2020年には203のIPOが実施され、特別目的買収会社(SPAC)を除いた場合には約830億ドルが調達されました。
・後払いサービス会社「Affirm」
・モバイルゲーム会社「Playtika」
・ペット小売業者「Petco」
・古着EC会社「Poshmark」
などが2021年1月にIPOによって大型の調達を実施している他、特別目的買収会社(SPAC)の上場も相次いでいます。
2021年も引き続き米国IPO市場は好調を維持しており、
・スーパーマーケットチェーン「Southeastern Grocers」
・子供向けゲーム会社「Roblox」
・食料品デリバリー会社「Instacart」
などの有望スタートアップ企業の上場が予想されます。
本稿では米国IPO市場現在について解説し、今後の見通しについて考察していきます。
米国IPO市場現在と今後の見通し

「Affirm」は12月のIPOを延期し、公募価格を引き上げて上場を果たすなど、高い投資家需要を背景に多くの未公開株式企業が上場を目指している状況が続いています。
株式投資市場に参画する投資家の増加などを要因に公募価格の中央値はドットコムバブル時代の2000年以来最高値を記録していますが、市場の加熱感がどのタイミングで調整されるのかなど、リスクマネジメントへの取り組みも今後は重要となるでしょう。
2020年は
・データ分析会社「Palantir Technologies]
・ワークマネジメントツール会社「Asana」
など4社が直接上場を実施しており、上場時に資金調達を可能とする規制緩和も行われていることから2021年のホットトピックとして注目を集めることでしょう。
また、2020年に全体で過去最高となる834億ドルの調達を行なった特別目的買収会社(SPAC)は、2021年に入っても1億ドル規模の上場が日々行われてます。
後発組である特別目的買収会社(SPAC)は前年から合併交渉を行っている特別目的買収会社(SPAC)と比較するとやや不利な側面が存在しますが、
宇宙旅行会社「Virgin Galactic」
ファンタジーゲーム会社「DraftKings」
バッテリーメーカー「Quantumscape」
など有望な未公開株式企業が合併上場によって成長している事例も確認されており、2021年1月の第2週には28のSPACが60億ドル以上を調達を実施しているなど、今後も市場の大きな話題となることでしょう。
米国株式市場の最新動向

SPACを活用して上場企業となった金属3Dプリンター会社「Desktop Metal」は、ドイツの3Dプリンター会社「EnvisionTEC」の買収計画を発表。買収総額は現金と株式を組み合わせて3億ドルに及ぶとされ、190以上の素材を印刷できるテクノロジーを有する「EnvisionTEC」を買収することで歯科市場への参画などが期待されています。
SPAC市場では日本のソフトバンクグループ、デジタルメディアグループ「Group Nine Media」がSPACの設立計画を発表するなど、従来の資金調達ラウンドを経ずとも上場を果たす企業が今後も増加することでしょう。
Gitリポジトリ管理PF会社「GitLab」は、Nasdaq PrivateMarketを通じて、これまで付与した490万株の売却を従業員に許可したことを発表。総額は1億9,500万ドルに及び、Alta Park、HMI Capital、OMERS Growth Equity、TCV、Veritionが「GitLab」の株式を手にしています。
暗号資産取引所としてIPOを目指しているとされる「Coinbase」はカスタマーサポートの強化を目指しているとされ、増え続ける投資家と競合/類似サービスなど外部環境への対応のみならず、内部環境の整備が必要であるとされています。
まとめ

近年の株式市場は未公開株式投資市場が発展したことで、IPOまでの期間が長期化する課題を抱えており、その解決策としてSPACが活用され始めています。
市場構造の変化とともにIPOのあり方も大きく移り変わっていることから有望なスタートアップ企業は合併による大型調達とともに早期に上場企業になる事例が増加するとも考えられ、2021年も米国IPO市場には大きな期待が寄せられています。
・参考文献
Analysis: U.S. IPO market faces first big test of 2021
Desktop Metal buys fellow 3D printing company EnvisionTEC for $300M
Coinbase commits to a ‘better customer experience’ following complaints