米中貿易摩擦とブロックチェーン|金融機関と貿易への影響

ブロックチェーン

米中貿易摩擦の影響によって、アメリカでは対中輸出入学が前年比1〜2割減少し、中国でも国内総生産(GDP)を2年ぶりに引き下げるなど海外企業が他国へ生産拠点を移すといった動きも出てきています。

 

ベトナムでは中国に代わる生産拠点になったことで、今年の4〜6が月では実質GDP成長率が前年比6.71%の増加となっています。

 

アメリカと中国がお互いに報復関税を行なったことでアメリカでは大豆農家が悪影響を受けているなど、一般市民にとっても追加関税対象物品の値上げに悩まされています。

 

日本でも米中貿易摩擦の影響もあり、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が2四半期連続で悪化するなど、景気低迷局面を迎えています。

 

しかし、6月29日に行われた米中首脳会談では米中貿易交渉の再開や追加関税の延期をトランプ大統領が表明し、ファーウェイ製品のアメリカ国内への輸入についても規制緩和を行うことが明らかになりました。

 

このことで国際経済の回復への期待の声が高まっていますが、貿易摩擦問題による機会損失といった課題を解決するために貿易金融にブロックチェーン技術を活用する取り組みが各国の銀行を中心に行われています。

 

米中貿易摩擦とブロックチェーン

銀行は貿易金融サービスを提供することで、円滑な国際貿易をサポートしています。

 

しかしながら、米中貿易摩擦が激化したこの1年においては国際貿易企業の収益が悪化し、物流量も減少するなどコスト削減が必要不可欠になりました。

 

そのため銀行としてもブロックチェーン技術の導入による業務効率化を図るなど、米中貿易摩擦の影響で貿易金融は大きく変わろうとしているのです。

 

貿易金融サービスの効率化だけではなく、発送から受け取りまでのリアルタイムでの荷物追跡やスマートコントラクトによる取引情報の正当性の保証などもメリットとしてあげられます。

 

すでに国際貿易のブロックチェーン・コンソーシアムが形成されており、下記がその一例です。

 

「Voltron(ボルトロン)」みずほ銀行、HSBCなど12行が参加
「Marco Polo(マルコポーロ)」三井住友銀行、コメルツ銀行など14行が参加
「Batavia(バタビア)」UBS、バンク・オブ・モントリオールなど5行が参加
「we.trade(ウィートレード)」ドイツ銀行、ソシエテ・ジェネラルなど9行が参加

 

相互的な運用の実現にむけて、さらなる協力関係の構築が各プラットフォームでも将来的には必要となります。

 

さらなる貿易金融の発展にむけては業務効率化だけではなく、国際的な協同や共通の基準を定めることも重要です。

すでに世界では各銀行や税務局なども取り組みを進めており、米中貿易摩擦をきっかけとした貿易金融へのブロックチェーン導入は今後も注目を集めることでしょう。

 

貿易金融について

 

 

各銀行の国際営業部では貿易金融サービスを提供しており、

 

輸出:輸出信用状の通知 輸出手形・小切手の取立・買取
輸入:輸入信用状発行 輸入ユーザンス L/Cパック
外国為替関係保証:スタンドバイ信用状発行 入札保証・契約履行保証・前受金返還保証・荷物引取保証・関税支払保証

 

このような輸出入に関わる金融業務全般を「貿易金融」と言います。

 

貿易金融は国際的な輸出入を行う際の書類のやり取りが煩雑で非効率であることから、電子化によって作業の効率化を図る取り組みが行われていました。

 

しかし、貿易金融の電子化を目指した「貿易金融EDI(電子的データ交換)」は各国のインターフェースの接続や仕様調節に費用と時間がかかることが課題とされてきました。

 

そこで注目を集めているのが、貿易金融システムへのブロックチェーン技術の導入です。

 

ブロックチェーン上で情報管理・共有が可能となるため、貿易金融の現場では実証実験が行われています。

 

三井住友銀行 貿易金融にブロックチェーンを活用

 

 

三井住友銀行は三井物産と共同で実証実験を行い、ブロックチェーン技術を活用することで貿易金融における書類手続き時間をおよそ70%削減することに成功しています。

 

貿易金融における保険証券や船荷証券といった書類をブロックチェーン上で電子化することで、売買取引や内容の管理・共有がより効率的に行えるといったメリットがあります。

 

ブロックチェーン技術の導入は売掛債務の現金化など資金繰りの迅速化も期待でき、手続きの簡略化によってこれまで国際貿易を行ってこなかった中小企業の参入も見込めるとしています。

 

三井住友銀行は貿易取引手数料を新たな収入源として、2019年夏の実用化を目指しています。

 

中国人民銀行 ブロックチェーンで外国為替取引を実施

 

 

三井住友銀行のように貿易金融業務の効率化によるコスト削減は世界中の金融機関でも実証実験が行われています。

 

2019年7月には中国人民銀行がおよそ4741億円の外国為替取引をブロックチェーン技術を活用した貿易金融プラットフォームで行なったことが明らかになっています。

 

リアルタイムで取引情報の共有を行うことができ、決算情報もブロックチェーンで管理することができるなど、すでに深セン28行では試験運転が行われています。

 

中国人民銀行ではこの取り組みを今年8月にもスタートさせることを明かしており、深センだけではなく様々な国と地域での実用化も目指しています。

 

さらには中国人民銀行深セン支店と深セン税務局がリアルタイムで税務申告を照会・検証するために戦略的協力協定を結ぶなど、その取り組みは広がりをみせています。

 

貿易金融における煩雑な書類のやり取りを効率化することを目指し、中国人民銀行はブロックチェーン技術の導入を進めています。

 

また、中央銀行が発行するステーブルコイン 「CBCD」についても中国人民銀行では発行を目指していることが明らかになっています。

 

参考文献

 

貿易金融にブロックチェーン 三井住友銀 貿易実務を効率化

Chinese Central Bank’s Blockchain Trade Platform Processed $4.36B

貿易リスク軽減にブロックチェーン、米中摩擦で脚光

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