ステーブルコイン

ステーブルコインとは? 金融インフラとイノベーションの融合

金融市場では急速にデジタル・トランスフォーメーション化が進められており、業務内容の変化をはじめとして、将来的にはビジネスモデルの再構築の必要性も示唆されています。

 

そのような中で、ブロックチェーン技術を活用した取引の効率化を多くの金融機関が検討しています。

 

暗号資産はセキュリティの脆弱性や詐欺といったイメージが強く残っていますが、ブロックチェーン技術によってデータの改ざんの防止や仲介手数料の削減といったメリットを決済サービスにもたらします。

 

最近ではFacebookが銀行を介さない決済サービス計画「Libra」を発表したことで、各国の規制当局から批判が殺到しました。

 

一方で、中央銀行やゴールドマンサックスといった大手銀行はブロックチェーン技術を活用した支払いサービスの開発を進めていると報じられています。

 

既存の金融システムを維持しつつ、ブロックチェーン技術によって業務の効率化を図ることが既定路線となっており、Facebook・Libraのように新たに中央集権的な金融インフラを目指す取り組みは既存の金融機関との競争が避けられません。

 

Facebookが持つ膨大な顧客情報とその影響力は、既存の金融システムの秩序を脅かすとして、今後は競争が激化すると予想されます。

 

ステーブルコインとは?

 

ステーブルコインはドルや円など法定通貨にペッグされた暗号資産であり、価格変動(ボラティリティ)が少ないことから「決済サービス」として中央銀行やFacebookが開発を進めています。

 

暗号資産といえばブロックチェーン技術を使った「分散型台帳技術」が特徴ですが、中央銀行が発行を目指している「CBDC」については非匿名での取引を構想しており、銀行取引と同じように相手の氏名や顧客番号が必要となります。

 

これまで暗号資産に慣れ親しんだ人にとっては匿名での取引が当たり前であるために、「決済サービス」として暗号資産を利用するのは抵抗感を覚える人も出てくることでしょう。

 

最近ではPayPayやLINE Payが決済サービスとして人気を集めていますが、法定通貨が安定している日本においてはステーブルコインの必要性はあまりないとも言えます。

 

しかし、発展途上国やアメリカからの経済制裁対象となっている国では避難通貨としてステーブルコインの開発が進められており、世界各国で取り組みが進められています。

 

ステーブルコインの現状と課題

 

ステーブルコインはスウェーデンや中国など各国の中央銀行で発効に向けた取り組みが進められており、送金先の顧客情報を確認した上で取引が行われるなど「中央集権」的な特徴を持つとされています。

 

本来、暗号資産は不特定多数の参加者の協働による分散型の決済承認システムを採用しています。

 

「非中央集権」的な特徴を持っており、既存の国家や金融システムに依存しないことで注目を集めていましたが、ステーブルコインはそのような暗号資産の持つ特徴を廃した暗号資産ともいえます。

 

現在のところFacebookが「Libra」と呼ばれるステーブルコイン発行計画を発表しましたが、既存の金融システムの秩序を乱すとして、各国の規制当局などから批判を浴びています。

 

ステーブルコインの中でも

 

「既存の金融機関による発行」
「企業が新たな金融システム構築を目指し発行する」

 

といった2つの性格を持つものがあり、既存の金融システムの保護を目指し規制強化が行われている現在においては「Libra」の取り組みは実現が難しいと考えられます。

 

フィリピン|ユニオンバンクがステーブルコイン「PHK」発行

 

フィリピンのユニオンバンク(Aboitizグループ傘下)ステーブルコイン「PHK」を発行することが明らかになりました。

 

今回のステーブルコイン「PHK」発行はフィリピンの銀行としては初の試みで、法定通貨「フィリピンペソ」に連動しています。

 

フィリピンでは安全で効率的な送金に対する需要が高く、将来的には国外に出稼ぎに出ている人や島に住んでいる人がステーブルコイン「PHK」を利用することも考えられます。

 

すでにフィリピンではブロックチェーン技術を活用した決済システム「i2iプラットフォーム」によってシンガポール-フィリピン間の国際送金に成功しているなどその取り組みに注目が集まっています。

 

ステーブルコイン「PHK」について

 

ステーブルコイン「PHK」は「i2iプラットフォーム」上で取引が行われます。

 

ステーブルコインはフェイスブックLibraなど世界各国で取り組みが行われていますが、法定通貨と連動しているために価格が安定し、銀行口座を持たない人への決済サービスの提供が行えるなど注目を集めています。

 

一方で、マネーロンダリングに利用される危険性もあり、アメリカから経済制裁を受けているベネスエラでは避難資産として利用されているといった事例も存在します。

 

「PHK」はフィリピンペソと連動したステーブルコインであり、

 

Summit Rural Bank
Progressive Bank
Cantilan Bank

 

上記の3つの地方銀行において「購入・送金・償還取引・国内送金」の実証実験が行われています。

 

「i2iプラットフォーム」について

 

「i2iプラットフォーム」はブロックチェーン技術を活用した決済システムです。

 

相互運用が可能であるために将来的にはフィリピンだけではなく、世界中での利用も期待されています。

 

ユニオンバンクは、フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas)とともに金融業界への最先端技術の導入を進めており、フィリピンの金融業界の包括的な繁栄を目指した取り組みを行なっています。

 

ブロックチェーン技術を活用した送金はその一環として注目を集めており、将来的には銀行だけではなく、離島における送金システムの構築にも取り組むとしています。

 

「PHK」の将来性

 

今回の取り組みによって、ユニオンバンクの口座から「PHK」を購入し、「PHK」をフィリピンペソに交換することも可能になります。

 

最近では大手投資銀行のJPモルガンが、ステーブルコイン「JPMコイン」を利用した機関口座間での送金テストに成功しており、銀行によるステーブルコインへの取り組みが活性化することが期待されます。

 

「PHK」はより効率的な母国への送金や銀行を介さない送金が実現できるために今後も利用が拡大することが予想されます。

 

イラン ステーブルコイン「PayMon」発行へ

 

イランはアメリカからの経済制裁によって国際舞台で孤立を深めており、ホルムズ海峡における英船籍タンカー「ステナ・インペロ」をだ捕するなど、強硬姿勢を強めています。

 

国際金融からも隔離され、国際送金ネットワークも利用できない状況となっており、制裁回避のために暗号資産を利用する動き(キャピタルフライト)もイランでは活発に行われています。

 

しかしながら、2018年10月にはアメリカ金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)が暗号資産取引所に対してイランによる仮想通貨利用を監視するように要求。

 

イランではイラン中央銀行(CBI)が国内の金融機関における暗号資産の取り扱いは禁止しているものの、インターネット上では暗号資産取引所へのアクセスが可能となっていたために、これを監視するためにFinCENは「Advisory on the Iranian Regime’s Illicit and Malign Activities and Attempts to Exploit the Financial System」と呼ばれる勧告を発行しています。

 

そのような中で、イランではステーブルコイン「PayMon」を発行したことが明らかにされています。

 

同じくアメリカからの経済制裁を受けているベネズエラではステーブルコイン「ペトロ」を発行しており、ベネズエラのマドゥーロ大統領はベネズエラ国内の銀行に対して「ペトロ」窓口開設を命じるといった取り組みも行われています。

 

ステーブルコイン「PayMon」について

 

イランではイラン中央銀行が「PayMon」と呼ばれる金を裏付けにしたステーブルコインの発行を許可したことを明らかにしました。

 

最近では法定通貨を裏付けにしたステーブルコインの発行が大きな話題を呼んでいますが、金や石油価格を裏付けにしたステーブルコインも世界では行われています。

 

「PayMon」はイラン政府とフィンテック企業Kuknosによって開発が行われ、イラン国内の暗号資産取引所や銀行とも連携が行われています。

 

イランではアメリカから経済制裁を受けているために国際送金システム「SWIFT」の利用も制限されており、経済制裁によって凍結されている資産の活用を「PayMon」で目指すと考えられます。

 

「PayMon」はSWIFTや銀行を介さずとも国際送金が可能となりますが、国際金融の枠組みからは外れているためにマネーロンダリングやテロリストへの資金供与への対策が不十分とも言えます。

 

そのため既存の金融システムの秩序を乱すともいえ、イラン中央銀行が「PayMon」に対してどのような規制を行なっているのか懸念されます。

 

イラン 暗号資産マイニング事業を正式に承認へ

 

イラン経済委員会が「暗号資産のマイニングのメカニズム」を正式に承認したことがイラン商工鉱業農業会議所(ICCIMA)によって明らかにされています。

 

暗号資産産業に関する関税の仕組み作りを検討するなど将来的には暗号資産が政府公認の産業となるとされており、イラン国内におけるマイニング事業についても法律の適用を目指しています。

 

これは暗号資産による税収の増加などイランの経済発展に向けた取り組みの一環として行われると考えられ、アメリカの経済制裁を受けて、国内のマイニング事業についても態度を軟化させたとみられています。

 

イランでは電気代に安さからマイニング事業への取り組みが活性化してきており、国外からも多くの事業者が殺到する事態になっていました。

 

バイナンス ポンド建てステーブルコイン「BGBP」発行へ

 

バイナンスのジャージー島支社である「Binance Jersey」でステーブルコイン「BGBP」の取り扱いが行われることが明らかになりました。

 

ステーブルコインは法定通貨と連動し、価格が安定していることから国際送金などでの活用が期待されています。

 

銀行を介さずに国際送金が行われるため最近では日本でもSWIFTに代わる国際ネットワークの構築に取り組む動きも起きています。

 

経済制裁によって国際金融から隔離されている国々ではSWIFTを利用した国際送金が行えないケースが多く、ベネズエラでは石油、イランでは金を裏付けにしたステーブルコインの発行が行われています。

 

そのような中で、バイナンスが発行するステーブルコイン「BGBP」はポンドを裏付けにしていることから大きな注目を集めています。

 

ステーブルコイン「BGBP」について

 

バイナンスでは「BGBP」だけではなく、さまざまな法定通貨に連動したステーブルコインの発行を予定しており、ステーブルコイン「BGBP」はポンドを裏付けにしています。

 

バイナンスではすでにstablyが発行する「USDS.B」の取り扱いが行われており、今回の「BGBP」発行にstablyが協力していることが明らかになっています。

 

「USDS.B」は信託会社Prime Trustによって資産の裏付けがなされており、米ドル建てのステーブルコインです。

 

米ドル建ては「USDS.B」がすでに取り扱われており、ユーロ建てについてもバイナンスCEOのCZは「マイナス金利といったリスクがある」と述べていることからバイナンスによる発行は行われないと考えられます。

 

バイナンスチェーンについて

 

バイナンスでは独自ブロックチェーンプロトコルとして「Binance Chain(バイナンスチェーン)」を提供しています。

 

各ユーザーごとに秘密鍵を管理し、Binance DEX(分散型取引所)での取引を行うことやパブリックチェーンであることから取引の透明性の高さが特徴です。

 

今年の4月にローンチされてからすでに20社以上が「Binance Chain」の利用を行なっており、コンセンサスアルゴリズムに「DPoS」と採用しているために即時の取引確定が可能となります。

 

DPoS(Delegated Proof of Stake)とはブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムのことです。

 

取引におけるブロック生成(取引確定)の承認者がBNBホルダーの投票によって決定されるため、PoW(Proof of Work)と比較して計算処理や承認数を抑えることができるといった特徴があります。

 

そのため消費電力の軽減といったメリットが期待され、時間や経費の削減にもつながります。

 

しかし、BNBを多く保有するホルダーによって承認者が決定されやすいなど中央集権的な特徴を持つために承認者選出における投票の不正や、不正取引の承認が行われる危険性があることなどのデメリットも存在しています。

 

Libra(リブラ)について

 

 

Libra(リブラ)プロジェクトは過去にFacebookが個人情報漏洩問題を起こしていたことから金融市場をはじめとして批判的な声が巻き起こりました。

 

さらにその収益がLibra(リブラ)コンソーシアムに参加している企業に分配され、利用者には還元されないことについても疑問の声が湧き上がるといった事態に発展。

 

また、20億人のFacebookユーザーに対して金融サービスを提供できることから既存の金融システムの秩序を乱すとして、各国の規制当局や金融委員会からも批判的な意見がLibra(リブラ)には寄せられています。

 

その一方で、JPモルガンやゴールドマンサックスなど大手金融機関はステーブルコインの開発に強い関心を持っていることを表明し、各国の中央銀行も導入を検討していることが明らかにされています。

 

Libra(リブラ)の発表にともないステーブルコインについては世間からも大きな関心が寄せられており、既存の金融システムとの融合をどのように図るかが重要なポイントと考えられます。

 

そのことを踏まえるとLibra(リブラ)を金融サービスとして選ぶ必要性は薄く、CBCC(中央銀行暗号通貨)や各金融機関が発行するステーブルコインを将来的には利用することが予想されます。

 

Libra(リブラ)開発中止の可能性


 

7月16日にアメリカ上院銀行住宅都市委員会にて公聴会を控えるFacebook・Libra(リブラ)ですが、既存の金融システムへの悪影響を懸念する声があがっています。

 

・マネーロンダリング対策
・投資家(消費者)保護
・個人情報の管理

 

上記の3点がLibra(リブラ)の問題点とされており、30以上の政治・市民団体から開発の一時中止を求める要求する声明が出されています。

 

Libra(リブラ)の発表が行われた直後にも下院金融サービス委員会のMaxine Waters(マキシン・ウォーターズ)理事長が開発の一時中止を要求しており、今回新たに4名の議員がこれに賛同しました。

 

Maxine Waters
Carolyn Maloney議員
William Lacy Clay議員
Stephen Lynch議員
Rep.Al Green議員

 

 

Libra(リブラ)はアメリカ下院住宅金融委員会での公聴会も7月17日に予定されています。

 

既存の金融システムの秩序を脅かすとして開発の中止を求める声にどのように応えるのか注目が集まります。

【関連記事】
【G7邦訳】リブラG7最終報告書・エグゼクティブサマリー全訳
G7・G20で米フェイスブック「リブラ」に猛烈な逆風
米大手ペイパル、リブラ協会からの脱退を表明

金融機関がブロックチェーン技術の導入に積極的な理由


 

金融市場ではブロックチェーン技術の導入に積極的に取り組んでおり、国際送金における送金時間の短縮や銀行口座を持たない人々への決済サービスの提供といったメリットがあると期待されています。

 

2019年6月には国際通貨基金(IMF)が「フィンテック(Fintech)に関する5つの事実」という報告書を発表。

 

これには中央銀行のデジタル通貨発行が将来的には行われることが明記されており、既存の金融システムを保ちつつ、中央集権的な決済サービスとしてブロックチェーン技術を活用していくことを目指しています。

 

これは「CBCC(中央銀行暗号通貨)」と呼ばれ、すでにウルグアイやスウェーデンの中央銀行ではその取り組みが行われています。

 

「CBCC(中央銀行暗号通貨)」は暗号資産取引は基本的に匿名性ですが、銀行間においての取引と同じように送金先の名前が明記された「非匿名性」が特徴とされています。

 

スマートコントラクトによる取引の自動化や履歴の追跡など、ブロックチェーン技術と決済サービスとの相性は良く、使用用途についても下記のような住み分けが行われると予想されています。

 

CBCC(中央銀行暗号通貨)

 

価格変動(ボラティリティ)のない法定通貨とペッグされた決済サービス。

 

非匿名性で中央集権的な特徴を持ち、既存の金融サービス全体の効率化を目指しています。

 

ICO

 

価格変動(ボラティリティ)があり、投機的な特徴を持ちます。

 

暗号資産市場の健全化にむけて各国では法規制の強化が行われており、将来的にはプロダクトの淘汰も予想されます。

 

匿名での取引が可能であるため中央集権型の取引を好まない人々などによって、将来的にも一定のニーズがあるとされています。

 

しかし、マネーロンダリング対策強化から匿名での取引自体も規制がかけられる可能性もあり、その潜在的なリスクに対しては国際的にも厳しい目が向けられています。

 

 

「CBCC(中央銀行暗号通貨)」の発行について

 

2017年9月に「CBCC(中央銀行暗号通貨)」についての報告書を国際決済銀行(BIS)が発表しました。

 

各国の中央銀行は暗号資産による経済効果への期待から取り組みを開始し、規制の整備による「消費者保護」や金融市場のさらなる発展をこの頃から目指していました。

 

2017年当時は「大口取引用」と、「一般消費者向けの小口取引用」の2種類の開発が検討されており、中央銀行が決済のために発行し、為替変動の影響を受けないのが特徴とされていました。

 

民間の金融機関への影響が懸念されていましたが、破綻のリスクのない中央銀行に個人が口座を持つことができるため下記のような取り組みが行われました。

 

スウェーデン「eクローナ」
ロシア「クリプトルーブル」
日本「Jコイン」
イングランド中央銀行「RSコイン」

 

しかし、欧州中央銀行(ECB)はEU加盟国に対して独自通貨の発行を認めていないためヨーロッパでは暗号資産通貨発行は見送られることとなりました。

 

そして、「Jコイン」についてもブロックチェーン技術が導入されていないスマートフォン決済アプリ「J–Coin Pay (Jコインペイ)」として2019年2月に発表されています。

 

地銀60行と提携し、銀行口座と連携しているため手数料収入が見込めると期待されていますが、ゆうちょPayや各地銀でもスマホ決済サービスは取り組みが行われており、PayPayやLINEPayとの競争にさらされています。

 

現在では日本銀行では暗号資産を含めたデジタル通貨の発行は計画しておらず、「Project Stella」とよばれる欧州中央銀行による分散型台帳技術に関する共同調査報告書の発表を定期的に行っています。

 

国際通貨基金(IMF)フィンテック(Fintech)に関する5つの事実を発表

 

2019年6月に国際通貨基金(IMF)は各国のデジタル通貨についての報告書「フィンテック(Fintech)に関する5つの事実」を発表しました。

 

この中で「中央銀行が将来的にデジタル通貨を発行する」といった内容が明記されていました。

 

そして、すでにウルグアイやバハマ、スウェーデンといった国々では「CBCC(中央銀行暗号通貨)」の発行テストが予定されているなど実現にむけた取り組みが本格化してきています。

 

「CBCC(中央銀行暗号通貨)」は匿名ではなく、スマートコントラクトによる取引履歴の追跡や効率的な支払いを目指すもので、中央集権的な特徴を持つとされています。

 

ブロックチェーン技術は分散台帳技術と匿名性が特徴とされてきましたが、最近ではFATF(金融活動作業部会)のマネーロンダリング対策の影響で、取引所でも送金先の顧客情報が求められるなど規制強化が行われています。

 

そのため「CBCC(中央銀行暗号通貨)」は既存の金融システムを秩序を保ちつつ、非匿名性でスマートコントラクトの機能を活用した金融インフラとして期待が集まっています。

 

先進国では現金の代替として、発展途上国は銀行口座を持てない人へのサービスとしての活用を検討しています。

 

報告書「フィンテック(Fintech)に関する5つの事実」は世界189カ国の中央銀行や財務省などからの調査をまとめたものであり、暗号資産市場の発展が金融の安定性を脅かすリスクの高まりを指摘しています。

 

投機目的ではない決済手段としての活用を目指す「CBCC(中央銀行暗号通貨)」は今後も大きな話題を呼ぶことが予想されています。

 

世界的大手銀行 独自暗号資産の発行を検討

 

有価証券を即時決済を目指しJPモルガンではJPMコインの開発が進められています。

 

JPMコインはドルペッグのステーブルコインで、2019年2月から販売が開始されています。

 

JPモルガンはここ5〜20年の間に証券のトークン化が進むと考えており、セキュリティトークンの発行も行なっています。

 

国債の取引は時間がかかるためにブロックチェーン上での取引が可能となれば、取引の流動性向上につながります。

 

報道によるとロンドンやオーストラリア、香港、カナダの銀行などでもセキュリティトークンの可能性については取り組みが行われています。

 

そして、セキュリティトークン発行にむけては各国の規制当局からの認可を受けられるように検討を行なっています。

 

JPモルガンではクライアント数社とのテストを開始するとしていますが、規制当局の承認を待つために年末まで本格的な実施は難しいとのことです。

 

また、ゴールドマンサックスではJPモルガンの発表をうけて独自暗号資産への興味を示唆しました。

 

「世界中の大手金融機関はステーブルコイン による決済について可能性を見出しており、興味を持っている」とゴールドマンサックスのデービッド・ソロモンCEOは述べています。

 

このように「CBCC(中央銀行暗号通貨)」や「JPMコイン」の取り組みが進められている中で、今後は「中央集権型」「分散型」と2つの暗号資産の流れがより明確になると予想されます。

 

各国の中央銀行・規制当局は、暗号資産による新たな金融インフラが既存の金融システムにとっての潜在的なリスクであることを認め、その対抗策として「CBCC(中央銀行暗号通貨)」の開発を進めているとも考えれます。

 

使用用途は異なるものの、金融市場においては競争相手としてさらなる規制強化をICOのような暗号資産に行い、一方では金融サービスの効率化を目指すことで金融システムの安定を目指すことが中央銀行や規制当局の狙いであると言えます。

 

日本における電子マネーの現状と課題

 

日本では2002年にJRが「Suica」の発行を開始し、当時から電子マネーとして活用することを検討していました。

 

その後、「Suica」はJR西日本の「ICOCA」との相互利用が可能となり、使用エリアが拡大。

 

エリア拡大とともに駅や周辺の商業施設で「Suica」が電子マネーとして利用できるようになり、利用可能店舗と1日の決済件数は下記のようになっています。

 

電子マネー利用可能店舗「61万6400店舗(2019年3月末)」
電子マネー1日当たりの決済件数「約784万件(2018年8月)」

 

そして、2016年9月からはApple Payで「Suica」での決済を行えるようになり、最近ではみずほ銀行や楽天ペイ(2020年春予定)との提携を「Suica」は行っています。

 

電子マネーによる決済は「Suica」を中心にして日本では普及しており、JR東日本としても経営ビジョン「変革2027」の中で「さまざまな決済手段やアプリケーションと連携し、共通基盤化を推進する」としています。

 

「Suica」とクレジットカードさえあればスマートフォンで決済は可能であるので、PayPayやLINE Payにとっても「Suica」とどのように共存を図っていくのかが今後の課題と言えるでしょう。

 

ステーブルコインと電子マネーの違い

 

電子マネーは法定通貨を買うことで決済を行うことができます。

 

一方、ステーブルコインは法定通貨とペッグされた通貨のため、法定通貨と暗号資産トークンとの交換によって決済を行います。

 

また、電子マネーは法定通貨への換金や利用者同士の送金が原則的に禁止されています。

 

ステーブルコインは現在のところ法定通貨への換金や利用者同士の送金は禁止とされていません。

 

そして、電子マネーは発行元がJRや一般企業であるのに対して、ステーブルコインは中央銀行やFacebook、暗号資産プロダクトによる発行といった違いがあります。

 

ステーブルコインは避難通貨としての利用が主な目的とされていることも大きな違いであり、電子マネーとはまた別の領域での「決済サービス」として活用が期待されています。

 

将来的にステーブルコインが「Suica」でも使えるようになることは、現在のところ考えにくいですが、国際送金の迅速化や銀行口座を持たない人々の決済サービスとしてステーブルコインは大きな役割を果たすと考えられます。

 

参考文献

2種類の仮想通貨発行を提案 中央銀行が発行する仮想通貨「CBCC」

Jコイン

Project Stella:日本銀行・欧州中央銀行による分散型台帳技術に関する共同調査報告書(第2フェーズ)
JP Morgan to Enable JPM Coin Payments and Digitization of Financial Securities

JPモルガン、デジタル通貨「JPMコイン」の実証試験へ

ゴールドマンサックスCEO、JPMコインのような独自仮想通貨発行への興味を示唆

IMF、複数の中央銀行がデジタル通貨発行を検討 先進国と新興国で異なる動機も

中央銀行による「デジタル通貨発行」現実的に:国際通貨基金(IMF)調査報告

ゴールドマンサックス「独自仮想通貨」発行の可能性|CEOが語る金融業界の今

Congressional Democrats demand Facebook halt its Libra cryptocurrency rollout

2種類の仮想通貨発行を提案 中央銀行が発行する仮想通貨「CBCC」

JPモルガン、デジタル通貨「JPMコイン」の実証試験へ

ゴールドマンサックスCEO、JPMコインのような独自仮想通貨発行への興味を示唆

IMF、複数の中央銀行がデジタル通貨発行を検討 先進国と新興国で異なる動機も

中央銀行による「デジタル通貨発行」現実的に:国際通貨基金(IMF)調査報告

Binance Jersey Lists Exchange’s Own GBP-Backed Stablecoin

Binance Jerseyが独自の英ポンド連動型ステーブルコイン「BGBP」をリスティング

バイナンス(Binance)の独自ブロックチェーンがついにローンチ

ブロックチェーン基礎技術『DPoS(Delegated Proof of Stake)の仕組みとは?』

Binanceが2ヶ月以内にステーブルコインBGBPをリリース、将来的に円やユーロも

イラン中央銀行が国内発の金裏付け型トークン「PayMon」の発行を許可

仮想通貨を使ったイランの制裁回避を監視せよ、米FinCENが仮想通貨取引所に要請

Advisory on the Iranian Regime’s Illicit and Malign Activities and Attempts to Exploit the Financial System

ベネズエラ・マドゥーロ大統領が国内最大の銀行にペトロの窓口開設を命令

Govt. economic commission gives green light to digital coin mining mechanism

 

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