーブルコインといったデジタル通貨への取り組みも活発に行われており、中国中央銀行ではCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の発行の発表を行なっています。

 

「第2の深セン」と呼ばれている雄安新区では無人自動運転や無人店舗といった最新テクノロジーの大規模な実証実験が行われており、テンセントなどのハイテク企業が100社以上が雄安新区の取り組みに賛同しています。

 

このように時代に先駆けた取り組みを行なっている中国ですが、ブロックチェーンにも多くの企業が注目をしているようです。

 

中国 暗号資産規制について

 

中国のサイバースペース管理局(CAC)では、中国国内のブロックチェーン企業に対して「匿名性を排除するガイドライン」を2019年2月から施行しています。

 

暗号資産に対して国際的な法規制の整備を進めるFATF(金融活動作業部会)もマネーロンダリング対策の一環として暗号資産交換所に送金人だけでなく、受取人の顧客情報の管理・共有を求める「FATF 勧告15の解釈ノート」を発表しています。

 

このような中国の取り組みを始めとして、世界的には暗号資産の特徴の1つである匿名性を排除する流れが生まれており、既存の金融システムの保護といった観点からも暗号資産業界への規制は今後も強化されることが予想されます。

 

それと同時に暗号資産取引においては交換所を通さない「OTC取引」の増加も予想されており、規制強化を行うほどに法の合間を突いたグレーゾーンは拡大するとも考えられます。

 

現在は中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)やアメリカの制裁を受けている国々では金や石油価格にペッグされたステーブルコインの発行も行われています。

 

このような取り組みが既存の金融システムの形を変えることも将来的には考えられ、より国際金融の秩序を乱さない方法が模索されていると言えます。

 

中国経済の現状について

 

中国では米中貿易摩擦問題や国内の消費の落ち込みによって第2四半期の国内総生産(GDP)成長率は前年比6.2%となるなど、経済成長が鈍化しています。

 

個人消費の落ち込みに加えて、不動産バブルの終焉といった要因が経済成長を鈍化させているといえますが、貧困からの脱出といった社会流動性が失われつつある中国においては新たな景気刺激策を模索する取り組みが行われています。

 

1990年代に日本のバブル経済が終わりを迎え、30年にも及ぶ経済の停滞を招いたと同様に、中国でも社会システムそのものの見直しが急務とも考えられます。

 

そのような中で、これまでは何時間もかかっていた病院の診察や行政手続きが迅速に行えるとして中国ではブロックチェーン技術の活用が進められています。

 

「ZhongAn Information and Technology Services(衆安在線財産保険)」

 

「ZhongAn (衆案保険)」は2013年にアリババとテンセントによって共同設立され、すでに300種類の保険商品を取り扱うなど急成長を遂げている会社です。

 

その子会社である「ZhongAn Information and Technology Services(衆安在線財産保険)」では保険やダイアモンドの追跡といった分野でブロックチェーン技術を活用した取り組みを行なっています。

 

保険取引プラットフォームへのブロックチェーン技術の導入や医療、資産管理といった分野でも「ZhongAn Information and Technology Services」は市場を先導するビジネスモデルの構築に取り組んでいます。

 

ブロックチェーン技術を活用して新たな商品開発に取り組むだけでなく、AI(人工知能)やビックデータの活用にも取り組むなど中国のブロックチェーンを代表する企業の1つといえます。

 

上海ブロックチェーン開発研究連合(Shanghai Blockchain Industry Development Research Alliance)のプロジェクトにも参加し、最近では東南アジアを中心に利用者が急増している配車アプリ「Grab」との提携を結んでいます。

 

この提携によって「Grab」を通じて保険商品が提供されるようになるといったメリットがあり、仲介業者を介すことなく保険商品の購入が可能となります。

 

「Grab」はシンガポールのドライバーにむけた保険商品を提供しており、もしもドライバーが病気や怪我をした際にも収入面を保険でカバーできる取り組みが進められています。

 

アント・フィナンシャル(蚂蚁金服) 行政手続きプラットフォーム

 

中国の重慶市ではアント・フィナンシャル(蚂蚁金服)がブロックチェーン技術を活用した行政手続きプラットフォームを運用しています。

 

アント・フィナンシャルはAlibabaの金融関連会社であり、Alipayの運営も行なっています。

 

行政手続きは日本においても役所や法務局などに足を運び、書類の発行手続きにも多くの時間を必要とします。

 

また、部署ごとに書類を提出する必要があるといったように非効率な面が長年、課題とされてきました。

 

アント・フィナンシャルによる行政手続きプラットフォームではスマートコントラクトによって各部署での情報共有が可能となります。

 

そのため業務の効率化を図ることができるだけでなく、企業設立の際にも登記にかかる時間も10日前後かかっていたものが最短で3日に短縮されます。

 

中国では公共サービスへのブロックチェーン技術導入が盛んに行われており、アント・フィナンシャル(蚂蚁金服)の取り組みに今後も注目が集まります。

 

今年の5月には上海、浙江省、江蘇省、安徽省が司法手続きにもブロックチェーン技術を活用する取り組みを行なっています。

 

訴訟の際にも被告人の情報や手続きをスマートコントラクトによって管理することで、より効率的な司法手続きの実現を目指しています。

 

杭州インターネット裁判所 司法手続きプラットフォーム

 

中国にはインターネット裁判所が存在します。

 

WeChatを活用することで裁判へのオンラインでの出廷が可能となり、人工知能によって裁判文書の作成も行うことができます。

 

杭州インターネット裁判所は2017年8月に設立され、2018年7月からは北京や広州におけるインターネット裁判所の設立が明らかにされています。

 

Alibabaの技術を活用してプラットフォームは運営されており、正確さよりも効率性を重視する国民性がブロックチェーンの導入を推し進めているとも考えられます。

 

すでに2018年9月には北京インターネット裁判所が設立され、今年4月時点で1万4849件ものケースが取り扱われています。

 

参考文献

中国、ブロックチェーン企業に検閲義務を課す| 「実は仮想通貨に追い風」との見方も

ブロックチェーンが中国保険産業を変える Zhong Anが情報・技術サービス子会社設立

コラム:成長鈍化の中国、大規模経済対策の発動の是非

中国のインターネット裁判所、AIとブロックチェーン技術を積極採用

北京市と広州市にインターネット裁判所設立

中国で公共サービスのブロックチェーン導入進む。十数日かかる企業登記が3日に短縮

****************
STOnlineはSNSを開始しました。

Twitter: @stonline_jp

Facebook: @sto.on.line.io

コメント

タイトルとURLをコピーしました