STO解説

ABS (資産担保証券)×セキュリティトークン|市場規模や事例について

本記事ではABS (資産担保証券)をセキュリティトークンとして発行する取り組みやSTO市場の将来性について解説していきます。

 

韓国のブロックチェーン企業である「Chain Partners」はSTO市場についてのレポートの中で、ABS (資産担保証券)セキュリティトークンの成長を予測しています。

 

現在のところ株式や社債をセキュリティトークンとして発行する取り組みが行われていますが、ドイツではFundament Groupが不動産担保証券を裏付けとしたSTOがBaFin(ドイツ連邦金融監督庁)に承認されるなど、今後はABS (資産担保証券)セキュリティトークンの発行が増加する可能性を示唆しています。

 

「Chain Partners」はレポート内でセキュリティトークンの市場規模は2030年まで2兆米ドルに成長し、2019-2030年には59%の年平均成長率(CAGR)になると予測しています。

 

ABS (資産担保証券)の仕組みや市場規模について

 

日本では1996年から資産担保証券の発行が行われ、企業の資金調達方法として利用されてきました。

 

企業は信託会社や特別目的会社(SPC)を通じて

 

・商業用不動産ローン担保証券(CMBS)
・住宅ローン担保証券(RMBS)
・債務担保証券(CDO):社債、貸付債権(企業向け)

 

といった資産の証券化を行います。

 

資産証券化商品の発行額は2006年に9.8兆円に達しましたが、サブプライムローン問題の影響で発行額は減少。

 

近年では資産証券化商品の発行額は3〜4兆円前後で推移していますが、アメリカでは2016年に約2.1兆ドルに達していることからさらなる発展に向けた取り組みが必要であると言えます。

 

ドイツ Fundament Group 不動産担保証券をSTとして発行

 

ドイツのアセットマネジメント会社Fundamentは2億8000万ドル分の不動産担保証券をセキュリティトークンとして発行することを発表しています。

 

アメリカではSECへの登録免除規定であるRegulationを適用してセキュリティトークンの発行を行うため、私募市場における証券発行の新しい手法といった意味合いが強いですが、ドイツでは規制が異なるために公募でのSTOも行われています。

 

FundamentのSTOは最小投資額の制限がなく、個人投資家でも参加することができ、イーサリアムでの投資も可能となっています。

 

トークンの所有者は約4〜8%の年間配当を受け取ることができ、満期は2033年とされています。

 

FundamentのSTOが実現した理由

 

Fundamentは2018年12月にBaFin(ドイツ連邦金融監督庁)に対して目論見書を提出し、承認までにはおよそ7ヶ月の期間を要しました。

 

2〜3週間ごとに修正が行われ、最終的には100ページ近くにも及ぶ量に目論見書になりましたが、Fundamentには法律や技術面で多くのエキスパートがいたために7ヶ月でSTOに漕ぎ着けたと考えられます。

 

2年半から3年の準備期間は必要とされるIPOと比較すると、7ヶ月の期間は短いと言えますが、FundamentではSTO実施の経験を踏まえてコンサルティング業務も開始しています。

 

Fundamentは以下のようなサービスを提供するとしています。

 

・法的サポート

 

SPV(特別目的事業体)の組成や目論見書、販売条件の承認をより効率的に行えるように法律の専門家がサポートを行うとしています。

 

・技術的サポート

 

ERC-20イーサリアムブロックチェーンに基づいたSTの発行および販売をサポートし、SaaSソリューションやスマートコントラクトが標準装備されたAPIの提供を行うとしています。

 

・分散型プラットフォームサービス

 

Fundamentが提供するSTプラットフォームでは24時間365日取引が可能となっています。

 

ABS (資産担保証券)×セキュリティトークンの将来性

 

「Chain Partners」が発表したレポートでは、将来的にはSTOの内訳のほとんどをABSTが占めています。

 

投資商品としては利回りの高さが特徴的なABSは、アメリカ債券市場の3割以上を占めているなどその市場規模は大きく、ABSTは、今後10年間の中長期的な取り組みを通じて、各国でユースケースが数多く誕生することが予想されます。

 

しかし、ABSをST化するにあたっては各国の法規制をクリアすることが現在のところ最重要課題とされ、キャッシュフローを担保とするABSはさまざまなリスクを考慮して組成する必要があります。

 

アメリカでは自動車ローンのABS市場において、デフォルトの危険性が高まっており、信用度の低い層がローンの支払いを延滞しているといった実態が明らかにされています。

 

債務不履行の危険性がABSにはあるために、ST発行を行なった場合にも投資家に対してそのリスクを告知する必要があると言えるでしょう。

 

参考文献

 

初めてでもわかりやすい用語集資産担保証券/ABS

中国における資産証券化市場の発展

Fundament

アメリカの金融街が不安視する自動車ローンの延滞率上昇

700万以上のアメリカ人、自動車ローンを延滞 ── エコノミストも驚愕の事実

 

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