CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)のメリット|中国や日本での取り組み

今回は法整備に向けた国際的な共同研究が行われているCBDC(中央銀行デジタル通貨)について解説していきます。

 

日本においては会津大学においてデジタル通貨「白虎」の利用がスタートし、世界的な中央銀行デジタル通貨(CBDC)への関心の高まりとともに、議論が活発に行われています。

 

2021年にはデジタル円の実証実験が開始されることが明らかになり、中国では5万人規模のデジタル人民元のパイロットテストが実施されるなど、発行に向けた課題の検証が各国で行われています。

 

日本政府は「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に中央銀行デジタル通貨(CBDC)の利用を検討する内容を盛り込むなど、積極的な取り組みをこれまで行ってきました。

 

すでに中国ではデジタル人民元のパイロットプロジェクトに多くの企業が参加しており、最近では配車サービスプラットフォーム「DiDi」などが参加を表明するなど、2022年の冬季オリンピックに向けて取り組みが進んでいます。

 

米国でもデジタルドルをめぐり、Digital Dollar Foundationがホワイトペーパーを発表するなど取り組みが進んでおり、新たな基軸通貨としてデジタル人民元が普及するのを防ぐ必要に迫られていると言えます。

 

また、イギリス中央銀行であるイングランド銀行総裁も中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行を検討しているとしており、リトアニアでは中央銀行が発行するデジタルトークン「LBCOIN」の販売が7月23日に予定されています。

 

LBCOIN」は法定通貨とペッグされておらず、中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行に向けた実験的な取り組みとされています。

 

すでに中国では暗号法(密碼法)が施行され、デジタル人民元(DCEP)の発行およびブロックチェーンによる産業振興に向けた準備が着実に進行しています。

 

人民元の国際的な普及(特にアフリカ諸国での展開が予想されています)
ドル基軸・SWIFTからの脱却
海外への資本流出(マネロン)防止
取引決済の効率性・安全性の向上(仲介業者の排除)
分散型台帳技術による資金の管理

 

デジタル人民元(DCEP)には、このようなメリットがあり、中国人民銀行(PBoC)はすでに基本設計は完了したと発表。

 

中国の中央銀行である中国人民銀行(PBoC)はデジタル人民元(DCEP)について、すでに5-6年の研究を行ってきた実績があり、

 

1 デジタル人民元に対応した金融システムの構築および各金融機関との連携

2 各金融機関による国民への流通(交換)

 

上記のような過程を経て、中国国内で普及が図られるとされています。

 

今後は、深セン・蘇州でのテスト運用や中国銀行などの国営銀行・通信会社との連携を予定しており、国際金融の新たな基軸通貨としてデジタル人民元(DCEP)が普及する可能性など、各国は危機感を募らせています。

 

そのような中で、日本・イギリス・カナダ・スイス・スウェーデンの中央銀行が国際決済銀行(BIS)とともにCBDC(中央銀行デジタル通貨)の共同研究を目的としたワーキンググループを設立しています。

 

世界経済ファーラム(WEF)もデジタル通貨に関する国際的なガバナンスの設計に向けてコンソーシアムを設立するなど、各国の規制当局および金融機関ではデジタル人民元(DCEP)の潜在的リスクに対して早急な対応に迫られています。

CBDC(中央銀行デジタル通貨)について

 

金融領域ではブロックチェーン技術の導入に積極的に取り組んでおり、CBDC(中央銀行デジタル通貨)は、

 

・国際送金における送金時間の短縮

・銀行口座を持たない人々への決済サービスの提供

 

といったメリットがあるとされています。

 

一方で、デジタル通貨の国際的なデファクトスタンダードとして、デジタル人民元が普及することに関しては各国が危機感を募らせており、日本銀行など主要国の中央銀行によるワーキンググループは、イングランド銀行のカーニー総裁の呼びかけからたった1ヶ月で設立されました。

 

カーニー総裁は、FacebookLibraが発表された際にも、主要通貨のバスケットによる「合成覇権通貨」といったデジタル通貨構想の提唱。

 

このことから、今後は米ドルおよびデジタル人民元に対抗するべく、米中を除いた国際的な共同研究によって、新たな国際標準通貨への取り組みをワーキンググループは行うものと考えられます。

 

中国では、CBDC(中央銀行デジタル通貨)の研究が2014年から行われており、国際決済銀行(BIS)は20179月にCBDC(中央銀行デジタル通貨)についての報告書を発表。

 

2017年当時は「大口取引用」と、「一般消費者向けの小口取引用」の2種類の開発が検討されており、中央銀行が決済のために発行し、為替変動の影響を受けないのがCBDC(中央銀行デジタル通貨)の特徴とされていました。

 

これまでは、ブロックチェーン技術の金融インフラへの導入は取引における「処理速度」や「ネットワーク環境」への影響などが懸念されており、技術的な問題からCBDC(中央銀行デジタル通貨)の実現は難しいとされてきました。

 

決済サービスとして実際に導入・利用が行われるには数年の実証実験が必要とされており、慎重な運用が必要不可欠とされてきましたが、Facebook・Libraおよびデジタル人民元構想が2019年に大きく報じられたことで、各国の規制当局は、その対応に追われています。

 

CBDC(中央銀行デジタル通貨)の実現にむけては課題も多く見受けられますが、中国のように法整備を行うことで、その普及を促進する取り組みが今後は活性化すると予想されます。

 

バハマ CBDC「サンドドル(Sand Dollars)」を10月20日に発行へ

国土のほとんどが島によって形成されているバハマでは金融サービスが行き届かないことから中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行への取り組みが市場に先駆けて行われてきました。

 

「サンドドル(Sand Dollars)」と呼ばれるCBDCは、米ドルに連動した自国通貨バハマドルをペッグしており、今年10月20日にも発行を予定しています。

 

2018年6月に計画を発表してから約2年4ヶ月でローンチに至った「サンドドル(Sand Dollars)」ですが、NZIA.io・Zynesisといった技術会社と提携し、安全な運用体制の整備と検証に向けた離島での実証も実施。

 

金融包摂といった社会的課題の克服に向けて、CBDC発行に大きな需要があったバハマですが、実際に通貨がデジタル化することによって、離島で暮らす国民の生活にどのような影響があるのか、大きな関心が集まることでしょう。

 

中国は2022年の北京オリンピックにおけるデジタル人民元の利用を目指して各省で実証への取り組みが行われており、バハマが世界に先駆けて「サンドドル(Sand Dollars)」の発行を行うことで、各国におけるCBDCへの取り組みはさらに活発になることが予想されます。

国際決済銀行(BIS)がCBDCに関するワーキングペーパーを発行

国際決済銀行(BIS)はワーキングペーパーを発行し、CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関して

 

・インターネットでの大幅な検索数の増加(ビットコインは2017年、Libraは2019年にピーク)

・10年以上前に提供されたCBDCの概念が2020年に世界的な関心を集めるようになった。

・Libraへの規制当局の対応が「転換点」

 

といった現状や仮説について解説しており、2019年には、1〜6年以内にCBDCの発行を目指す中央銀行の数はそれまでの2倍になったとしています。

 

また、ソーシャルディスタンスに関する政策の実施や現金の使用に関する懸念(感染リスク拡大)及び給付金のデジタル支払いへの重要の高まりなど、新型コロナウィルスの感染拡大もCBDC発行への追い風となっています。

 

国際決済銀行(BIS)は、このような社会的背景の変化は、これまで長らく決済の現場で行われてきた習慣を克服するのには十分な要因であるとしている一方、CBDCを5年以内にローンチするのは困難であるとするレポートも民間の報道機関から提出されており、その実現可能性については更なる慎重な協議が必要であるとも考えられます。

 

米国:デジタルドル

スウェーデン:e-クロナ

ウルグアイ:e-ペソ

ウクライナ:e-グリブナ

バハマ:サンドドル

東カリブ:東カリブドル

 

など各国で、デジタルで現金(決済)を再設計し、取引の効率性や通貨のプログラマビリティの検証が行われていますが、実際の法整備や政策の決定については未確定であるところがほとんどです。

 

イノベーションの実践とともに既存の通貨システムの秩序を守ることも重要であるため、リスクを最大限に抑えた取り組みが今後も行われることでしょう。

 

そのような情勢の中で、デジタル人民元のパイロットプロジェクトを展開する中国がCBDC市場の最先端事例であることを国際決済銀行(BIS)は指摘しており、世界的な影響力の拡大や他国に先駆けて他通貨をデジタル人民元に変換するインセンティブを有しているとしています。

 

今回の「BIS Working Papers No 880 Rise of the central bank digital currencies: drivers, approaches and technologies」を題されたワーキングペーパーは、各国の中央銀行から16,000件以上の意見を集約し作成されており、資本市場においてCBDCが活用される可能性について、開発の進捗・技術・政策スタンスを分析しています。

 

CBDCに関しては、各国で多くの議論が交わされていますが、国際決済銀行(BIS)のような国際組織が要件を整理し発表することで、市場全体において理解醸成が促進され、更なる発展に繋がることが期待されます。

 

CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する各国のこれまでの取り組み

株式会社ディーカレットは、各金融機関が発行するデジタル通貨とSuica(スイカ)の相互運用などに関する勉強会を開催することを明らかにしています。(2020年6月から9月まで 月に1-2回)

 

日本ではキャッシュレス決済の普及によって、サービス統合に関する取り組みが始まっており、多くの利用者を有するSuica(スイカ)とデジタル通貨の相互運用によって、既存の決済サービスでは困難である「転々流通」の実現が期待されています。

 

・勉強会参加企業
東日本旅客鉄道株式会社(JR 東日本):Suica(スイカ)
株式会社みずほ銀行 :Jコインペイ
株式会社三菱UFJ銀行:coin
KDDI 株式会社:au pay
株式会社セブン銀行(株式会社セブン&ア イ・ホールディングス):nanaco
株式会社三井住友銀行
NTT グループ
森・濱田松本法律事務所

 

今回は、各国のデジタル通貨への取り組みを踏まえて、デジタル人民元(DCEP)やDigital Dollar Projectについて解説していきます。

貨幣発行自由化論について

オーストリアの経済学者・フリードリッヒ・ハイエクが唱えた「貨幣発行自由化論」は、各国が金本位制を完全撤廃し、変動為替相場制に移行した1970年代に生まれた思想です。

 

当時は、ニューディール政策など公共事業を行うことで、世界恐慌から各国経済は復活・発展を遂げていましたが、その一方で、財政赤字は増大していました。

 

このことからハイエクは政府による独占的な通貨発行ではなく、政府が管理しない複数の通貨が競争することで、新自由主義経済は正常に発展を遂げると唱えました。

 

貨幣発行に競争原理を持ち込んだ「貨幣発行自由化論」はビットコインの台頭によって再び脚光を浴び始め、国家の財政赤字およびリーマンショック以後の金融緩和競争が問題視される現代においては「貨幣の脱国営化」が強い説得力を持つようになりつつあります。

中国:デジタル人民元(DCEP)とブロックチェーンの社会実装

これまでは、国家および金融機関がプラットフォームとなり、通貨・金融制度が運営されてきましたが、ハイエクが唱えた「貨幣発行自由化論」の思想を背景とした暗号資産の登場によって、通貨・金融制度は大きな変革に迫られていると言えます。

 

中国では2020年1月1日に暗号法が施行されました。

 

・デジタル人民元(DCEP)による国際覇権(国際的な共通貨幣制度)への取り組み

・現在の基軸通貨である米ドルの地位を脅かす可能性

 

などを指摘する声も上がっており、今後はデジタル通貨の台頭によって国際通貨制度のあり方そのものが変化を遂げることが予想されます。

 

現在のところデジタル人民元がいつ発行されるかについては明らかにされていませんが、中央銀行(中国人民銀行)が発行するデジタル通貨がどのように人々の生活に普及し、国際通貨制度に影響を及ぼすのか大きな注目が集まっています。

 

また、中国ではデジタル通貨に関するテキストブック「数字货币 领导干部读本」が発売され、政府および企業がブロックチェーンプラットフォームを提供する取り組みも行われています。

 

中国政府:ブロックチェーンサービス・ネットワーク(BSN)
アント・フィナンシャル「アント・ブロックチェーン・オープン・アライアンス」
バイドゥ「Xuperchain」

 

国際通貨基金(IMF)は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入について各国へのサポートを行うとの声明を発表し、2020年1月16日にはデジタル通貨を政策優先事項とするWork Programを公表しているなど、各国はデジタル通貨への対応に迫られているとも言えます。

米国:デジタルドルと合成覇権通貨時代に向けて

米国の金融政策によって、新興国は不安定な経済運営(主に自国通貨安や対外債務の増大)を余儀なくされています。

 

米ドル一極の通貨体制のもとでは、市場競争のメカニズムが正常に働かないといった弊害が生まれており、米ドルの支配的影響力を低下させることが、世界経済の発展につながるといった考えから「合成覇権通貨」構想は支持を集めています。

 

主要通貨のバスケットに基づくデジタル通貨である「合成覇権通貨」の構想は英国イングランド銀行総裁であるマーク・カーニーによって提唱されました。

 

「合成覇権通貨」を国際通貨とする取り組みは、各国間で規制当局との中長期的な協議が必要であると言えますが、すでにデジタル通貨への対応を織り込んだ体制作りに向けてIMFも動いていることから実現に向けた議論は活発に行われることが予想されます。

 

ハイエクが唱えた「貨幣発行自由化論」は複数の通貨が競争することによって、経済は正常な発展を遂げるとしており、各国が米ドル建てによる取引が基本となっている現在の体制から脱却し、下記の通貨建ての取引が拡大する可能性も考えられます。

 

・デジタル人民元
・CBDC
・合成覇権通貨
・ステーブルコイン

 

金融緩和、財政支出による財政規律の喪失、通貨量および政府債務の増大など様々なリスク要因が高まりを見せる現代においては、新たな国際通貨制度を求める声は日増しに強くなっているとも言えます。

 

米ドル通貨供給量はリーマンショック以後増加を続けており、各国においても大規模な量的緩和政策によって、通貨価値は下落し続けています。

 

政府や中央銀行のコントロールが及ばない新たな通貨の普及を防止するために、規制当局は新たな国際的な規制づくりやCBDC開発を進めていますが、自国通貨の信用力および通貨価値低下といった課題にも直面しています。

 

そのような中で、米国でもNY州議員および大学教授が「独自デジタル通貨」を発表し、米商品先物取引委員会(CFTC)の議長を務めていたクリストファー・ジャンカルロは「Digital Dollar Foundation(デジタルドル財団)」を設立しました。

 

将来的なリスクを回避するためにも米国はデジタル通貨に対する対応を急ぐ必要があると言えますが、その取り組みは既存の米ドルを中心とした通貨・金融制度の秩序に変化をもたらします。

 

米ドルがデジタル化した場合、ドル建て取引を行っていた国々もそれに追随した法規制およびインフラ開発を行わなくてはならないといった弊害も存在し、その影響力からデジタルドル発行に向けては、国際的な協調が不可欠であるとも言えます。

 

ジャンカルロは“A digital dollar would help future-proof the greenback and allow individuals and global enterprises to make payments in dollars irrespective of space and time,” と述べており、「Digital Dollar Project」は、今後の国際通貨制度の行方を占う上でも大きな注目を集めることとなりそうです。

ソラミツ株式会社|デジタル地域通貨「Byacco/白虎」の運用を7月1日から開始へ

ソラミツ株式会社が開発を手がけるデジタル地域通貨「Byacco/白虎」の運用が会津大学(福島県会津若松市)で7月1日から開始されることが明らかになりました。

 

デジタル通貨は、従来のキャッシュレス決済とは異なり、加盟店(店舗)が決済事業者を仲介せずとも即時支払いが可能であるといった特徴を有しており、資金の流動性向上につながると考えられています。

 

経済活動をより円滑に行うための取り組みとして、DXが大きな注目を集めていますが、日本でもデジタル通貨が普及することで、これまで月末の締めを待たなければ振り込まれなかった「決済システム」そのものの効率性を高めると考えられます。

 

転々流通:不特定多数の人々の間で譲渡が繰り返され、受け取った資金を他の支払いに利用できること。

 

デジタル通貨は電子マネーとは異なり、「転々流通」の特徴を有していることから多くの国々で活用が見込まれており、会津大学での実例を筆頭に多くのユースケースが生まれることが望まれます。

 

ソラミツ株式会社は、ブロックチェーン「ハイパーレジャーいろは」の開発(会津大学との連携)をはじめとして、カンボジア国立銀行とのデジタル通貨プロジェクト「バコン」も手掛けており、日本のみならずアジアにおいてもそのプレゼンスを確立しています。

 

「Byacco/白虎」は日本円と連動したデジタル地域通貨であり、「バコン」での運用事例をもとにして、最適化が図られています。

 

これにより、大幅な運用・開発コストの実現が可能となり、ボーダーレスな事業運営によって、大きな価値を日本ブロックチェーン市場にもたらしていると言えるでしょう。

 

国境を超えたクロスボーダーな決済システムの連携は、各国のデジタル通貨の相互運用を実現する可能性を秘めており、正式運用が始まる7月1日からどのようなユースケースが日本国内で広まるのか、大きな期待が寄せられています。

 

各国の2019年までの取り組み

 

1 日本

 

日本の中央銀行である日本銀行は雨宮正義副総裁が「金融政策への有効性、金融システムの安定性の向上に貢献するかは検討する必要」と2018年10月に述べており、CBDCについては検討段階としています。

 

2019年7月には決済インフラとしての現金の利便性や銀行の信用仲介の減少などCBDCによる実体経済への悪影響を指摘しつつも、CBDCへの調査研究は必要との姿勢をみせています。

2 韓国

 

韓国では中央銀行である韓国銀行(BOK)がCBDC発行について「銀行の預金残高が減少する」として経済的にはマイナスとの意向を表明しています。

 

CBDCは金融政策に悪影響であり、経済の不安定化につながるとしています。

 

3 香港

 

香港では2019年5月に香港金融庁とタイ銀行がパートナーシップを締結し、CBDCの共同事業実施の可能性が示唆されていました。

 

しかし、香港の中央銀行である「香港金融管理局(HKMA)」によるCBDCの発行計画はないと香港財経事務及庫務局からは発表がされています。

 

すでに決済インフラは整備されていることからCBDCの必要性がないとしています。

4 イギリス

 

イングランド銀行(BoE)は2018年5月にCBDCによる金融リスクをまとめた報告書を発表しており、CBDC導入については柔軟な対応を行うとしています。

 

5 スイス

 

暗号資産の聖地・クリプトバレーのあるスイスでは、自国デジタル通過「eフラン」が金融に与える影響について調査を行うと2018年5月に発表しています。

 

中央銀行であるスイス国立銀行が暗号資産に対しては基本的に中立の立場を取るとしており、発行については銀行との競合になるリスクも含めて慎重な姿勢をみせています。

6 バハマ

 

バハマ中央銀行は2020年にCBDCの導入を目指し、「サンド・ドル・プロ ジェクト」というプロジェクトを行なっています。

 

これはCBDCが幅広く使われることを目指し、CBDC発行に必要な企業選定を行なっています。

 

バハマは島国でその島の数はバハマ国内で700にも及びます。

 

そのため銀行やATMではなく、CBDCの導入への取り組みが世界に先駆けて行われています。

 

全ての人々が金融サービスにアクセスすることができて、利用することができるといった「金融包摂」といった概念がバハマ中央銀行の取り組みから見て取ることができます。

7 ウルグアイ

 

ウルグアイ中央銀行では2017年11月に法定デジタル通貨「eペソ」を半年間1万人に発行し、試験的な取り組みを行いました。

 

8 エクアドル

 

エクアドル中央銀行はドル化政策に関するコストの作戦を目的に電子通貨「ディネロ・エレクトロニコ」を2014年12月に導入しました。

 

9 ドイツ

 

ドイツの中央銀行はCBDCの危険性を警告しており、既存の金融システムを不安定にし、銀行の経営を悪化させるとしています。

 

10 ロシア

 

ロシア中央銀行は2019年6月にCBDCの潜在的なメリットやリスクについてのレポートを公開しています。

 

そのレポートでは匿名性が欠如していることがCBDCの欠点としており、ロシア中央銀行としても研究調査を進めるとしています。

 

また、プーチン大統領は政府発行のデジタル通貨「クリプトルーブル」の発行計画を明らかにしており、法定通貨とする法案の提出も行われています。

11 スウェーデン

 

スウェーデンの中央銀行であるRiksbankでは「e-Krona」プロジェクトに取り組んでおり、匿名性のデジタル通貨の発行を目指しています。

 

Riksbankは2021年までにスウェーデン国内の完全キャッシュレス化を掲げており、2019年の実証実験を経て、「e-Krona」をスウェーデンにおける主要通貨として流通させるとしています。

 

12 ノルウェー

 

ノルウェー中央銀行はCBDCの導入を検討しており、その影響について調査を進めるとしています。

 

13 オランダ

 

オランダでは2015年からDNBCoinと呼ばれる国家暗号通貨についての取り組みが行われており、2018年にはその金融システムへの影響が検討されています。

 

オランダ中央銀行(DNB)はCBDCの可能性について調査を進めるとしています。

 

14 中国

 

中国は暗号資産取引所を禁止している一方で、ブロックチェーンによるデジタル通貨については2014年から調査を進めていました。

 

中国は AlipayやWeChat Payといった決済サービスが当たり前で、中央銀行である中国人民銀行(PBoC)は商業銀行間でデジタル通貨による取引を2017年にすでに行なっていました。

 

銀行によっては現金の受け取りを行わないところも出てくるなど、デジタル通貨の普及による弊害もありますが、金融政策のさらなる促進に向けて中国政府はCBDCを活用する姿勢をみせています。

 

2018年10月には中国人民銀行のデジタル通貨研究所が人材募集を行うなど、CBDCの開発にむけて取り組みが進められています。

15 イスラエル

 

イスラエル銀行のCBCD調査チームは2018年11月にCBCD発行を推奨しないと発表しました。

 

金融政策や決済など金融システムへのリスクが懸念され、イスラエルではCBCDの発行は技術的にも難しいとしています。

 

16 タイ

 

タイ中央銀行である「タイ銀行」はアメリカフィンテック企業「R3」とのブロックチェーン技術開発を行なっており、将来的にはこの技術がCBCDに導入されるとしています。

 

これは「インタノン(Inthanon)」と呼ばれるプロジェクトで、R3の分散型技術であるコルダを使用。

 

銀行間での大口決済に用いられるようになることが予定され、2019年には利用が開始されるとしています。

 

タイ銀行総裁は現金からデジタル通貨への切り替えは3〜5年を要すると予想しており、今後もタイ銀行の取り組みには注目が集まります。

 

17 カナダ

 

カナダ中央銀行は「プロジェクト・ジャスパー」と呼ばれるCBCDプロジェクトが実施されています。

 

カナダ中央銀行はスウェーデン国立銀行とのCBDCについての会議を2019年10月17日にも予定しており、積極的な取り組みを行なっています。

18 パキスタン

 

パキスタンの中央銀行である「パキスタン国立銀行(SBP)」は2025年までにCBDCの発行を目指していると明らかにしています。

 

2019年4月の電子マネー機関(EMI)立ち上げの際にこの発表は行われ、2030年までには展開を予定しているとしています。

 

19 シンガポール

 

シンガポール金融管理庁は「Project Ubin」と呼ばれるCBCDプロジェクトを実施しています。

 

これは民間のブロックチェーン企業と共同でブロックチェーン技術の応用について調査を行うもので、すでに2017年9月、2018年3月に調査報告書を発表しています。

 

下記の企業が第1回、第2回と参加しており、CBCDへの取り組みが進んでいます。

 

第1回

 

Bank of America Merrill Lynch
Credit Suisse
DBS Bank
Hongkong and Shanghai Banking Corporation (HSBC) Limited
JP Morgan
Mitsubishi UFJ Financial Group
OCBC
R3
Singapore Exchange (SGX)
United Overseas Bank (UOB)

 

第2回

 

Bank of America Merrill Lynch
Citi
Credit Suisse
DBS Bank Ltd
HSBC Ltd
JP Morgan
Mitsubishi UFJ Financial Group
OCBC Bank
SGX
Standard Chartered Bank
UOB

 

また、シンガポール金融管理庁は下記の企業と技術的な提携を結んでいます。

 

Accenture
R3
IBM
ConsenSys
Microsoft

 

20 トルコ

トルコ政府が2019年から2023年にかけてのロードマップにおいてデジタル通貨発行計画を発表しました。

 

これはトルコ中央銀行によるデジタル通貨発行を定めたもので、ウルグアイやスウェーデンでも同様の取り組みが行われています。

 

特にスウェーデンでは2021年までに国内の完全キャッシュレス化を目指しており、デジタル通貨の発行もその一環として計画されています。

 

しかしながら、スウェーデン国民の中では現金による支払いを好む人もおり、特に高齢者にとってはキャッシュレス化に反対する人も少なくありません。

 

日本においてもPayPayやLINE Payなどによってキャッシュレス化が進んでいますが、実際のところSuicaとクレジットカードでほとんどの決済を行えてしまうため今後はサービスの淘汰が行われると考えられます。

 

また、中国では行政サービス、アメリカでは選挙の投票にブロックチェーン技術を活用する取り組みが進められており、デジタル通貨のみならず様々な分野でブロックチェーン技術の活用が行われています。

 

トルコにおいてもロードマップの中で、交通機関や税関へのブロックチェーン技術導入についても明らかにされています。

 

・トルコリラの急落とブロックチェーン

 

ベネズエラでは物価上昇率が約268万%(年率)にも及んでおり、OTC取引によってビットコインが避難資産として活用されています。

 

トルコにおいても法定通貨であるトルコリラが急落した際には暗号資産取引所の取引量が増加するなど、国民の多くは政府や銀行を信用できない状況にあります。

 

そのような中で、政府や特定の組織による価値の裏付けを必要としない暗号資産は避難資産として活用されており、特に価格変動の少ないステーブルコインはその活用が期待されています。

 

これまではドルや円に交換しておけば価値の保全ができましたが、政治的な理由でアメリカから制裁を受けている国では暗号資産を避難資産として実際に活用しています。

 

トルコでは中央銀行によるデジタル通貨発行計画が明らかにされていますが、トルコ国民がどこまで中央銀行を信用し、デジタル通貨を利用するかは不透明な状況にあると言えます。

 

もしも日本銀行がデジタル通貨を発行したとすると、現在みずほ銀行や三井住友銀行で行われている国際送金の業務を中央銀行が担うことになるのかなど導入においては多くの議論が必要となることでしょう。

 

・トルコ中央銀行によるデジタル通貨発行

 

IMF(国際通貨基金)は報告書「フィンテック(Fintech)に関する5つの事実」を公開しました。

 

各国の中央銀行におけるデジタル通貨発行が現実的なものとなっているとの記載があり、決済手段としての暗号資産の活用が期待されています。

 

スマートコントラクトや分散型台帳技術によって、国際送金の迅速化といったメリットがあり、法的通貨にペッグされているため価格変動(ボラティリティー)も少ないといった点から大手銀行でもステーブルコインの開発が行われています。

 

発展途上国の銀行口座を利用できない人々の決済手段としてFacebookもLibraを発表しましたが、こちらは「既存金融システムの秩序を乱す」として批判を浴びています。

 

国際的な金融の安定化を目指して行われてきた今日までの取り組みが、営利目的の企業によって破壊されるといった潜在的な危険性に対して、各国の規制当局や規制団体は警報を鳴らしています。

 

そのため今後は中央銀行によるデジタル通貨発行が暗号資産業界においても重要なテーマとなることが予想され、その取り組みに注目が集まっています。

CBDC 世界の取り組みと今後について

 

CBDC:Central Bank Digital Currency

 

国際決済銀行(BIS)は世界の中央銀行の中央銀行として知られており、現在の金融業界においては大きな影響を持つ国際機関です。

 

暗号資産に対しては「投資詐欺」として厳しい姿勢を見せていましたが、中央銀行が発行するステーブルコイン「CBDC」については一転して支援を発表。

 

スウェーデンやシンガポールなどの中央銀行が「CBDC」発行に取り組んでいることから、導入にむけて国際決済銀行としても協力する姿勢を見せています。

 

CBDCは中央銀行といった既存の金融システムがブロックチェーン技術を生かしてより円滑に決済ができることを目指したステーブルコインです。

 

中央集権的な特徴を持ち、取引の際には相手の名前を明記するなどこれまでの金融サービスと同じように「非匿名性」であると考えられています。

 

そのためCBDCは暗号資産でありながらも国際金融の秩序を乱すことなく監督できるとして国際決済銀行としても態度を改めたとも考えられます。

 

しかし、Facebook・Libraに対しては20億人のユーザーを抱えている影響力の大きさから「金融システムの秩序を乱す」として批判的な姿勢を見せています。

 

大手IT企業の金融業界への参入はその個人顧客の多さから既存の金融機関からは脅威とされており、国際決済銀行は包括的な公共政策の必要性を年次報告書では述べています。

 

なぜなら、大手IT企業の金融業界への参入はデータ保護や競争政策の観点からこれまでの法的な枠組みの中では対応ができないからです。

 

ステーブルコインであっても「分散型・中央集権型」といった特徴の違いがあり、これ以上の大手IT企業による金融業界への参入を防ぐためにもCBDCへの支援を表明したとも考えられます。

 

Libraの発表によって金融業界としてもその脅威に対応するべく、CBDCの開発への取り組みをより強化していくことが考えられます。

 

参考文献

国际清算银行:央行数字货币在2020年崛起

Volumes Surge on Turkey’s Crypto Exchanges as Lira Tanks

トルコ、中央銀行のデジタル通貨を新経済ロードマップに掲げる

FB参入の衝撃、国際決済銀行もデジタル通貨の発行支援へ

否定から一転 国際決済銀行が「中央銀行デジタル通貨」の発行に賛成の意を示す=FT

巨大IT企業の金融進出に警鐘 国際決済銀行が報告書

仮想通貨批判の急先鋒が宗旨替え? 国際決済銀行トップが中央銀行デジタル通貨を支援する姿勢

中央銀行デジタル通貨、その1

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000019078.html

https://stonline.io/dxblockchain/

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59898130S0A600C2MM8000/

https://www.decurret.com/assets/news/2020/06/pr_20200603_studygroup_release.pdf

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