加速主義とブロックチェーン技術|金融のアンバンドリングによる資本主義システムの拡大

ブロックチェーン技術の金融領域における活用は、新たな市場を創出し、近年では暗号資産、デジタル証券、分散型金融などデジタルアセット市場における小規模な社会実験が、金融エンジニアリングの技術的進化を支えています。

 

各産業分野において、技術進化のプロセスを推進する取り組みは世界各国で行われており、新たなビジネスモデルや社会的枠組みを創出すると同時にガバナンスや潜在的リスクの検証が重要であると言えます。

 

今回は「Xの徹底によりXは特異点に至りその内部から解体される」といった加速主義の文脈になぞらえて金融市場における技術的進化と資本主義システムの拡大について考察していこうと思います。

 

加速主義と金融市場における技術的進化とは?

金融市場におけるデジタル化の徹底により技術的特異点に至り、金融市場がその内部から解体され、金融市場というシステムの「外部」が明らかになり、その「外部」への脱出が可能になる。

 

金融エンジニアリングの技術的進化は、実体経済とかけ離れた莫大な富を一部の投資家にもたらし、時として金融市場のメカニズムを大きく揺るがす金融危機をも巻き起こすなど、世界経済を大きく混乱させることもありました。

 

近年、ブロックチェーン技術による第三者機関を介さずとも信用を担保するシステムの構築によって、金融市場の「外部」において小規模ではあるものの新たな市場が形成され、従来の「資本主義システムの拡大」は促進されてきました。

 

フィンテックの登場によって金融のアンバンドリングが進む中、「根本的な社会的変革」を目指し、官民が協力してデジタル化へ取り組む動きも活発になっています。

 

また、デジタル通貨によって富のトラッキングやリアルタイムな経済活動の監視が可能になった場合など、ブロックチェーン技術による資本主義のさらなる加速が見込まれます。

 

加速主義は、SF的かつ終末論的な思想を信仰する一部の人々に親しまれてきましたが、資本主義が技術的進化によって加速し、新たな社会が技術的特異点によって創出されるといった未来はもうすぐそこまできているのかもしれません。

 

しかし、既存の金融システム・法規制がデジタルアセットへの対応を実施し、一部では下記のような統合が進むなど、「外部」が「内部」に取り込まれる事例もあります。

 

 

・マネックスグループによるコインチャック買収

・ゴールドマンサックスの独自トークン発行計画

 

技術的進化によって既存の秩序を乱し、新たな価値観を市場にもたらしたものの技術的特異点を迎えるといった劇的な社会的変容は見られず、現在のところ「資本主義システムの拡大」したに過ぎないとも言えます。

 

「Xの徹底によりXは内部から解体される」段階のことを特異点とする説もあり、「金融のアンバンドリング」などすでに特異点を迎えたとも考えられます。

 

また、その定義はそれぞれ異なることから「資本主義システムの拡大」をより段階的に検証することが加速主義を考える上では重要であるかもしれません。

 

資本主義システムの拡大とブロックチェーン技術

・さらなる技術的進化によって資本主義のプロセスは加速し、技術的特異点を迎える(右派)
・さらなる技術的進化によって資本主義のプロセスは加速し、社会的変革を目指す(左派)

 

右派加速主義の観点からは、「技術的特異点を迎えるのはまだ先の話であり、現在は資本主義加速プロセスの1つの段階に過ぎない」とも考えられます。

 

現在のところブロックチェーンなどの技術的進化に社会的システムが対応しつつあり、技術的特異点の実現可能性を推し量るのは難しい(その定義も曖昧)とも言えますが、資本主義はデジタル化によってさらなる発展(加速)を遂げることが期待されます。

 

また、経済活動を促進する上では、従来の資本主義の機能不全を「再分配(またはアンバンドリング)」によって克服しようといった取り組みは非常に有効的であると言えます。

 

しかし、分散型金融市場においてはSushiswap開発者が所有していたトークンを売却し、市場価格は暴落した事例が確認されており、大規模なハッキングなどシステムの技術的欠陥ではないものの、やはり技術的進化を加速させ、自由度の高い市場を創出するには市場の健全な運営が重要であると言えます。

 

市場発展の過程では多かれ少なかれトラブルによる信用損失はつきものであるとも考えられますが、上記の事例によって分散型金融市場に深い失望感を感じ、興味関心が損なわれた投資家の人も少なくないでしょう。

 

また、第三者機関を必要としない「未来の金融サービス・システム」とも目される分散型金融市場への投機は今後ますます加速することも予想されます。

 

現在は、その市場規模の小ささ(黎明期であることも含めて)から分散型金融への規制は関連組織の立ち上げといった段階に止まっています。

 

しかし、暗号資産市場の歴史から考えると、各プロジェクトがスマートコントラクトの監査を実施し、より持続的で成長可能な市場の形成を目指すべきであり、資本力をもとにしたより高度な社会実験によって、資本主義のプロセスを加速させることを目指すべきです。

まとめ

「ポスト資本主義」への脱出といった新たなる社会的枠組みの構築には至っていませんが、従来の金融システムに大きな影響を及ぼさない形で、社会実験を行う環境は整いつつあります。

 

法整備の実施と社会環境の劇的な変化によって、デジタルアセット市場への参加者は増加傾向にあり、従来の資本主義システムと異なる領域で、その機能不全の克服への取り組みが進むことで、資本主義の加速が促進されることでしょう。

 

そのプロセスをどのように加速させ、技術的進化を遂げるか(厳しい法規制を整備されず健全な発展を遂げるか)が重要であり、技術的進化による社会的変革の実現に多くの人々がコミットできる健全な市場形成を私たちは担うべきであると考えます。

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