チリの新自由主義経済とスタートアップ企業の台頭

国際金融・経済
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ミルトン・フリードマンが唱えた新自由主義は80年代頃から世界各国で採用され、日本でも故・中曽根康弘内閣(1982年〜1987年)が

 

・国営企業(日本専売公社、日本電信電話公社、日本国有鉄道)の私企業化
・金融自由化

 

などを推し進め、小泉純一郎内閣(2001年〜2006年)においては

 

・郵政事業・道路四公団の民営化
・労働者派遣法の緩和

 

といった政策を実行し、今日に至ります。

 

チリでは1973年9月11日の軍事クーデターによってピノチェト政権が樹立され、フリードマンが教鞭をとっていたシカゴ大学で新自由主義を学んでいた通称「シカゴ・ボーイズ」によって、市場原理を重視した様々な政策が実行されました。

 

その結果、銅など天然資源を活かした一次産業が急速に発展し、中国経済の発展とともに輸出量は増大。

 

「南米の優等生」の愛称で、南米の中でも経済発展を遂げた国として知られてきましたが、ここ数年は中国経済の減速もあり、経済の伸び悩みが懸念されていました。

新自由主義経済の現状

 

チリにおいては日本など新自由主義を採用した国々と同様に貧富の差が拡大。

 

天然資源に依存した産業構造や機械産業が育たないといった社会的課題をチリは抱えており、地下鉄賃金の値上げを発端にして、大規模な反政府デモが現在もなお続いています。

 

一方、同じ南米のブラジルでは新自由主義経済の台頭によって国家財政の改革が推し進められており、年金制度改革など財政構造の再構築が見込まれています。

 

・ブラジル 国家公務員年金制度改革法案の可決
国家公務員に対する好待遇の年金制度は、長年の間一般的なブラジル国民から批判の対象とされてきましたが、国家公務員年金制度改革によって、1960億ドル(約21兆円)の削減が見込まれています。

 

南米においては国ごとに様々な事例が確認できますが、新自由主義のもと社会的リスクの個人への転嫁や自己責任の領域の増大が進行しています。

 

近年では国や政府に頼らない労働観などが日本でも広まっていますが、

 

・ベンチャーキャピタルによるスタートアップ企業への投資額増加
・スタートアップ企業による最新技術を活用したビジネス開発

 

といったように資本市場の拡大が見込まれています。

チリの産業構造について

 

チリをはじめとしたラテンアメリカの国々の多くは、東南アジアのような生産ネットワークの構築がうまく行われず、機械産業が未発達のまま天然資源に依存している傾向にあります。

 

その理由としては、植民地時代から続く不平等な社会構造の中で垂直的な信用関係(雇用者-労働者)が重要視され、企業間でのネットワーク構築による産業の高度化よりも家族経営を行う企業が多かったことが挙げられます。

 

つまり、他者(他社)への信用が気薄であり、国内外を問わず企業間でのネットワーク構築が難しいことが、ラテンアメリカの国々の機械産業化を妨げてきた要因であると言えるでしょう。

 

また、新自由主義経済によって経済格差は拡大し、不平等な社会構造は植民地時代から続く負の遺産として大規模な反政府デモにつながっています。

 

つまり、チリにおいては新自由主義経済の発展は一般人には富が行き渡らないといった不平等な社会構造をもたらしたと言えるでしょう。

 

一方、SNSの普及によって水平的な信用ネットワークの構築が行われたことで、チリ国民が団結して不平等な社会構造を是正する取り組みを行なったとも考えられ、分断と統合を繰り返し、新たな社会構造を構築する可能性があるとも言えます。

 

すでにアメリカやヨーロッパの国々では、第三極政党による政権運営や反グローバリズムへの取り組みが行われており、金融経済から実体経済の回帰など新たな社会構造の構築に向けた動きが活性化しています。

 

水平的・相互的なネットワークの構築など透明性のある社会信用システムの普及によって不平等な社会構造の変革が進む一方で、スタートアップ企業が台頭してきており、社会的課題解決型サービスの開発などが大きな注目を集めています。

 

「コーナーショップ(Cornershop)」

 

買い物代行のスタートアップ企業である「コーナーショップ(Cornershop)」は、サンディアゴに本社を構え、南米諸国をはじめとしてカナダでもサービスを展開しています。

 

2018年にはウォルマート(Walmart)、2019年にはウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)が「コーナーショップ(Cornershop)」の買収計画を発表しており、その企業価値は10億ドル以上に迫るとされています。

 

※ウーバーの買収金額が4億5000万ドル(株式51%)であるため

 

中南米のユニコーン企業は、ブラジルやコロンビアなどで4社にとどまっており、チリ初のユニコーン企業の誕生に期待が寄せられています。

 

「コーナーショップ(Cornershop)」は、3170万ドル(約34億円)を調達に成功しており、Walmartとの食料配達などにも取り組んでいます。

 

「Algramo」

 

日用品を買い替えるたびにプラスチックの包装材には費用がかかってしまうため、訪問販売で詰替を行なうサービスを「Algramo」は展開しています。

 

「Algramo」は、これまで自動販売機での詰替サービスを展開していましたが、Unileverとの業務提携によって、三輪の電気自動車での訪問販売を開始。

 

販売者は決められたルートを巡回し、オンラインでの決済などによって人件費を削減。

 

「Algramo」を利用することで30%オフで購入可能となっており、日用品の容器を再利用することで、さらに11%オフで購入することができます。

 

消費者は必要な日用品を必要な分量で購入することができるので、包装材の費用をかけることなく、さらに割引も受けられるため、消費行動における経済格差の是正につながると考えられます。

 

アメリカ事業の展開や様々な場所での詰替サービスの提供を目指しており、日用品をリーズナブルに購入することでサステナブル(Sustainable)な社会が実現できる「Algramo」のサービスに今後も注目が集まります。

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